フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展に行ってきました。
昨日の金曜日、夜間開館で見てきたのですが大正解!
寒かったこともあると思うのですが会場は空いていてじっくりと鑑賞出来ました。
メインの地理学者もばっちり!
今回の展覧会はシュテーデル美術館の改築工事に伴い実現したもの。
200年前の開館以来、まとめて作品を貸し出しするのだそう。
去年のオルセー美術館展、ザ・コレクション・ヴィンタートゥールのどちらも改装のタイミングで実現した企画。
ということはこの次にこういう機会がやってくることは相当に先になるかひょっとするともうないのかもしれないわけです。
これはしかと目に焼き付けねば。。。
今回も気になった作品をとりあげてみたいと思います。
「音楽で動物を魅了するオルフェウス」ルーラント・サーフェレイ
問答無用でうっとりしちゃう。キリスト教世界での動物の扱いって正直、人間ありきであまり好きでないのですがこれはなんかよい!
仏教だとお釈迦様が亡くなったら動物たちも集まってきてその死を悲しむわけです。
人間も動物も生き物はみんな同じ的な世界観ですよね。
この絵はそんな涅槃図に近い親しみを覚えました。
「ネズミのダンス」フェルディナント・ファン・ケッセルに帰属
これちょっとすごいです。
デフォルメされた絵柄ではなくかなりリアルの描かれたネズミ。
にもかかわらずかわいい!
4匹みんなで直立歩行、手をつないでダンス。
地下鉄の線路の横で走るネズミを見たらきっとこの絵を思い出すことになるでしょう。
「子供の肖像」ピーテル・サウトマン(?)
この表情の自然さ。かわいい。
解説にもありましたがおんなのこ?おとこのこ?
どっちかわからなくなってる。でも、ひたすらに子供です。
タッチはまるで違うけどもちょっとだけ奈良さんの絵を思い浮かべました。
子供のイメージってところだけなんですが。
「地理学者」ヨハネス・フェルメール
そして真打、登場!!!
この絵だけは特別。解説映像(音なし、テロップつき)は2分で簡潔明瞭。
当時の地球儀、天球儀、地図、コンパスも展示されていて、当時の雰囲気にひたれます。
「地理学者」の手前にはしっかりとした柵があって間近には見ることが出来ません。
キャンバスの大きさもそんなには大きくないのでこれは単眼鏡は持っていったほうがいいですね。昨日は会社帰りで単眼鏡を持っていかなかったことを後悔。
この絵、相当に楽しめます。
画面を構成する要素が多く、画面上の視線移動がまんべんなく、一度ではたりないくらい。
何度も何度も細部を嘗め回すようにみてそれでも飽きない。
あと、光の感触みたいなものが複数のトーンで画面上に存在し影とあわせて楽しめます。
窓場から差し込む光、コンパスを持つ男性。地図の世界と彼の見やる外の世界。
おくの家具の上には地球儀、背後の壁には地図。
男性の着ている上着はヤポンス・ロック(日本風の着衣)と呼ばれるもの。なるほど、たしかに着物ちっく。手前下に広がる布はゴブラン織りという工芸品で高価なものだということ。
新しい世界を感じさせるアイテムの集積。これが当時の最先端を描いていたのでしょうね。
手前右下のカバンの上にあるのは鉛筆だとばかり思ってたら、解説によれば定規なのだそう。彼の手に持つコンパスとセットだとのこと。
この定規はもっと近くでみたかったなあ。次回、単眼鏡で確認してみたいと思います。
画面に登場するアイテムについてはリストに紹介されているのでそちらか、紹介映像をみれば明らかです。
この長い時間みてなおも見ていたいというのは若冲の作品(水墨じゃなく細密に描かれた彩色のほう。特に動植綵絵)にも共通するところです。
途中で一回、閉館直前にもう一回。時間にして10分くらいは見てきました。
これは空いてる状態で見るに限ります。
夜間はお勧めですよー。
「夕食の食卓を片付ける女性」ヘリット・ダウ
この小さな灯りがなんともいえませんね。
テーブルの上のろうそく、照らされる母親の顔。娘を見る視線のあたたかさ。
灯りのありがたさをかんじますよね。
「画家と読みものをする女性、掃除をする召使のいる室内」ピーテル・ヤンセンス・エーリンハ
やたらと多いグリッド(窓と床)、そして差し込む光。
室内画としてクオリティが高いですね。でも、フェルメールを見てしまったあとだと物足りなく思えてしまうのでちょっとかわいそう。
「2羽のスズメがいる豪奢な静物」コルネリス・ド・ヘーム
この静物画のコーナーが異様でした。フルーツが多かったのですが、どれもエロティック。どこか性的なニュアンスが入ってる感じがしてなりません。
で、この絵が一番それが露骨に出てましたね。
タイトルにある雀は交尾しちゃってるし、笛の先には貝の穴。。。。
くずれたメロンも見ようによっては卑猥。
キレイだけどエロいよ、やっぱり。
「調理台の上の魚」
でっかいワイド画面に広がるフォルムが面白い。でろんとした鮭の断面、ひっくりかえってるカニ、紐で尾びれと口を結わかれてそりかえるカレイ(?)。
アイテムのチョイス、フォルム、配置の勝利です。
「凍ったスヘルデ川とアントワープの景観」
これは楽しい!
スケートして転んでるひとがいてみたり、焚き火やってるひともある。
要素が多いけども川の凍結っていうところでどれも違和感なく収まってる。
「都市から見たライデンのハールレム門」パウルス・コンスタンティン・ラ・ファルグ
なんかトーンがh所かの作品とちょっと違うなあと思って解説を読んでみたらびっくり。
なんと筆跡を残さぬように色を薄くのばして描いたのだそう。
なるほど!このつるーんとした感じはこういう手法を使っていたのですね。
「漁船のある夜の運河」アールト・ファン・デル・ネール
夜なのに明るい。月明かりで浮かぶ景色がなんともよい。
消失点のポイントにあわせてつきが描かれています。
明るいけどもシルエットで描かれた箇所もあって夜の絵なのに明暗の差が激しいのです。
絵葉書とクリアファイルを買ったらこんな封筒に入れてくれました。
おおー!
地理学者のコーナーにも展示されていた世界地図。
ちゃんと国の紋章が入っています。
これはすごくよいセンスですよね~。
フェルメールの「地理学者」はもちろんですが、他にもよい作品がいっぱいあるのでお勧めです。
5/22まで。
ないですよね。
この間櫃田先生の展覧会見に行ったとき
ゴッホのひまわりを長いこと静かに見られて
ほんとに幸せでした。
動物涅槃図、なんだか幸せな気持ちになりますね。
機会があったらいってみたいです。
たぶん、混雑した状態でみるとまるで印象が違ってくるかと思います。
動物ものはやはり好きなんですよねー。見ててなんかにこにこしちゃうのです。