重たい道具を、
暗転中に運び上げ、セットし、
という裏方仕事を済ませ、
何事もなかったように舞台に出て行く。
そんなことを毎回続けていたときでした。
いつものように、
ガバッとはしょった裾をきれいに直し、
背中で結んだそでを元に戻し、
乱れた髪を直し、
奥様然としたイデタチで舞台に登場し、
式典のシーンで、皆イスに座り、
偉い人の話を聞いていました。
すると・・・何となく視線を感じたのです。
視線って、すごいですよね。
なんか、「見られてる」のがわかるんですから。
ん?
見てるの、だれ?
今は私が見られるシーンじゃないのに??
視線の主は、真正面に座っている女性でした。
着付けの先生でもあり、
よく私の着付けも直してくれていた人です。
その彼女が、私の足元をじーーっと、
凝視しているではありませんか。
へ?
どうしたの?
と視線の先にある、私の足元を見ると、
・・・・・・・・・・・!
ぞうり、履いてないっ!
外のシーンなので、周りは皆、靴を履いています。
なのに、
私だけ、
足袋のままっ!
ありゃぁ・・・、やっちまったわ・・・。
(つづく)
暗転中に運び上げ、セットし、
という裏方仕事を済ませ、
何事もなかったように舞台に出て行く。
そんなことを毎回続けていたときでした。
いつものように、
ガバッとはしょった裾をきれいに直し、
背中で結んだそでを元に戻し、
乱れた髪を直し、
奥様然としたイデタチで舞台に登場し、
式典のシーンで、皆イスに座り、
偉い人の話を聞いていました。
すると・・・何となく視線を感じたのです。
視線って、すごいですよね。
なんか、「見られてる」のがわかるんですから。
ん?
見てるの、だれ?
今は私が見られるシーンじゃないのに??
視線の主は、真正面に座っている女性でした。
着付けの先生でもあり、
よく私の着付けも直してくれていた人です。
その彼女が、私の足元をじーーっと、
凝視しているではありませんか。
へ?
どうしたの?
と視線の先にある、私の足元を見ると、
・・・・・・・・・・・!
ぞうり、履いてないっ!
外のシーンなので、周りは皆、靴を履いています。
なのに、
私だけ、
足袋のままっ!
ありゃぁ・・・、やっちまったわ・・・。
(つづく)
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