時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

連合:このお粗末なナショナルセンター

2008年12月21日 | 政治問題
2009年春闘をめぐり、年明け以降に本格化する労使交渉は難航が必至だと言われている。
連合は8年ぶりのベースアップ要求を掲げるが、今秋以降、世界的な景気後退が急速に進み、企業は生き残りを懸けたリストラを進めている。労働者は賃上げどころか雇用自体が失われかねない厳しい状況に追い込まれている。労組側は生活防衛を掲げ、業界間の連携も強めつつ賃上げ獲得を目指す戦略だが、守勢に回る局面が増えそうだ、と報じられている。
しかし、本当にそうだろうか?
大企業が、バブル期を上回るほどの利益を上げてきたこの7、8年間、ベースアップをまったく要求してこずに、今頃になって、ベースアップを要求する連合のバカさ加減に驚くほかはない。
もちろん、輸出大企業は、内部留保をしっかり溜め込んでいる。自動車10社だけで23兆円もの内部留保があるので、今後10年間くらい毎年ベースアップをしても大丈夫なくらいの体力は十分にある。
しかし、この8年間、ベースアップを要求してこなかったという理由はいったい何なのだろう?まったく理解できない。
以前にも書いたが、この10年くらいの好景気は「リストラ景気」とも呼ばれているほどで、正社員の給与の据え置き、正社員のリストラ、正社員の非正社員への置き換えなどによって、人件費を徹底的に削って、企業はバブル期以上の利益を溜め込んできた。
こういう状況をみると、主に大企業の組合が加盟する連合が、ベースアップをせずに、企業に利益を保証してきた、内部留保の溜め込みを助けてきたという構図が浮かんでくる。
まったく、これでも「労働組合」なのかと疑いたくなる。
たたかう前から、「雇用か賃金かの二者択一を経営側に迫られると、賃上げ要求がしづらくなる」という幹部の声もあるという。
経営側は、「雇用の安定に努力」し、「賃上げは困難」などと主張しているが、とんでもないことだ。非正規雇用者を契約解除や雇い止めにしておいて、これほど大問題になっているではないか?これに加えて、賃上げさえも拒否しているのが経営者側の態度である。
こういう経営者に対して、「雇用も賃上げも」責任を持って行えと、切り返せばよいだけのことだ。
労働者の血肉を絞ってこの10年間溜め込んだ内部留保を吐き出せ、という要求は人間として当たり前の要求ではないか。
雇用と賃上げの両方を保証してこそ、国民の購買力を向上させ、それが結果的に、企業業績にも反映するという当たり前のことを堂々と主張すればよいではないか。経済学的にも、極めて筋の通った主張である。
それとも、2つのことを要求してはいけないという規則でもあるのだろうか?何か不都合なことでもあるのだろうか?
図体だけがでかくて、役立たずのナショナルセンター、哀れというほかはない。