時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

田中角栄の亡霊

2008年12月30日 | 政治問題
麻生太郎内閣の支持率低下が顕著になるなか、「平民宰相」「今太閤」の異名をとった田中角栄が、にわかにクローズアップされているという。
雑誌やテレビが相次いで田中元首相を取り上げ、存命ならどんな政策を打ち出すかと特集を組んだ。不況や雇用不安が続く現状を踏まえ、改めて田中角栄の手法に学ぶ視点だ。一方、清濁併せのんだ“昭和のカリスマ”の再評価を懸念する声もあるという。
「いまこそ田中角栄流」「角栄政治にヒントがあった」。最近の雑誌に、相次いでこんな見出しが躍った。「週刊ポスト」では田中元首相が蔵相時代の政策を例に挙げ、現在の不況対策としても通用すると提言。隔週誌「SAPIO」では計27ページを割いて特集、TBSでも情報番組で「静かなブーム」と題し、田中元首相を取り上げた。
定額給付金をめぐるバカ騒ぎで、経済政策として、より実効性のあるものを求める声が多く、インパクトのある政策をとった首相をさかのぼると、田中角栄が浮かんだということらしい。
しかし、同じ自民党という土俵上にいた人間が、果たして、現在の金融危機に対して有効な手段を講じることができるだろうか?
赤字国債を大増発して、高速道路や空港などをあちこちに作って、失業者を吸収するぐらいが関の山ではなかろうか?
その程度の経済対策しか考えられないのが、自公政権の頭脳の中身である。
しかし、彼らのその貧弱な頭脳でも、「定額給付金」の愚かさには気づいているようだ。気づいているからこそ、どうせ2兆円も使うのだったら、より有効な景気刺激策があるのではないか、と考え始めているのだろう。
同じ自民党型の政治、古い田中角栄の亡霊などを持ち出しても、この不況を解決することはできない。
自民党型でない思い切った政策転換、たとえば、米軍への思いやり予算を含む年間5兆円にも及ぶ軍事費の大幅削減、法人税率の引き上げなど、庶民の懐を温める政策を実現しないかぎり、この危機を乗り切ることはできないだろう。