会期も残り短くなってきた「奇跡のクラークコレクション」に行ってきました。
三菱一号館は今もパスを持ってるのでやはりこれは行かねばと。
何だか久々に西洋の絵画を見て満足。
江戸絵画も好きだけど見ればやはり洋の東西、古今を問わずいいものは好きなのだなあと実感。
ルノワールが多くなんと20点以上も。モネ、ピサロ、ドガ、ロートレックと充実の内容でした。
今回の展示はクラーク美術館の増改築工事のタイミングで実現したとのこと。
ということは次にまた日本でいつ見られるのかどうかわからないということですもんね。
震災直後は海外からの貸し出しもキャンセルが相次いで心配したものですがこういった展覧会が開催されることに少し安堵しております。
「海景、嵐」クロード・モネ
まず色がおかしい!!
灰色の空、エメラルドグリーンの水平線付近の海。
波と雲のざっくり描写もよろし。
「小川のガチョウ」クロード・モネ
えっ!
この水面の描写ったら。
青の波紋がなければただの道に見えてしまうくらい。
見て、やられた!参った!って思ってしまう。
「劇場の桟敷席(音楽会にて)」ピエール・オーギュスト・ルノワール
チラシで何度も目にしてたビジュアル。
さすがに人気でここだけ人が多かったです。
印刷物で見てた時には正面を向いた女性に目が行ってたのですが、実物を見てみると右の後ろ向きの女性の髪の美しいことったら!
ブルー、紫の入ることで黒髪の艶やかさが見事に現されている。
ここだけでお腹いっぱいというくらいの満足感でした。
「自画像」ピエール・オーギュスト・ルノワール
これは同じタイトルで2枚。ひとつはリスト番号48。こちらは1875年頃のもの。
意外にも絵具厚塗り!
ルノワールといえば線の流れるあのテイストが目に優しいのだがまるで違う。
肖像画と自画像は異なるものだという認識なのだろうか。
見た印象としては重い。
一枚挟んで隣にあるのがもう一枚。リスト番号69で1899年に描かれたもの。
20数年を経て描かれた自画像は印象がまるで異なっていた。
落ち着いていて表情も柔和。
時間はこうもひとを変化させるのかと。
技法として、人物自身として。
「男の肖像」エドガー・ドガ
顔の描写は精緻で肌もつややか。
ところが画面の中心から周辺に視線が移動していくとおかしいことになる。
あれ?
テーブルも手もなんだかざっくりとした描写。
「タマネギ」ピエール・オーギュスト・ルノワール
なんてことないのだけども静物画でタマネギというのが面白い。
しかもルノワールのあのエアリーなタッチです。
うん、かわいい!
これはポストカード買っちゃいましたよ。いま飾っています。
「カルメン」アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
ロートレックはやはり版画が多いので油彩は他のよりもしっかりと見てしまう。
背景が黒、人物のシャツも黒。
この背景の黒の塗れていないところの狭間い気配、雰囲気が出ている。
あと目の異様な表情が気になりました。
「犬と女」ピエール・ボナール
小さな作品だけどもやっぱりボナールの変さ加減が満載で満足。
窮屈なくらいに詰め込んだ画面。
犬と女性、背景にも人。
服のチェックやまだら模様が妙にいびつな感じを与えてくれて強烈なインパクト。
でも、実は地味な色使い。
というわけで見所多く満足の内容でした。
5/26まで。