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面白い解説「江戸の人気浮世絵師」(幻冬舎)

2012年08月28日 23時10分15秒 | Weblog

 江戸時代の庶民の娯楽と言ったら、どんなものを想像するだろうか?人形浄瑠璃、歌舞伎、落語、見世物、草双紙・洒落本・読本・滑稽本・人情本・咄本・狂歌本などの読み物、丁半・花札・双六・相撲・囲碁将棋、隅田川花火大会等、現代にも通じる多くの娯楽が形成された。中でも、海外からも非常に注目されているものがあった。それは、「浮世絵」である。この浮世絵も、時代によってしっかりしたものが形成されていったのであるが、現存している浮世絵は、今見ても、非常に個性的で、色使いといい、非常に優れたものであると思われる。この浮世絵は、巨匠・ゴッホも相当に注目していたようである。
 この浮世絵について、著名な絵師15人を当時の具体的な作品と残された文献等で、俗世間的に解説した面白い本が「江戸の人気浮世絵師ー俗とアートを究めた15人ー」(幻冬舎)という内藤正人が著作した本である。この本は、これまでの絵師の解説のみならず、当時の世相や背景、庶民の動向等を網羅的に捉えて、できるだけ当時の風評に近い形で解説しているところが面白い。

 
江戸文化の華、浮世絵。
今でこそ芸術的評価も高いが、当時は庶民の娯楽。
絵師の給料は安く、副業として描くのは当たり前、春画で生活をしのいだ者も多い。
それでも描きたい絵師たちは、売れるために、「風俗の最先端」を追い求めた。
その影響力は大きく、幕府から処罰を受けた絵師もいる。
本書では、ブランディングに成功した師宣、万物を描き尽くした超人・北斎、体臭も漂うような妖艶美人画を描いた英泉など、大胆に15人を選出。
華やかな浮世絵の背後で繰り広げられた、絵師たちのスキャンダラスな人間ドラマを描いている。

目次
菱川師宣―落款を入れるブランド浮世絵師/奥村政―版元も兼業した知略家/西川祐信―都のはんなり美人の衝撃が江戸に/鈴木春信―カラー版画の革命児/北尾重政―挿絵大好きの異端児/勝川春章―大名パトロンを抱えた人気者/鳥居清長―役者絵界からの逆襲/喜多川歌麿―浮世絵美人画の代名詞/鳥文斎栄之―旗本絵師の酔狂が、歌麿美人画のライバルに!/東洲斎写楽―一瞬の煌きを残して去った、浮世絵界随一の謎/歌川豊国―役者絵・美人画・死角のない安定派/葛飾北斎―万物を描き尽くす画狂人/渓斎英泉―幕末退廃美の極み/歌川広重―風景版画の開拓と定着/歌川国芳―面白浮世絵なんでもござれ