時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

浅野氏で都政は変えられるのか

2007年03月05日 | 政治問題
「改革派」知事と言われている前宮城県知事の浅野史郎氏が、都知事選挙に立候補するという。
彼が都知事になると、本当に都政は変わるのだろうか?
一般に談合や汚職事件で騒がれた保守系知事の後に、住民の期待を担って当選した知事のことを「改革派」知事と呼ぶ場合が多い。
では、浅野知事は、宮城県知事としてどういう政策を実現してきたのだろうか?
汚職・腐敗をなくすために、情報公開を進め、県警の報奨費の明朗化などの功績は認められる。少なくとも、それ以前の県知事に比べれば少しはマシなことを行ってきた。
しかし、石原知事からも批判されているように、彼は3期12年の間に、7000億円あった県の借金を2倍の1兆4000億円にまで増やしている。バルブ崩壊後の経済の停滞時期という悪条件もあったと思われるが、ずさんな県政運営を行ってきた宮城県の歴代知事が長年にわたって作り上げた7000億円の借金をたった3期で2倍にまで増やしていることは大いに問題がある。その原因は、港湾事業への3000億円の投入をはじめ、仙台空港へのアクセス鉄道などの大型開発をそのまま続けてきたからである。
さらに、「福祉日本一をめざす」と言っていた彼自身が「宮城の恥部」とまで述べてきた救急医療の遅れについては、12年経ってもまったく解決することができず、仙台市から一歩外に出ると、小児科、産婦人科だけでなく、日常診療にも事欠くような医療僻地が広がった。
いま、各自治体で最も大きな問題になっているのは、税金の使い道だ。
多くの地方自治体は、バブル崩壊後も高速道路や空港、港湾施設、鉄道、テーマパーク作りなどの大型開発に湯水のように税金をつぎ込み、しかもそこは官製あるいは企業談合の巣窟となり、価格の吊り上げが行われ、利権がらみの政治が横行していることだ。
夕張市の破綻も、同じ構図である。どの自治体も抱えている「大型開発」病だ。
その一方で、住民サービスの切捨てや負担の増加が行われているのが、いま地方自治体が抱えている最大の問題なのだ。
限られた収入をやりくりし、不要不急の大型開発を後回しにして、住民生活の安定を政治の根本に据える政治に転換することが地方自治体が真っ先に取り組むべきことである。
そのような人物が東京都の知事になって、一体何をしようとしているのだろうか?
臨海開発やオリンピック招致、築地市場の移転問題、環状道路建設、高尾山へのトンネル工事など、東京の大型開発をどうしようとしているのか、その政策は見えない。
税金私物化の石原知事よりは、少しはマシな政治になるかもしれないが、彼の宮城での「実績」を見ると、あまり期待できそうにないのが実情ではなかろうか。