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●そもそも東京電力に核発電所を稼働する能力、そして、倫理的に見てその資格はあるのか? 人災を被った福島を「原状回復」して見せてほしい

2024年04月26日 00時00分13秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2024年04月21日[日])
東京電力にも、原子力「推進」委員会にも、狂気しか感じない。よく恥ずかしげもなく、東京電力はアノ柏崎刈羽核発電所の再稼働したいなどと、口にできるものだ。「恥」の概念などないのかね? さっさと、福島を「原状回復」して見せてくれよ。

   『●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかったのか?
         なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…

 渡辺聖子荒井六貴両記者による、東京新聞の記事【核燃料セット、順調アピールするはずが…電源トラブルで16時間中断 柏崎刈羽原発7号機をメディアに公開】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/322119)。《東京電力は18日、福島第1原発事故後、東京電力として初めての再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機(新潟県)で進む核燃料の装塡作業を報道陣に公開した。作業が順調に進んでいることをアピールするはずの場だったが、作業が中断するトラブルが相次ぎ、長期停止による機器の不具合などの課題を浮き彫りにした》。

 宮尾幹成記者による、東京新聞の心太ビュー記事【米山隆一氏、再稼働の意思確認は「住民投票でやるべきだ」 判断材料まだ不足 東京電力・柏崎刈羽原発】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/321822)。《<再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊤> 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、政府は立地自治体の新潟県に同意を要請ており、花角英世知事の対応が焦点となっている。一連の動きをどう見るか。原発と向き合ってきた新潟県知事経験者の衆院議員2人のうち、まずは米山隆一氏(立憲民主党、新潟5区)に聞いた。(宮尾幹成)》。

   『●発言に人格が現れ、呼ばれ方に
          人間性が表れる: 「石原元「ト」知事」と「栄佐久さん」
   『●安孫子亘監督映画「『知事抹殺』の真実」の 
      佐藤栄佐久元知事冤罪…泉田裕彦新潟県知事「事件」の背景に?
   『●よりによって自民党から出馬…「反東電ですが、
       反原発ではありません」な泉田裕彦前新潟県知事…
   『●米山隆一新潟県知事は「県に運転停止の権限」、
           「私は、根拠のない“ケンカ”はしません」と…
   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」!
       東京電力に柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
    「日刊ゲンダイの記事【米山知事辞職で状況急変 小躍りする自民と
     原子力マフィア】… 《米山知事は「県政の混乱を招いた責任を取った
     県民の信頼を裏切り、心よりおわびしたい」と語ったが、この突然の辞職に
     小躍りして喜んでいるのが自民党と原子力マフィアだろう》。
     大変に残念なニュース…大喜びする核発電「麻薬」中毒患者達
     《…自民県連の関係者は次の棚ボタ選挙は楽勝なんて喜んで…》
     …悔しいなぁ、何やってんだ一体もぅ…。泉田裕彦新潟元県知事
     ダークサイドに堕ち核発電「麻薬」中毒患者達は柏崎刈羽核発電所再稼働に
     向けて、遮二無二突進するでしょうね。新潟県民の皆さん、何とか踏ん張って
     ほしいい。《新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時だ》!」

   『●新潟県知事選: 「中央の紐付き忖度官僚候補
      VS再稼働反対の民意に寄り添う県議候補」という与野党激突
   『●花角英世新潟県新知事…「柳瀬氏同様、安倍政権下で
       出世してきた元官僚」…女性差別発言隠蔽は体質の体現
    「リテラの記事【横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」38/新潟県知事選
     “女性差別発言”問題で花角候補を直撃! 隣にいたのに
     「よく覚えていない」と“柳瀬元首相秘書官”状態】」

   『●「事実無根のデマ」…「もしこれが立件されれば、
       長谷川氏逮捕や花角新知事辞任の事態もありうるだろう」
   『●新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》なので、再稼働反対派の
            少なからずの方々が…「騙されることの責任」
    《花角知事は、国会議員への説明会で「当然ありうる」と発言した
     同じ15日に、経産省内で世耕弘成経産相と面談。花角知事は
     再稼働問題について具体的な議論はしなかったとしているが、
     会談後には記者団に対し「まったく動かさないから、
     100%動かすまですべてあり得る」と述べたという》
    「新潟《県民の多数は再稼働を拒絶している》はずなので、
     再稼働反対派の少なからずの方々が、自公候補者だった
     花角英世氏に投票してしまった訳だ。その結果が、
     《ところが、いや、やっぱりと言うべきか。その花角新知事が、
     はやくも馬脚を現したらしい。選挙戦中の発言から一転、
     原発再稼働を「当然ありうる」と言い出した》…。」

 ダークサイドに堕ちた元新潟県知事に言われても説得力に欠けるなぁ。いまや、核発電〝命〟な「利権」「裏金」「脱税」党にズッポリで、よくも言えるものだね。キシダメ独裁政権やキシダメ「利権」「裏金」「脱税」党総裁に、再稼働反対論をぶたないのか?
 宮尾幹成記者による、東京新聞の心太ビュー記事【泉田裕彦氏、知事在任中に出くわした東京電力の「ウソ」 再稼働の判断に必要なことがある 柏崎刈羽原発】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/322122)。《<再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊦> 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた動きについて、新潟県知事を経験した衆院議員2人に聞く連続インタビュー。2回目は泉田裕彦氏(自民党、比例北陸信越)に語ってもらった。(宮尾幹成)》。

   『●杜撰・隠蔽・欺瞞だらけな廃液飛散事故…《人の命にもかかわる重大事故を
     起こしても、いまだ終始一貫して舐めた態度で会見をおこなっている東電》
    「欺瞞・杜撰だらけな東京電力福島原発廃液飛散事件…何もかも
     杜撰だった東電、飛散量・ホース・責任者不在…ホースって、
     東海村JCO事故を彷彿。」

   『●《子どもたちに、原発が安全なエネルギーと思ってほしくない。同じ
     過ちを繰り返さないため、声を上げられなかった人たちの分まで…》
   『●東電核発電人災から13年: 汚染水海洋投棄を強行し、柏崎刈羽核発電所
     を再稼働したい東電…3.11の教訓は? 能登半島地震の「警告」を無視…
   『●3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の警告は?
     正気だろうか? 東電に核発電所を運転する資格や能力は在るのかね?
   『●東電《小早川智明社長…「…は『(事故収束に)覚悟を持って取り組む』
      とよく言うけど、覚悟の『か』の字も見えない」(蜂須賀礼子氏)…
   『●老朽原発を含む関電美浜・高浜核発電所の運転差し止め訴訟、基準地震動
       は妥当で、《老朽化対策も合理的》と福井地裁・加藤靖裁判長は判断
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●小出裕章さん《今回一番学ばなければいけないことは、志賀原発が止まっ
     ていてよかったということ。…原発が1年間稼働すれば、広島原爆が…》
    「能登半島地震の「警告」を無視し続ける気らしい、キシダメ首相
     らは。正気だろうか。この間も、愛媛県で地震があり、震源は
     アノ伊方原発の極近傍。10kmほどの位置だったそうだ。
     さらに、千葉県沖でも、地震が続いているようだ。」

   『●3.11東京電力核発電所人災から13年、《原状回復》に何の責任も果た
     さない東京電力にアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働する資格など全くない
   『●《原子力規制委員長「慎重にやっていただきたい」》《花角英世知事、核燃
     料セットは「検査の一つの過程」》…委員長も県知事も何を言っているの?
    「《◆原子力規制委員長「慎重にやっていただきたい」》、
     《◆花角英世知事、核燃料セットは「検査の一つの過程」》…
     核発電「寄生」委員会=原子力「推進」委員会山中伸介委員長、
     花角英世新潟県知事、一体何を言っているのだろうか?
     寝言は、寝てから言ってほしい。」

   『●加藤靖裁判長《「避難が必要になるような事態が起きる危険性は立証されて
     おらず、避難計画の不備については判断するまでもない」と住民の訴え》一蹴
   『●“日本一避難しにくい原発”伊方原発…大島堅一さん「エネルギー政策で、
     インフラが不十分で逃げにくい場所を選び、差別的にリスクを押し付け」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/322119

核燃料セット、順調アピールするはずが…電源トラブルで16時間中断 柏崎刈羽原発7号機をメディアに公開
2024年4月18日 22時08分

 東京電力は18日、福島第1原発事故後、東京電力として初めての再稼働を目指す柏崎刈羽原発7号機(新潟県)で進む核燃料の装塡作業を報道陣に公開した。作業が順調に進んでいることをアピールするはずの場だったが、作業が中断するトラブルが相次ぎ、長期停止による機器の不具合などの課題を浮き彫りにした


◆長期停止の弊害か、作業員の経験不足&機器不具合

     (東京電力柏崎刈羽原発7号機で報道陣に公開された核燃料を
      装塡する作業=18日、東京電力柏崎刈羽原発7号機で)

 7号機原子炉建屋の最上階で窓ガラス越しに1時間ほど公開され、遠隔操作の機械で核燃料を燃料プールから圧力容器内に移動させている様子が確認できた。挿入位置はプログラミングされているものの、機械の上から作業員が双眼鏡で正しい位置かどうかをチェックしていた。核燃料1体を装塡するのにかかる時間は6〜7分という。

 東京電力は、再稼働に向けた検査の一環として15日に装塡を開始。核燃料全872体の装塡が完了すると点検に入る。7号機などを担当する菊川浩(ゆたか)ユニット所長は「確認作業はまだまだある」と話した。


◆2022年には冷却装置の配管が腐食、水漏れも…

 柏崎刈羽の停止が長期に及び、原発を稼働させたことがない運転員が増えた。6、7号機の運転員100人のうち、未経験者は約半数という。福島事故後、柏崎刈羽と同じ沸騰水型の原発は他社を含めて再稼働しておらず、経験を積めていないのが実態だ。東京電力は、火力発電所でタービンが回る現場を体感するなどの研修を実施して「力量を上げる」としている。

 さらに、今回のトラブルでも明らかになったように、長期停止で機器がうまく作動するのかも分からない。2022年10月には、冷却装置を11年ぶりに稼働させたところ、配管の穴から水漏れが発生腐食が進み穴が開いたとみられる。(渡辺聖子荒井六貴


  ◇   ◇


◆17日のトラブルの原因、現時点で「不明」

 柏崎刈羽原発7号機で17日午前から電源トラブルで中断していた核燃料の装塡(そうてん)作業について、東京電力は約16時間後の17日深夜に作業を再開したと発表した。原因は分かっておらず、不具合が起きたブレーカーを交換したという。

 東京電力によると、作業は17日午前7時すぎ、圧力容器に制御棒を挿入する装置を動かそうとしてブレーカーを入れたところ、装置が動く前に落ちて中断。ブレーカーなどの電源設備に問題は見つからなかったが、予備品と交換し、同日午後11時半ごろに作業を再開した。

 核燃料全872体の挿入完了までには約半月かかる見通しで、東京電力は中断による影響は出ないとしている。(渡辺聖子

【関連記事】「私たちの命を無視している」原発再稼働に突き進む東京電力に怒る地元 柏崎刈羽で後回しにされた課題とは
【関連記事】「核燃料」原子炉にセット 異例の強行 東京電力柏崎刈羽原発 再稼働の地元同意ないのに 許可出たその日
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/321822

米山隆一氏、再稼働の意思確認は「住民投票でやるべきだ」 判断材料まだ不足 東京電力・柏崎刈羽原発
2024年4月18日 06時00分

再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊤

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を巡り、政府は立地自治体の新潟県に同意を要請しており、花角英世知事の対応が焦点となっている。一連の動きをどう見るか。原発と向き合ってきた新潟県知事経験者の衆院議員2人のうち、まずは米山隆一氏(立憲民主党、新潟5区)に聞いた。(宮尾幹成


◆東京電力は「コストを払う」意思表示をうやむやにしている

     (東電柏崎刈羽原発の再稼働問題について話す前新潟県知事の
      米山隆一衆院議員=5日、東京・永田町の衆院第2議員会館で)

 —県が再稼働同意の可否を判断する機は熟しているのか。

 判断の材料を県も国も示していない。事故時の避難経路は相当程度に渋滞して、一定期間被ばくするのはほぼ確実。だから、そのシミュレーションを基にした避難計画をちゃんと作った上で、東京電力はそのコストを払うという合意があってしかるべきだ。それをうやむやにしている。


 —花角知事は、県民の意思確認について「信を問う」と、出直し知事選も示唆している。望ましい意思確認の方法は。

 住民投票でやるべきだ。出直し選挙は党派性や人格などが混じってしまい、実は原発再稼働を問うていないというようなことが起こる。今、出直し選挙をやったら再稼働反対派の野党系が勝つ確率が5、6割あるので、何ならやってもらってもいいが、原理原則では住民投票だ。


◆新潟県は「再稼働に都合のいい情報」だけ出している

 —国からの同意要請については、県議会の自民党からも「時期尚早だ」との声が上がっている。

 政局的なうがった見方をするなら、自民党が花角知事に知事選に打って出てほしくなくて、けん制する意味もあるのではないか。


 —原発事故について県独自の「三つの検証」を総括する有識者会議が花角知事と対立し、事実上休止した。県が報告書を取りまとめる事態となった。

 例えば避難道路の整備について、ただ道路を造るような話になっている。みんなが一斉に逃げた時に渋滞しない道路なんて無理なわけで、むしろ何時間か渋滞することを前提に考えないといけないのに、県の志が低い。再稼働という結論に向かって、都合のいい情報だけ示している


◆再稼働「選択の問題で、全否定するつもりはない」

 —超党派の地方議員グループに、再稼働の同意の対象を立地自治体だけでなく、避難計画の策定が義務づけられている30キロ圏の自治体まで広げるよう求める動きがある。

 実務的にちょっと難しいのではないか。今の行政の枠組みでは、広域自治体は県という形になっている。30キロ圏の人の声はちゃんと県が集約するという代表の仕方しかないと思う。


 —そもそも、柏崎刈羽の再稼働は必要なのか。

 選択の問題で、全否定するつもりはない。エネルギーコストを考えて再稼働を取るという選択はできるが、同時に大きなリスクと、リスクに対処するためのコストも伴う。それをきちんと示して選ぶべきだ。


