時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

EUが2020年までに温室効果ガス20%削減を決定

2007年03月11日 | 環境・食料問題
EUが、2020年までに1990年の温室効果ガスの排出水準から20%削減することを決定した。
画期的な決定であり、心から歓迎したい。
地球の温暖化は、マスコミでも随分と話題になっており、多くの国民が将来の地球環境に大いに関心を持っていることだろう。
しかし、だからと言って、個々人が積極的に省エネや環境問題の解決のために積極的に行動しているかと問われると、多くの国民は具体的な行動をとっていない。
なぜなら、多くの国民は、将来の地球環境のことよりも現在の自分の生活を考えるのに多くの時間を費やさざるをえないからである。「わかっちゃいるけどやめられない」というのが現実の姿だろう。
編集長の家では、環境問題には関心があり、ゴミの減量化や徹底した分別はもちろんのこと、買い物の際のレジ袋持参、不用品のバザーへの出品、ネットオークションへの出品など、リデュース、リサイクル、リユースを心がけており、一般の家庭に比べれば、相当の努力をしている。しかし、それでも暮らしの中での無駄の多さに辟易としている。また、居住するマンションのゴミ置き場の分別の悪さ、近隣のゴミのポイ捨てや粗大ゴミの放置などを目の当たりにすると、わが家の努力が空しくなり、この程度のことでは地球的規模の環境破壊には、到底無力であるように感じられる。むろん、努力しないよりした方が良いには違いないが、やはり、国を挙げて、環境問題への取り組みを強化しなければ、地球的な環境問題は解決できないと痛切に感じている。
京都議定書で決められた日本の温室効果ガスの削減目標は、わずか6%であるが、現在のところは削減どころか、8%も増やし続けているのが現状である。EUが真剣に温暖化を議論し、大幅な削減目標を掲げているなかで、日本は、口先では京都議定書を主導したと自慢しているが、実態はこの有様だ。それどころか、発展途上国から二酸化炭素の排出権を購入して、相変わらずの環境破壊を行っているのである。また、アメリカは未だに京都議定書を批准していない。
同じ先進資本主義国でありながら、アメリカと日本は多くの科学者たちが警鐘を鳴らしているこの問題にずっと背を向け続けているのである。
このような中での今回のEUの決定である。
1990年の水準から20%削減ということなので、それでも大量の温室効果ガスが発生し、大量の化石燃料が消費されることになるが、国を挙げて、風力、太陽熱などのクリーンエネルギーの開発などに取り組むという姿勢は高く評価されてしかるべきである。また、EU加盟国も今回の合意に基づいて、各国が法律などによって、企業や一般家庭への規制の強化なども行われることだろう。
日本は、開発力に優れ、環境問題についての研究も進んでいる。こういう優れた技術が国の政策として役立てられるよう、大胆な政策転換を図るべきである。

男性非正社員の結婚の割合は正社員の4割

2007年03月09日 | 格差社会
非正社員の男性が結婚する割合は正社員の4割――こんな実態が7日、厚生労働省の調査で判明したとの報道があった。
また、既婚者について、子どもがいる割合を妻の仕事別にみると、非正社員は正社員の半分だった。非正規労働が増えるなかで、雇用や経済基盤の不安定さが結婚や出産を阻む原因の一つとなっていることが、改めて浮き彫りになったと記事は伝えている。
この調査は、2002年10月末時点で20~34歳だった男女を対象に、同年から毎年同じ回答者を追跡調査している「21世紀成年者縦断調査」で今回が4回目だそうだ。約1万9千人の回答を集計したという。
1回目の調査で独身だった正社員男性のうち、これまでに結婚したのは15%だったのに対し、非正社員は6%にとどまり、2.5倍の格差。無職は4%だった。結婚した女性の割合は、正規、非正規、無職で大きな差はなかった。
「結婚したい」と考えている独身者は、男性の場合は正社員69%、非正社員50%、女性では正社員73%、非正社員63%であり、男女ともに正社員の方が結婚希望の割合が高かった。
妻の仕事別に子どもが生まれた割合をみると、正社員の場合は33%で、非正社員の16%を大きく上回った。専業主婦は31%だった。厚労省は「正社員なら育児休業を活用しやすいなどの状況が影響している可能性がある」との見解を発表している。
本紙でも1月17日付「少子化と人口減少」の記事の中で書いたことだが、家庭の経済的な基盤が、結婚や出産に与えている現状を指摘しておいたが、今回の結果はそれを裏づける調査結果である。
全労働者の3分の1が非正規雇用者という状況では、出産、子育てどころか、結婚さえままならないという現状が今回の結果で浮き彫りになった。
厚生労働省は、労働、雇用問題だけでなく、少子化問題に責任を負う官庁である。今回の結果を今後の立法や行政指導にどのように役立てていくつもりなのだろう。
大企業で蔓延している偽装請負の取り締まりはもとより、派遣社員の待遇改善、最低賃金の引き上げ、サービス残業の禁止など、やる気さえあればすぐにでも解決できることは多い。
今回の調査結果を本当に活かすのであれば、こういう諸点について直ちに是正措置を講じるべきではあるまいか。

