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アートネタなど日々のあれこれ

朝顔

2016-10-28 00:03:51 | 美術
サントリー美術館で「鈴木其一 江戸琳派の旗手」を見てきました。

不肖わたくし、けっこう長い間、美術館巡りをしてきたつもりですが、鈴木其一のソロ展覧会を見るのは初めてです。琳派の展覧会では何度となく作品を眼にしてきたわけですが・・・。琳派の他のお歴々の方々の影に隠れがちな存在ですが、まとめて見るとどんなことになるんだろう、と興味津々出かけてきました。が、行ったのは、六本木アートナイトの日。500円で見られるのはありがたいのですが、当然、館内は混み混み・・・ということで、人垣の後ろからひょいひょい覗き込む、という鑑賞になってしまいました。とほほほほ・・・。

今回、其一の兄弟子にあたる蠣潭の作品を見られたのも収穫でした。其一の作品でまず眼を惹かれたのが「蓮に蛙図」。可憐です。そして「群鶴図屏風」。スタイリッシュな鶴さん達。若冲の鶴の図をちょっと思い出します。「夏秋渓流図屏風」は清冽な作品。勢い良く流れる水の音が聴こえてきそうな。「猩々舞図」も小品ながら、衣装の赤が眼にも鮮やか。かと思うと、「風神雷神図襖」も。他の御大の風神雷神図と比べて、余白の生かし方、独特の空間感覚が印象的でした。そして、今回最大のお目当ての「朝顔図屏風」。青い花々が織りなすリズム。生の輪舞・・。

そんなわけで駆け足の鑑賞になってしまったわけですが・・・師の抱一が生きていた頃は、渋めかつお上品な作品を描いていた其一が、その死後、はっちゃけたように、鮮やか、かつデザイン的な作品を描き始めたということがよくわかりました。その極みがあの朝顔だったのでしょう。これまで何とはなしに地味な存在と思い続けてきた其一の面白さを知らしめてくれた展覧会でした。
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