 米山隆一(よねやま・りゅういち) 1967年、新潟県湯之谷村(現魚沼市)生まれ。医師、弁護士。2016年10月〜18年4月に新潟県知事。前任の泉田裕彦氏が福島第1原発事故を県独自に検証するために設置した有識者会議「原発の安全管理に関する技術委員会」に「原発事故による健康と生活影響に関する検証委員会」「原子力災害時の避難方法に関する検証委員会」と「検証総括委員会」を追加した。21年衆院選で初当選し、22年9月に立憲民主党入り。


  ◇    ◇


◆花角英世知事、再稼働同意の前に「信を問う」と明言

 柏崎刈羽原発7号機は原子炉内に核燃料全872体を入れ終えて、核燃料体から制御棒を引き抜けば、再稼働する。東京電力は地元の同意なしでは「制御棒を引き抜かない」とする。

 花角知事は同意の是非の判断に当たり「県民の信を問う方法が責任の取り方として最も明確であり、重い方法だ」と明言。2022年に再選した際には「『信を問う』との一般的な語感からすれば、存在をかけるという意味合いが強い。知事選も当然一つの形だ」と、任期途中での出直し知事選をほのめかした。一方で「議会の不信任や住民投票も、可能性としてはあるかもしれない」とも語った。

 同じ新潟県の旧巻町(新潟市西浦区)では、計画された東北電力巻原発の建設の是非を巡り、1996年に住民投票を実施。投票率は88.3%で住民の関心の高さを示した。建設反対(1万2478票)が賛成(7904票)を上回り、東北電力は計画断念に追い込まれた

 東京電力福島第1原発事故後に再稼働した6原発では、知事が同意を判断する際、県議会の同意を一つの根拠としてきた。知事選や住民投票を実施したケースはない。(荒井六貴

※インタビュー㊦は、後日掲載します。


【関連記事】核燃料セット中にトラブル相次ぐ 制御棒の装置電源オフ、監視装置に不具合…東京電力・柏崎刈羽原発
【関連記事】「核燃料」原子炉にセット 異例の強行 東京電力柏崎刈羽原発 再稼働の地元同意ないのに 許可出たその日
【関連記事】「私たちの命を無視している」原発再稼働に突き進む東京電力に怒る地元 柏崎刈羽で後回しにされた課題とは
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/322122

泉田裕彦氏、知事在任中に出くわした東京電力の「ウソ」 再稼働の判断に必要なことがある 柏崎刈羽原発
2024年4月19日 06時00分

再稼働を問う 新潟県知事経験者インタビュー㊦

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向けた動きについて、新潟県知事を経験した衆院議員2人に聞く連続インタビュー。2回目は泉田裕彦氏(自民党、比例北陸信越)に語ってもらった。(宮尾幹成

     (前新潟県知事の米山隆一衆院議員)

インタビュー 前回は
米山隆一氏、再稼働の意思確認は「住民投票でやるべきだ」 判断材料まだ不足


◆「30キロ圏には40万人の住民がいる」

 —政府が県に再稼働の同意を要請した。判断の機は熟しているか。

     (
柏崎刈羽原発再稼働に対する県民の意向確認について
      話す泉田裕彦元新潟県知事=東京・永田町の
      衆院第2議員会館で)

 熟していない。2007年の中越沖地震や11年の東日本大震災で明らかになった課題に対処できていない。やるべきことをやっていないのが今の段階だ。

 (自然災害と原発事故の)複合災害で屋内退避が行われた時に、電気・ガス・水道のどれか一つ止まれば煮炊きはできない。道路の復旧はどうするのか。雪が降っていたら誰が除雪するのか。こうしたことを全く決めていない。大混乱が生じるのは火を見るより明らかだ。

 (広域避難計画策定が義務づけられている)30キロ圏には40万人の住民がいる。何万人もの被災者への対応を自衛隊だけでできるというのは幻想で、民間との役割分担が必要だが、こういうことも考えていない。


◆やるべきことをやらないから「今、意思を問うたところで…」

 —知事が県民の意思を確認するのは、どんな方法が望ましいか。花角英世知事は「『信を問う』」と述べている。

 その議論をしたら一人歩きして、やるべきことがこんなにあるというメッセージが伝わらなくなる。事故になれば何が起きるかを県民に伝えた上で、どんな体制を組むかが先だ。今、意思を問うたところで、分からない人に聞くことになり、賛成する人も反対する人も不利益になる。


 —超党派の地方議員グループが、再稼働の事前同意の対象を、避難計画の策定が義務づけられている30キロ圏内の全自治体に広げるよう求めている。この動きをどう見るか。

 県がやるべきことをやらないで逃げているから、こういう声が出てくる。やるべきことをやった上で、市町村に負荷をかけないようにしていれば、また別の風景が見えるかもしれない。


 —東京電力の原発事業者としての信頼性は。

 ないゼロだ。福島第1原発事故で4号機が爆発して少し落ち着いた後に、柏崎刈羽の幹部に説明に来てもらったが、メルトダウン(炉心溶融)しているんでしょうねと聞いたら、していないと最初から分かっていたはずなのに、原発立地県の知事にこういううそをつく


 —そもそも、柏崎刈羽の再稼働は必要か。

 やるべきことをやっていないのだから、それも議論する段階にない。


 泉田裕彦(いずみだ・ひろひこ) 1962年、新潟県加茂市生まれ。通商産業省(現経済産業省)を経て、2004年10月〜16年10月に新潟県知事。13年2月に有識者会議「原発の安全管理に関する技術委員会」を設置し、東京電力福島第1原発事故について県独自の検証を始めた。17年衆院選に自民党公認で立候補し初当選。現在2期目。


  ◇    ◇


◆前提崩れた「屋内退避」…原発の避難計画の現状は

 原発30キロ圏内の自治体に義務付けられている避難計画には、深刻な事故が起きた際、自治体から住民への情報伝達、甲状腺被ばくを抑えるヨウ素剤の配布方法、避難先までのルートや交通手段、介護が必要な人への対応などが記される。新潟県柏崎市が公表する避難計画はA4判で120ページになる。

 自治体が避難計画を作るに当たっては、原子力規制委員会が示す原子力災害対策指針を参考にしている。

 指針は5キロ圏内は即時避難で、5〜30キロ圏はいったん屋内退避し放射線量を基に段階的に避難すると示す。

 ただ、能登半島地震では、水道や電気が止まり、住宅が倒壊すれば、屋内退避は困難であることが改めて浮き彫りになった。仮に、学校などに避難し屋内退避できたとしても、原発事故で水や食料などが十分に届くのかは分からない。

 規制委は2月、指針の見直しに着手する方針を示したが、「屋内退避できるとの前提で議論することとした。この見直し議論でも1年近くかかるとされる。

 柏崎刈羽でいえば、屋内退避の問題に加え、周辺が豪雪地帯で冬場の避難は困難を極めるとみられる。そうした対応が決まっておらず、内閣府は避難計画を最終的に了承していない。(荒井六貴


【関連記事】核燃料セット、順調アピールするはずが…電源トラブルで16時間中断 柏崎刈羽原発7号機をメディアに公開
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●原発マネーに群がる核発電「麻薬」中毒者の意地汚さ…《辛うじて難を逃れたにすぎ》ない、《辛うじて事なきを得たにすぎない》女川原発を再稼働

2024年03月09日 00時00分14秒 | Weblog

[↑ ※「地震列島の原発安全性に警告」(週刊金曜日 1457号、2024年01月26日号)]


(2024年02月24日[土])
辛うじて難を逃れたにすぎません》《辛うじて事なきを得たにすぎない》、そのような幸運に次回も恵まれると思っているオメデタさ…。先の能登半島地震の「警告」も無視。核発電「麻薬」中毒者の皆さん、いい加減にしてくれ。

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●女川核発電所2号機を再稼働したい…《辛うじて難を逃れたにすぎません》、そのような幸運に次回も恵まれると思っているオメデタさ…2020年12月08日 00時00分15秒

 《女川いのちの石碑…十三番目の石碑…<故郷を 奪わないでと 手を伸ばす> この痛切な願い》! これは、震災被害、津波被害に対することだけへの《願い》なのですか? 核発電原発人災にこそ、向けられているのではないのですか。《辛うじて難を逃れたにすぎません》《辛うじて事なきを得たにすぎない》、そのような幸運に次回も恵まれると思っているオメデタさ。そんなに、故郷を奪われたい、古里を失いたいものかね? 《女川原発2号機の再稼働に「反対という回答が61・5%に上っている。女川町石巻市を合わせた立地自治体でも、60・8%と過半数を占めている》そうだ。〝地元〟が望みもしないのに、一体誰のために核発電を再稼働するのですか? 《原発マネー》に代表される〝意地汚さ〟の中に県知事も居るのか?
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 キシダメ政権や「利権」「裏金」「脱税」党ときたら、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 能登半島地震の教訓、「警告」はどこに?
 東京新聞の記事【女川原発2号機、9月再稼働想定 東北電、安全対策工事に遅れ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/310204)。《東北電力は19日、女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機について、9月ごろの再稼働を想定していると発表した。これまで2月を予定していた安全対策工事の完了は6月を目指すとしている。再稼働すれば、東日本大震災の被災地で初めてとなる。東北電は昨年9月、安全対策工事の完了時期を見直し、それまで今年2月としていた再稼働を5月ごろに延期すると発表。工事が遅れる見通しとなったため、今年1月、さらに数カ月程度延期すると発表していた。女川原発は2011年の東日本大震災で被災し、定期検査中だった2号機を含め全3基が停止。2号機の原子炉建屋地下が浸水した》。

   『●女川核発電所2号機を再稼働したい…《辛うじて難を逃れたにすぎ
     ません》、そのような幸運に次回も恵まれると思っているオメデタさ…
   『●2014年5月大飯原発運転差し止め判決…樋口英明さんは《基準地震動を
        超える地震が来ないと言えるかどうか…他の原発と共通の問題》
    《規制委の審査が不十分であることが司法によって示されたのだ。
     大飯だけでなく、再稼働を目指す東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)
     や東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)など、審査に合格
     した施設でも規制委の審査が十分だったのか疑問符が付く

   『●「狂ったゴジラ」「老朽原発」「寿命核発電所」…40年超核発電所の
        稼働という「麻薬」に手を出す核発電「麻薬」中毒者らの暴走
    《第二に、東日本大震災で被災した原発が、再稼働へ向かっている。
     昨年11月、東北電力女川原発2号機(宮城県)の再稼働に
     宮城県知事が同意した。宮城県は、多くの住民が避難生活を続けて
     いる福島に隣接し、原発事故の影響をなお受けている自治体だ
     そのトップが、原発の稼働にゴーサインを出した。東日本に立地する
     原発を保有する電力会社にとっては、これ以上の「追い風」はない

   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
      将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
    (狙撃兵)《さらに、炉心溶融によって発生したデブリの回収に
     いたってはメドもないというなかで、今後とも果てしもない年月を
     かけて向き合わなければならないのが廃炉作業であり、過程で
     地震・津波といった自然災害にも見舞われかねないのが現実である
     その度に、福島第一原発は大丈夫か? 女川原発は大丈夫か? 
     を心配し、全国津々浦々にある原発についても同様に大丈夫か?
     を私たちは心配しなければならないのだ。地震列島火山列島
     である以上、それは逃れられない宿命ではあるが、今さらながら
     54基もつくったバカさ加減について考えない訳にはいかない。
     国土のあちこちにとんでもない起爆装置を抱えているのである

   『●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」と
     うたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…
    《・2005年8月 宮城県沖地震(M7.2 最大震度6弱) 
     東北電力女川原発で、設計時に想定していた地震の揺れより
     大きな揺れ》
    《・2011年3月 東北地方太平洋沖地震(M9 最大震度7) 
     女川原発福島第一原発東海第二原発で想定を超える揺れ。
     福島第一では津波による電源喪失で3つの原子炉が炉心溶融
     国会の事故調査委員会は「地震による損傷の可能性は否定できない
     としている》

   『●これまでの教訓は何処に? 決して「想定外」と言う勿れ…能登半島地震
       と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ北陸電力志賀核発電所
    《このような情報隠蔽は、原発建設を推進する電力会社、原発メーカー、
     立地自治体、政府を含む“原子力ムラ”の常套手段であり、
     「原発安全神話」を流布する側にとっては体質化して久しい。
     重大事故では、浜岡原発(中部電力)、女川原発(東北電力)、
     東京電力の福島第2原発、柏崎刈羽原発では核燃料の制御棒が
     脱落する事故が起き、福島第1原発(東京電力)でも7時間半に
     わたる臨界事故が発生していたが、電力会社は30年近くも隠ぺい
     していた。また、2007年の新潟県中越沖地震で震度7相当の揺れに
     襲われた東電柏崎刈羽原発では、基礎杭に損傷が見つかった
     と東京電力が公表したのは地震から14年後のことである》

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●斎藤貴男さん《日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を「国の責務」とうたうGX(グリーントランスフォーメーション)法案にかまけて》いた…

2024年01月30日 00時00分51秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2024年01月17日[水])
一体何をやっているんだろうか、この国は…。キシダメ政権や「利権」「裏金」党ときたら、《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? そして、志賀核発電所の不誠実な情報開示。隠蔽体質と言われても仕方ない。「未知の断層」がまだまだ存在する地震大国で、(おそらく活断層であることは否定できない)断層の上に志賀核発電所を造ってしまったデタラメな「利権」「裏金」党政権。せめて、すぐさま廃炉作業に着手すべきだ。不幸中の幸いであり、今回も幸運が重なったに過ぎない。(dot.)《数多くの原発訴訟に関わる海渡雄一弁護士は、こう言う。「もし志賀原発の再稼働が認められていたら、どんな悲劇に発展したことかこの地震は、地震・火山大国日本への最後の警告だ」》.
 日刊ゲンダイのコラム【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相/SDGsというカルトの呪縛からの解放を 各地各様の事情が軽んじられすぎている】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/334774)。《昨年5月に能登地方がマグニチュード(M)6.5の大地震に襲われ、珠洲市で震度6強が観測された際、私は本欄で大要こう書いた。珠洲原発計画が凍結されていてよかった日本列島は地震の巣なのに、原子力の利用を国の責務とうたうGXグリーントランスフォーメーション法案にかまけている…》。

