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青い空とわたし

青い空の日  白い雲の帆船をみていると

どこかへ どこまでも Harmonyと

走っていきたくなります

間近に見た夏の仙丈ケ岳は

2015年08月01日 15時29分21秒 | 同上 (山歩き)
7月25日(土)

仙流荘前の駐車場での朝。
午前3時に起床。
きょう登る山は、



▲ 仙丈ケ岳 3033m。昨年9月に登った甲斐駒ケ岳から撮った、対面(といめん)に見えた仙丈の写真だ。

あの稜線がゴツゴツしながら左右に流れる仙丈ケ岳を、遥か向こうに眺めながら
「来年はいくぞ」と決意したものだ。

深田久弥先輩は、「日本百名山」の78仙丈岳の冒頭で、

 私の好みで、日本アルプスで好きな山は北では鹿島槍、南では仙丈である。何よりもその姿がよい。単純なピラミッドでもなければ鈍重な容量でもない。その姿に軽薄や遅鈍のないところが好きなのである。スッキリとして品がある。ちょっと見ては気づかないが、しばしば眺めているうちに、次第にそのよさがわかってくるといった山である。

うむー・・ 期待が高まる。




▲ バスは仙流荘前(860m)から5時15分に始発だ。切符を自動販売機から買うだけで、もう長い行列。
昨年の教訓に従って、前日に購入済みなので直接バス乗車列に並ぶ。(万一キャンセルする場合は100エンの手数料だけだから前泊する方は事前購入がお勧め)

バスで1時間弱揺られて、北沢峠(2032m)へ6時過ぎに到着。スーパー林道のおかげで1132mも標高を稼いでしまう。深田先輩の時はバス林道は無かったはずで、草葉の陰でラクチン化を嘆いておられようぞ(笑)。




▲ さて山行ルートを確認しよう。ここ北沢峠から左下の仙丈ケ岳へ登るには、馬の背ヒュッテ経由の逆時計回りと、小仙丈ヶ岳経由の時計回りルートの二つがある。バスから降りた人を見ていると皆さん、小仙丈ケ岳経由だ。
ボクのガイドブックは馬の背ヒュッテ経由だ。迷ったが、ガイドブックどおりに行くか。

このコースは、先ず大平山荘(おおだいらさんそう)まで100mほど下る。もったいないと思うが、逆コースであれば最後に登るわけで、その方が大変だから、まいいか。



▲ しばらくは樹林帯の中を歩いていく。登山口から急登というケースが多いが、緩やかな斜面がかなり続き、準備運動もろくにせずに登攀開始したボクには具合が良かった。




▲ このコースは藪沢(やぶさわ)と呼ばれる川に沿って登るコースだ。川はまだ雪渓になっている。融けるのだろうか?

この辺りから道の横には、高山植物が見られる。
では始めよう。名も知らねど花シリーズを。



▲ この紫と黄色の小さな花は、あちこちにずっと散見される。



▲ この黄色の花は背丈があり、数か所に群生している。





▲ 藪沢の雪渓も雪が無くなった。滝が流れ落ちる個所もあった。

後ろを振り向くと・・
おお、出てきた!



▲ 山の切れ間に、あの白い山、甲斐駒ケ岳が。

今回は、逆に駒ケ岳が仙丈の対面に常にその存在をアピールすることになる。


また、名も知らねど花シリーズ;

▲ 花もソックスも可愛いいね。 線香花火みたいな白い花はよく他の山でも見るね。



▲ 大柄の黄色い花。 なんか有名な名前がつきそうな紫の花。




▲ 馬の背ヒュッテに到着。ここでひと休み。


馬の背ヒュッテから、ダケカンバの樹林帯をもう一登りすると、
馬の背の稜線に出ようとするとき、木立の間に
あっ、見えてきたよ、



▲ あれは、南アの貴婦人、南アの女王ではないだろうか・・・

足が早まる、胸が高まる。




▲ 稜線に立つと、貴婦人は、突然その姿を現した!

WAO! 

峻厳さを保ちつつ横に広げる、ナイフのような切れ先の稜線。
内に思いを秘めたようなカール。
手前に大きくゆったりと広げて示す緑の裾野。

おお、女王様!

