何年振りになるのかよく思い出せないが、久しぶりに日田彦山線に乗って田川に行った。近所の城野駅から電車に乗り込み、線路脇の土手や田んぼのあぜ道に咲き乱れる真っ赤な彼岸花を眺めながら40分ほど揺られる。電車の車窓から日本セメント香春工場とその後ろにそびえ立つ香春岳を眺めた時には妙に懐かしさがこみ上げてきた。やっぱりインパクト強いな。香春岳は。
田川伊田駅で下車し、用事を済ませた後、田川市石炭資料館に行くがあいにく休館日。資料館前の広場には、炭鉱事故で犠牲になった炭鉱員の方々を唄で慰める炭坑節モニュメントがある。田川伊田はあの「炭坑節」発祥の地。すぐそばにはかつての竪抗跡もあり、炭鉱節の歌詞に出てくる煙突も資料館の裏に立っている。モニュメントはボタ山をイメージしたもので、地上と地下にそれぞれスピーカーがついていて両方に向けて炭坑節が流れる。唄で鎮魂。その考えに深く賛同。歌詞には、「香春岳から見下ろせば」とあるが、ここではその反対、煙突のある方から逆に香春岳を見ながら曲を聴くことになる。
曇り空のはっきりとしない天気の下、炭坑節が流れると、古い録音なのか、とても懐かしくも暖かい感じがして、その場が何とも言えず良い空気に満たされた。この曲もまた特別な力を持っている。そう感じた。
実は小倉からは地理的にすごく近いけど、田川のことは意外と知らなかったりする。今回、久々に訪れて田川の歴史を知りたくなった。次回は石炭資料館の開館日に来よう(ちゃんと調べて)。で、その前に炭坑節のCDを買って予習しよっと。いい唄だ。