 添田孝史記者による、dot.の記事【能登半島地震・志賀原発 避難ルート「のと里山海道」は一時全面通行止め 避難計画は“絵空事”だった/添田孝史】(https://dot.asahi.com/articles/-/210705)。《元日に発生した能登半島地震で、北陸電力志賀原子力発電所については当日中に「異常なし」と発表された(後に訂正)。だが、原発事故があった際の避難ルートのと里山海道は複数カ所で陥没、一時、全面通行止めになった。石川県の激震地・輪島市や穴水町、七尾市原発30キロ圏内だ。地震大国・日本で「原発震災」が再び起これば、近隣住民の避難はやはり困難を極める》。
 古賀茂明さん《普通の人は、国が再稼働を認めるからには、ちゃんとした避難計画があり、その計画は、政府が言うところの世界最高水準の基準に従って規制委が審査していると思うだろう。だが、実際には全く違う規制委は、避難計画にはノータッチなのである。したがって、ほぼ全ての計画が全くいい加減な「なんちゃって避難計画」になっている。信じられないかもしれないが、それが真実だ》…。今回、それをまざまざと見せつけられた。

 能登半島地震珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所…それでも再稼働・新規建設したいという、キシダメ首相や自公お維コミ議員、原子力「寄生」委員会、電力会社などの核発電〝麻薬〟中毒患者ら。《外部電源の一部を喪失し、変圧器からの油漏れ核燃料プールの水漏れなどはあったが、原子力規制委員会は「大きな異常はなし」》…火災も起きていた(勘違いって、ホント?)訳で、これでも《大きな異常はなし》って、どういうこと? 《外部電源の一部を喪失》なんて、とんでもない大問題。《変圧器の配管が壊れ、計約7100リットルの油が漏出》も、その後、大きく修正された。
 さらには、核発電〝麻薬〟中毒患者の皆さんは、何やらアノ東京電力のアノ柏崎刈羽核発電所を再稼働したいらしいが、ホントに正気なのかね?

 元裁判官の樋口英明さん《私が大飯原発を止めた理由は4つです。①原発事故のもたらす被害はきわめて甚大。だから、②原発には高度の安全性(事故発生確率が低いこと)が求められるべき。③地震大国日本において高度の安全性があるということは、高度の耐震性があるということにほかならない。④しかし、我が国の原発の耐震性はきわめて低い。ですから原発の運転は許されないのです。これは「樋口理論」と呼ばれています》、《あらゆる運転差し止め訴訟で裁判官に原発の脆弱な耐震性を知らしめ、電力会社の非科学性と非常識を理解させることによって、日本の全ての原発は必ず停止できます》。古賀茂明さん《11年の東日本大震災の最大の揺れは2933ガル(「ガル」は、地震の強さを測る単位)。21世紀最大の揺れは、08年岩手・宮城内陸地震の4022ガルだ。16年の熊本地震は1700台。今世紀の1000ガル以上の地震は18回とかなりの頻度だ。原発の耐震設計基準はと言えば、大飯原発が設計時に405ガル後に856ガルまで大丈夫だとされたが、他の原発も1000以下が多い。一方、三井ホームの耐震性は5115ガル、住友林業の住宅は3406ガルで、日本の原発がいかに地震に弱いかがわかる》。志賀核発電所では、《1号機で最大957ガルを観測し…2号機も…871ガル》。

   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …「悪夢のような民主党政権」と比較して、今のキシダメ政権の無残さ
   『●能登半島地震と珠洲核発電所建設計画凍結と断層の上に建つ志賀核発電所
      …それでも再稼働・新規建設したいという核発電〝麻薬〟中毒患者ら
   『●【能登を襲った巨大地震/狙撃兵】《役立たずかと思うほど鈍くさい動き

     に、思わずこの連中に「人の心」は宿っているのだろうかと思うほどである》
   『●「想定外」!? 【震度5強の志賀原発で「想定外」続々…なのに規制委は
     動かない 「安全上影響ない」「一定の時間かかる」とは?】(東京新聞)

 古賀茂明さんに言わせると、核発電所の運転を停止することは簡単だそうだ ――― 《三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の審査を受けろと要求する。実際には審査されていないからだ》。ニッポンの裁判官は、そういうデタラメを理解しようとしていない。

   『●古賀茂明さん《国民の前で、ちゃんと議論すれば、止めろと言わずに
     止めるのは簡単だ》…裁判で勝つために ――― 樋口英明理論の浸透を
    《実は、私はかねてより、「原発を動かせと言いながら廃炉にする方法
     を提唱している》
    《原発を動かすための議論なら社長たちは拒否できない
     そこで、最初に、安全性について質問する》
    《次に、万一事故が起きた時に損害をすべて賠償するために
     民間の保険に入ってくださいと要求する》
    《三つ目に、避難計画の万全性を担保するために原子力規制委員会の
     審査を受けろと要求する》
    《四つ目は核のゴミだ。原発のゴミも適切に処分できるんですよね、
     と社長に聞く》
    《これで、全ての原発は動かなくなり、廃炉するしかなくなる

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https://dot.asahi.com/articles/-/210705

能登半島地震・志賀原発 避難ルート「のと里山海道」は一時全面通行止め 避難計画は“絵空事”だった
2024/01/07/ 10:00

     (複数カ所で陥没が確認された基本的な避難ルート
      「のと里山海道」。=2024年1月2日午後2時31分、
      石川県穴水町)

 元日に発生した能登半島地震で、北陸電力志賀原子力発電所については当日中に「異常なし」と発表された(後に訂正)。だが、原発事故があった際の避難ルートのと里山海道は複数カ所で陥没、一時、全面通行止めになった。石川県の激震地・輪島市や穴水町、七尾市原発30キロ圏内だ。地震大国・日本で「原発震災」が再び起これば、近隣住民の避難はやはり困難を極める

     (【写真7枚】避難計画とは一体何か。空から見た「のと里山海道」


*  *  *


「志賀原子力発電所をはじめ、原子力発電所については現時点で異常がないことが確認をされております」

 1月1日の地震後、最初の会見。林芳正官房長官は現地の被害状況より前に、原発の様子に言及した。地震が起きるたびに、日本、いや世界中の関心が集まってしまうからだろう。


■激震地が30キロ圏内

 能登半島西岸の石川県志賀町に北陸電力志賀原発がある。原発から約9キロ離れた同町内の観測点では震度7、原発では震度5強を記録した。激震地の輪島市や、穴水町、七尾市などは30キロ圏内になる。

 志賀原発には、東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型で、1号機(54万kW、1993年営業運転開始)、2号機(135.8万kW、2006年営業運転開始)の2基がある。2011年の東電の事故後、運転は止まったままだ。2号機は、2014年から再稼働に向けて新規制基準の審査が進んでいたが、まだ合格していなかった。

 使用済み燃料プールには1657体の核燃料を保管している。13年近く冷やされ続けているので、すぐに心配になる事態は起きなさそうだ。

 ただし、北陸電力によると、一部の変圧器で配管が壊れて油漏れが発生し、外部電源の一部が使えなくなっているという。多重の安全策の一部を欠き、安全のレベルは下がっている

 2007年に震度7相当の揺れに襲われた東電柏崎刈羽原発で、基礎の杭に損傷が見つかったと同社が公表したのは、地震から14年後のことだった。その後、建屋の建て替えへと追い込まれた。志賀原発も、今後の調査でまだ損傷が見つかるかもしれない。


■避難訓練は「絵空事」だった

 あらためてわかったのは、地震と原発事故が同時に起きる「原発震災」では、避難するのはとても困難だということだ。

 避難経路を決めたりするのに重要な、放射線量を測るモニタリングポストは、能登半島の北部を中心に10カ所でデータを測れなくなっている(5日21時時点)。原子力規制庁監視情報課によると、一部は通信障害によるものだが、それ以外の原因は確認できていないという。

 これでは、放射線レベルは今どんな状況なのか、どの方向が安全なのか、いつ逃げるのか、判断することができない。

 東電事故の当時、福島県はモニタリングポストを26カ所に設置していたが、1台を除いて使えなくなった。地震による停電でデータが送れなくなったり、津波で機械が流されたりしたためだ。その結果、放射線量が高い地域がわからず、住民がより被曝の多い方向に逃げる事態も引き起こした

 原子力規制庁は、東電事故以降、通信手段の多重化や、電源の強化はしていたというが、教訓は生かされていないようだ。

 携帯電話も、能登半島北部では使えない地域が多い。固定電話やテレビ電波さえも、停電でダウンしたところがある。これでは情報が入らない


■「基本的な避難ルート」が複数カ所で陥没

 原発事故があった際の「基本的な避難ルート」とされていた、金沢と能登半島を結ぶ自動車専用道「のと里山海道は複数カ所で陥没が確認され、一時、全面通行止めになった他の道路も寸断され、孤立した集落も数多く残されている。

 昨年11月に、石川県は志賀原発が震度6強で事故を起こしたと想定し、住民が避難する訓練をしていた。その時の想定では、道路損壊は1カ所だけとしていた

「実際には多くの家屋が倒壊し、下敷きになった住民もいるかもしれない。死傷者も複数発生し、火災発生もありうる。道路の損壊も広範囲に、複数個所に及ぶ。津波被害も発生しているかもしれない」

「周辺市町は地震の災害対策本部を設置しているはずである。消防や警察はこうした事態への対応で奔走している。こうした中での複合災害発生である。原子力災害への対応がどこまで可能か

「重大事故が起こっても、あたかも住民が皆安全に避難できるかのような、まやかしの訓練

 今回の地震の40日ほど前に、「志賀原発を廃炉に!訴訟原告団」などの市民団体は、そんな声明を出していたが、その危惧は的を射ていたようだ。


■東海第二は避難計画不備で運転差し止め

 原発のリスクを最小限にするために、さまざまな安全対策について国際的な基準に従って国内法でも定められている。

 その柱が深層防護だ。全5層の防護レベルで安全を確保する仕組みで、最後の層となる5層目では、住民が安全に逃げられるように、計画や手順を整備しておくことを求めている。

「実現可能な避難計画及びこれを実行し得る体制が整えられているというにはほど遠い状況

 こんな理由で、水戸地裁は2021年3月に、茨城県東海村にある日本原子力発電東海第二原発運転差し止めを命じている(東京高裁で係争中)。

 判決は、避難計画の現状についてこう批判している。

「住宅が損壊し、道路が寸断することをも想定すべきところ、住宅が損壊した場合の屋内退避については具体的にふれるところがない

「道路の寸断がある場合は、通行不能となった道路等の情報を迅速に提供するとしているが、具体的な提供手段は今後の課題とされている

モニタリング機能の維持は今後の課題としている」

 今後の課題として棚上げされていた点が、まったく実現されないままであることが、今回の地震で証明された形だ。


■“大揺れ”に襲われる原発

 最近、原発は不思議なぐらい大地震に揺さぶられ続け、そのたびに住民は肝を冷やしている

・2005年8月 宮城県沖地震(M7.2 最大震度6弱) 東北電力女川原発で、設計時に想定していた地震の揺れより大きな揺れ。

・2007年3月 能登半島地震(M6.9 最大震度6強) 志賀原発で想定を超える揺れ。

・2007年7月 新潟県中越沖地震(M6.8 最大震度6強) 柏崎刈羽原発では震度7相当の揺れを観測。想定より3.8倍も大きな揺れ

・2009年8月 駿河湾地震(M6.5 最大震度6弱) 中部電力浜岡原発で想定を超える揺れ。

・2011年3月 東北地方太平洋沖地震(M9 最大震度7) 女川原発福島第一原発東海第二原発で想定を超える揺れ。福島第一では津波による電源喪失で3つの原子炉が炉心溶融。国会の事故調査委員会は「地震による損傷の可能性は否定できない」としている。

 これを見ると、今後も原発は“大きな揺れ”に見舞われ続けるだろう、と想像できる。


■地震はこれで終わりではない

 地震のたびに、想定が不十分だったことが判明する。老朽化も進んでいる。そのうち揺れで大事故を起こす原発が出てきても不思議はない。

 現在、再稼働している原発は12基で、うち7基が集中する福井県の若狭湾は、活断層が密集しており、地震の起こりやすいひずみ集中帯にも入っている

 原発を今後も使い続けるのならば、今回の地震被害と照らし合わせて、避難計画は万全なのか、再検討が必要だろう。原発周辺の道路や通信網、電源、住宅や避難所を、抜本的に強化する必要がありそうだが、それには相当の費用がかかる。しかし、住民の命や健康を守る費用をケチってはいけない

それでは発電コストが上がりすぎて割に合わないというなら、すでに原発のコストを下回りつつある再生可能エネルギーに早く切り替えた方がいい

 数多くの原発訴訟に関わる海渡雄一弁護士は、こう言う。

もし志賀原発の再稼働が認められていたら、どんな悲劇に発展したことかこの地震は、地震・火山大国日本への最後の警告だ

 地震はこれで終わりではないのだ

     (北陸電力志賀原発2号機の原子炉格納容器内
      に入り、非常時の機器などについて説明を受ける
      経団連の十倉雅和会長(左から3人目)ら
      =2023年11月28日午前、石川県志賀町)

     (能登地方が大規模な地震に見舞われた翌日の
      志賀原発=2024年1月2日午前9時46分、石川県志賀町)

     (北陸電力志賀原発=石川県志賀町)


(科学ジャーナリスト・添田孝史
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●次世代小型原発「小型モジュール炉SMR」開発頓挫…《日本政府もSMRに肩入れ…そもそもの実現性や経済性に疑問》、やってる場合か?

2023年12月29日 00時00分10秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年12月08日[金])
間もなく、13年目だ。
 《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに? 