バイオ燃料のゆくえ

2007年03月08日 | 環境・食料問題
バイオ燃料とは植物などからできるエタノールやメタノールなどをいうそうだ。
植物というのは、太陽エネルギーを受けて成長し、その過程で空気中の二酸化炭素を吸収する。これを利用して作ったエタノールなどを燃やせば、植物が吸収した分の二酸化炭素は排出されるが、その分は、また翌年に栽培、成長する植物が吸収するという仕組みなので、環境への負荷が少ないと期待されているわけだ。
なるほど、建築の廃材、街路樹や森林の間伐材、利用価値の低い雑草など、今までは燃やして廃棄していたことに比べれば、これらを利用する限りにおいては、環境や人類にもやさしい燃料と言えるかもしれない。しかし、サトウキビや小麦、とうもろこしなど、本来は人や家畜の食料とすべきものを自動車などの燃料として加工するのはいかがなものだろうか。
世界中には、飢餓に苦しむ人が8億人いると言われている。こういう人たちの存在を尻目に、食料にすべき穀物などを自動車などの燃料にして暮らす必要があるのだろうか?
そこまでして、人間は便利な生活にしがみつきたいのだろうか。
バイオ燃料は、現在の化石燃料の消費と比べれば、環境にとっては多少はマシな対策かもしれないが、大本から生活スタイルを変えない限り、現在人類が直面している大規模な環境破壊には太刀打ちできないのではないかと思われる。
それよりも、バスなどの身近な公共交通機関を大胆に整備し、ラッシュ時には山手線並みの運行間隔で移動を可能にし、乗客が少ない時には燃料の消費が少ないマイクロバスやワゴン車を運行するなど、少し工夫すれば車社会からの脱却は可能なのではないだろうか。
また、深夜まで煌々とネオンを点ける必要はないと思われる。オイルショック時のように、最小限度の照明にすればよいのではなかろうか。
企業でも、煌々と明かりの点いた広いフロアにたった数人が残業しているというような状況を解決すれば、経費削減効果も大きいだろう。
姑息な手段ではなく、大胆な生活スタイルの変更が求められていると感ずるのは、編集長だけではあるまい。

「物権法」が制定されたら中国が資本主義国に?

