時々新聞社

慌ただしい日々の合い間を縫って、感じたことを時々報告したいと思います

「道しるべになれば」:いすゞ藤沢工場の派遣労働者訴え

2008年12月11日 | 経済問題
「ほかの社員の道しるべになれば」。トラック大手のいすゞ自動車が派遣社員と期間従業員の計約1400人全員の契約打ち切り方針を打ち出していることを受け、同社の藤沢工場で働く派遣社員2人らが、厚生労働省で会見し全員の契約解除の撤回や社宅や寮居住者への退居勧告の撤回を訴えた。
派遣として工場の組み立てラインで働く男性(43歳)は、「多くの働き盛りの人が契約解除され、このまま放ってはおけないと思った。訴えでることで、他の社員らの道しるべになれば」と強調した。妻と子供4人の6人家族。6年前に購入した家のローン支払いにも支障が出てきたという。「妻には一緒に乗り越えようねって言われているが…。年がちゃんと越せるかどうか」と肩を落とした。
約3年間働いていた同県鎌倉市の男性(34歳)は「今は呆然としています。怒りをどこに向けていいかわかりません」と消え入りそうな声で話した。
2人を含む期間従業員と派遣社員計20人が、既存の労働組合に加盟。組合側は同社に対し、団体交渉を申し入れているという。
いすゞ自動車は藤沢、栃木(栃木県大平町)の両工場で働く期間従業員らへの契約を今月末に解除する方針を公表しており、栃木工場の期間従業員2人が、不当な解雇予告を受けたとして、解雇予告の効力停止などを求める仮処分を申し立てている。
「長いものには巻かれろ」ということわざもあり、多くの非正規雇用者が、今回のような契約解除を「仕方がない」ものと受け止めていることだろう。そのような中で、声を上げたこの男性社員には、心からの拍手を送りたい。
「一寸の虫にも五分の魂」というではないか。巨大自動車会社を相手に、思い切り戦って欲しいと思っている。
いすゞには、期間社員の首切りをしなければ「倒産」するといった切迫した状況は存在しない。あるのは、今後、売上げが減る可能性があるという推測だけである。
まったく不法な解雇というほかはない。
生産調整が必要としても、一度に期間社員を解雇する必要性はない。
まずは、経営者の報酬のカット、経費削減、株主への配当金のカットなどを真っ先に行うべきであろう。それでも足りなければ、操業時間や就業時間の短縮、それに伴う賃金の一部カットなど、段階的にできることもあるだろう。
そういう思考回路を持たずに、いきなり1400名の首切りというのはいかがなものだろうか。
報道によると、年内に200人の派遣社員を減らす日産ディーゼル工業の上尾工場でも、今月18日での契約打ち切りを通告された派遣労働者3人が「雇用と住まいをあきらめるな!」と書かれたビラを出勤する社員たちに配ったという。
これらの労働者の勇気ある行動が、全国で首切りに直面している多くの労働者の「道しるべ」になることを願っている。