あお!ひー

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円山応挙-空間の創造(三井記念美術館)

2010-10-13 00:01:18 | アート系

「円山応挙-空間の創造」に行ってきました。

見終わって思ったのはやっぱり応挙、大好き!

王道ですね。奇想も大好きですが、狩野派なり応挙なりのスタンダードがあったこそなわけです。

まずは「遠近法の習得」なるコーナーからスタート。

応挙の眼鏡絵は初めてみました。

眼鏡絵というのは大和絵とは異なり、近世絵画のようなきっちりとした遠近法を用いて描かれた絵。

消失点を割り出して描かれているのがよくわかる。


○眼鏡絵 三十三間堂

あの長い奥行きをシャープで繊細な線で描かれている。知っている建物だとやはり親しみがありますね。

しかし、遠近法を使うだけでその絵がぐっとこちらに近いものに思えてくるのが不思議。


○眼鏡絵 四条河原納涼図

橋を行き交うひとの姿を横から捉えていて、手前の人物は真っ黒なシルエットで後ろの人物は提灯の灯りが当たっていて顔がちょっと黄色っぽい。

こういう描写ってあまり見た記憶がありません。


○眼鏡絵 円山座敷図

京の街を眺望するお座敷。飲み食いしてるひとたちの遠近パノラマ。

面白いのはお酒飲んで酔っ払ってるのか店員のおねえさんの袖をつかんじゃってるひととか、建物の端っこの一番眺めのいいところで遠眼鏡を覗いてるひとがいるところ。


眼鏡絵は全部で10点。うち9点は11/7までで11/9からになって代わりに展示されるのが9点。ほぼ総とっかえになるというわけです。


○重文 雲龍図屏風

これは一目で釘付けになりました。

墨で描かれた雲がなんともいい。その間に間から悪路バティックに体を現す龍。

波頭、雷、雲、龍。

目の描写が実は意外でした。こんな真っ黒で妙な三角でいいの?とか思ってしましました。虎の目とかと違うのですよね。やはり空想の生き物だからあえてそうしたのでしょうか。

分かりやすくてかっこいい日本美術のお手本という感じ。これを見たら、小さい子供でも興味をもちますよね。


○重文 竹雀図屏風

今回、すごく気になったところ。

竹の地面から生えてる箇所なのだけども、画面フレームの外からはえてるのは左隻のわずかに3本だけ。

そのほかのものはいずれも画面の中からにょきっと生えている。

竹の濃淡によって描かれる奥行きとこの竹の生える位置からか妙な浮遊感を感じた。なんだかふわふわするんですよ。

雀はどれも写実のお手本というくらいしっかりと描かれています。竹が墨の濃淡で描かれているのと対照的に雀はtyなんと彩色が施されています。

そして、もう1点気になったのが左端に描かれた3羽の雀。

1羽がもう一羽ののどのあたりを小突いてるのですが、よく見ると小突かれてるほうはひっくりかえった姿勢。

飛んでてちょっとこの姿勢はあり得ないっぽい。

一見、ものすごくまっとうなはずのこの屏風が実はちょっと妙なテイストを出しているのはこのあたりが原因だと推察するのですが。。。わたしの思い込み?


○淀川両岸図巻

これは長かったです。こんな絵巻は初めてみました。

巻物の進む方向に川がえがかれているのですが、この両岸の描写が意表を疲れました。

上のほうの岸はなんらおかしくありません。

ところが下のほうの岸はなんと人物や木が逆さまに。

川の中央を基準と描いてるというのは頭で納得はしてもやはり実際に目で追ってくとやはり妙だなあと。

ちなみにこの展示は巻物の右から鑑賞するようにと、

「←本作品はこちらよりご鑑賞下さい。

絵巻物は右から左へと描かれています。
恐れ入りますがこちらから左に向かって
お進み下さいませ。」

と黒地に白の文字で案内がありました。

展示室5の導線が逆になるいのも珍しい。


○重文 松に孔雀図襖

応挙の一派が165面を手がけたという大乗寺。その中から松に孔雀図襖の16面がやってきています。

本来は4、8、4でコの字型になってるのだそうですが、今回はL字型に配置されています。

にしても、よくここにこれだけのサイズが収まったものだなあと思いました。

金地に墨のみで描かれた松と孔雀。

少ない要素で描き出すものはごまかしが効きません。

金に黒がうまく響きます。金は変に使うといやらしくなりかねないのですが、ばっちりと決まっています。


○国宝 雪松図屏風

毎年、お正月のお楽しみ。

でも、今年は秋に見られるというのがちょっと変な感じ。

飽きないですね。何度見てもうなってしまう。

左と右の屏風の間に現れる○の空間、その上下に向かって飛び出してくる松の枝。迫央構図といわれる応挙の屏風に共通する立体的な構図。

前にも書いたことがありますが、この松がっじーっとみてるとどんどん人みたく見えてくる。それだけで楽しい。

国宝というのがとてもしっくりときますね。


11/9から展示となる作品も多いので後期も行こうと思います。金剛寺の波濤図が楽しみ。通常は公開していないとのことなので。

さらに11/16からは藤花図屏風が公開になります。根津美術館で以前に見て素敵だったのでこれもまた見たいですね。

11/28まで。

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2 コメント

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三次元の応挙 (とら)
2010-10-18 10:11:33
応挙の画の見方の勉強になりました。
眼鏡絵、龍、孔雀などが見栄えしましたね。
後期はどうしようかな?
正直、分割しないでやってもらいたい・・・。
返信する
Unknown (あおひー)
2010-10-19 00:14:54
ほんと勉強になりました。
眼鏡絵あってこそなんですよね。

>正直、分割しないでやってもらいたい・・・。
同感です。でも、もう一回みたいので行ってしまいそうです。
返信する

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