2007年03月06日 | 政治問題
私有財産の保護を明記した「物権法」が中国の全国人民代表大会(全人代)で焦点になっている。
この法律の採択によって「社会主義と決別か」などと報じられているが、これはあまりにもレベルの低い報道内容であろう。
中国国内においても、この法律ができると資本主義化が加速される、社会主義国家としての存在意義が問われるなどという強い反発が出ており、保守派勢力は「同法は憲法違反」として反対要望書をインターネット上に発表したという。
すでに中国は、2004年に憲法を改正して「合法な私有財産」は不可侵とする方針転換を行っている。これは、資本主義社会であれ、社会主義社会であれ、近代国家として当たり前のことだ。
物権法はこれを具体的に進めるための法律であり、採決は国民からも望まれていることではなかろうか。
さて、マスコミでは、これが採択されれば、社会主義の看板のもとに資本主義化を進めた改革開放路線から資本主義への傾斜がさらに強まり、事実上、社会主義の看板も下ろすことになるとの指摘もある。
しかし、これはとんでもない勘違いだ。
資本主義と社会主義の根本的な違いは、生産手段(生産のために土地、建物、原材料など)を誰が所有しているのか、だれがそれを管理しているのかという点である。
資本主義社会では、ごく一握りの資本家が生産手段を所有しているのに対して、社会主義社会では、生産手段の社会化が行われなければならない。
さて、この「生産手段の社会化」という言葉の解釈がそれほど単純ではないのだ。
失敗した方法であるが、旧ソ連のように、文字通り国有化あるいは協同組合化するというやり方も1つの方法であろう。しかし、もっと多様な方法が模索されるべきであろう。
資本主義の悪い点は、生産手段を所有し、経済的にも社会的にも格段の力を持っている一部の資本家が、種々のデータの捏造、法律違反の「偽装請負」、談合などによる価格の吊り上げ、有害物質や廃液の垂れ流しなどの公害の発生、サービス残業の強要、過労死など種々の問題を引き起こしていることだ。
また、政府がこれらを十分に取り締まらないばかりか、逆に法人税を安くし、様々な特権を与えているのが資本主義社会の特徴である。
したがって、こういう違法行為を取り締まる法律を作り、あるいは強化し、国民が資本家を社会的に監視することによっても、生産手段を国民の立場で動かすことができるようになるだろう。今までのように、生産手段を持っているのは資本家だから、何をやっても良いというやり方に歯止めをかけることができるはずだ。
中国は、旧ソ連の「社会化」のやり方の誤りから学んで新しい形で、社会主義の建設に向かおうとしているのではないかと思われる。
これに対して、物権法に反対する保守派と言われるグループは、中国の社会主義経済制度の基礎は「全民所有制」にあるとし、「社会主義の公共財産は神聖にして不可侵」と規定する憲法に違反すると主張しているらしい。
「全民所有制」とは一体何だろう。私のお茶碗は、全国民のものということだろうか。しかし、これほど気味の悪いことはない。
公共財産は公共財産であり、私有財産は私有財産である。これを区別することと、資本主義、社会主義という社会体制とはまったく異なる次元の話だ。
資本家に対して、生産手段の所有の権利を認めながら、法律あるいは社会的な監視によってこれをコントロールするという中国の壮大な実験がどのような結末を迎えるのか、注目したい。
また、共産党による一党支配にいつ終止符を打ち、他党の存在を法的に認めるようになるのかについても、注目したいと思っている。

浅野氏で都政は変えられるのか

2007年03月05日 | 政治問題
「改革派」知事と言われている前宮城県知事の浅野史郎氏が、都知事選挙に立候補するという。
彼が都知事になると、本当に都政は変わるのだろうか?
一般に談合や汚職事件で騒がれた保守系知事の後に、住民の期待を担って当選した知事のことを「改革派」知事と呼ぶ場合が多い。
では、浅野知事は、宮城県知事としてどういう政策を実現してきたのだろうか?
汚職・腐敗をなくすために、情報公開を進め、県警の報奨費の明朗化などの功績は認められる。少なくとも、それ以前の県知事に比べれば少しはマシなことを行ってきた。
しかし、石原知事からも批判されているように、彼は3期12年の間に、7000億円あった県の借金を2倍の1兆4000億円にまで増やしている。バルブ崩壊後の経済の停滞時期という悪条件もあったと思われるが、ずさんな県政運営を行ってきた宮城県の歴代知事が長年にわたって作り上げた7000億円の借金をたった3期で2倍にまで増やしていることは大いに問題がある。その原因は、港湾事業への3000億円の投入をはじめ、仙台空港へのアクセス鉄道などの大型開発をそのまま続けてきたからである。
さらに、「福祉日本一をめざす」と言っていた彼自身が「宮城の恥部」とまで述べてきた救急医療の遅れについては、12年経ってもまったく解決することができず、仙台市から一歩外に出ると、小児科、産婦人科だけでなく、日常診療にも事欠くような医療僻地が広がった。
いま、各自治体で最も大きな問題になっているのは、税金の使い道だ。
多くの地方自治体は、バブル崩壊後も高速道路や空港、港湾施設、鉄道、テーマパーク作りなどの大型開発に湯水のように税金をつぎ込み、しかもそこは官製あるいは企業談合の巣窟となり、価格の吊り上げが行われ、利権がらみの政治が横行していることだ。
夕張市の破綻も、同じ構図である。どの自治体も抱えている「大型開発」病だ。
その一方で、住民サービスの切捨てや負担の増加が行われているのが、いま地方自治体が抱えている最大の問題なのだ。
限られた収入をやりくりし、不要不急の大型開発を後回しにして、住民生活の安定を政治の根本に据える政治に転換することが地方自治体が真っ先に取り組むべきことである。
そのような人物が東京都の知事になって、一体何をしようとしているのだろうか?
臨海開発やオリンピック招致、築地市場の移転問題、環状道路建設、高尾山へのトンネル工事など、東京の大型開発をどうしようとしているのか、その政策は見えない。
税金私物化の石原知事よりは、少しはマシな政治になるかもしれないが、彼の宮城での「実績」を見ると、あまり期待できそうにないのが実情ではなかろうか。

