田舎に暮らしていると「集落共同作業」というものがある。
道路の草刈やゴミ拾い、地区の運動場の整備や河川清掃などに、一年に7~8回は借り出されて無料奉仕をする。もちろん各戸1名実質的絶対参加。
もし仮にそれに参加しなかったらどうなるか・・・・・うぅっ!考えるだに恐ろしい。その事実はその日の午前中にはJAの運営する有線電話を伝わって集落中に広まり・・・。
いや、その先はあえてノーコメント。現実には未だかつて参加を意図的にポイコットした家は無いので、それがどのような結果に繋がるかは実際のところ誰も知らない。
今日は会館掃除の日だった。
我が集落には「会館」という集落寄り合い所があって、共同管理されている。今朝は全員5:00集合。1年に1度の会館大掃除を行う。
私は毎朝のとおりスヌーピー(犬)の紐を引っ張り、そしてこれもいつものとおり、ミーコ(猫です!)が私たちの周りを行ったり来たりして、朝の農道を散歩がてら会館へと向かった。
するとこれもまたいつものことながら、既にみんなは来ており今しも掃除に取り掛かるところだった。ちなみに私が着いたのは定刻の10分前である。
私が掃除に参加している間、スヌーピーは木に繋いだ。ミーコはというと、不満そうな顔をしながらその近くに蹲っていた。スヌーピーはともかく、ミーコはいつもと違った散歩の展開に少々警戒気味。
いつもなら田んぼの水を見に行って帰って来るだけだけれど、何だか今日は様子が違う。人がたくさんいるし、猫家の主は私たちをほっぽって建物の中に入って行って何かしている、とでも言いたげな様子である。
会館の掃除は1時間ほどかかった。ミーコには始まる前に帰っていいよ、とは言っておいたけど、彼女は掃除の間中じっとひとところに蹲って待っていた。
なかなか掃除が終わらないのを見て、突然ミャアオォと大声で鳴き出した時もあった。言っていることははっきりしている。早く帰ろう、というのである。
そうは言っても共同作業。私ひとり抜けるわけにはいかない。なにしろ歩くのがやっとの隣りのお婆さんでさえ出て、タバコの吸殻を掃き集めたりしている。
ようやくのことで一区切りついたので、その後の井戸端会議は遠慮させていただいて、私だけ早く帰らせてもらうことにした。
したところ、案の定ミーコはまだ桜の木の下で待っていた。
同じ場所にじっとして、主の帰りを待つ。それを遠くで伺っていた集落のお婆さん方が、これから何と言いふらすのか、言わずとも目に見えるような気がした。
「忠猫ミーコ」!
恐らく2日と経たぬうちに、忠猫ミーコの名はこの集落中に広まるだろう。じっと主の帰りを待つ健気な猫。その他脚色付き。
これでもし、私が結核かエイズかで明日にでも死んでしまったら、ひと時に壮大なドラマが出来上がる。
「芦沢集落の誉れ、忠猫ミーコ、桜吹雪の下で今日も帰らぬ主を待つ!」
お婆さんたちの噂は有線電話を伝って地域を駆け巡り、まず地元有線放送がそれを聞きつけ番組を作る。
やがて噂は市長の知るところとなり、折しも地域の観光スポット開発に躍起となっている市としては、国からの補助金を活用して会館の前にミーコの銅像を建てようとするかもしれない。
そしてあぁ、みんなして田んぼや畑の中をミーコを追い回し始めるかもしれない。
そうなったら、猫家はもう猫たちにとって住みよい所とはならなくなるだろう。やがてみんな離散して・・・。
・・・・・・そうならないように、体には気をつけよう。
会館を出て私が「ミーコ」と呼ぶと、トトトッと小走りで駆けて後を追って来た。
またスヌーピーと3人で、野原の道を家路につく。
この田舎では例え猫でもビック・ニュースの種となる。
猫も歩けば、銅像が建つかもしれない、のである。
【写真はごきげんミーコ。】
道路の草刈やゴミ拾い、地区の運動場の整備や河川清掃などに、一年に7~8回は借り出されて無料奉仕をする。もちろん各戸1名実質的絶対参加。
