7月25日(土)
仙流荘前の駐車場での朝。
午前3時に起床。
きょう登る山は、

▲ 仙丈ケ岳 3033m。昨年9月に登った甲斐駒ケ岳から撮った、対面(といめん)に見えた仙丈の写真だ。
あの稜線がゴツゴツしながら左右に流れる仙丈ケ岳を、遥か向こうに眺めながら
「来年はいくぞ」と決意したものだ。
深田久弥先輩は、「日本百名山」の78仙丈岳の冒頭で、
私の好みで、日本アルプスで好きな山は北では鹿島槍、南では仙丈である。何よりもその姿がよい。単純なピラミッドでもなければ鈍重な容量でもない。その姿に軽薄や遅鈍のないところが好きなのである。スッキリとして品がある。ちょっと見ては気づかないが、しばしば眺めているうちに、次第にそのよさがわかってくるといった山である。
うむー・・ 期待が高まる。

▲ バスは仙流荘前(860m)から5時15分に始発だ。切符を自動販売機から買うだけで、もう長い行列。
昨年の教訓に従って、前日に購入済みなので直接バス乗車列に並ぶ。(万一キャンセルする場合は100エンの手数料だけだから前泊する方は事前購入がお勧め)
バスで1時間弱揺られて、北沢峠(2032m)へ6時過ぎに到着。スーパー林道のおかげで1132mも標高を稼いでしまう。深田先輩の時はバス林道は無かったはずで、草葉の陰でラクチン化を嘆いておられようぞ(笑)。

▲ さて山行ルートを確認しよう。ここ北沢峠から左下の仙丈ケ岳へ登るには、馬の背ヒュッテ経由の逆時計回りと、小仙丈ヶ岳経由の時計回りルートの二つがある。バスから降りた人を見ていると皆さん、小仙丈ケ岳経由だ。
ボクのガイドブックは馬の背ヒュッテ経由だ。迷ったが、ガイドブックどおりに行くか。
このコースは、先ず大平山荘(おおだいらさんそう)まで100mほど下る。もったいないと思うが、逆コースであれば最後に登るわけで、その方が大変だから、まいいか。

▲ しばらくは樹林帯の中を歩いていく。登山口から急登というケースが多いが、緩やかな斜面がかなり続き、準備運動もろくにせずに登攀開始したボクには具合が良かった。

▲ このコースは藪沢(やぶさわ)と呼ばれる川に沿って登るコースだ。川はまだ雪渓になっている。融けるのだろうか?
この辺りから道の横には、高山植物が見られる。
では始めよう。名も知らねど花シリーズを。

▲ この紫と黄色の小さな花は、あちこちにずっと散見される。

▲ この黄色の花は背丈があり、数か所に群生している。

▲ 藪沢の雪渓も雪が無くなった。滝が流れ落ちる個所もあった。
後ろを振り向くと・・
おお、出てきた!

▲ 山の切れ間に、あの白い山、甲斐駒ケ岳が。
今回は、逆に駒ケ岳が仙丈の対面に常にその存在をアピールすることになる。
また、名も知らねど花シリーズ;

▲ 花もソックスも可愛いいね。 線香花火みたいな白い花はよく他の山でも見るね。

▲ 大柄の黄色い花。 なんか有名な名前がつきそうな紫の花。

▲ 馬の背ヒュッテに到着。ここでひと休み。
馬の背ヒュッテから、ダケカンバの樹林帯をもう一登りすると、
馬の背の稜線に出ようとするとき、木立の間に
あっ、見えてきたよ、

▲ あれは、南アの貴婦人、南アの女王ではないだろうか・・・
足が早まる、胸が高まる。

▲ 稜線に立つと、貴婦人は、突然その姿を現した!
WAO!
峻厳さを保ちつつ横に広げる、ナイフのような切れ先の稜線。
内に思いを秘めたようなカール。
手前に大きくゆったりと広げて示す緑の裾野。
おお、女王様!
もっと、おそばに寄らせてくださいっ、と我は駆け寄った。

▲ うむむー・・・
いいね・・・ これ見て感動しない人がいたら、教えてほしい。
女王陛下、バンザイ!! (それは言い過ぎだよ)
もっと、胸の内に飛び込ませてください! (それも語弊あるよ)