 キシダメ政権と、カルト協会とズブズブヅボヅボな「利権」「裏金」党は、いまや、パー券キックバック問題裏金問題でズタボロ状態だ。明々白々な組織的犯罪、《党としての脱税指南》。キックバック金・還流金を政治資金規正法の〝穴〟を通すこともなく、堂々と《裏金》化。さらに、官房機密費という《ヤミ金》問題についても、図らずも、そのデタラメな実態の一部が明らかになった。
 それでも、内閣支持率が十数パーセント台、比例投票先政党として20%程というのが、さっぱり理解できない。そんなアベ様・すがっちキシダメ政権や自公お維コミが着々と《原発回帰》《原発復権》を進めてきた。特に、この1年で言えば、汚染水投棄問題

   『●ドイツは《脱原発を完了》: 彼我の差を感じて情けなくなる…何処まで
     愚かな国なのだろうか。そして、いま、原子炉圧力容器が崩落の危機…
   『●核発電人災の反省はどこに? 《熟議より、政府の都合を優先》する
       原子力「推進」委員会、《フクシマを「なかったことにする」のか》?
   ●古賀茂明さん《政府は、料金値上げを認めるのなら、電力会社の送配電の
      完全分離(所有権分離)を実現することを電力会社に飲ませるべき》
   『●《鍵は送配電部門の中立性・公平性にある。…飯田哲也所長は「日本の
     自由化の課題は、発送電分離がきちんとできていないことだ」と指摘する》
   『●《原状回復》することも無く、堂々と《原発回帰》へと暴走し、この
     12年間、着々と《原発復権》…3.11東京電力核発電人災の教訓はどこに?
    《次世代革新炉は(1)革新軽水炉、(2)小型モジュール炉SMR)、
     (3)高速炉、(4)高温ガス炉、(5)核融合炉──の五つが想定
     されている。このうち経産省が「本命」とするのは革新軽水炉だ。
     発電に必要な熱を取り出す冷却材に水を使う原発が軽水炉で、
     日本の商用原発はいずれもこのタイプになる。この軽水炉の安全性を
     向上させたものを「革新軽水炉」と呼ぶ。事故時に、溶けた核燃料を
     受け止めて格納容器の損傷を防ぐ「コアキャッチャー」などを
     備えている》(野村昌二記者)

   『●東電核発電人災から12年: 暦が一巡して、2023年は再びの卯年…
       もう一回り前の卯年は《1999年9月30日。東海村JCO臨界事故…》
   『●国や経産省、東京電力は「原状回復」することなく東京電力核発電人災
     被災地は放置で、一方、東京電力CMはちゃっかり「原状回復」かょ…
   『●東京新聞《<ぎろんの森>原発推進組織に逆戻りか》―――― すごく
      控えめな表現…単に「原子力規制委員会」に看板を掛け代えただけ
   『●《原発を動かせばごみが出る…なすべきことは明白。原発を止め、ごみ増
     を防ぎ…しかし国は稼働ありき。ごみが増えるほど後始末に困るのに》
   『●原発推進を打ち出す政府の方針を原子力規制委員会が追認…「推進」委、
       核に巣食う核「寄生」委、例外中の例外のはずが原則40年を無視
   『●東京電力核発電人災の教訓はどこに? 《一歩間違えば国全体が壊滅
     してもおかしくなかったほどの大事故を経験した日本》、その教訓は?
   『●野党議員だった頃の河野太郎氏「原子炉と使用済み核燃料プールは、
     テロリストに狙われたり、ミサイルで狙われたりと潜在的な弱点である」
   『●どこが「規制」? 原子力規制庁と経産省の職員が《面会する場所として、
      なぜか駅を選び、内部文書を受け取っていた。慎重を期すべき規制…》
   『●柏崎刈羽核発電、新潟《県民の多数は再稼働を拒絶》ではなかった
     のか? なのに、こんな知事を選んでしまうから、こんな結果になる…
   『●東京電力核発電人災から何年経とうとも、坂本龍一さん《「人々の記憶
      は薄れているかもしれないけれど、いつまでたっても原発は危険だ」》
   『●《ドイツの脱原発完了》…《なぜ、ドイツは脱原発なのに、日本では
     それができないのか》?…ではなく、そもそも全くやる気無しなニッポン
   『●ドイツは《脱原発を完了…原発の危険性を踏まえた政策を貫いた賢明な
     判断》…ニッポンはGXの名の下に核発電を進めて「フクシマ忘却法案」
   『●耐震性? 《原子炉圧力容器を支える土台…鉄筋コンクリート…全周に
     わたって損傷し、内部の鉄筋が露出していた。東電は耐震性を評価》?
   『●《「支持機能は維持されている」…小野明・最高責任者はそう強調…圧力
     容器を支えるのに問題はないという意味だ》…次も幸運に恵まれるの?
   『●木野龍逸さん《そもそも「廃炉」の定義すら決まっていない中で、廃炉を
     を進めるために汚染水の海洋放出が必要という理屈はまったく意味が不明》
   『●「廃炉終了の定義」も無く、0.1歩の前進もない…汚染水という名の《処理
     水の海洋放出が政府や東電が言う「大きなステップ」となる》はずもない
   『●まさに汚染水、海洋投棄してはいけない…トリチウム以外にも
     《炭素14…コバルト60…ヨウ素129…セシウム137》が含まれる汚染水
   『●【こちら特報部/応じないと非国民? 岸田政権が旗を振る「国民運動」に
     違和感 国産水産物の風評被害を招いたのはそもそも】汚染水の海洋投棄
   『●膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》のうち、福島第1原発2号
      機の《1グラム程度を数回採取する予定》…いまだ、それさえも困難?

 やはり、頓挫。10万キロワット級を10基作れば、100万キロワット級を1基作るよりも、リスクは下がるのかね? モジュール化で、安くなるの? (こちら特報部)《ちょっと考えれば無理筋と分かりそうな話》。アベ様が御存命の頃 ―――― 「元首相にして《火事場ドロボー》1号は核保有論者だもんなぁ~、この国はホントに救いようがない。《原状回復》どころか《原発回帰》。ドタマの中がどうかしている。末代まで語り継ぐべきその愚かしさの象徴として〝アベシンゾウ〟核発電所とでも名付けてはどうかと思うが、《小型モジュール炉への建て替えまで提唱》とはね。さすがアベ様の暴走だ。《火事場ドロボー》1号のアベ様は「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」が持論だもの。(リテラ)《櫻井よしこ氏…は“原発技術は軍事面でも大きな意味を持つなどと主張》《原発技術による核武装論を展開》、つまり、至言《原発は『プルトニウムをつくる装置』》(故・内橋克人さん)ということです」。
 岸本拓也記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/「夢の小型原子炉」開発が頓挫、日本企業も100億円以上を出資 そもそも実現に疑問の声も…】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/290726?rct=tokuhou#goog_rewarded)/《次世代の小型原発小型モジュール炉SMR)」開発を進める米新興企業ニュースケール・パワーが米アイダホ州での建設計画を中止した。「安価で安全」という触れ込みの下、米国初のSMR建設計画として注目されたが、世界的なインフレで採算が見込めなくなったという。同社には日本企業も出資日本政府もSMRに肩入れするが、そもそもの実現性や経済性に疑問符が付いた。先行計画の失敗は何を意味するのか。(岸本拓也)》。

=====================================================
https://www.tokyo-np.co.jp/article/290726?rct=tokuhou#goog_rewarded

こちら特報部
「夢の小型原子炉」開発が頓挫、日本企業も100億円以上を出資 そもそも実現に疑問の声も…
2023年11月18日 12時00分

 次世代の小型原発小型モジュール炉SMR)」開発を進める米新興企業ニュースケール・パワーが米アイダホ州での建設計画を中止した。「安価で安全」という触れ込みの下、米国初のSMR建設計画として注目されたが、世界的なインフレで採算が見込めなくなったという。同社には日本企業も出資日本政府もSMRに肩入れするが、そもそもの実現性や経済性に疑問符が付いた。先行計画の失敗は何を意味するのか。(岸本拓也


◆「安くて安全」のはずが、資材高騰で採算合わず

 「プロジェクトを継続するのに十分な電力購入者を獲得できる可能性は低い。プロジェクトを終了することが最も賢明な決定であると双方が判断した」

 今月8日、ニュースケール社と、米西部の電力会社などでつくるユタ州自治体電力システム(UAMPS)は、共同で進めていたSMR建設計画を中止するという声明を出した。

     (ニュースケール社が提唱する小型原発の概念図
      =同社ホームページから)

 プロジェクトは、アイダホ州の国立研究所にニュースケール社のSMR6基(1基当たりの出力7.7万キロワット)を設置し、2029年から初号機を稼働する計画だった。太陽光や風力など気象条件によって発電にムラが出る再生可能エネルギーの電力を、SMRの発電でバックアップすることで完全な脱炭素電源を目指しており、SMRが実現すれば米国初の案件だった。

 頓挫したのは、SMRの発電コストが想定を大幅に上回ったためだ。ニュースケール社は今年1月、米政府の補助金を加味しても、SMRの発電単価が1キロワット時当たり8.9セント(約13円)と、それまでの想定単価の約1.5倍になるとの見通しを発表。近年のインフレで、建設に必要な炭素鋼配管や電気機器といった資材価格が軒並み高騰したことが響いたといい、事業の継続性が疑問視されていた。


◆「技術は商用段階」と意欲も市場は懐疑的、株価は8割下落

 SMRは原発を小型化し、規格化された一部の部材(モジュール)を工場で製造して現場で組み立てることで、建設コストが下がるというのが推進派のアピールポイントの一つだった。

 しかし、米エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)のデビッド・シュリセル氏はリポートで、今回のプロジェクトの建設コストが53億ドルから93億ドルへ上昇したと推計。今後のインフレでさらにコストが上がる可能性があるとし、「SMR建設が安価であるという主張は覆される」と指摘した。

 今回中止となったSMRは、米原子力規制委員会(NRC)が設計を認証した唯一のものだった。ニュースケール社は、米ウィスコンシン州やポーランド、ルーマニアなどでSMR建設計画があるとし、ジョン・ホプキンズ社長は「当社の技術は商用段階に達した。今後も国内外の顧客にSMR技術を届けたい」とコメントし、今後の計画に意欲を見せた。

 ただ、市場はSMRの実現性を懐疑的に見ており、現在、ニュースケール社の株価は22年5月の上場時から8割ほど下落している。


◆多額の含み損どうする? 「引き続き支援」の社も

 日本にとっても影響は大きい。同社には、国際協力銀行(JBIC)や中部電力、日揮ホールディングス、IHIが特別目的会社(SPC)を通じて100億円以上を出資同社株を8%程度持つ大株主となっているが、多額の含み損を抱えているとみられる。

 22年4月に1.1億ドルの出資を発表したJBICの広報担当者は今回の計画中止を受け、「ニュースケール側に確認するなど、状況を見極めている。(含み損の)会計処理をするかどうかを含めて、今後の対応を検討している」と話した。日揮は9日の決算会見で「SMR技術は必要。引き続き支援していく」とコメントした。


◆ビル・ゲイツ氏も参入、「SMR」ブーム

 SMRなど小型原発のコンセプト自体は、日本でも1980年代には原子力委員会の長期計画の中で示されており、目新しいものではなかった。転機となったのは、東京電力福島第1原発事故だ。事故後、各国で原発の規制が強化され、建設費が高騰採算が見込めなくなり、新規建設の中止や見直しが相次いだ

 前出のようにモジュール化による建設コストの低下期待や、小型化することで万が一の事故時に原子炉を冷やしやすくなって安全性が高まる、といった「触れ込み」が再評価された。脱炭素につながる次世代の原発として、日本を含め、多くの国が研究・開発に取り組み始めている。

 米国では、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏がSMRを開発するベンチャー企業を立ち上げたことが話題となるなど、「SMRブーム」に沸く。日本政府も、脱炭素社会の実現を目指すGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、新増設を念頭に置いた次世代原発の候補の一つにSMRを挙げた。

     (GX実行会議であいさつする岸田首相
      (左から2人目)=7日、首相官邸で)

 しかし、その実現性や経済性、安全性には、かねて国内外から疑問が投げかけられて来た。


◆小泉純一郎氏らは「根拠のない熱狂」とバッサリ

 小泉純一郎元首相が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟原自連)は昨年8月の提言で、SMRについて「根拠のない熱狂」と切り捨てた。その理由を、各国で開発が進むSMRの炉型は軽水炉や高速炉など数十あり、「(モジュール化の)量産効果によるコストダウンが見込めない」と指摘した。

 さらに、SMRは1カ所に小さな原子炉をいくつも並べる想定のため、「福島第1原発のような連鎖メルトダウン(炉心溶融)の恐れもあり得る」と安全性にも疑問を呈した。

 NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は、SMRの利点とされるモジュール工法について、「米ウェスチングハウスの開発した大型原発『AP1000』でも採用されたが、工場での製造から現場での組み立てまで数多くの問題が起き、うまくいかなかった。結局、2基で350億ドル(約5.2兆円)と非常に高くついた。モジュール工法だから安くなるわけではない」と話す。

 SMRも原発である以上、放射性廃棄物が出る。米スタンフォード大の核燃料研究者リンゼイ・クラル氏らは22年5月、SMRの場合、大型原子炉で起こる物理反応の違いから「管理と処分を必要とする核廃棄物の量が2〜30倍に増える」との研究結果を発表している。


◆今後もコスト上昇…エネルギー政策転換の時期では?

