あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

生誕100年岡本太郎展(東京国立近代美術館)

2011-03-20 23:43:46 | アート系

地震のあと、しばし休館していた東京国立近代美術館。

金曜に確認してみたらこの3連休は開館するとのこと。

ただし、時間は10時~16時に短縮。

でも、いい。閉館してるところが多い中、見られるのは何ともありがたいことです。

ということで昨日の朝一から行ってきました。

美術館のスタッフの方もどこか嬉しそうに見えました。

岡本太郎のすごいと思うところは絵画と立体の両方を手がけていること。

現代美術の日本の作家で絵画と立体やってるひとっていうと加藤泉さんと奈良美智さんくらいしか浮かびません。

しかも、子供の頃に何度もテレビで見ててそのキャラクターはなんとなく知っている。

こんな芸術家はそうそういませんよね。

会場に足を踏み入れると、プロローグ:ノン。

12体の彫刻がお出迎え。

太郎の作る彫刻は素朴かつパワフルでかつシンプル。

この中だと河童とノンが好きですね。

素材は意外なことにFRPが多いんですよね。

さて、ここからは絵画が中心となります。


「空間」

真っ黒な画面の中に、翻る布のようなものと一本の棒状のもの。

旗が分断されたイメージでしょうか。

見た印象がずっと残りますね。



「痛ましき傷」

何度見てもぐぐっときます。

具象を描いているけどもイメージとしての定着は抽象になっている。

この加減が実に素晴らしい。

顔の見えない、でもこれでもかと装飾過多といえるくらいに大仰な真っ赤なリボン。

そして、この腕にからみつくのは髪の伸びた先。

苦しみに耐えているけども、それは他者から受けるものではなく自らのうちからくるものによって受けるものなのでしょう。



「電撃」

2006年に発見されるまで60年も埋もれていた作品。

岩のよこに見える顔。がけの上でのけぞる男。

画面を大きく横切る真っ赤なのは血か?

立ち上るかのようなピンクのひゅるひゅるしたのは魂のようにも降ってくる戦火のどちらにも見える。


「駄々っ子」

逆三角の黄色い頭がだだっこで太郎本人なのだそう。で、となりにいるのはピンクの犬。

もう笑いに行ってしまいそうな領域。



「森の掟」

今回見た中でやはりこれが一番好きかも。

色使いや実際の生き物の生な感じがないのだけども妙に生々しく感じるんっですよね。

ジッパー上の赤いのが小さき何者かを口で捕食しようとしていたり。

シンプルだけどもガツンときます。


「重工業」

描かれているのはそのものの工場をイメージするもの。そして、それに携わる大勢のひとたち。

でも、じっと見てると妙なものがあるのに気づく。

でっかく描かれてる長ネギ。もう笑うしかない。


「半世界」

これまでこのコーナーで見てきた絵とは変わってきてるのがわかります。

複雑な画面構成はシンプルになり、描写におけるストレートが激情が増幅してるように思いました。


「千手」

画面上方にある2つの白いのは印を結んだ手に見えます。

その下に描かれているのは魂にも精子にも見える。あふれ上がる命たち。


このあと、いきなり「なーぐこはいねがー」

3面スクリーンを使った「岡本太郎の撮った日本」。

太郎が撮った写真をNHKが映像にまとめたもの。3分ちょっとでうまくまとまっています。

映し出されるのは「なまはげ」「鹿踊り(ししおどり)」「沖縄の神事」。

この向かいには土偶の写真。

太郎が影響を受け向かう方向が見えてきます。


そして続いては万博。

太陽の塔の1/50のが回転してました。

そして上映されていた映像。太陽の塔の製作にまつわるところを追ってるのですが、いかに太郎が無茶をやろうとして実際にやったのかわかります。

その当時の最先端をアピールする万博でああいったひどく原始的で何やらよく分からないものをあえてぶつけることに意味があると。

で、ちゃんと現在も太陽の塔は残ってるのがすごいですよね。


次は戦争との対決と題したコーナー。

師団長の肖像画は描かされたものではあるけども、ちゃんとした写実になっていてこんなのもきちんと描ける技量があったことがきちんと確認できます。

そして、「殺すな」

ベトナム戦争時に意見広告として出したもの。

絵画ではなく太郎直筆の文字で「殺すな」と書かれているのです。

これは実物を見たかったので拝見できてよかったなあと。

そして、「明日の神話」の最終下絵。

壁画は渋谷で何度と無く見ているのでその違いを追うことが出来ました。


「二人寿三番叟」という当方劇団歌舞伎公演の美術を太郎が担当しててその舞台装置とコスチュームの構想スケッチがかなりぶっとんでました。

舞台の松のデザインがかっこよすぎ。

衣装に至っては針金か何かで衣装から何本も放射状に伸びてて、しかもその先に丸いのがついてる!

このスチル写真があってたまげましたよ。

歌舞伎でこんなかっこでやってたとは驚きです。

しかも、三味線とオーケストラって一体。。。


この後には太郎のデザインしたネクタイや食器などが展示されていました。

にわとりの陶器のポットとかとてもよいつくり。


そしてたくさんの目玉モチーフの作品たち。

前半のかなりおゆったりとした展示に比べるとこちらは息がつまりそう。

取り囲む壁に目玉の絵ばかり。

そしてその真ん中には「座ることを拒否する椅子」が3つ。

いずれも腰掛けてみました。

一番手前のが一番座りにくかったですね。

意外にもこれは陶なのですよ。



ラストの出口手前にはなにやら壁に穴が。。。

ひとりひとつ取ってくださいとなっています。

これは開くと「太郎のことば」が書いてあるのです。



芸術館は対決によって新しい創造の場を掴みとるのだ。


おおー!力強い言葉をありがとう!


そして館の外にはガチャガチャ。


全8種 岡本太郎アートピースコレクション

造形は海洋堂。これは期待できますよね~。

一回だけやってみました。(はまると危険!)


出てきたのは「手-赤」

この造形といい光沢といいよく出来ています。

400円のガチャガチャは高いなあと思ってたのですが、このクオリティであれば納得です。

5/8まで。

※地震の影響がまだあるので常時開館しているかどうかはわかりません。
行かれる前には事前に情報を確認っされることをお勧めいたします。
コメント (2)
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