もっと、おそばに寄らせてくださいっ、と我は駆け寄った。




▲ うむむー・・・

いいね・・・ これ見て感動しない人がいたら、教えてほしい。

女王陛下、バンザイ!! (それは言い過ぎだよ)

もっと、胸の内に飛び込ませてください! (それも語弊あるよ)




▲ ここは藪沢カールだ。

 藪沢のカールへ下ろう。その底にあたる所に石室がある。そこまでおりて振返った時、なるほどこれが圏谷(けんこく)というものか、とふたたび分明に認識するであろう。


今は石室はない。石室の代わりに仙丈小屋が建つ。石室同様に避難小屋として機能してきた同小屋は、近年改築され、太陽光や風力発電装置を備えたIT山小屋になっている。ここからは、風力プロペラが見える。

蛇足ではあるが、これからどう登るかを示してみた。

 (要クリック)


目の前にはこの藪沢カールがあるが、背後を振り返ると、



▲ 北アルプスの連なりも(あれが槍ヶ岳、乗鞍・・と教えてもらって)この日は見えたが、まあこの日はあまり関心がない。南アルプスの女王様の前ではどうでもいい、という気持ちだった。


お花たち、





仙丈小屋まで登ってきた。



▲ 再度、ひと休み。

向こうに見えるは、北アルプスの連なり。

よし、頂上はもう一息だ。



▲ 頂上へ登る道すがら見下ろした仙丈小屋。

小屋の屋根は、太陽光パネルで覆われている。
向こうのごっつい山は、そう甲斐駒ケ岳。


最後の一登りは、急できついことが多いが、ここはそれほどでもなかったかな。
女王様の胸は優しい。



▲ 頂上が見えてきた。




▲ 登頂。仙丈ケ岳 3033m

北沢峠を出発して、4時間15分ほどか。コースタイムも4時間だから上出来だ。

3000m超の山は、2012年9月の御嶽山 3067m 以来の2回目。しかし実質高低差は1000mだけだから、これなら、これくらいキミ・・(笑)。
達成感で笑みがこぼれる。


ここは、360度のパノラマ。
空はすっきりブルースカイではないけれど、見通しは非常に良かった。



▲ そして、フジヤーマも見えた!

黒い山になってだけれど。その手前で右の山が富士山に次いで高い北岳 3192mだ。

まだこの時は、北岳に連なって右隣に標高第3位の山があることまでは、不肖Soraは知らなかった。




▲ 富士山、北岳から左に視線を移動すると、はい、甲斐駒ケ岳2967mですよね。

この甲斐駒ケ岳から更に視線を左に移動すると、



▲ 赤丸の山が、鋸岳(のこぎりだけ)2685m。
仙流荘前駐車場から、垣間見られた山は甲斐駒ケ岳では無くて、このギザギザ山容の鋸岳だった。

ちなみに、鋸岳の後背に横に黒く広がる山が八ヶ岳連峰だ。
右手に尖がっている山が主峰の赤岳2899m、左端に蓼科山2530mが見える。

八ヶ岳連峰の中央で背後にぽこっと台形状に見えるのが、浅間山だよ。



そしてこれが、


▲ 山のお供には助六すしパック。昨日、往路で三つほどコンビニを巡って、やっと調達したもの。
幕の内弁当風のものは、硬くなって美味くないことを知っている。(そりゃ賞味期限が切れるからだよ)

隣りで、食べていたにーさんに話しかけると、なんとその学生さんは、わたくしと同じ市制区内に住んでいた。その学生さんが、第3位の間ノ岳とか、鳳凰三山も教えてくれた。去年11月に山登りを始めたばかりだというのによく知っている。来週は、燧ケ岳に登る予定だと。「じゃあ、”尾瀬燧ケ岳登山”でグーグル検索してごらん。ボクの山行記事がトップに出てくるからね」と胸を張って言った。「ボカぁ、来週はその対面の会津駒ケ岳に行ってるけどね」(実際は風邪で寝込んでしまった・笑) 
あの学生さん燧ケ岳を今日登っているかな?


1時間弱、女王様の頂きにとどまっていた。
さあ下山しよう。




▲ 今度は小仙丈ヶ岳を通るコースで下山だ。

トップを振り返る。
どうだろう、また来れるかな。




▲ 仙丈小屋、藪沢カールを見下ろす。

いいねー。このカールの曲線は。
向こうの山並みの、地球の丸さとかもしだす曲線のハーモニーだ。



稜線上の南方向は、この三つの山が重なって見えるゴールデンアングル。



▲ 我が国標高ベスト3マウンテンの、そろい踏みだ。

第1位 富士山 3776m
第2位 北岳  3192m
第3位 間ノ岳(あいのだけ)3190m

特に、間ノ岳は昨年4月の国土地理院の再計測で、標高が3189mから3190mと1m高くなり、奥穂高岳と同率3位へ浮上したものだ。
こういうのをドングリの背比べというのだろうが(笑)。