 課題山積のSMRに限らず、「夢の新型原子炉」を巡る開発は失敗続きだ。日本では高速増殖原型炉もんじゅ」に1兆円を投じながら、トラブル続きで16年に廃炉を決定。日仏共同で開発を進める高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)計画」に軸を移し、日本は約200億円を投じたが、19年に仏側が計画凍結を正式に表明した。

     (廃炉作業が進む「もんじゅ」で今後、解体撤去される
      タービン発電機=6月1日、福井県敦賀市で)

 それでも経済産業省・資源エネルギー庁などは、SMRや高速炉を「革新炉」として開発継続を訴えている。また岸田政権も既存原発の再稼働や運転期間の延長など、原発回帰へと突き進む

 しかし、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「太陽光のコストは10年で10分の1に下がり、風力も3割下がった再エネは最も安いエネルギー源で、今後もコストは下がるかたや原発は遅延につぐ遅延でコストは世界的にうなぎ上り」と指摘し、エネルギー政策の転換を求める。

 「世界の本流は、再エネであり、蓄電池としても使える電気自動車だ。日本はどちらも取り残されている。SMRもそうだが、将来性のない原発にいつまでも固執すべきではない」


◆デスクメモ

 小型というからには電気出力も小さくなる。仮に既存原発と同じレベルの電力を担わせるのなら、分散してそこら中に小型原発を造らざるを得なくなるだろう。だが、そんな原発建設に適した土地が、日本にどれだけあるだろうか。ちょっと考えれば無理筋と分かりそうな話なのだが。(歩)

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●息吐く様にウソをつく…「日本の原発でそういう事態は考えられない」、菅直人氏についてのデマ「メルマガ事件」、「汚染水漏えい問題はない」

2023年09月02日 00時00分57秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年08月29日[火])
既に〝実害〟 、#zutto_uso_datta

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行
   『●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体に
     とって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》
    (長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの
     原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題に
     された。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が
     増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスの
     セラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に
     関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムと
     プルトニウムの関与を報告している》

 《全責任》をどうとるつもり? 《汚染水放出そのものがすでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》。農水相は「想定外」と言う……あぁぁ…。
 (こちら特報部)《「頑張って漁業が再建できそうなところにまた放出をし、被害を与えようとしている。これは二重の加害で、許されない」…河合弘之さん…は「事故で漁業関係者は壊滅的な被害を受けた。今回は漁業関係者の反対を知り、風評被害が起きると知りながら故意に流す加害倫理や道徳に反する」と語った》。

   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める
      政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】
   『●はぁ? 東京新聞【「原発マネー」で生まれた奇策 使用済み核燃料の
      中間貯蔵施設を上関町に 中国電力と関西電力で苦肉の共同開発案】
   『●「賠償ではなく、漁業をしたいだけ」…福島県漁連は《関係者》では
     ないのか? ―――「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」?
   『●#zutto_uso_datta、斉藤和義さん「#ずっとウソだった」。そして、「関係
     者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった
   『●既に実害…《「汚染水放出は危険・問題派」…汚染水放出そのものが
     すでに中国や韓国など海外による輸入規制など経済的実害を生んでいる》
   『●《「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」
      …「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」》

 かつ、アベ様は「日本の原発でそういう事態は考えられない」と嘯いた。何食わぬ顔で《最大の戦犯》だったアベ様。しかも、菅直人氏についてのデマメルマガ事件」の犯人もアベ様だ。極めつけは、世界に向けてウソ…世界に向けて「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ…。「息吐く様にウソをつく」と形容されたアベ様。

   『●「原発推進」という結論ありきのパフォーマンス
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの
            重大事故だというのに、この国は……
   『●世界に向けて「汚染水漏えい問題はない」と言い切ってしまったょ……
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
    《実は、第一次安倍政権時の2006年には、すでに国会で福島原発事故
     と同じ事態が起きる可能性が指摘されていた。しかし、ときの
     総理大臣だった安倍は、「日本の原発でそういう事態は考えら
     れないとして一切の対策を拒否していたのである》

   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき


 《岸田政権の強権ぶりに批判が殺到するが、「今に至る事態を招いたのは東電という事実を忘れてはならない》、そりゃそうだ。でも、アベ様を含めた自民党にも《全責任》。#ずっとウソだった。そして、「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」という約束もウソだった。
 安藤恭子岸本拓也両記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/原発処理水の海洋放出が「二重の加害」と言われる理由 東京電力に今問わなければならないこととは】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/272364?rct=tokuhou)。《東京電力福島第1原発事故で生じた汚染水を浄化処理した後の水の海洋放出が24日に始まった。岸田政権の強権ぶりに批判が殺到するが、「今に至る事態を招いたのは東電という事実を忘れてはならない。東電が起こした事故では、かねて多くの放射性物質が海に注がれた。隠蔽(いんぺい)が疑われた局面もあった。9月8日に提訴予定の差し止め訴訟でも、東電の「過去」と「今」が焦点になる。原告側は何を訴えるのか。いま、東電に問うべきことは何か。(安藤恭子岸本拓也)》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/272364?rct=tokuhou

こちら特報部
原発処理水の海洋放出が「二重の加害」と言われる理由 東京電力に今問わなければならないこととは
2023年8月25日 12時00分

 東京電力福島第1原発事故で生じた汚染水を浄化処理した後の水の海洋放出が24日に始まった。岸田政権の強権ぶりに批判が殺到するが、「今に至る事態を招いたのは東電という事実を忘れてはならない。東電が起こした事故では、かねて多くの放射性物質が海に注がれた。隠蔽(いんぺい)が疑われた局面もあった。9月8日に提訴予定の差し止め訴訟でも、東電の「過去」と「今」が焦点になる。原告側は何を訴えるのか。いま、東電に問うべきことは何か。(安藤恭子岸本拓也


◆「他国から批判を浴びないと、この国は変わらない」

 海洋放出が始まった24日午後1時、東京・内幸町の東京電力ホールディングス本社前。通りがかった人々に話を聞いた。

     (福島第一原発処理水の海洋放出を東京電力ホール
      ディングス本社(後方)に向け、抗議する市民団体ら)

 埼玉県川口市の男性会社員(51)は社屋を見上げた。「他国から輸入規制でもなんでも批判を浴びればいい。そうでなければこの国は変わらない」。仕事で有楽町に向かっていた神奈川県平塚市の女性(48)は「感情論でどうにもならない」。

 原発事故直後、東電に向けられたのが猛烈な批判。時の経過を感じさせる。

 福島第1原発では溶け落ちた核燃料(デブリ)の冷却水と地下水が混じり、汚染水が増え続けている。これらをくみ上げ、除染設備や多核種除去設備(ALPS)で処理、希釈して放出する計画になっている。

 現政権は「科学的根拠に基づき、説明していきたい」とアピール。ALPSで除去できないトリチウムの年間放出量は海外の多くの原子力関連施設より低水準と伝える。経済産業省のサイトでは、処理後のトリチウムの年間放出量は22兆ベクレル未満の予定と記載。韓国の古里原発は約49兆ベクレル、中国の陽江原発は約112兆ベクレルと記す。ともに2021年のデータという。


◆「風評被害が起きると知りながら故意に…」

 ただ、重大事故を経た福島第1原発からの海洋放出は、通常運転中の他の原発とは異なる側面を持つ

 「頑張って漁業が再建できそうなところにまた放出をし、被害を与えようとしている。これは二重の加害で、許されない

 東電と国に放出差し止めを求める訴訟に向け、弁護士の河合弘之さんは23日の会見でこう訴えた。

 24日に改めて尋ねると、河合さんは「事故で漁業関係者は壊滅的な被害を受けた。今回は漁業関係者の反対を知り、風評被害が起きると知りながら故意に流す加害倫理や道徳に反する」と語った。

     (東京電力福島第1原発で岸田首相と意見交換する東京電力
      ホールディングスの小林喜光会長(中)=20日午後)

 政府がよく引用する「原子放射線の影響に関する国連科学委員会UNSCEAR)」の2020年/2021年報告書(日本語版)によると、事故初期には大気中に放出された放射性物質は風で太平洋上空に拡散し、海面に沈着した。初期段階(11年3〜4月)での海洋環境への推定放出量をまとめており、大気からの沈着はセシウム137で5〜11ペタベクレル(ペタは1000兆)、ヨウ素131で57〜100ペタベクレルに上る。このほかに2号機の外のトレンチ(地下道)から高濃度汚染水が漏れて直接、海に放出されたという。

 この報告書は13年までに原発沿岸水域の濃度は事故前の水準に戻ったと記す。福島県漁連によれば19年度以降、自主検査する漁獲物の99%超は放射能濃度が検出できないほど低い。

 そんな中で河合さんは環境影響の長期評価を求める。「希釈しても有害物質を流すことに変わりはない。放出すれば海は汚れる。他国の原発が海に流しても、日本は非難できない。一緒に流さない努力をしないといけないのに」

 経産省資源エネルギー庁に24日、河合さんが訴える長期評価の必要性をどう考えるか尋ねたが、同日夜までに回答はなかった。


◆海洋放出は本当に「安上がり」なのか

 海洋放出の費用は大きく膨らむ見通しだ。16年の経産省の作業部会「トリチウム水タスクフォース」の試算では34億円とされたが、現状では、漁業者支援の基金や海底トンネル建設費などを合わせ、1290億円に達すると河合さんらは指摘する。

 いわき市議で「これ以上海を汚すな!市民会議」の佐藤和良共同代表は「薄めても海底を通しても、海に流してしまえば、漁業関係者への賠償が必要となるのは当たり前海洋放出が安上がりという試算はおかしい。海洋放出が始まった今日からまた問うていきたい」と話した。

 今月22日の閣僚会議では国や東電などが周辺海域でモニタリング(監視)を強化する方針が確認された。測定回数や調べる放射性物質の種類を増やしたほか、国や東電の安全確保の取り組みが適切か、国際原子力機関(IAEA)がレビューを継続する。

     (2011年3月13日、報道陣に囲まれる東京電力の
      清水正孝社長(当時))

 そうはいっても放出の実務は東電が担い、モニタリング作業の多くも東電が主体になる。東電は国の排出基準を大幅に下回るトリチウム濃度の目安値を定め、放出開始後、目安値を超えた場合は「速やかに放出を停止する」という。


◆そもそも東電を信用できるのか

 今後、トラブルが発生した場合は迅速な対応などが求められるが、東電の過去を振り返ると不安が募る。

 最たる例は、福島原発事故を巡る津波対策だ。事故前に津波被害の可能性が指摘されたのに、原子炉建屋などの浸水対策を怠ったとして、東電の旧経営陣は株主代表訴訟計約13兆円の損害賠償が命じられた。現在は控訴審が進む。

 また事故直後、社長だった清水正孝氏が「『炉心溶融』の言葉を使うな」と幹部に指示したことが社内調査で判明したが、16年6月になって明らかにし、当時の広瀬直己社長が「社会目線からすれば隠蔽と捉えるのは当然」と謝罪した。

 不信を抱かせたのは過去の汚染水対応でも。13年5月以降、原発敷地内の井戸で高濃度汚染水が確認され、海へ流出した可能性があると指摘されたが、東電は認めなかった。7月22日に漏出を認めた一方、原発再稼働の是非が問われた参院選の投開票日翌日という時期も疑念を生んだ。

 果たして東電の体質は変わったのか。株主代表訴訟の原告で、脱原発を求めて30年以上、東電と対峙たいじしてきた木村結さんは「体質は全く変わらない。原発事故を起こし、事実上国有化されたことで、誰も責任を取ろうとしない姿勢はさらにひどくなった」と話す。


◆何か起きたら誰が責任を取るのか曖昧

 東電不信は根深いが、海洋放出を巡っては東電は終始受け身だ。国が「全責任を持って対応する」(岸田文雄首相)と前のめりな局面が目立つ。その国は「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という地元漁連との「約束」を軽んじ、放出へ踏み切った

     (2011年3月30日、質問に答える東京電力の
      勝俣恒久会長(当時)=東京・内幸町で)

 富山大の林衛准教授(科学コミュニケーション)は、もたらされる便益が放射線リスクを上回る場合のみ認められる「正当化の原則」が守られていないと問題視する。「東電や政府の利益以外の、一般の人々のメリットがさっぱり分からない。少なくとも加害企業の東電は国際社会を含めた批判や懸念を受け止め、主体的に対応する必要がある

 信州大の茅野恒秀准教授(環境社会学)も「政府が前面に立つという意味は何か、厳しく見ないといけない。どんなことが起きた時にどう責任を取るのか、今は曖昧だ」と懸念を示す。

 「環境政策の基本である汚染者負担と予防、市民参加の3原則にのっとれば、東電が最後まで責任を持つべきだ。見切り発車で長期に放出するのではなく、一度立ち止まり、政策プロセスに幅広い市民が参加して多くの納得を得ていく形で進めるべきだ」


◆デスクメモ

 UNSCEAR=アンスケアの報告書には批判がある。推計が甘いと。ただ注視すべき記述も。福島事故を「かなり大量の放射性物質が直接的、間接的に海洋環境に放出された初めての原子力発電所の大事故」と評する。そして今回の放出。「二重の加害」の重みを改めて考えたい。(榊)

【関連記事】処理水放出、太平洋島しょ国が怒り 背景に核や戦争、大国の犠牲になってきた歴史
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●長周新聞【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】

2023年08月22日 00時00分43秒 | Weblog

[※ 「3.11から12 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(20230804[])
風評どころか実害を生じさせる〝汚染水〟の海洋放出に断固反対する。キシダメ首相らのやろうとしていることのどこが、一体「科学的」なのか? まずは、デブリに水が触れないようにしてはどうなのか。〝汚染水〟を日々増やしつつ、タンクを置く土地が足りないなどと嘯くことは、愚か者のやることだ。東電が持つあらゆる土地を使い、東電が責任をもって保管すべき。〝汚染水〟の海洋放出が風評被害でおさまる保証はどこにあるのか? 汚染水の放出からX年後にどう責任をとるつもりか? 捨てて、拡散させてしまってからでは遅い。いくら希釈しても汚染物質の質量は減らない。
 1グラムの核燃料デブリさえも取り出せない。どうやって取り出し、どこに持って行くのかも示せない。スケジュールさえも。そんなデブリに触れた水を処理した〝汚染水〟。世界中、そんなものを海に捨てた例はどこにもない。〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行。核発電推進団体の《国際原子力機関IAEA)の「お墨付き」を得て岸田文雄首相が判断する》(琉球新報)…国際社会からの非難が出ても、IAEAは責任を取る気など全くないが、キシダメ氏はX年後にどう責任を取るつもりか? キシダメ氏の頭の中を覗いてみたいよ、全く。

   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

 そもそも脱原発の約束はどこにいったのかね? 《2015年に政府と東電がした「関係者の理解なしに(処理水の)いかなる処分もしない」という約束》は? 武藤類子んは《住宅などの避難者支援が打ち切られ国や福島県が避難者を切り捨てる方向が明確になってきていると指摘。政府方針である汚染水を処理した水の海洋放出を「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない、という漁連との約束を反故(ほご)にしたプロセスは、民主主義に反すると批判した》(東京新聞)。
 全漁連福島県漁連も絶対に認めてはいけない。「海は誰のものか?」 東電や政府、自公お維議員のものなのか?