▲ ここは藪沢カールだ。
藪沢のカールへ下ろう。その底にあたる所に石室がある。そこまでおりて振返った時、なるほどこれが圏谷(けんこく)というものか、とふたたび分明に認識するであろう。
今は石室はない。石室の代わりに仙丈小屋が建つ。石室同様に避難小屋として機能してきた同小屋は、近年改築され、太陽光や風力発電装置を備えたIT山小屋になっている。ここからは、風力プロペラが見える。
蛇足ではあるが、これからどう登るかを示してみた。
(要クリック)
目の前にはこの藪沢カールがあるが、背後を振り返ると、

▲ 北アルプスの連なりも(あれが槍ヶ岳、乗鞍・・と教えてもらって)この日は見えたが、まあこの日はあまり関心がない。南アルプスの女王様の前ではどうでもいい、という気持ちだった。
お花たち、


仙丈小屋まで登ってきた。

▲ 再度、ひと休み。
向こうに見えるは、北アルプスの連なり。
よし、頂上はもう一息だ。

▲ 頂上へ登る道すがら見下ろした仙丈小屋。
小屋の屋根は、太陽光パネルで覆われている。
向こうのごっつい山は、そう甲斐駒ケ岳。
最後の一登りは、急できついことが多いが、ここはそれほどでもなかったかな。
女王様の胸は優しい。

▲ 頂上が見えてきた。

▲ 登頂。仙丈ケ岳 3033m。
北沢峠を出発して、4時間15分ほどか。コースタイムも4時間だから上出来だ。
3000m超の山は、2012年9月の御嶽山 3067m 以来の2回目。しかし実質高低差は1000mだけだから、これなら、これくらいキミ・・(笑)。
達成感で笑みがこぼれる。
ここは、360度のパノラマ。
空はすっきりブルースカイではないけれど、見通しは非常に良かった。

▲ そして、フジヤーマも見えた!
黒い山になってだけれど。その手前で右の山が富士山に次いで高い北岳 3192mだ。
まだこの時は、北岳に連なって右隣に標高第3位の山があることまでは、不肖Soraは知らなかった。

▲ 富士山、北岳から左に視線を移動すると、はい、甲斐駒ケ岳2967mですよね。
この甲斐駒ケ岳から更に視線を左に移動すると、

▲ 赤丸の山が、鋸岳(のこぎりだけ)2685m。
仙流荘前駐車場から、垣間見られた山は甲斐駒ケ岳では無くて、このギザギザ山容の鋸岳だった。
ちなみに、鋸岳の後背に横に黒く広がる山が八ヶ岳連峰だ。
右手に尖がっている山が主峰の赤岳2899m、左端に蓼科山2530mが見える。
八ヶ岳連峰の中央で背後にぽこっと台形状に見えるのが、浅間山だよ。
そしてこれが、

▲ 山のお供には助六すしパック。昨日、往路で三つほどコンビニを巡って、やっと調達したもの。
幕の内弁当風のものは、硬くなって美味くないことを知っている。(そりゃ賞味期限が切れるからだよ)
隣りで、食べていたにーさんに話しかけると、なんとその学生さんは、わたくしと同じ市制区内に住んでいた。その学生さんが、第3位の間ノ岳とか、鳳凰三山も教えてくれた。去年11月に山登りを始めたばかりだというのによく知っている。来週は、燧ケ岳に登る予定だと。「じゃあ、”尾瀬燧ケ岳登山”でグーグル検索してごらん。ボクの山行記事がトップに出てくるからね」と胸を張って言った。「ボカぁ、来週はその対面の会津駒ケ岳に行ってるけどね」(実際は風邪で寝込んでしまった・笑)
あの学生さん燧ケ岳を今日登っているかな?
1時間弱、女王様の頂きにとどまっていた。
さあ下山しよう。

▲ 今度は小仙丈ヶ岳を通るコースで下山だ。
トップを振り返る。
どうだろう、また来れるかな。

▲ 仙丈小屋、藪沢カールを見下ろす。
いいねー。このカールの曲線は。
向こうの山並みの、地球の丸さとかもしだす曲線のハーモニーだ。
稜線上の南方向は、この三つの山が重なって見えるゴールデンアングル。

▲ 我が国標高ベスト3マウンテンの、そろい踏みだ。
第1位 富士山 3776m
第2位 北岳 3192m
第3位 間ノ岳(あいのだけ)3190m
特に、間ノ岳は昨年4月の国土地理院の再計測で、標高が3189mから3190mと1m高くなり、奥穂高岳と同率3位へ浮上したものだ。
こういうのをドングリの背比べというのだろうが(笑)。
前方で登山者が停まっていた。
前方の甲斐駒ケ岳に見とれているのかと思いきや、