前方で登山者が停まっていた。
前方の甲斐駒ケ岳に見とれているのかと思いきや、



▲ 「雷鳥がいるんですよ、ホラあそこに」




▲ 親鳥1羽と、子供が2羽いた。

子供はチョコチョコとあちこちへ動き回り、親鳥が見守っていた。
そのうち、斜面の上の方へ移動していった。

これから200m下ったところで、周りにだれもいなくてボクが一人で歩いている時、「ホヨ、ホヨ」と聞きなれない鳴き声がした。見回してみたら、またそこにも親鳥1羽、子供2羽の雷鳥が動き回っていた。

雷鳥よ、永遠なれ。 (確か、故郷福井県の県鳥だったな)





▲ 藪沢カールの稜線を半周して、北東へ緩く下っていく。

振り返ってみると、右手に山頂の登山者がけしつぶのようにまだ見える。


更に、小仙丈尾根を下り続けて、振り返ってみると、



▲ 右手には藪沢カールの一部が見える。左手に(北岳側)小仙丈カールの全容が見えてきた。

この風景は、甲斐駒ケ岳から見た仙丈の山並みではないだろうか。
もう一度冒頭の昨年の写真をズームしてみよう。



▲ この丸印の所を、今振り返って見ているのではないか。

小仙丈経由で登って、最初にこの稜線の美しさを見上げながら登るのが良いのか、
馬の背経由で登って、最初にあの藪沢カールが目に飛び込んでくる驚きが良いのか。

ボクは後者だな。


なおも下って、小仙丈ヶ岳 2855mへ来た。



▲ 小仙丈ヶ岳。

ここからは、ザラザラした岩礫の稜線を下っていくと樹林帯に入った。
そのあとは黙々と、木々の中を(田中陽希ばり)にストックを2本使って、膝に衝撃を与えないようにして尾根を降り切った。

北沢峠には、14時半ごろに無事到着。
峠を出てから8時間強かかっていた。




▲ 運よく、出発間際のバスに乗れた。
(去年は、3時頃に甲斐駒ケ岳より戻ったが、3連休の中日だったからかバスに乗れるのに1時間以上待ったからね)

また、1時間バスに揺られて仙流荘前バス停に戻ったのが、15時半頃

クルマの中のエアコンを稼働させて、まず珈琲を淹れて一息いれる。

疲れてはいるが、特段痛みを感じる個所はないようだ。
良かった、
良かったよ。

風呂へ行こう。
仙流荘では、日帰り温泉もやっている。
その名も仙人の湯



▲ 昨日に続いてゆったりと仙人の気持ちになって、湯上りスタイルで出てきましたよ。



駐車場には、さすがに今日土曜は駐車している台数も多い。



▲ 今日は? もちろん仙人は急いで帰ったりしない。

ゆっくり、今晩もここで車中泊だ。
明日は?
明日、考えよう。


関連記事: 「白い山・甲斐駒ケ岳に登る」 2014.9.14


10 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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好天気に恵まれて (白神仙人)
2015-08-01 20:33:33
良かったですね天気に恵まれて素晴らしい仙丈ヶ岳の稜線歩きを堪能されて我がことのように思える前年には甲斐駒にも登られていたのです。その日も好天に恵まれて羨ましい・・・仙人夫婦は、前日に甲斐駒に登った時は雨の天気で次の日の仙丈ヶ岳登山は好天でした。思い出に残る山旅のコースですね・・・私たちは下山した次の日に木曽駒に登ったので妻は悲鳴を上げていたが充実した木曽路の旅も楽しました。れにしても詳細に記録した山紀行文には驚き・・・此方は雑に記録しているので少しは参考にしたいと思う。
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白神仙人さん、こんばんは (Sora)
2015-08-01 21:27:03
>天気に恵まれて・・
ありがとうございます。欲を言えばカメラ的には、夏の青い空をいただいた藪沢カールが欲しかったのですが。こればかりは、その時の運ですから。

三日連続で、中央、南アのメジャーな山に登られたのですね。そりゃあ、奥様も音を上げますよ。木曽駒は混雑ケーブルで登りましたが、あそこの千畳敷カールも見ごたえありますね。きわめて緑のアルペンチックですし。ただ背後の宝剣岳には登ってませんので、これは必ず再訪する予定です。。