自治体が偽装請負

2007年03月04日 | 格差社会
全労働者の3分の1が派遣などの非正規雇用と言われる中、地方自治体が違法な「偽装請負」を行っていたことが判明している。
京都の京丹後市では、転籍、再雇用した元非常勤職員などを給食調理や学校用務などに派遣する請負会社を設立し、派遣事業の認可が下りる以前から、職員の募集、採用を計画し、京都労働局から派遣法違反で指導を受けているにもかかわらず中止せず、再び指導を受けるなどの問題になっている。
出資者も、派遣先もすべて自治体という、派遣法が禁じている特定企業への派遣を目的とした違法行為である。
兵庫県篠山市でも、市が100%出資する請負会社をつくり、図書館や学校に勤務する非常勤職員として派遣していた。
請負の場合は、請負会社が直接、業務に関する命令を出さなければならないが、実態は市の職員が業務を命ずる偽装請負であることが判明しており、兵庫労働局も是正を指導する事態になっている。
非正規雇用が広がり、それによってワーキングプアといわれる貧困層が増加する中、本来、法律を遵守し、住民の生活や安全を守るべき自治体がこのような「偽装請負」を公然と行っていたことはとんでもないことである。
派遣される労働者は、請負会社に給料をピンはねされ、収入は確実に低下する。そして、請負会社には、自治体の幹部が役員などとして天下りし、甘い汁を吸う構造になっているのである。
小泉流の「構造改革」によって、「民間にできることは民間に」という安易な経費削減、民間委託が進められてきたが、結果、切り捨てられたのは職員の給与や住民への直接的なサービスであった。
いま、全国の企業に派遣や請負などの非正規雇用が広がる中、地方自治体は率先してこのような業態を排除し、雇用の安定化、住民サービスの向上のために努力すべきである。

意外と静かな宮崎県議会

2007年03月03日 | 政治問題
宮崎県に、そのまんま東こと、東国原知事が誕生して、県議会が開催されているようだが、議場は予想以上に静かである。
ご承知のとおり、県議会は「オール野党」のため、かなり混乱するのではないかというのが一般的な見方だったため、この静けさは予想外である。
知事が、慎重に対応しているせいもあるが、その原因は、マスコミと県民の注目である。
一般に、地方自治体の議会(国会もそうであるが)では、野党の質問に対して与党席から聞くに堪えないようなヤジや怒号が浴びせられるのが普通である。時には、傍聴者に対しても怒号が飛ぶことも多い。
また、質問する議員に対してヤジを飛ばす首長さえいる。
しかし、宮崎県議会を見ると、知事も議会も整然としている。
その原因は、マスコミによる取材やテレビ中継、傍聴席を埋める多くの県民の監視があるからである。
一地方議会の様子は、いまや全国から注目され、全テレビを通じて国中に放映される。そのような舞台では、普段は行儀の悪い議員もさすがに口汚いヤジを飛ばすわけにもいかない。そのような行為は、直ちに次回の当選を危うくするからである。
東国原知事の手腕は未知数であるが、マスコミや県民の監視があれば、県民世論が反映した政策が実行されることになるだろう。逆に、国民や県民が監視を怠ると、談合は当たり前の醜い県政に逆戻りする可能性が高い。
当たり前のことだが、国会でも、地方議会でも、有権者の関心、監視が政治をまともな方向に変えていく大きな力になるのである。
宮崎県議会は、そのことを多くの国民に教えてくれた。
このことが、東国原知事誕生の最大の功績ではなかろうか。