   『●『松下竜一未刊行著作集4/環境権の過程』読了(5/8)
    《国民はすべて健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」
     (憲法二十五条)を有し、「幸福を追求する権利は尊重される」
     (憲法十三条)のであってみれば、それを充足するための
     よりよい環境に住む権利は基本的人権であり、それはだれからも
     侵害されない―――〈環境権〉とは、端的にいえばこのような法理であり、
     まこと私たちしろうとに理解されやすく、共感は濃い。/もっといえば、
     海の問題でこの法律はきわ立って来る。従来、海を埋め立てるには
     当該海域の漁業者が漁業権放棄をすませれば全手続きは完了した。
     背後地住民に海への権利はなく、一片の発言も認められない。だが
     〈環境権〉は、海に対する住民の権利を鋭く主張する。なぜなら、
     海は万人共有のものであり環境の主要因子だからである》

   『●海は誰のもの? ~繰り返される過ち~
   『●上関町長選での非常に残念な結果
   『●「「アイドル」を守れ!」 『週刊金曜日』
      (2014年6月6日、994号)についてのつぶやき
    「取材班【漁業補償に5年間で約36億円か 政府、「辺野古
     移設強行へ】、「民意を無視する新基地建設の強硬は、
     新たな「島ぐるみ闘争」への始まりになる」。松下竜一さんは
     「海は誰のものか?」を問うた。そして、今、沖縄と各地の原発問題で」

   『●「岩礁破砕許可」というルールを曲げてでも辺野古破壊…
            ルール無用の無「法治国家」デンデン王国の実態
   『●「菅官房長官は徹底抗戦の姿勢を崩さない 
     翁長知事を念頭に、「わが国は法治国家だ」と牽制」だって!?
   『●「環境権」を「お試し壊憲」に悪用しつつ、
      一方で、畏敬の念も無く、何の躊躇もなく「海を殺す」人達の愚
    「松下竜一さんらの提起した「海は誰のものか?」「環境権」。いまや
     「環境権」は、アベ様ら自公の「お試し壊憲に悪用されようとしており、
     その一方で《海を殺す》愚行。「海」はアベ様やその取り巻き連中の
     ものなのか?、番犬様・米軍のものなのなのか? 畏敬の念も無く、
     何の躊躇もなく《海を殺す》人達。《悲痛な海の声》は聞こえないらしい。
     あまりに愚か」

 長周新聞の記事【汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27254)。《東京電力の福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から12年が経つが、溶け落ちた核燃料デブリは今なお冷却し続けなければ再臨界する危険性をはらんでおり、事故の終息はいまだ見通せていない。ここで持ち上がっているのが、核燃料デブリを冷却するために注入した水や、流入する地下水が直接核燃料デブリに接することで発生する放射能汚染水の処理問題だ。東電はこれまで福島第一原発の敷地内のタンクに放射能汚染水を貯め続けてきたが、タンクの建設に限界があるという理由で2014年に当時の菅政府が「海洋放出」を決定した。この政府の一方的な海洋放出決定は国内の漁業者をはじめ、近隣諸国を先頭に国際的にも激しい反発を呼んだが、最近岸田首相は「春から夏までに海洋放出に着手する計画に変更はない」と改めて表明して、一段と国内外の反発の世論は高まっている。放射能汚染水の海洋放出のなにが問題なのか、海洋放出以外に処理方法はないのかなどについて専門家の意見も踏まえて再度考えてみたい》。

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海に
      捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/27254

汚染水海洋放出に国内外で反発高まる コスト優先し科学歪める政府 トリチウム以外に62核種が基準超え 風評では済まされぬ実害
社会 2023年8月1日

 東京電力の福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故から12年が経つが、溶け落ちた核燃料デブリは今なお冷却し続けなければ再臨界する危険性をはらんでおり、事故の終息はいまだ見通せていない。ここで持ち上がっているのが、核燃料デブリを冷却するために注入した水や、流入する地下水が直接核燃料デブリに接することで発生する放射能汚染水の処理問題だ。東電はこれまで福島第一原発の敷地内のタンクに放射能汚染水を貯め続けてきたが、タンクの建設に限界があるという理由で2014年に当時の菅政府が「海洋放出」を決定した。この菅政府の一方的な海洋放出決定は国内の漁業者をはじめ、近隣諸国を先頭に国際的にも激しい反発を呼んだが、最近岸田首相は「春から夏までに海洋放出に着手する計画に変更はない」と改めて表明して、一段と国内外の反発の世論は高まっている。放射能汚染水の海洋放出のなにが問題なのか、海洋放出以外に処理方法はないのかなどについて専門家の意見も踏まえて再度考えてみたい。

     (福島原発敷地内に貯まり続けている汚染水タンク)

 岸田政府は7月4日、国際原子力機関(IAEA)から、東京電力の海洋放出計画は「国際的な安全基準に合致」しており、海洋放出で放射線が人や環境に与える影響は「無視できるほどごくわずか」との包括報告書を受けとり、これを錦の御旗に国内の漁業者や近隣諸国に海洋放出を認めさせようと奔走している。

 7月14日には西村経済産業相が全国漁業協同組合連合会(全漁連)を訪れ坂本雅信会長と会談し、海洋放出への理解を求めた。西村経産相はIAEAの包括報告書の内容を説明したが、坂本会長は政府が夏ごろの開始をめざす汚染水の海洋放出について改めて反対の立場を表明した。坂本会長は「われわれの唯一の望みは漁業を安心して継続したいということだ。科学的な安全と社会的な安心は違う。安心を得ないかぎり反対の立場を崩すわけにはいかない」とのべた。

 会談には福島県をはじめ青森、岩手、宮城、茨城各県の漁業団体幹部も同席した。

 西村経産相は11日にも福島県漁連に対して海洋放出への理解を求めたが、野崎哲会長は改めて反対を表明した。政府と東電は2015年に福島県漁連に対して「関係者の理解なしには(汚染水の)いかなる処分もしない」と約束している。

 福島県の漁業者をはじめ周辺各県の漁業者は東日本大震災と福島原発事故災害からの復興のために筆舌に尽くし難い努力をし、やっと震災前の漁業操業をおこなえる灯りが見えるところまできた。そこに放射能汚染水の海洋放出が持ち上がり、これまでの努力を水の泡にしかねない災いとしてふりかかっている

 香港政府は7月12日、日本政府が福島第一原発の放射能汚染水を海洋放出した場合、日本国内10都県を産地とする水産物の輸入を禁止すると発表した。東京、福島、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉の各都県が対象となっている。生鮮、冷凍、冷蔵、乾燥またはその他の方法で保存されたすべての水産物と海水由来の塩、海藻を禁輸するとしている。

 香港に続いてマカオの食品安全行政を管轄する市政署も14日、日本が海洋放出を開始した場合、輸入申請モラトリアム(事実上の禁輸措置)の対象を現行の福島県に加えて9つの最高リスク地区(千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉、東京の各都県)の野菜、果物、牛乳・乳製品、水産・水産加工品、食肉類・食肉加工品に拡大すると発表した。さらに他の地域から輸入される生鮮食品についても放射線検査証明の添付を必須とし、検査・検疫をパスすることを要件化する可能性も排除しないとした。

 中国政府はIAEAの包括報告書について「日本国内外の反対の強い声を抑えられるものではない」とし、「最新の世論調査では韓国では国民の8割以上が賛成していない。太平洋島しょ国やフィリピン、インドネシア、南アフリカ、ペルーなどの専門家や国民も抗議の声を上げている。福島の放射能汚染水海洋放出は世界の重大な公共の利益にかかわるもので、あいまいにすることは許されず、間違いは許されない。中国は日本が科学を尊重し、事実を尊重し、IAEAの報告を海洋放出の“後ろ盾”とすることなく、国際的道義的義務と国際法の義務を忠実に果たし、海洋放出計画を停止し、責任ある方法で放射能汚染水を処理するよう促す」と表明している。

 また、中国外務省は七日、松野官房長官が「中国と韓国の原発はトリチウムの濃度が比較的高い液体を海洋に放出している」と発言していることについての見解を以下の要旨で明らかにした。

 「日本は福島原発事故の汚染水世界各地の原発の正常運転による排水を一緒に論じている。これは概念のすり替えで、世論をミスリードするものだ福島原発事故の溶解した原子炉の炉心に接触した放射能汚染水と、正常に運転されている原発の炉心に直接接触していない排水本質的に異なる発生源が異なり、含まれる放射性核種が異なり、処理の難度が異なり、根本的に比較できない。とくにIAEAは日本の浄化設備の有効性と長期的信頼性を評価しておらず今後30年間、すべての放射能汚染水が処理基準をクリアすることを保証することはできない。日本が原発の正常運転による排水を持ち出し、海洋放出の誤った決定を“白”としようとするのは、科学の看板を掲げて国際社会をミスリードするものだ」としている。

 さらにIAEAの包括報告書について「IAEAが慌ただしく発表した報告は評価作業に参加したすべての各国専門家の意見を十分に反映しておらず、関係の結論には極限性と一面性があり、国際社会の懸念を解決していない。日本が今回の報告を海洋放出の“通行証”とせず、計画強行を停止し、責任ある方法で放射能汚染水を処理するよう促す」とコメントしている。

 中国政府は7月11~14日にかけて開催されたASEAN外相会議やASEAN地域フォーラムの場でも日本の汚染水海洋放出を批判し、国際会議の場でとりあげるよう促した。

 韓国でもこの間、漁業者をはじめ国民的な海洋放出反対の世論と行動が盛り上がってきていた。尹政府はそうした国民世論に対抗し、IAEA報告書に理解を示し、日本の海洋放出を容認する態度をとった。韓国で7月11~13日に全国で18歳以上を対象におこなった世論調査では、尹大統領の支持率は32%で前の週の支持率38%から6%も下落した。理由としては「福島原発汚染水放出問題」と「外交」がそれぞれ14%でもっとも多かった。支持率の下落幅はとくに福島原発汚染水の海洋放出の直接的な影響を受ける層で大きく、釜山、蔚山、慶尚南道では11㌽も下落した。

 海洋生物学者であるハワイ大学のロバート・H・リッチモンド教授は、日本政府の放射能汚染水海洋放出計画を詳細に審査した結果、同計画の安全性に疑問があると判断したと表明し、IAEAが7月4日に発表した包括報告書を認めない考えを明らかにした。

 同教授は太平洋島しょフォーラムの委嘱を受けた科学者で、福島第一原発にも足を運び、東電や日本政府、IAEAとの会議にも参加した経験を踏まえ、「日本が手配した会談の多くは政治家や政策立案者のものだった」とし、「海洋放出計画では科学は脇に置かれているようだ」とのべている。IAEAの報告書については「これは政治とカネにもとづいた決定であり、日本のこの計画はいくつかの原則に反しているだけでなく、IAEAの基準にも違反している」との見解を示している。


国際条約違反の行為 ロンドン条約など

     (原発汚染水の海洋放出に抗議する海上デモ(韓国、2021年))

 福島原発の汚染水の海洋放出が国内ばかりではなく、国際的な問題として広がっているのは海が一つだからだ。

 6月8日は「世界海洋デー」だが、昨年の「世界海洋デー」にあたって中国の報道機関は「海洋は地球上の生命の揺りかごであり、全人類がともに守るべきものである。しかし、海洋生態を公然と破壊する者たちがいる。2021年4月、日本は福島原子力発電所の原発汚染水を海洋に放出すると発表した。日本国内や国際社会から疑問や反対の声が絶えないなか、東京電力は来春から長期間かけて原発汚染水を太平洋に放出する計画だ」「専門家は原発汚染水は海洋生物を汚染するとともに、魚類の回遊を通じて海洋全体に拡散され、世界の海洋環境の安全、国際公衆衛生システム、周辺諸国の人々の基本的利益を著しく損なうと指摘する。ドイツの科学機関は、日本の発表したスピードで原発汚染水を放出した場合、57日足らずで太平洋の半分が汚染されると推算する」と報道した。

 海は一つであり、全人類にとっての宝であるところから、「海の憲法」とも呼ばれる「国連海洋法条約」があり、日本も批准している。この条約は「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い(中略)すべての必要な措置をとる(後略)」(194条1)とし、国家が海洋環境を保護することを義務づけている。

 とくに「毒性又は有害な物質(特に持続性のもの)の陸にある発生源からの放出」を規制し、海洋環境を汚染しないよう諸国に義務づけている。これに照らして見れば、放射性物質を含む汚染水の海洋放出は国連海洋条約に違反する行為であることは明らかだ。

 また、廃棄物その他の物の投棄による「海洋汚染の防止」に関する国際条約としては「ロンドン条約」があり、日本も批准している。1993年の改正であらゆる放射性廃棄物の海洋投棄が全面禁止され、その後放射性排水も対象となった

 2011年の福島第一原発事故によって海が放射能で汚染されることについて、ロンドン条約の会議では加盟国から懸念の声があいついだ。

 日本政府は1993年3月30日の閣議決定で「1993年度原子力開発利用基本計画」の「低レベル放射性廃棄物の海洋投棄については、関係国の懸念を無視しておこなわない」とした。また、1993年11月2日の原子力委員会決定では「わが国としては今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として海洋投棄を選択肢としない」としている。

 福島原発の汚染水の海洋放出はロンドン条約をはじめこうした閣議決定や原子力委員会決定にも明らかに違反している。

 ところが、2020年に原子力委員会は「低レベル廃棄物は固体廃棄物や固化した廃棄物を海洋に投棄して処分することを指す」とし、「液体である福島第一原発のトリチウム汚染水の海洋放出は海洋投棄には該当しない」との詭弁を弄している。

