「この国のかたち」的こころ

敬愛する司馬遼太郎さんと小沢昭一さんに少しでも近づきたくて、書きなぐってます。

岩崎書店閉店について考える

2006年08月18日 23時57分24秒 | 妄想
 菊川町には本屋さんが3軒ありました。一つは駅前にあった「野崎書店」さん。店の両サイドにドアがあって真ん中の部分におじさんが店の奥に向かってにらみを効かせている店でした。駅の近くということもあって時間つぶしに買う気のない客が多かったのでしょうか。立ち読みのしにくい環境を創り出していたような気がします。

 あとの2つは本通商店街のど真ん中に2軒が張り合うようにして並んでいました。本通4丁目の代表的なお店でしたのでご記憶の方も多いかと思います。

 佐塚書店と岩崎書店です。

 二つの書店ともつくりは殆ど同じだったような気がします。

 僕が高校生の頃までそこにあったかと思います。

 佐塚書店の奥さんはとても世話好きな方でお見合いを幾つも成立させている腕の持ち主でお店のカウンターのしたには希望者の選りすぐりの写真を挟んだアルバムが保管されていました。
 
 なぜそんなことを知っているかって?

 実は僕もそのアルバムに載ったことがあるからです。

 
 そして奥さんの仲立ちでお見合いをしたこともあるのです。


 結果は上手くいきませんでしたが、感謝しております。

 そしてもう一軒が今回店じまいする岩崎書店さんです。

 僕はここの息子さんとは「山の幼稚園」(正式名称は愛育保育園)時代に同級生だったことがあります。
 
 「けんちゃん」と呼ばれていてのんびりとした感じの子だった記憶があります。

 
 書店は駅前再開発で商店街の様子がだいぶ変わるということで、当時はバス通りだった本通を南に下がって菊川インターチェンジのすぐ北側にビルを建ててモダンに生まれ変わりました。

 ここのご主人は今は白松猛さんですが、僕は先代のご主人にはよく怒られました。

 ませててスケベ小僧だった私が仲間とプレーボーイとかの成人誌のコーナーなんぞで「うわおお」とか「すげええぜ」とか声を出してグラビアとか見ていると「子供がそんな本をみちゃあいかん!」とか偉く強い調子で怒られました。

 それじゃあ大人になったらいいだろうってなわけで、20をいくつも過ぎた後に成人誌をもってレジにいったら「ちぃ!」って舌打ちされましたよ。

 「おまえまだそんなことしてんのか!」とでも言いたげでしたね。

 お客さんとしては怒っても良いところなんでしょうけど、不思議と苦笑しか出てきませんでした。

 岩崎書店は小笠町にもお店を構えたことがあります。

 今は旧小笠町内に書店と言われるものはありませんね。

 ホントは岳文堂書店というアカデミックな名前の書店があったのですが10年ぐらい前に骨董品か何かを扱うお店にしてしまいましたね。

 静鉄ストアーの横の今は100円ショップになっているところは出来た当初は古本屋さんでしたね。

 何年もったのだろう?

 最後は半額セールでしたね。

 お得でした。

 で、菊川、小笠ってのは文教に力の入らない地域なのでしょうか。小笠店が店委を閉じ、岳文堂さんがやめてしまいました。

 菊川では野崎さんがやめてしまいましたね。元々店舗規模が大きくなかったことと、雑誌中心でやらないと経営が苦しいところへコンビニにその雑誌部分を持ってかれたのが響いたのでしょうかね。

 佐塚書店は店の向きを東向きから西向きに変えて、僕らが西通りと呼んでいた道路に面するようになりました。

 市役所の斜め前にありましてコミック充実しています。


 岩崎書店の方も充実していましたが道路が切り替わって今まで本通の延長線上の道ではなく、僕らが病院通りと呼んでいた商店街の東側に広い道路を造りましてそちらが主線道路になりました。菊川インターから真っ直ぐに岩崎屋の前まで来れたのが一度左折のような恰好でないと入れなくなりました。

 目の前には回転寿司のお店や靴店、薬局、お茶屋、ケーキ屋、寿司店などがあり結構賑やかだったのですが、郊外に大きな店舗と広い駐車場を完備する店が多くなり、菊川の商店全体の先行きが暗くなってきました。

 そして菊川西側に新しく大きな道路が切り開かれ、戸田書店が出店しました。岩崎書店はその前から8時から9時、9時から10時へと閉店時間を遅くしていきました。それと反比例するように書店の前を通る人の数は減っていったのです。

 そして…

 静岡新聞 - 2006年7月17日
17日夜に菊川市加茂の岩崎屋書店菊川インター店に包丁のような物を持った男が侵入し、男性経営者(57)の手足を縛って現金など約80万円分を奪った強盗事件で、菊川署は袋井市 ...

 という事件が起こってしまいました。

 幸いなことに白松さんに怪我はありませんでした。

 でも精神的ショックはかなり大きかったようで、8月をもって閉店することが先日の静岡新聞の広告の中にありました。

 こわかったんだろうな。


 結果として危害は加えられなかったとしても死の恐怖は一緒だからね。


 街の本屋さんに言わせれば儲けなんて殆ど無いよっていいますね。

 例えば文庫本の場合大きな本屋でない限りどんな本でも1ヶ月で5冊以上売れる本でないと置いておけないそうです。

 でないとやっていけない。

 出版社によっては買い取りで返品不能という殿様商売している出版社もありそうですから、大変なのだそうです。

 だから本屋さんには商売という意識の他に街の文化水準を支えているんだという気概もあるはずで、商売でなくてこういう本も街の本屋におけないようでは為さないから置いておくみたいな部分がありようなきがします。

 以前、三省堂さんの人とお話をしたときに紙の辞書と電子辞書の話になって、三省堂さんが、どんなに辞書の性能があがっても僕らは紙の辞書を作り続けます。なぜならそれが日本という国の文化とかアカデミックな部分で、それは仕事として後代に残してあげなくちゃいけないと思っているからです、と答えてくれました。

 拍手を送りたくなりました。

 街の本屋さんも俺のところに来るって言うことは、街の文化水準を維持できてるっていうことだよ。

 そんな風に思っているかもしれませんね。


 トリガーは強盗だったかもしれませんが、その前に弾を込めた人間がいたはずで、そいつはきっと菊川という街全体の問題としなくちゃいけないのかと思ったりしている。