カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

案山子ロードをゆく 明日香・稲渕の棚田をぬって ⑥ 終章

2008年09月19日 | ☆ ふるさと・大和




台風の接近が気がかりな午後から夜にかけての日になってしまった。

こうして、棚田の案山子ロードの連載の最終日、あの案山子たちが、どうか倒れたり壊れたりしないようにと、願いながら、しっかり踏ん張って欲しいと思う。



どの案山子も思わず微笑を返したくなるものだったが、私が1番惹かれたのは、「ごんぎつね」だった。
案山子として好きというよりも、この新見南吉のお話が大好きなのだ。
ごんぎつねは、多分このような風景の中に展開していったお話だろうと、高台に立って稲渕の里を見下ろしていた。



いたずら好きなごんが、自分のしたいたずらが元で、兵十のおっかあを死なせてしまったと、彼岸花の咲く野道の葬列を見て思い込んだ。
その日から、ごんの償いが始まった。
夜のうちにそっと兵十の家の前に、償いの品を置いてきていたごんだったが、
ある日、それを兵十に見つかって「いたづらぎつねめ!」といって、鉄砲で撃たれてしまった。
傍においてある栗や柿を見た兵十は、「ごん、おまえだったのか。」と倒れたごんに声をかけた。

兵十の鉄砲の先から青い煙が・・・。

死を持ってしか分かり合えなかったごんと兵十の気持ちの悲しみが青い煙に象徴された最後の場面の、このごんぎつねを見つめていると、涙が出そうになった。


この案山子の題名は「駆け込みごんべえ」で、上のごんきつねとは、全く別の作品であり、別々の場所に立っていたが、ごんぎつねの最後の兵十と重ねあったイメージで、ここにもってきた。

案山子ロードは、見る人の連想をこのように自由にしてもらえる空間である。



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案山子オールキャスト・たぶん
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コメント (16)
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