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ボストン美術館 浮世絵名品展(山種美術館)

2011-03-07 23:40:27 | アート系

ボストン美術館 浮世絵名品展に行ってきました。

日曜日の朝一に行ったものの実はこれで二回目。その一週間前の土曜日にも朝一で行ってたのです。ですがこの日は他に予定が迫っていて、第1章の鳥居清長をほぼスルーしてたのです。

いや~、それにしても待ちました。昨年6月に参加したボストン美術館浮世絵名品展記者発表から9ヶ月!

ついに東京へとやってきました。

さて、気になった作品を順番に取り上げてみたいと思います。



第1章 鳥居清長



9.「雛形若菜の初模様 丁子屋内 丁山 しをり つまき」

今回の展示で注目すべきはこの紫です。ボストン美術館所蔵の浮世絵はこれまでずーっと公開されていないものが多いため退色していないものが多いです。

しかも、一度出してしまうと次にいつ公開されるか不明なので絶対に見たいと思っていたのです。下手すると自分が生きてる間に再公開されない可能性も十分にありますからね。

遊女が禿二人を従えて歩く様はやはり絵になります。


13.女三宮

古典はそんなに強くないもののこれが源氏物語だってくらいはわかります。

これだけはやはり江戸から見ての昔なわけでテイストが違いますよね。

折り重なる衣が美しい。



15.「美南見十二候」 九月

この黒が見事。画面が引き締まります。

格子向こうの月の周りはおぼろげな感じに仕上げられていて雰囲気満点。



25.「五代目市川団十郎の横川覚範 三代目沢村宗十郎の狐忠信 中山富三郎の静午前」

あり得ない!劇中では絶対にこの並びは無いのですが、これが絵の楽しいところ。

いまだったらドラマの撮影の合間にスチールで劇中にはないシーンを撮るような感じでしょうか。

ね、なんだか豪華で色がみっちりですよね。


28.三代目瀬川菊之丞の石橋

これは何か他とタッチが違う。そう思って他のと見比べてみてわかりました。

撰が螺旋を描くかのようなのです。これで踊りの躍動感が見事に現れていますね。


あと、「子宝五節遊」は8点あってどれも丸々とした子供たちがかわいらしい。美化しちゃってないんですよね。そこがよいなあと。



第2章 喜多川歌麿



50.「青楼仁和嘉女芸者 茶せん売 黒木売 さいもん」

芸者さんの名前は出せないはずの錦絵。ところが扇や服の文字から察しがつくような仕掛け。

大層、人気があったんでしょうね。なるほど、こういうの見るとアイドルのポスターやグラビアなんだなあと思います。



58.「歌撰恋之部 稀ニ逢恋」

恥らう若い娘。袖からちらりと見える指がかわゆす。眼の表情、小さくぷりっとした唇、そしてこの袖。すべてそろって気持ちが現れているのが上手いです。


68.千代鶴

腰を下ろし空になった杯を掲げる女。少し間の開いた障子の向こうからはお酒を注ごうとする手。

障子に映る女のシルエット、障子向こうの酒を出している腕のシルエット。

鮮烈に印象に残ります。



71.「大川端夕涼」

3枚続きのワイド画面。手前の人物はカラー。背景の川と橋と船は基本モノトーンのシルエット。その仲にちょうちんと花火だけが橙で眼をひく。

面白いのは飛んでいった花火の軌跡がひゅるhyるしてて螺旋を描いているところ。


76.煤掃き

3枚続き。てんやわんやの大掃除。ネズミが走ってるわ、お茶を用意してるひとはいるわ、何でかわからないけどもみんなにかかえられてる女はいるわ。

なんかこういう生活の風景はいいですよね。それもきっちりしたところよりもむしろ人様にお見せするようではないところを描いてるのがよいなあと。


79.「忠臣蔵 七段目」

女を抱きかかえる大石内蔵助。もとい大星由良之介。

エロい!すっごくすけべな絵です。

この眼と唇にやられますね。



第3章 東洲斎写楽


97.市川男女蔵の奴一平

背後の雲母摺のキラキラが残ってます。

さあ、体を上下させてみましょう。このキラキラが確認できますので。「95.中山富三郎の宮城野」も同様にキラキラしています。


104.中山富三郎の義興御台つくば御前

これだけ何故か描線が異なるんですよね。

あと着物の模様とのバランスからだと思うのですが、どことなくアールヌーボーを感じさせてくれるような季がするのです。


写楽のといえば大首絵ですが今回は全身入ったもののほうが多く展示されていました。

なんかこの全身入ってるのはどれも仮面ライダーの怪人に見えて仕方ありませんでした。

表情の妙さ加減が全身図になることでそういう感じにしているのでしょう。



第4章 黄金期の三大絵師をとりまく大家たち


115.勝川春章「中村仲蔵」

片腕にかかえた梁の材木。このすすけたトーンの摺りが見事!とてもいい按配。ああ、こういうのみるとやっぱり版画ってすごいと思います。



117.勝川春草「楽屋の四代目市川団蔵と三代目瀬川菊之丞

これ、ちょっとびっくりしました。

現代で時代劇をやる場合にはわれわれはちょんまげでないのでカツラをかぶるじゃないですか。

↑この江戸時代の楽屋にもなんとカツラが。。。えっ、もともとのちょんまげの上にさらにちょんまげのカツラって。どうなってるのかすごく気になります。なーんてことに気がついてしまいました。



123.鳥文斎栄之「茶屋娘見立雁金五人男」

おそらく今回の展示で一番、色がキレイに残ってるうちの一枚。

この紫とピンクが鮮烈!

こんなにもキレイな摺りのものを江戸の人たちは見ていたんだなあと感慨深くなりました。


127.北尾重政「祝儀の品」

これは摺物。内輪で配布するために小ロットで作られるプライベートなもの。内容もそれにふさわしく、なんと昆布とするめ!この昆布が銀色に光ってて状態がものすごくよいのです。



第5章 版本と肉筆画


137.鳥居清長「彩色美津朝」

色味がファンシー。ほー、こんなのもあったんですね~。

薄いピンクがとてもかわいらしい。


144.鳥文斎栄之「隅田川納涼図」

この3幅、絹本のてかてかに色が乗っててキレイ。

川の青や緑の織り成す色彩とモノトーンの水墨が同居しているが見語tなバランスで美しい。


山種美術館での展示は4/17まで。

このあと4/26~6/5までは千葉市美術館に巡回します。
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