急増する金属窃盗事件

2007年03月02日 | 社会問題
最近、金属窃盗事件が多発している。
数年前から、アルミ製の民家の門扉が盗難に遭う事件があったが、最近は、道路の側溝のフタ、駐車場などのステンレス製の車止め、半鐘はもちろんのこと、夜間の警備が手薄な工場や工事現場などに放置されている資材や鉄板なども対象になっている。先日のニュースでは、お墓に常備されているステンレス製の線香入れの容器が根こそぎ盗まれたと報じられていた。驚くばかりである。
これらの背景には、中国などでの鉄、非鉄金属の需要が高まり、価格が高騰していることが背景にあると報じられているが、単純にそれだけでは説明できないだろう。
以前にも、高度成長期には金属が高騰した時期があったが、今回のように、公共物を大量に持ち去るなどの悪質な窃盗事件はなかったのではないかと思われる。
こういう窃盗事件が増えている最も大きな理由は、やはり貧困化だろう。
生活保護基準以下の収入しか得られない世帯、ワーキングプアの急増、貯蓄ゼロ世帯が20%というのが今日の家計状況である。職を失い、蓄えもなく、まだ働ける年齢で生活保護さえ受給できなければ、生活に行き詰まった場合は、「他人の物を奪うか、自殺あるいは餓死するしか方法は残されていない」と本紙の記事の中に書いておいたが、いま、こういう金属窃盗事件をみると、まさに他人の物を盗むしか生きる方法がなくなっていることの反映ではなかろうか。
もう一つは、手っ取り早くお金を得る方法の一つとして、窃盗が行われていることである。最近の拝金主義の弊害についても本紙でたびたび取り上げてきたが、地道に汗を流して働くというこことをばかばかしいとするような社会の風潮がこの背景にあることは確実だ。盗む側も、そして、おそらくそれらを盗品と知りつつ買い取る側も、手っ取り早くお金を稼ぐ方法として、何のためらいもなく、こういう行為に手を染めていると思われる。
苦労はあるが、汗水流して働けば、それなりの生活を送ることができた時代は、過去のものになりつつある。こういう現代社会のあり方にこそ、根本の問題が存在するように感じられる。
いくら働いても貧困から脱却できないワーキングプア、青年労働者の3分の1を占める非正規雇用など、夢や希望を持てない社会の中で、行き着く所は、犯罪行為しかないのだろうか?
こういう事件の背景をもっと掘り下げて報道して欲しいと思っている。

タミフル服用後の異常行動

2007年03月01日 | 医療・社会保障
2月27日の深夜に、仙台の11階マンションに住む中学2年の男子生徒(14)が「トイレに行く」と言って、玄関を出て廊下の手すりを越えて飛び降りて死亡した。この生徒はインフルエンザ治療薬「タミフル」を服用していたという。
タミフルを服用後、異常な行動を起こして未成年者が死亡するケースが相次いでいる。
16日にも愛知県でタミフルを服用したとみられる中学2年の女子生徒(14)が転落死している。
遺族らでつくる「薬害タミフル脳症被害者の会」の代表は、17歳だった長男が2004年にタミフル服用直後に自宅から国道に飛び出して交通事故で死亡した。2005年に愛知県でマンションから転落死した14歳の少年と2006年に沖縄県のマンションから転落死した12歳の少年も含め「副作用による異常行動だ」と主張している。
これに対して、厚生労働省はタミフルとの因果関係に否定的だ。
厚労省の研究班は、昨年11月に約2800人を対象にした調査で「タミフル服用の有無によって異常行動などのあらわれ方に差はない」との結果を公表した。
しかしながら、年間何万例にも処方される薬剤について、わずか2800人を調査して異常行動とタミフルの服用の有無に差がないと結論づけることができるのだろうか?数万人に1人の割合で起きる副作用を、数千人の調査で明らかにできるとは思われない。
インフルエンザを罹っているが、タミフルを服用していない中高生が、マンションなどから飛び降りたという記事は、まったく見た記憶がない。インフルエンザに罹っている患者で、マンションから飛び降りたり、突然に外に飛び出したりする患者というのは、年間に何名くらいいるのだろうか?ほとんどいないのではなかろうか。
いずれにせよ、インフルエンザの流行時期を迎え、「因果関係が証明されていなくても、医師は投与の際に注意喚起をしてほしい。親は服用した子供から目を離さないで。」と被害者の会の人たちは訴えている。もっともな主張であると思われる。
中高生などの若年者に対しては、服用後は、家族などが目を離さないようにするなどの注意を行うことは、当面打つべき対策として重要ではないかと思われる。