先週母から『浅草演芸ホール昼の部 無料招待券』をもらったので、きょうは自転車で浅草に向かった。
この券、よく見ると4/1~28まで有効とあるが、そのうち4/11~20及び土日祝日は使用不可と書いてある。
なんだよぉー、上旬と下旬の平日しか見られないじゃないのさぁー。
まあ平日なら余裕で座れるだろうと、11:40開演のところお昼を食べてからゆっくり出かけて13時頃到着。
1階後方の扉を開けると、なんとなんと立ち見客でいっぱい。
立つところもないという有様。2階に上がると1階に輪をかけて満杯状態。
仕方なくまた1階に戻り、とりあえずやっていた曲芸は見ず、外で終わるのを待った。
まさかこんなに混んでいるとはねぇ~。
だって、よく落語会ではマクラで寄席に来て下さいょ~という噺家さんが多く、てっきり空いているもんだとハナから思っていた。
このまま廊下に座っていてもと、曲芸が終わった拍手が聞こえたので、ギューギューの中を強引に入り、扉のすぐ脇で立ち見に加わった。
場内満席の上、左右の立ち見客は高齢者が多く床に座ってしまっていた。
ちょうど出番は鳥越落語会で前に一度聞いたことがある桂平治師匠(サランラップのCMに出ていた噺家さん)。
「初天神」を短いバージョンで客席を大いに沸かせた。
その後は、講談、ピン芸人、マジック、コント、かわいい芸者さんのような俗曲師等、持ち時間1組15分程度で入れ替わり、次々出てくる。
しかし仲入り前まではほとんど座席に座っている人が帰らないので、まったく座れず、後ろの壁を背もたれに、立ちっ放しで2時間弱。
これは毎日スポーツクラブに通っている体でもかなりキツかった。
仲入りが入り、一部の客が帰ったのだが、座ろうと狙っている高齢者を押しのけて座ることもできず…。
よっぽど私もここでもう帰ってしまおうかと思ってしまったくらい、辛かった。
仲入りの時間なんて要らないから、サッサとやってくれよぉーと言いたかった。
また現在の壁にもたれることが出来る場所も、トイレに行ったり飲み物を買いに行ったりでもしたら、他の人に陣取られてしまいそうで、ひたすら同じ場所にじっとしていた。
仲入りが終わるとあと6組。
なんとか昼の部ラストの主任、三遊亭圓遊師匠まで聞き終えた。
結局、3時間30分の立ち見。あ~、疲れた…。
せめて喬太郎師匠でも出ていたら、まだよかったのに。
きょうおもしろかったのは、ピン芸人ぴろき氏の漫談の最中、客が喧嘩をし始めたこと。
ぴろき氏が出てくる前に「消防法により、床には座らないでください。」と場内アナウンスがあったのだが、おかまいなしに客は座り続けていた。
そのことが原因らしく、漫談が始まっているというのに、床に座っている客とその近くで立ち見していた客との諍いが始まり、他の客が一斉に何事が起きた?とそれに注目し始めた。
すると、なんとぴろき氏も芸を止めて、その言い争いを見始めたのだ。
これにはみんな笑った。
ウクレレ漫談が芸のぴろき氏。1つ話し終わるたびに♪明るく陽気に行きましょう~♪と同じフレーズで歌うのだが、さすがにこの時ばかりは♪明るく仲良く行きましょう~♪と歌った。
これまたウケた!さすが芸人さん。こういう修羅場を踏んでいるんだろう。機転が利いてるなぁ~と感心した。
そしてもう一つおもしろかったことが。
三遊亭笑三師匠の出番の時、マクラを話し終わり、いよいよ演目に入った瞬間、新作落語だったせいか、マクラが続いているのか、私もよくわからなかったのだ。
上手方向に「お父さん!お父さん!」と呼び掛けたのだ。
私はまたそっち方向にいる男性のお客さんをいじって笑わせようとしているのか?と思ったのだが、それが噺の始まりだったのだ。
3回目の「お父さん!」で、まったく反対の下手側にいた男性客が、「はいよ~」と返事をしたのだ。
さすがの師匠も「私は40年落語をやっておりますが、お客様と2人で落語をしゃべるのは初めてでございます…」と言った。
私も他のお客さんもこれには大笑い。
新作落語の出だしで、奥さんが旦那に向かって、「お父さん!」と呼び掛ける場面だったのだ。
私はもうおかしくておかしくて、いつまでもツボにハマって笑ってしまった。
きょうは罰ゲームのような長時間立ちっ放しだったけれど、15分間という時間に収まるように落語を1席コンパクトに聞けたので、勉強になった。
勉強になったって、アンタ噺家かい?って感じだけどね。