 ロンドン条約では「海洋投棄が禁止される“廃棄物その他の物”とは、あらゆる種類、形状又は性状の物質をいう」と定義し、「廃棄物その他の物の投棄(その形態及び状態のいかんを問わない)を禁止する」と明記している。固体以外の液体なら除外されるという理解そのものがロンドン条約違反となっている。

 また、2019年には英ロンドンの国際海事機関(IMO)本部で開催されたロンドン条約およびロンドン議定書の締約国会議で、初めて福島第一原発の汚染水の海洋放出問題が正式議題にのぼった。

 締約国会議に出席した中国とチリの代表団が原発汚染水の海洋放出の可能性に懸念を表明した。ガーナ出身の議長は、今後も引き続き議論するとし、日本に情報公開を求めた。

 日本が実際に汚染水を放出したときには、締約国会議で正式に問題提起し、これがロンドン条約およびロンドン議定書に違反すると判断されれば強制力を持つ決議案を提出することもできる。

 それまで日本政府は汚染水の海洋放出問題は、海洋投棄について定めたロンドン条約およびロンドン議定書ではなく、IAEAで話し合う問題だとの立場を主張してきた。それは違反が明らかなロンドン条約を基準にした論議の場ではなく日本やアメリカ政府の影響力が及ぶIAEAを舞台とした論議に絞りたいという思惑が透けている


デブリに接した汚染水 高濃度に汚染

 では、汚染水はどこから生まれ、どういった問題を含んでいるのか。

 2011年の福島第一原発事故では1~3号機はメルトダウン事故を起こした。すべての電源を喪失して冷却機能が失われ、炉心の温度が異常に上昇し、核燃料の大部分が溶融し、圧力容器の底に溜まったメルトダウン、さらには高温により圧力容器の底が溶かされて燃料が容器の底を突きぬけたメルトスルー(溶融貫通)に至ったともいわれる。溶け落ちた核燃料は核燃料デブリ状態となっているが、冷却水を注入して冷却し続けないとふたたび重大事故になりかねない危険な状態が続いている。福島原発事故はいまだに終息していないし、終息の見通しも立っていないのが現実だ

 溶け落ちた核燃料を冷却するために当初は1日400㌧の冷却水を注入し、それに地下水などの流入も加わり汚染水の発生は1日500㌧にのぼっていた。12年経過した今日も、冷却水を循環型にしたことによる減少があるものの、汚染水の発生は1日当り100㌧に達している。それらは直接核燃料デブリに接触した水であり、高度の放射能汚染水だ

 東電は、この汚染水を汲み上げ、多核種除去設備=ALPS(アルプス)に送り、薬液による沈殿処理や活性炭などの吸着素材により放射性物質をとり除くとしている。東電の発表では、ただ放射性物質のトリチウムだけはとり除けないとし、そのままタンクに溜められてきた。これを海水で薄めてトリチウムの濃度を国の基準の40分の1となる1㍑当り1500ベクレル未満まで下げ、地下の入口から海底トンネルを通って沖合い1㌔の地点で放出するという計画だ。

 だが、東電の発表とは裏腹にタンクに溜まった汚染水の7割はトリチウム以外の62の放射線核種の濃度が全体として濃度基準をこえ、最大で1万9909倍になっていることがメディアのスクープで明らかになった。残存している核種のおもなものは、ストロンチウム90、セシウム137、セシウム134、コバルト60、アンチモン125、ルテニウム90、ヨウ素129などだ。

 東電がそれまでALPS小委員会に提出していた資料では、トリチウム以外の核種はALPSにより除去できているとのデータのみを示していた。その後東電もトリチウム以外の放射性物質を含んだ原発汚染水がタンクに貯蔵されていることを認めざるをえなくなった。こうした放射線核種が残存しているのは、汚染水が溶け落ちた核燃料デブリに直接接触したものであるためで、正常運転の原発から排出される温排水などと同等には論じられない

 東電や政府は「ALPSで処理したトリチウム水は安全で、水とほとんどかわらず、しかもさらに希釈して海洋放出するから問題はないあるとすれば風評被害だけだと宣伝している。

 だが、政府のALPS小委員会の報告書では、トリチウムは「他の放射性物質と比較して健康への影響は低い放射性物質」だが、「影響が出る被ばく形態は内部被ばくであることを認めているわずかであっても内部被ばくは生物に蓄積され、食物連鎖のなかで濃縮されていくわずかであってもトリチウムが海藻に付着し、魚介類に摂取されれば、体内に蓄積され、何十年もの長期にわたって食物連鎖のなかで濃縮されていく

 また、トリチウムが人体を構成する水素と置き換わったときには、近隣の細胞に影響を与え、DNAを構成する水素と置き換わった場合はDNAが破損する影響が起きる。

 トリチウムは水素の同位体で、三重水素とも呼ばれ、化学的性質は普通の水素と同一だが、β線を放出する放射性物質だ。半減期は12・3年である。

 トリチウム水の分子構造は水とほとんど変わらないため、人体にそれほど重大な影響は及ぼさないと政府はいうが、分子生物学者はむしろそれは逆だと指摘する。人の体重の約61%は水が占めている。人体はトリチウムを水と区別できず、容易に体内の組織にとり込みやすい。トリチウムを体内にとり込むと、体内では主要な化合物であるタンパク質、糖、脂肪などの有機物にも結合し、有機結合型トリチウム(OBT)となり、トリチウム水とは異なる影響を人体に与える。長いものでは15年間も体内にとどまり、その間、人体を内部被曝にさらし続ける場合がある。

 トリチウムが染色体異常を起こすことや、母乳を通じて子どもに残留することが動物実験で報告されている。動物実験ではトリチウムの被曝にあった動物の子孫の卵巣に腫瘍が発生する確率が五倍増加し、精巣萎縮や卵巣の縮みなどの生殖器の異常が観察されている。日本の放射性物質の海洋放出の基準は1㍑当り6万ベクレルで、これはICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に則ったものだ。しかし分子生物学者らは、ICRP勧告はトリチウムのOBTとしての作用を明らかに過小評価していると指摘している。

 東電や政府はトリチウムを海水で希釈するので安全だといっているが、どの程度希釈するかよりも放出する総量が問題だが、海洋放出するトリチウムの総量については示していない。

 政府と東電の計画では福島第一原発の廃炉完成予定が2041~51年としているが、現実には事故から12年たっても核燃料デブリがどこにあるかも、どのような方法でとり出すのかもわかっておらず、廃炉の見通しはまったく立っていない状況だ。核燃料デブリのとり出しが完了するまで冷却水を注入して冷やし続けなければならず、これからも際限なく汚染水は溜まり続ける。こうしたなかで海洋放出が一旦開始されれば、延々と放出が続けられることになり、総量も確定できない

 一旦放出した放射性物質は回収できず、何世紀にもわたって環境を汚染し続ける。世界的な規模での人体や生態系への影響は計り知れず、漁業や農業への長期的な風評被害も深刻だ。


他にもある可能な技術 トリチウム分離も

 汚染水の処理は海洋放出以外にはないのか。

 ALPS小委員会は、技術的に可能な5つの処分方法を検討している。①地層注入=186・5億円以上、②海洋放出=34億円、③水蒸気放出=349億円、④水素放出=1000億円、⑤地下埋設=2431億円となっており、これを受けて2021年4月に菅政府がもっとも安くて済む海洋放出を決定した。

 この決定に対して中国は「海洋放出がもっとも低コストに抑えられるからだ。日本のやり方は非常に無責任かつ利己的なものだ。自国の財政難を口実に利用して、災いを近隣諸国に押しつけるような手法をとってはならない。これは国際社会の支持するルールではない」と反発した。

 「国連海洋法条約」では、「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い、かつ、自国の能力に応じ、単独で又は適当なときには共同して、この条約に適合するすべての必要な措置をとるもの」とある。陸上保管という実行可能な最善の手段」があるにもかかわらず、海洋放出するということは、海洋環境保護の観点に反しており、認められないとの国際世論が高まった。

 また、実際にトリチウム分離の成功例も出てきた。近畿大学工学部の井原教授、近畿大学原子力研究所、東洋アルミニウム株式会社および近大発のベンチャー企業・株式会社ア・アトムテクノル近大らの研究チームは2018年に、放射性物質を含んだ汚染水から放射性物質の一つであるトリチウムを含む「トリチウム水」を分離・回収する方法と装置を開発したと発表した。

 研究で中心的な役割を担ってきた井原特別研究員は「さらなる研究のため」として政府系の補助金を申請したが、通らなかった。また、実用化に向け、大量のトリチウムを扱ったさいにどんな課題が生じるのか試験する必要があり、東電に第一原発の敷地内で試験がおこなえないか打診したが東電は協力を拒否した。

 当時の梶山経産相は「近畿大の研究技術は承知している」「まだ実験室レベルでの研究」と突き放し、この2カ月後に海洋放出を処理方針とした。

 このほかトリチウム分離技術はアメリカなどでもおこなわれている。技術的に難しいとはいえ、民間や海外で新技術への挑戦が続き、成功例も出ているにもかかわらず、政府や東電は検討もせず、コストの安い「海洋放出ありき」で突き進んでいる。重大事故を引き起こした責任の重さからみてもあるまじき対応だ。

 福島第一原発の重大事故を引き起こした責任は東電と政府にあり、被災者への補償、生活の復興に尽力することは当然だ。ところが、被災者の生活や生業の復興も道半ばにある現段階で、今度は大量の放射能汚染水の海洋放出を強行し、新たな放射能被害を押しつけようとしている。しかも、世界の海に与える影響は二の次で、汚染水をかかえる東電の事情を第一にし、「コストがかからないことだけを基準にした無謀な計画だ。このような海洋放出計画が国際社会からも激しい反発を受けるのは当然のことだ。東電と政府は、重大事故を引き起こした反省に立つならば、現代の科学技術の成果に真摯に学び、環境中に放射能を放出しないやり方での汚染水処理を真剣に追求する責任がある。
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●《通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体にとって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要》

2023年08月13日 00時00分48秒 | Weblog

[※ 「3.11から12年 脱原発の約束はどこに」(週刊金曜日 1415号、2023年03月10日) ↑]


(2023年07月27日[木])
核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟。世界中、そんなものを海に捨てた例はどこにもない。〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行。
 風評被害ではなく、実害を生じるのではないか。(長周新聞)《カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題にされた。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスのセラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムとプルトニウムの関与を報告している》(長周新聞)。〝汚染水〟を放出しても影響がないというのは、一体どの辺が「科学的な証拠」があるのかね? 単に、《科学的な安全性より「安さ」を選択したのだ》。(長周新聞)《麻生副総理は「あの水を飲んでも何ということはない」》…麻生家の庭に散水し、水道水として使ってもらえばいい。《科学的》に安全なんでしょ?
 風評どころか実害を生じさせる〝汚染水〟の海洋放出に断固反対する。まずは、デブリに水が触れないようにしてはどうなのか。〝汚染水〟を日々増やしつつ、タンクを置く土地が足りないなど、愚か者のやることだ。そもそも、東電はたくさんの土地を持っているでしょうが。そこに置けばいい。

   『●ドイツは《脱原発を完了》: 彼我の差を感じて情けなくなる…何処まで
      愚かな国なのだろうか。そして、いま、原子炉圧力容器が崩落の危機…

 2年ほど前、2021年4月22日の長周新聞の記事【トリチウム水の危険性 通常排水にない11核種も 「飲んでも何ということはない」水か?】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/20833)によると、《トリチウムは通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体にとって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要だ東電と政府は史上最悪の福島原発事故を引き起こし、周辺住民に耐えがたい犠牲を強いた反省に立ち、真実をウソで覆い隠すのではなく、真摯な対応をすることが求められている》。

   『●「汚染水」の海洋放出からX年後を恐れる ―――《政府は
     基準値を大きく下回るまで薄めるというが…物質の総量は変わらない》
   『●《東京電力は処理水を「希釈すれば飲める」》…政府、自公お維の
     議員、原子力「寄生」委員会の皆さん、「どうぞ、どうぞ御飲み下さい」
   『●【西谷文和 路上のラジオ】《小出裕章さん…東京電力福島第一原発の
     トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海洋放出していけないわけ》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の
       将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)
   『●核燃料デブリに触れた汚染水をALPS処理した〝汚染水〟の海洋
     放出に断固反対する…〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行である
   『●(デモクラシータイムス/原発耕論)《汚染水海洋放出は無責任の極み!》
      …希釈しても汚染物質は減らない、〝汚染水〟の海洋放出に断固反対
   『●そんな核燃料デブリに触れた水を処理した〝汚染水〟…そんなものを海
     に捨てた例はどこにもない、〝汚染水〟の放出からX年後を恐れぬ愚行

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/20833

トリチウム水の危険性 通常排水にない11核種も 「飲んでも何ということはない」水か?
社会 2021年4月22日

 菅政府は13日に福島第一原発の炉心溶融(メルトダウン)事故で溶けた核燃料デブリを冷却した後に溜まり続ける放射能汚染水の海洋放出を決めたが、その閣議後の会見で麻生副総理は「あの水を飲んでも何ということはない」と発言した。国内の漁業者を先頭に国内外で汚染水の海洋放出に抗議や反発が広がっている。トリチウム水ははたして飲んでも何ということはないほど安全なのか。

 福島第一原発の敷地内のタンクに溜まり続けているのは、2011年の東日本大震災での地震や津波によって全電源を喪失した福島第一原発1~3号機(4号機は定期点検で停止中)で溶け落ちた核燃料を冷却し続けている汚染水だ。また、流入した地下水が核燃料デブリに触れて汚染水となっている。現在では1日に140㌧が発生しているとされている。

 政府や東京電力はこの汚染水を多核種除去設備ALPS)で処理しており、海洋放出される処理水にはトリチウム以外は含まれていないので安全だとしている。また、トリチウムは海外の原発、国内の原発でも海洋放出しているので安全だといっている。