▲ 「雷鳥がいるんですよ、ホラあそこに」

▲ 親鳥1羽と、子供が2羽いた。
子供はチョコチョコとあちこちへ動き回り、親鳥が見守っていた。
そのうち、斜面の上の方へ移動していった。
これから200m下ったところで、周りにだれもいなくてボクが一人で歩いている時、「ホヨ、ホヨ」と聞きなれない鳴き声がした。見回してみたら、またそこにも親鳥1羽、子供2羽の雷鳥が動き回っていた。
雷鳥よ、永遠なれ。 (確か、故郷福井県の県鳥だったな)

▲ 藪沢カールの稜線を半周して、北東へ緩く下っていく。
振り返ってみると、右手に山頂の登山者がけしつぶのようにまだ見える。
更に、小仙丈尾根を下り続けて、振り返ってみると、

▲ 右手には藪沢カールの一部が見える。左手に(北岳側)小仙丈カールの全容が見えてきた。
この風景は、甲斐駒ケ岳から見た仙丈の山並みではないだろうか。
もう一度冒頭の昨年の写真をズームしてみよう。

▲ この丸印の所を、今振り返って見ているのではないか。
小仙丈経由で登って、最初にこの稜線の美しさを見上げながら登るのが良いのか、
馬の背経由で登って、最初にあの藪沢カールが目に飛び込んでくる驚きが良いのか。
ボクは後者だな。
なおも下って、小仙丈ヶ岳 2855mへ来た。

▲ 小仙丈ヶ岳。
ここからは、ザラザラした岩礫の稜線を下っていくと樹林帯に入った。
そのあとは黙々と、木々の中を(田中陽希ばり)にストックを2本使って、膝に衝撃を与えないようにして尾根を降り切った。
北沢峠には、14時半ごろに無事到着。
峠を出てから8時間強かかっていた。

▲ 運よく、出発間際のバスに乗れた。
(去年は、3時頃に甲斐駒ケ岳より戻ったが、3連休の中日だったからかバスに乗れるのに1時間以上待ったからね)
また、1時間バスに揺られて仙流荘前バス停に戻ったのが、15時半頃。
クルマの中のエアコンを稼働させて、まず珈琲を淹れて一息いれる。
疲れてはいるが、特段痛みを感じる個所はないようだ。
良かった、
良かったよ。
風呂へ行こう。
仙流荘では、日帰り温泉もやっている。
その名も仙人の湯。

▲ 昨日に続いてゆったりと仙人の気持ちになって、湯上りスタイルで出てきましたよ。
駐車場には、さすがに今日土曜は駐車している台数も多い。

▲ 今日は? もちろん仙人は急いで帰ったりしない。
ゆっくり、今晩もここで車中泊だ。
明日は?
明日、考えよう。
関連記事: 「白い山・甲斐駒ケ岳に登る」 2014.9.14
仙流荘前の駐車場での朝。
午前3時に起床。
きょう登る山は、

▲ 仙丈ケ岳 3033m。昨年9月に登った甲斐駒ケ岳から撮った、対面(といめん)に見えた仙丈の写真だ。
あの稜線がゴツゴツしながら左右に流れる仙丈ケ岳を、遥か向こうに眺めながら
「来年はいくぞ」と決意したものだ。
深田久弥先輩は、「日本百名山」の78仙丈岳の冒頭で、

うむー・・ 期待が高まる。

▲ バスは仙流荘前(860m)から5時15分に始発だ。切符を自動販売機から買うだけで、もう長い行列。
昨年の教訓に従って、前日に購入済みなので直接バス乗車列に並ぶ。(万一キャンセルする場合は100エンの手数料だけだから前泊する方は事前購入がお勧め)
バスで1時間弱揺られて、北沢峠(2032m)へ6時過ぎに到着。スーパー林道のおかげで1132mも標高を稼いでしまう。深田先輩の時はバス林道は無かったはずで、草葉の陰でラクチン化を嘆いておられようぞ(笑)。

▲ さて山行ルートを確認しよう。ここ北沢峠から左下の仙丈ケ岳へ登るには、馬の背ヒュッテ経由の逆時計回りと、小仙丈ヶ岳経由の時計回りルートの二つがある。バスから降りた人を見ていると皆さん、小仙丈ケ岳経由だ。
ボクのガイドブックは馬の背ヒュッテ経由だ。迷ったが、ガイドブックどおりに行くか。
このコースは、先ず大平山荘(おおだいらさんそう)まで100mほど下る。もったいないと思うが、逆コースであれば最後に登るわけで、その方が大変だから、まいいか。