>詳細に記録した山紀行文には・・
ありがとうございます。はい、深田久弥の高校の後輩でもありますし、見てきたような文を残そうと努めてます(^^)。
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Unknown (ハラさん)
2015-08-01 23:02:55
いつアップされるのかと、待ってましたよ。
最高に、綺麗ですね。
我が家では、日帰りは絶対に無理です。
(私が登るのが遅いと思うので・・)

山もいいなあ・・・。
とても、行きたくなりました。
なるべく、高い所までキャンカーで行けて 楽に登れて眺めの良い所・・・。
山登りではなく、トレッキングでもいいな。
私が思いつくのは、美ヶ原ぐらいかな・・。
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ハラさん、おはようございます (Sora)
2015-08-02 08:44:11
>いつアップされるのかと、待ってましたよ
すみません、ありがとうございます。この山に行く前にクーラーでのどをやられて、帰ってから咳も出始めて、少し生活のペースダウンをしていたこともあって、アップが遅れました。

ハラさんは、暑いですが元気そうですね。リスみたいにキャンカーの屋根に上ってBSアンテナを付けたりして(笑)。

美ヶ原は、今の時期いいいですよね。標高2000mですから車中泊も涼しいと思います。牧場の方のトレッキングは、天気ですよね。晴れはこの時期3日に1日しかないと、王ヶ頭ホテルの方が言ってましたから。けど、ハラさんなら日を選べるからいいじゃないですか。

もう一つの高原・移動別荘地候補見つけましたから。この仙丈登山の翌日行ったところです。
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Unknown (錫杖)
2015-08-02 12:46:11
Soraさん 

まずは、天候が良かった事がなによりですね。3,000mの山はこれでなくっちゃ

私も過去の記録を探すとちょうど20年前の9/1でした。百名山39座目。
感想は、がむしゃらに登っていたので、花の名前も山座同定も全く出来ずのピークハンターでした。
そういう意味では、山ノボラーSoraさんは、
しっかり山の情緒を堪能されておられ、すばらしい紀行文と写真だなと拝見しました。
特に山ガールの足首を入れて取られるとは、
山登りに一石を投じる革命だと思います。

仙丈ヶ岳はカールの曲線が山容美を造る山。
中段の地球が丸いと表現された写真が気に入りました。

鋸岳から眺めた甲斐駒・富士山・北岳・仙丈ヶ岳・間ノ岳を想い出しました。

さて次の100名山は八ヶ岳でしょうか。
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一石を投じる革命だなんて・・ (Sora)
2015-08-02 15:54:49
>特に山ガールの足首を入れて撮られるとは
私、恥ずかしがりやでしょ、前に山ガールが歩いていると、つい視線を落としたままになってしまうのです。錫杖さんみたいに上目づかいで正視したいと思うのですが・・(笑)。

カールの全体がかもしだす曲線美、いいですよねー。

岩稜の鋸岳から見据えていたのですか。足場が怖そうで、そんなところ行けないですね。
次の100名山は、本文でも洩らしましたように、会津駒ですね。ほんとは昨日登っている予定でしたが、夏風邪で自宅待機を余儀なくされて、とほほ。
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Unknown (けーご)
2015-08-02 18:48:30
岩の山なんですね。ゴツゴツとした山肌に圧倒されてしまいそうです。
でも、写真を拝見していますと、花も緑も綺麗で、素敵ですね。
僕はリフト無しでは山は登りませんが、Soraさんのブログで登った気分を味わわせて頂いています♪
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Unknown (気まま)
2015-08-02 19:12:47
女王様を前にしての台詞、思わず爆笑 です。名前にぴったりの素晴らしい山ですね。是非一度は登りたいです。花の名前を知らない仲間がいてホットしました。会津駒は去年登りましたが5310すばらしいですよ。
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けーごさん、こんばんは (Sora)
2015-08-02 21:17:13
家にいると暑いですね。でも明日から出勤で涼しい?

今の時期、仰る通り花と緑がきれいですね。山だって確かに暑いですが、それは観念すれば、たいして苦じゃないような気がします。

リフト無いですから、私のもう登った気になっていただければうれしいです。
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気ままさん、こんばんは (Sora)
2015-08-02 21:24:01
女王さまを前にして、ちょっとふざけ過ぎましたか(笑)。けれど、あのシーンが一気に目に入ると、それは息を飲みますよ。

花の名前ね・・。他に執着することが多くて、花の名前まで調べあげたら、アタマおかしくなりますよね。ま、自然体で行きましょう。
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