Arielのひとりごと

きょうは何が起きるかなぁ~

佐渡島Mt&BIKEひとり旅 3日目後半

2023年06月02日 | 
雨が降り続く中、快調に下り宿根木に着きました。
こちらは北前船の寄港地として発展した小木海岸入り江の集落。
廻船業で栄えた江戸時代の面影を今に伝える町並が残っています。
お昼を過ぎていたので、ここで何か食べたい。
町並み案内所にいたおっちゃんに自転車はこっちにと手招きされ、無事駐輪。
雨足は弱まらずレインウエアはびしょ濡れです。
事前に食事処は調べていたのですが、そのひとつ、目の前の「よしかわ屋」が本日休業じゃないですか。
何軒もないというのに、そのひとつがやってないなんて。
案内所のおっちゃんに、お昼が食べたいんだけどやっているお店ありますかね?と聞いてみました。
すると、あそこならやっとるだろと先導され、石畳の細い路地に入ります。
ちょっと待って、フランス料理レストランなの。
もっと庶民的なところでいいのにぃー。
こんな立派なお宅に行きつきました。
まあせっかく紹介されたのですから、入ってみましょう。
お料理「あなぐち」の女将さんがあたたかく迎えてくれました。
趣きのある建物だと思っていたら、佐渡の長者番付にも名を連ねた廻船主 佐藤伊左衛門家の屋敷とのこと。
どうりでやたら広い上、庭付きのお屋敷ですからね。
「穴口さん」という屋号で呼ばれていたそうです。
玄関でびしょ濡れのレインウエアを脱ぎ、ラックで干させてもらいました。
中も素敵に改装されていて素敵じゃないですかぁ。
お好きな席にと言われ、こちらの2人席にしました。
お隣の部屋からはこんな小さな穴が見えました。
女将さんに聞くと、昔は天然の冷蔵庫だったとのこと。
手前左は竈の名残だそうな。
コース料理だけ?とメニューを見るとアラカルトもあり、ホッ。
すっかり体が冷え寒かったので温かいフォーにしましょ。
ちょい飲み白ワインも注文。
電動バイクでしたが、ちょっとですから許してちょ。
右がお水で左が白ワイン。
ねっ、水より少ないちょい飲みでしょ。
佐渡海鮮とチキンのライスヌードル フォー。
フランス料理店で提供されるフォーですから、美味しくないわけがありません。
具だくさんのフォーを食べて、ようやく手先が温かくなりました。
宿根木はたらい舟でも有名で、少し先の矢島・経島と小木、計3ヶ所で乗ることができます。
自転車をレンタルする時、SADO OUTDOOR BASEのスタッフから
せっかく来たんだから全部乗ってみたらどうですか?と勧められましたが、なにせ雨ですから。
あなぐちの女将さんにどこのたらい舟がおススメですか?と聞くと、
絶対宿根木で乗ってください!と。
地元推しですなぁー。
なんでもたらい舟を作っているおじさん自ら櫂を握り漕いでくれるそうな。
今ではたらい舟を作る職人はそのおじさん1人だけなんです、
乗り場に行けば真っ黒い顔したおじさんがいますからと。
女将さんがそこまでおっしゃるなら、あえて宿根木で乗りましょー。
その前にまずは宿根木のまちを散策してからね。
「あなぐち」を出たところには「旧郵便局舎」
大正10年に建てられた宿根木で数少ない洋風建築。
洗い場にも利用していた川。
上流と下流で洗うものを区分けし利用していたそうです。
「三角家」
狭い路地の形状に合わせて三角形に建てられた家。
宿根木と言えばこの建物が思い浮かぶほど。
吉永小百合さんが大人の休日倶楽部のCMで歩いていたところです。
船大工が最大限に土地利用を図った知恵と技が見られ、建物の形から舟形の家とも呼ばれています。
平成18年まで実際に使われていたそうです。
きょうは休館で残念。
「共同井戸」
江戸時代中期頃から人口が増加し、この谷内に収まらず高台へと広がり、そこの居住者たちが利用した井戸。