▲ しばらくは樹林帯の中を歩いていく。登山口から急登というケースが多いが、緩やかな斜面がかなり続き、準備運動もろくにせずに登攀開始したボクには具合が良かった。

▲ このコースは藪沢(やぶさわ)と呼ばれる川に沿って登るコースだ。川はまだ雪渓になっている。融けるのだろうか?
この辺りから道の横には、高山植物が見られる。
では始めよう。名も知らねど花シリーズを。

▲ この紫と黄色の小さな花は、あちこちにずっと散見される。

▲ この黄色の花は背丈があり、数か所に群生している。

▲ 藪沢の雪渓も雪が無くなった。滝が流れ落ちる個所もあった。
後ろを振り向くと・・
おお、出てきた!

▲ 山の切れ間に、あの白い山、甲斐駒ケ岳が。
今回は、逆に駒ケ岳が仙丈の対面に常にその存在をアピールすることになる。
また、名も知らねど花シリーズ;

▲ 花もソックスも可愛いいね。 線香花火みたいな白い花はよく他の山でも見るね。

▲ 大柄の黄色い花。 なんか有名な名前がつきそうな紫の花。

▲ 馬の背ヒュッテに到着。ここでひと休み。
馬の背ヒュッテから、ダケカンバの樹林帯をもう一登りすると、
馬の背の稜線に出ようとするとき、木立の間に
あっ、見えてきたよ、

▲ あれは、南アの貴婦人、南アの女王ではないだろうか・・・
足が早まる、胸が高まる。

▲ 稜線に立つと、貴婦人は、突然その姿を現した!
WAO!
峻厳さを保ちつつ横に広げる、ナイフのような切れ先の稜線。
内に思いを秘めたようなカール。
手前に大きくゆったりと広げて示す緑の裾野。
おお、女王様!
もっと、おそばに寄らせてくださいっ、と我は駆け寄った。

▲ うむむー・・・
いいね・・・ これ見て感動しない人がいたら、教えてほしい。
女王陛下、バンザイ!! (それは言い過ぎだよ)
もっと、胸の内に飛び込ませてください! (それも語弊あるよ)

▲ ここは藪沢カールだ。

今は石室はない。石室の代わりに仙丈小屋が建つ。石室同様に避難小屋として機能してきた同小屋は、近年改築され、太陽光や風力発電装置を備えたIT山小屋になっている。ここからは、風力プロペラが見える。
蛇足ではあるが、これからどう登るかを示してみた。

目の前にはこの藪沢カールがあるが、背後を振り返ると、

▲ 北アルプスの連なりも(あれが槍ヶ岳、乗鞍・・と教えてもらって)この日は見えたが、まあこの日はあまり関心がない。南アルプスの女王様の前ではどうでもいい、という気持ちだった。
お花たち、


仙丈小屋まで登ってきた。

▲ 再度、ひと休み。
向こうに見えるは、北アルプスの連なり。
よし、頂上はもう一息だ。

▲ 頂上へ登る道すがら見下ろした仙丈小屋。
小屋の屋根は、太陽光パネルで覆われている。
向こうのごっつい山は、そう甲斐駒ケ岳。
最後の一登りは、急できついことが多いが、ここはそれほどでもなかったかな。
女王様の胸は優しい。

▲ 頂上が見えてきた。

▲ 登頂。仙丈ケ岳 3033m。
北沢峠を出発して、4時間15分ほどか。コースタイムも4時間だから上出来だ。
3000m超の山は、2012年9月の御嶽山 3067m 以来の2回目。しかし実質高低差は1000mだけだから、これなら、これくらいキミ・・(笑)。
達成感で笑みがこぼれる。
ここは、360度のパノラマ。
空はすっきりブルースカイではないけれど、見通しは非常に良かった。

▲ そして、フジヤーマも見えた!
黒い山になってだけれど。その手前で右の山が富士山に次いで高い北岳 3192mだ。
まだこの時は、北岳に連なって右隣に標高第3位の山があることまでは、不肖Soraは知らなかった。