もし仮にそれに参加しなかったらどうなるか・・・・・うぅっ!考えるだに恐ろしい。その事実はその日の午前中にはJAの運営する有線電話を伝わって集落中に広まり・・・。
いや、その先はあえてノーコメント。現実には未だかつて参加を意図的にポイコットした家は無いので、それがどのような結果に繋がるかは実際のところ誰も知らない。
今日は会館掃除の日だった。
我が集落には「会館」という集落寄り合い所があって、共同管理されている。今朝は全員5:00集合。1年に1度の会館大掃除を行う。
私は毎朝のとおりスヌーピー(犬)の紐を引っ張り、そしてこれもいつものとおり、ミーコ(猫です!)が私たちの周りを行ったり来たりして、朝の農道を散歩がてら会館へと向かった。
するとこれもまたいつものことながら、既にみんなは来ており今しも掃除に取り掛かるところだった。ちなみに私が着いたのは定刻の10分前である。
私が掃除に参加している間、スヌーピーは木に繋いだ。ミーコはというと、不満そうな顔をしながらその近くに蹲っていた。スヌーピーはともかく、ミーコはいつもと違った散歩の展開に少々警戒気味。
いつもなら田んぼの水を見に行って帰って来るだけだけれど、何だか今日は様子が違う。人がたくさんいるし、猫家の主は私たちをほっぽって建物の中に入って行って何かしている、とでも言いたげな様子である。
会館の掃除は1時間ほどかかった。ミーコには始まる前に帰っていいよ、とは言っておいたけど、彼女は掃除の間中じっとひとところに蹲って待っていた。
なかなか掃除が終わらないのを見て、突然ミャアオォと大声で鳴き出した時もあった。言っていることははっきりしている。早く帰ろう、というのである。
そうは言っても共同作業。私ひとり抜けるわけにはいかない。なにしろ歩くのがやっとの隣りのお婆さんでさえ出て、タバコの吸殻を掃き集めたりしている。
ようやくのことで一区切りついたので、その後の井戸端会議は遠慮させていただいて、私だけ早く帰らせてもらうことにした。
したところ、案の定ミーコはまだ桜の木の下で待っていた。
同じ場所にじっとして、主の帰りを待つ。それを遠くで伺っていた集落のお婆さん方が、これから何と言いふらすのか、言わずとも目に見えるような気がした。
「忠猫ミーコ」!
恐らく2日と経たぬうちに、忠猫ミーコの名はこの集落中に広まるだろう。じっと主の帰りを待つ健気な猫。その他脚色付き。
これでもし、私が結核かエイズかで明日にでも死んでしまったら、ひと時に壮大なドラマが出来上がる。
「芦沢集落の誉れ、忠猫ミーコ、桜吹雪の下で今日も帰らぬ主を待つ!」
お婆さんたちの噂は有線電話を伝って地域を駆け巡り、まず地元有線放送がそれを聞きつけ番組を作る。
やがて噂は市長の知るところとなり、折しも地域の観光スポット開発に躍起となっている市としては、国からの補助金を活用して会館の前にミーコの銅像を建てようとするかもしれない。
そしてあぁ、みんなして田んぼや畑の中をミーコを追い回し始めるかもしれない。
そうなったら、猫家はもう猫たちにとって住みよい所とはならなくなるだろう。やがてみんな離散して・・・。
・・・・・・そうならないように、体には気をつけよう。
会館を出て私が「ミーコ」と呼ぶと、トトトッと小走りで駆けて後を追って来た。
またスヌーピーと3人で、野原の道を家路につく。
この田舎では例え猫でもビック・ニュースの種となる。
猫も歩けば、銅像が建つかもしれない、のである。
【写真はごきげんミーコ。】
猫と一緒にいるときがあって、お互い本当に良かったですね。
おかげさまで、ミーコもマスキーも元気です。
今日はなぜかレオが妙に甘えて、玄関のところで私が通るたびにゴロニャンしてます。
はい、もちろん猫家の他のメンバーにもよろしく伝えます。
そちらも身体に気をつけて、元気でいてください。