右の石段の真ん中がすり減っているのは、担い棒で水桶を担ぎ毎日の水汲みをしていたからだそうです。
「宿根木公會堂」
大正10年に建てられた旧公会堂の古材を転用し、昭和33年に建てられた現公会堂。
先程太鼓体験でお世話になった鼓童の公演もこちらで行われ、様々な行事に使用されています。
「腰板」
下の板は千石船造船の残材や、廃船になったものを家屋に利用。
船に使われる板は船喰い虫の被害を防ぐため最大で36mm。
一般家屋にとっては宝のような材だったそうです。
すばらしいリサイクル。
「伊三郎」
明治24年に工事着手された主屋で、建築中に船乗りの親子2代が海難に遭い、未完成のまま使用。
建築から102年後の平成5年に修復が行われたそうです。
2階北側部分がせり出したセガイ造りや名字の石塚の一字を彫透かした軒下飾り。
扇の中に「石」とは粋ですね。
この一角だけ住居がなく、お花畑になっていました。
「清九郎」
廻船2隻を所有した廻船主の家。
広い土間や台所、面取柱、内装の柿渋塗りや漆塗りといった豪華な造りが見られるそうですが。
ここもやってませんでした。
公開されている民家はほぼ休館。
唯一開いていた公開民家「金子屋」
料金300円。
船大工職人の家だそうですが、チラッと覗くと薄暗く誰もいません。
ちょっと怖いので入りませんでした。
最後に階段を上がり、宿根木の集落を上から見てみたい。
階段手前には祠の中にお地蔵さんが。
こんな小さなお地蔵さんに帽子とよだれかけを作り、お花もきちんと供え、宿根木の皆さん大切にされてますね。
階段を上がると車道に出ました。
上から見た集落。
手前左側の屋根は日本海の強風から屋根を守るために石が置かれています。
「木羽葺石置き屋根」と呼ばれ、杉の板張りの上に石が整列。
ぐるっと宿根木の集落を回ったので、それではたらい舟に乗るとしますか。
一時上がっていた雨も再び降り出してきました。
あなぐちの女将さんから雨でもたらい舟はやっていますよと言われた通り、
宿根木海岸に行くと、たらい舟が浮いていました。
女将さんから聞いてた真っ黒い顔したおじさん、いました!
おススメの一番長い所要時間35分 Cコース2,500円にしてみました。
おやっさんが前で櫂を左右に漕ぐと、なぜか少しずつ前に進みます。
宿根木海岸は海底火山から噴き出したマグマのゴツゴツとした岩礁で出来ています。
左にある白い柱は御影石でつくられた船つなぎ石。
岩場の狭い隙間をキーキーと櫂の音を鳴らしながら、上手く抜けていきます。
Cコースなのでそこそこ遠いところまで行き、折り返し。
雨でもかなりの透明度でしたが、おやっさんに言わせるとこんなもんじゃないとのこと。
晴れていたら、海の色も違ったことでしょう。
宿根木ではたらい舟のことを「はんぎり」と呼んでいます。
桶を半分に切ったことから「半切り」なんですって。
ぐるっと回って帰ってきたら、記念撮影のサービス。
傘とライフジャケットは貸してくれました。
真夏だったら水着で乗り込み、はんぎりからドボンと海に飛び込んでみたいッスね。
入れ違いに出ていく2艘のはんぎり。
こちらの船頭さんは2人とも女性でした。
はんぎり職人のおやっさんが船頭さんだったのはラッキーでしたね。
14時も回り、それではそろそろ戻るとしますか。
再び自転車に乗り、小木方向へ。
途中、右折すると次のたらい舟がある矢島・経島へ向かう道がありましたが、ここは立ち寄らず直進で。
小木に着くと、ますます雨足が強くなってきました。
おっ、たらい舟の乗り場を発見。
小木の船頭さんは笠をかぶったおけさ姿で、こっちの方が映えるなぁー。
ちょっと画像じゃわかり難いッスね。
いよいよ上りが始まるところで信号待ちしていたら、右側にこんな建物が。
こちらは登録有形文化財 旧きはちや旅館。
廻船問屋から火事をきっかけに旅館へ転身。
さあ坂を上るよー!