▲ 富士山、北岳から左に視線を移動すると、はい、甲斐駒ケ岳2967mですよね。
この甲斐駒ケ岳から更に視線を左に移動すると、

▲ 赤丸の山が、鋸岳(のこぎりだけ)2685m。
仙流荘前駐車場から、垣間見られた山は甲斐駒ケ岳では無くて、このギザギザ山容の鋸岳だった。
ちなみに、鋸岳の後背に横に黒く広がる山が八ヶ岳連峰だ。
右手に尖がっている山が主峰の赤岳2899m、左端に蓼科山2530mが見える。
八ヶ岳連峰の中央で背後にぽこっと台形状に見えるのが、浅間山だよ。
そしてこれが、

▲ 山のお供には助六すしパック。昨日、往路で三つほどコンビニを巡って、やっと調達したもの。
幕の内弁当風のものは、硬くなって美味くないことを知っている。(そりゃ賞味期限が切れるからだよ)
隣りで、食べていたにーさんに話しかけると、なんとその学生さんは、わたくしと同じ市制区内に住んでいた。その学生さんが、第3位の間ノ岳とか、鳳凰三山も教えてくれた。去年11月に山登りを始めたばかりだというのによく知っている。来週は、燧ケ岳に登る予定だと。「じゃあ、”尾瀬燧ケ岳登山”でグーグル検索してごらん。ボクの山行記事がトップに出てくるからね」と胸を張って言った。「ボカぁ、来週はその対面の会津駒ケ岳に行ってるけどね」(実際は風邪で寝込んでしまった・笑)
あの学生さん燧ケ岳を今日登っているかな?
1時間弱、女王様の頂きにとどまっていた。
さあ下山しよう。

▲ 今度は小仙丈ヶ岳を通るコースで下山だ。
トップを振り返る。
どうだろう、また来れるかな。

▲ 仙丈小屋、藪沢カールを見下ろす。
いいねー。このカールの曲線は。
向こうの山並みの、地球の丸さとかもしだす曲線のハーモニーだ。
稜線上の南方向は、この三つの山が重なって見えるゴールデンアングル。

▲ 我が国標高ベスト3マウンテンの、そろい踏みだ。
第1位 富士山 3776m
第2位 北岳 3192m
第3位 間ノ岳(あいのだけ)3190m
特に、間ノ岳は昨年4月の国土地理院の再計測で、標高が3189mから3190mと1m高くなり、奥穂高岳と同率3位へ浮上したものだ。
こういうのをドングリの背比べというのだろうが(笑)。
前方で登山者が停まっていた。
前方の甲斐駒ケ岳に見とれているのかと思いきや、

▲ 「雷鳥がいるんですよ、ホラあそこに」

▲ 親鳥1羽と、子供が2羽いた。
子供はチョコチョコとあちこちへ動き回り、親鳥が見守っていた。
そのうち、斜面の上の方へ移動していった。
これから200m下ったところで、周りにだれもいなくてボクが一人で歩いている時、「ホヨ、ホヨ」と聞きなれない鳴き声がした。見回してみたら、またそこにも親鳥1羽、子供2羽の雷鳥が動き回っていた。
雷鳥よ、永遠なれ。 (確か、故郷福井県の県鳥だったな)

▲ 藪沢カールの稜線を半周して、北東へ緩く下っていく。
振り返ってみると、右手に山頂の登山者がけしつぶのようにまだ見える。
更に、小仙丈尾根を下り続けて、振り返ってみると、

▲ 右手には藪沢カールの一部が見える。左手に(北岳側)小仙丈カールの全容が見えてきた。
この風景は、甲斐駒ケ岳から見た仙丈の山並みではないだろうか。
もう一度冒頭の昨年の写真をズームしてみよう。

▲ この丸印の所を、今振り返って見ているのではないか。
小仙丈経由で登って、最初にこの稜線の美しさを見上げながら登るのが良いのか、
馬の背経由で登って、最初にあの藪沢カールが目に飛び込んでくる驚きが良いのか。
ボクは後者だな。
なおも下って、小仙丈ヶ岳 2855mへ来た。

▲ 小仙丈ヶ岳。
ここからは、ザラザラした岩礫の稜線を下っていくと樹林帯に入った。
そのあとは黙々と、木々の中を(田中陽希ばり)にストックを2本使って、膝に衝撃を与えないようにして尾根を降り切った。
北沢峠には、14時半ごろに無事到着。
峠を出てから8時間強かかっていた。

