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やり直しの人生に乾杯!『新しい人生のはじめかた』

2010年11月20日 18時12分13秒 | Weblog
            新しい人生のはじめかた
 名優ダスティン・ホフマンの、彼らしい演技を久しぶりに観た。人生で、色んな挫折を味わいながら、最後には、運命の人と出会い、そして、素晴らしい「やり直しの人生」をスタートさせる映画作品、それが『新しい人生のはじめかた』(2008年イギリス制作)である。
 名優ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンが演じるハーヴェイとケイトは出会ったばかりの他人同士。しかも、初対面の印象は最悪だ。それでも、一旦、言葉を交わせば会話は尽きることなく楽しい時間が過ぎてゆく。これぞ一生に一度あるかないかの運命の出会いか。もちろん、なんの確証もないけれど。これまでに充分過ぎるほど落胆と悔恨を繰り返し、夢よりも諦めを口にしてしまう大人の男女の心の機微を繊細さとユーモアを交えて描いたのは、イギリスの新鋭監督ジョエル・ホプキンス。トンプソンが惚れ込んだ希有な才能の持ち主はオリジナル脚本も手がけ、人生の仕切り直しに遅過ぎることなんてないと希望の光を与えてくれる。
              新しい人生のはじめかた
 NY在住のCM作曲家ハーヴェイは、一人娘スーザンの結婚式に出席するためロンドンへ向かう。離婚以来久々に家族が揃うのを期待していたが、花嫁の父の役割はすでに元妻の再婚相手に委ねられていた。追い討ちをかけるようにNYの上司からはクビを宣告する電話が。所在なく落ち込むハーヴェイは、空港のバーで白ワイン片手にひっそりと読書をするケイトと知りあう。孤独を抱えた2人はいつしか会話を弾ませるのだった。
 娘の結婚披露宴前夜祭に出席するハーヴェイだが、離婚した後は、元妻の再婚相手に仕切られて居場所のない状態。そんな時、友人の仕組んだ合コンに参加するが、同様に居場所が無くなったケイト。二人がラウンジでそれぞれが酒を飲んでいる状態で会話するシーンが面白い。お互いに今日は最悪の日と披露し合う。しかし、ハーヴェイは、「君よりも僕の方が最悪だ。賭けてもいい」という。「ロンドンに来る時飛行機に乗り遅れ、会社では首になり、娘の結婚式では、義父にバージンロードを取られた」。ケイトは、「あなたの勝ちね」と受ける。このやり取りが、何とも良い感じなのである。
 人生には、色んな挫折が多い。しかし、その挫折に恐怖を感じ、それ以上に踏み出さないで臆病になっていることは、もっと不幸である。この作品では、そんな臆病者たちに、明るく、そして、たくましくエールを送る。この作品を観ている内に、自分もやってやろうと言う気持ちが、ふつふつと沸いてくるのである。

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