ecoモードからパワー最大のsportモードへ。
道路の脇を走っていると、後ろから来る車に注意しないといけません。
やさしいドライバーは中央線をまたぐほど避けてくれるのですが、
さほど避けてくれないドライバーもいて、まったく気が抜けません。
歩道があれば、そちらを走ります。
斜め掛けのショルダーバッグを担いだままレインジャケットを着たのですが、
隙間から雨が入り、レインパンツの中まで濡れている模様。
サイクリンググローブもびしょ濡れです。
このままホテルまで一気に戻るパワーがありません。
どこかに一時に避難して、休憩したい。
そんな中、閃いたのは行きに立ち寄ったCafe「しまふうみ」
とにかくあそこまでがんばろう!
雨に打たれる中、しまふうみ、しまふうみと唱えながらペダルを踏み続けます。
やっと出て来た「しまふうみ」
着いた・・・。
こんなおしゃれなCafeが避難小屋に見えました。
ぬれねずみの姿で中に入ると、手前にはお客さんが数組いましたが、
奥の部屋には誰もいませんでした。
窓際右のカウンター席にしましょ。
そしてありがたいことにラックにハンガーという渡りに船。
さっそくレインウエアをかけました。
短時間では乾かなくとも、干せるだけでうれしい。
晴れていたらオーシャンビューのオープンテラス席も素敵。
ガトーショコラとコーヒーを頼みました。
キリンのぬいぐるみは先払い時に渡され、回収されずにそのまま居残りでした。
コーヒーカップを両手で包み、まずは手を温めます。
熱いコーヒーが喉を通り沁み渡る~。
ここがなかったら、心が折れていました。
この先ホテルまでの道におしゃれなCafeはなかったですもん。
しまふうみを出ると左手は海。
残りの道はほぼ平坦で、ナビではあと12km、45分と出ました。
よっしゃー!
コーヒーで体も温まり、甘いケーキはエネルギーとなり、元気が出てきましたよ。
ウエスト周りがまだ濡れていましたが、再びレインウエアを着て出発!
雨もようやく止んだ模様。
一度通った道はほぼ覚えているので、帰り道はさほど携帯ナビに頼らずともスイスイ。
ホテルの近くに佐渡総合病院があるので、その大きな建物が遠くからでも目立ち励みになりました。
どんどん近付いてくるのがわかります。
そして16:47、ホテルにゴーーーール!
バッテリー残量は39%。
よかった、0にならなくて。
ここまで降る予報ではなかったのに、自転車もがんばってくれました。
泥だらけの車体を後で拭いてあげましょう。
きょうも1Fの大浴場へ。
冷えた体を海洋深層水のお風呂で温めます。
なんだかんだ言っても、雨が自転車の日でよかったかも。
これが金北山縦走の昨日だったら、もっとめげていたことでしょう。
部屋で缶ビールを飲みながら、外食のお店を探すもめんどくさくなってきました。
昨晩のようにせっかく行っても定休日でもないのにお休みだったらガックリですから。
今夜はホテル1Fのレストラン「味彩」に行ってみましょう。
金曜日だったからでしょうか、かなりの混み具合。
なんとか席に着くことができました。
今宵は佐渡産米使用の日本酒「金鶴」冷や一合にしてみました。
辛口でコク、キレのバランスよいとの説明書き。
うーん、いい感じっス。
おつまみは焼きアスパラ。
茹でじゃないのは珍しく、初めていただきました。
香ばしくておいしーい。
メインはほたて釜めしとお刺身セット。
サラダ、いごねり、香の物、味噌汁付きです。
上の真ん中にあるのが、いごねり。
いごねりってなんじゃあ?
食べてみると、味がありません。
こんにゃくのような見てくれですが、寒天のよう。
お醤油をかけて食べましたが、それが正解なのか?
このいごねりの謎は、翌日の両津港ターミナルで解決するのでした。

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