▲ 運よく、出発間際のバスに乗れた。
(去年は、3時頃に甲斐駒ケ岳より戻ったが、3連休の中日だったからかバスに乗れるのに1時間以上待ったからね)
また、1時間バスに揺られて仙流荘前バス停に戻ったのが、15時半頃。
クルマの中のエアコンを稼働させて、まず珈琲を淹れて一息いれる。
疲れてはいるが、特段痛みを感じる個所はないようだ。
良かった、
良かったよ。
風呂へ行こう。
仙流荘では、日帰り温泉もやっている。
その名も仙人の湯。

▲ 昨日に続いてゆったりと仙人の気持ちになって、湯上りスタイルで出てきましたよ。
駐車場には、さすがに今日土曜は駐車している台数も多い。

▲ 今日は? もちろん仙人は急いで帰ったりしない。
ゆっくり、今晩もここで車中泊だ。
明日は?
明日、考えよう。
関連記事: 「白い山・甲斐駒ケ岳に登る」 2014.9.14
ありがとうございます。欲を言えばカメラ的には、夏の青い空をいただいた藪沢カールが欲しかったのですが。こればかりは、その時の運ですから。
三日連続で、中央、南アのメジャーな山に登られたのですね。そりゃあ、奥様も音を上げますよ。木曽駒は混雑ケーブルで登りましたが、あそこの千畳敷カールも見ごたえありますね。きわめて緑のアルペンチックですし。ただ背後の宝剣岳には登ってませんので、これは必ず再訪する予定です。。
>詳細に記録した山紀行文には・・
ありがとうございます。はい、深田久弥の高校の後輩でもありますし、見てきたような文を残そうと努めてます(^^)。
最高に、綺麗ですね。
我が家では、日帰りは絶対に無理です。
(私が登るのが遅いと思うので・・)
山もいいなあ・・・。
とても、行きたくなりました。
なるべく、高い所までキャンカーで行けて 楽に登れて眺めの良い所・・・。
山登りではなく、トレッキングでもいいな。
私が思いつくのは、美ヶ原ぐらいかな・・。
すみません、ありがとうございます。この山に行く前にクーラーでのどをやられて、帰ってから咳も出始めて、少し生活のペースダウンをしていたこともあって、アップが遅れました。
ハラさんは、暑いですが元気そうですね。リスみたいにキャンカーの屋根に上ってBSアンテナを付けたりして(笑)。
美ヶ原は、今の時期いいいですよね。標高2000mですから車中泊も涼しいと思います。牧場の方のトレッキングは、天気ですよね。晴れはこの時期3日に1日しかないと、王ヶ頭ホテルの方が言ってましたから。けど、ハラさんなら日を選べるからいいじゃないですか。
もう一つの高原・移動別荘地候補見つけましたから。この仙丈登山の翌日行ったところです。
まずは、天候が良かった事がなによりですね。3,000mの山はこれでなくっちゃ
私も過去の記録を探すとちょうど20年前の9/1でした。百名山39座目。
感想は、がむしゃらに登っていたので、花の名前も山座同定も全く出来ずのピークハンターでした。
そういう意味では、山ノボラーSoraさんは、
しっかり山の情緒を堪能されておられ、すばらしい紀行文と写真だなと拝見しました。
特に山ガールの足首を入れて取られるとは、
山登りに一石を投じる革命だと思います。
仙丈ヶ岳はカールの曲線が山容美を造る山。
中段の地球が丸いと表現された写真が気に入りました。
鋸岳から眺めた甲斐駒・富士山・北岳・仙丈ヶ岳・間ノ岳を想い出しました。
さて次の100名山は八ヶ岳でしょうか。
私、恥ずかしがりやでしょ、前に山ガールが歩いていると、つい視線を落としたままになってしまうのです。錫杖さんみたいに上目づかいで正視したいと思うのですが・・(笑)。
カールの全体がかもしだす曲線美、いいですよねー。
岩稜の鋸岳から見据えていたのですか。足場が怖そうで、そんなところ行けないですね。
次の100名山は、本文でも洩らしましたように、会津駒ですね。ほんとは昨日登っている予定でしたが、夏風邪で自宅待機を余儀なくされて、とほほ。
でも、写真を拝見していますと、花も緑も綺麗で、素敵ですね。
僕はリフト無しでは山は登りませんが、Soraさんのブログで登った気分を味わわせて頂いています♪
今の時期、仰る通り花と緑がきれいですね。山だって確かに暑いですが、それは観念すれば、たいして苦じゃないような気がします。
リフト無いですから、私のもう登った気になっていただければうれしいです。
花の名前ね・・。他に執着することが多くて、花の名前まで調べあげたら、アタマおかしくなりますよね。ま、自然体で行きましょう。