 だが、通常運転している原発から放出される排水とメルトダウンを起こした福島原発から放出されるALPS処理水はまったく性質が異なる。ALPS処理で除去できないのはトリチウムだけではない。セシウム137やセシウム135、ストロンチウム90、ヨウ素131やヨウ素129など12の核種は除去できていない。ALPSでも処理できない核種のうち、11核種は通常の原発排水には含まれない核種だ。それは、通常の原発では燃料棒は被膜管に覆われ、冷却水が直接燃料棒に触れることはない。だが、福島第一原発では、溶け落ちて固まったむき出しの核燃料デブリに直接触れた放射能汚染水が発生しており、危険性は通常の原発排水どころではない。2018年にはALPSで処理したにもかかわらずセシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131などトリチウム以外の放射性核種が検出限界値をこえて発見された。

 「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」では処分方法として最終的に五つの方法を提示した。その処分方法別の費用は34億~3976億円の幅があったが、結局もっとも安い費用で済む海洋放出(費用34億円)に決定した。科学的な安全性より「安さ」を選択したのだ

 同小委員会の資料では「トリチウムは自然界にも存在し、全国の原発で40年以上排出されている健康への影響は確認されていない」と安全性を強調している。だが、世界各地の原発や核処理施設の周辺地域では事故が起きなくても稼働させるだけで周辺住民や子どもたちを中心に健康被害が報告されており、その原因の一つとしてトリチウムがあげられている。トリチウムは水素の同位体で、三重水素とも呼ばれ化学的性質は普通の水素と同一だが、β線を放出する放射性物質だ。半減期は12・3年。トリチウムは天然にも宇宙線と大気の反応によりごく微量に存在し、雨水やその他の天然水の中にも入っていたが、戦後の核実験や原発稼働によって自然界のトリチウム量は急増した。

 トリチウム水の分子構造は水とほとんど変わらないため、人体にそれほど重大な影響は及ぼさないと政府はいうが、分子生物学者はむしろそれは逆だと指摘する。

 人の体重の約61%は水が占めている。トリチウムは水とほとんど変わらない分子構造をしているため、人体はトリチウムを水と区別できず容易に体内の組織にとり込みやすい。トリチウムを体内にとり込むと、体内では主要な化合物であるタンパク質、糖、脂肪などの有機物にも結合し、有機結合型トリチウム(OBT)となり、トリチウム水とは異なる影響を人体に与える。長いものでは15年間も体内にとどまり、その間、人体を内部被曝にさらし続ける場合がある。

 トリチウムが染色体異常を起こすことや、母乳を通じて子どもに残留することが動物実験で報告されている。動物実験ではトリチウムの被曝にあった動物の子孫の卵巣に腫瘍が発生する確率が5倍増加し、精巣萎縮や卵巣の縮みなどの生殖器の異常が観察されている。日本の放射性物質の海洋放出の基準は1㍑当り6万ベクレルで、これはICRP(国際放射線防護委員会)の勧告に則ったものだ。しかし、分子生物学者らはICRP勧告はトリチウムのOBTとしての作用を明らかに過小評価していると指摘している。

 内部被曝による人体への影響はアメリカのマンハッタン計画以来、軍事機密とされ隠ぺいされ続けてきた。トリチウムがほとんど無害とされてきた根拠はICRPの線量係数の設定によるものであり、政治的意図によるものだ

 政府の有識者会議はトリチウムの生体への影響としてマウスやラットで発がん性や催奇形性が確認されたデータの存在を認めながら、ヒトに対する疫学的データが存在しないことを理由に、トリチウムが人体に影響を及ぼすことを裏付けるエビデンスはないと主張し、海洋放出を正当化している。しかし実際にはトリチウムの人体への影響はこれまでもくり返し指摘されてきた。

 ドイツでは1992年と1998年の二度、原発周辺のがんと白血病の増加を調査した。その結果原発周辺5㌔㍍以内の5歳以下の子どもに明らかに影響があり、白血病の相対危険度が5㌔㍍以遠に比べて2・19、ほかの固形がん発病の相対危険度は1・61と報告された。

 カナダでは、重水炉というトリチウムを多く出すタイプの原子炉が稼働後しばらくして住民のあいだで健康被害の増加が問題にされた。調査の結果原発周辺都市では小児白血病や新生児死亡率が増加し、ダウン症候群が80%も増加した。またイギリスのセラフィールド再処理工場周辺地域の子どもたちの小児白血病増加に関して、サダンプト大学の教授は原因核種としてトリチウムとプルトニウムの関与を報告している。

 日本国内でもトリチウム放出量が多い加圧水型原発周辺で白血病やがんでの死亡率が高いとの調査結果も出ている

 またノーベル物理学者の小柴昌俊氏とマックスウェル賞受賞者の長谷川晃氏が2003年に連名で、「良識ある専門知識を持つ物理学者として、トリチウムを燃料とする核融合は極めて危険で、中止してほしい」との「嘆願書」を当時の小泉純一郎総理大臣あてに提出している。そのなかで、トリチウムはわずか1㍉㌘で致死量になり、約2㌔㌘で200万人の殺傷能力があると訴えている。

 トリチウムは通常の原発からも海洋放出しているから安全なのではなく、人体にとって危険なトリチウムを排出する通常の原発稼働も止めることが必要だ東電と政府は史上最悪の福島原発事故を引き起こし、周辺住民に耐えがたい犠牲を強いた反省に立ち、真実をウソで覆い隠すのではなく、真摯な対応をすることが求められている。
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●《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は…大惨事の教訓を根底から覆し…福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》

2023年01月15日 00時00分03秒 | Weblog

(2023年01月03日[火])
アルプス処理水」なる〝汚染水〟の海洋放出についての経産省の宣伝がやたらとテレビで流れていて、呆れる。その海洋放出をどこの国でもうやっている的な、〝世界標準〟的な…、どこの国でやってんのか、是非、教えてほしい。「1/4」の自公お維支持者や「2/4」の選挙に行かない自公の間接支持者を洗脳しないでほしい。軍事費倍増、核発電所強制、汚染水海洋放出…キシダメ政権のやりたい放題は許されない。海洋放出の前に、福島をさっさと《原状回復》して見せて下さい。全ての《生業なりわい)》を返して見せて下さい。

   『●核発電所停止期間を控除 ――― この地震大国ニッポンで、「原則
     40年、最長60年」さえも無視して、実質的に60年以上運転したいと…
   『●核発電復権? 核発電所停止期間を控除? 「狂ったゴジラ」「老朽原発」
        「寿命核発電所」を再稼働したい? 福島の「原状回復」はいつ?

 まずは、福島を《原状回復》して見せてくれ、議論はそれから…全ての核発電所の廃炉作業を始めるべきだったのに、12年近くが過ぎてしまった。
 長周新聞の記事【世界に類のない原発運転70年 地震列島で実行する無謀さ 岸田政府が運転期間延長に舵】(https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25306)によると、《老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は、福島原発事故がもたらした大惨事の教訓を根底から覆し、またウクライナ戦争における原発がミサイル攻撃の標的になるという教訓も考慮せず福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ》。

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》
   『●《想定できないから免責されるという論法なら「地震大国」の日本で
     原発は稼働させてはならない…原発政策を推進してきた国の結果責任》
   『●《史上最大の公害事件》核発電人災について《東電の旧経営陣に対し、
     東電に賠償するよう株主が求めた》株主代表訴訟…13兆円の賠償命令
   『●キシダメ首相は《原発の運転期間の延長に加え》《新増設や建て替えの
      検討を明言したのは初めて》――― 命名・次世代革新炉「キシダメ」
   『●《「電力が足りないから原発だ!」というのがいかに愚かなことか。
     『原発をとめた裁判長』を見れば誰でもわかる。是非ご覧いただきたい》
   『●アタマオカシイの? 《東京電力の柏崎刈羽原発を原子力規制委員会の
     最終承認や地元新潟県の同意がなくても、国が前面に出て再稼働させる》!

 ミサイル攻撃の《標的》に加えて、この記事で指摘されている重要なことの一つは《使用済み核燃料》のこと。《使用済み核燃料プール》が攻撃を受けた際の被害のみならず、《あと何年で満杯になるのか》? それに、核燃料サイクルという「環」は閉じたのか? 「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」。《原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのか》?

   『●使用済み核燃料プールが満杯になったらどうするの??
   『●リラッキングとオンカロ
   『●空虚な《地域振興》…《核のごみ問題で過疎の町に「最大20億円」
     財源の魅力 識者「札束で頬を叩くのはやめるべき」》(野村昌二氏)
    《敷地内の使用済み核燃料プールはあと何年で満杯になるのか。現在
     発電中の原発は3基。そのうち高浜4号機・大飯(おおい)4号機と、
     発電中の原発2基を抱える関西電力は、このまま発電を続けると
     高浜原発はあと「6年程度」、大飯原発はあと「8年程度」で満杯になる
     と回答。対策については、こう答えた。
     「六ケ所再処理工場が順調に稼働することにより、
     使用済み燃料ピット(竪穴)の満杯は回避できるものと考えています」》

   『●原発再稼働と「軍産複合体国家・米国の商売」と
      「原発は『プルトニウムをつくる装置』」と「閉じない環」

   『●予想に反して「もんじゅ」廃炉へ、一方、
      「閉じない環」核燃料サイクルは維持するという無茶苦茶

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25306

世界に類のない原発運転70年 地震列島で実行する無謀さ 岸田政府が運転期間延長に舵
社会2022年12月21日

 福島第一原発事故による世界にも例を見ない甚大な犠牲を経て、日本政府は「原発への依存度をできるかぎり低減する」とのエネルギー政策をとってきた。しかし、岸田首相は8月にそれを覆し、原発最大限活用の方針を示した。経済産業省は8日、次世代型原子炉への建て替えや、「原則40年最長60年」と定められている運転期間の延長を盛り込んだ「行動指針」を明らかにした。日本列島にはおもに1970年代以降に54基の原発が建設されてきた。狭い国土にこれほどの原発が密集して林立している国は日本だけだ。この厳然たる現実は、日本が原発をめぐって指摘されているさまざまな危険性に真剣に向き合うことを要求している。老朽原発の運転は事故の危険性を高めるだけだ。2011年の東日本大震災時の福島原発事故は「原発の安全神話」を吹き飛ばした。日本は世界でも有数の地震・火山列島であり、近年地震や火山活動が活発化する時期に入っている。さらに今年に入ってからのロシアのウクライナ侵攻で、原発が武力攻撃の標的になることが突きつけられた。日本の原発もまた有事のさいにはミサイル攻撃の格好の標的にされることは明らかだ。

 日本では、54基の原発を40年近く運転してきたことによって膨大な量の使用済み核燃料が溜まっているが、処理方法は決まっていない。これ以上原発を増やし、老朽原発の運転を続けることは福島原発事故の再来を近づけ、ミサイル攻撃の標的とされ原爆投下と同様の惨事をもたらすもので、日本を滅亡の淵に立たせる亡国政治以外のなにものでもない

 最新の原発関連のトラブルは、9日の関西電力高浜原発1、2号機の海水処理施設での火災だ。冷却用に海からとり入れる水の一部を処理するための施設で、関電は原因はわかっていないとしている。1、2号機とも運転開始から50年近くを経過した老朽原発であり、想定外のトラブルである可能性も高い。

 経産省の行動指針は、福島原発事故を経て2012年に法律で定めた「(原発の運転期間)原則40年、最長60年」とするルールをなし崩し、運転の停止期間+60年とし、最大では運転開始から70年の老朽原発の運転も可能になる。

 世界的に見ると、60年以上運転した原発はなく、経産省の行動指針の異常さが際立っている。国際原子力機関(IAEA)の調べでは、すでに廃炉になった原発を含めても、運転期間が世界最長なのは、インドのタラプール原発1、2号機の53年1ヶ月だ。同原発から約1カ月遅れてアメリカのナインポイント1号機とスイスのベツナウ1号機が運転を開始しており、ともに運転期間は53年だ。

 また、IAEAによると2021年12月末までに世界で廃止予定の原発は199基あるが、平均寿命は29年だ。

 たとえばアメリカは運転期間を40年と規定し、規制当局の審査をクリアすれば20年間の延長が可能で、延長回数に制限はない。80年運転を認められた原発も6基ある。ただ多くの原発は設計時に耐用年数を40年間と想定してつくられており、老朽化が進むと維持コストも高くなり、事業者が長期運転よりも廃炉を選択するケースが多い。

 そもそも原発の設計は耐用年数を30~40年と想定している。設計段階で想定した原発の寿命を設計寿命としているが、当初原発の寿命は30年とされていた。30年はもつようにという計算による設計だ。

 それを日本政府はずるずると延長してきていた。事故を起こした福島第一原発1号機は1971年3月に営業運転を開始しており、事故当時は運転開始から41年を経過した老朽原発だった。当初運転期間は30年を目安としており、本来なら廃炉に向け運転が停止されているべき原発だった

 政府は1999年に福島第一原発1号機など、1970年前後に運転を開始した3基の寿命延長計画を認め、2005年には原発の運転を60年間とすることを想定した対策をまとめ、その後運転開始から40年を迎える原発を認めるなど老朽原発を積極的に酷使する方針をとってきた。

 老朽原発の運転は危険性が高まる。原発の機器は運転中、高温高圧、高い放射線という過酷な状況に置かれ、振動などによる金属疲労、温度がくり返し激しく変化することで起きる熱疲労、加えて冷却水や蒸気による侵食・腐食が発生する。

 さらに原発特有の問題として、放射線の問題がある。原子炉では運転中に発生する高エネルギーの中性子を受けて、鋼鉄の「粘り気」が弱くなる脆性劣化が起きる。原子炉圧力容器の鋼鉄も長時間の運転にともなって、粘り強さが減少し、もろく亀裂が入りやすくなる


老朽原発で事故が多発 専門家も危険性指摘

     (電源喪失で炉心溶融を起こした福島第1原発(2011年3月))

 老朽原発の事故は多発している。1999年には福島第一原発1号機で、原子炉内にある非常用炉心冷却系の配管にひびが入っていることが見つかっている。

 2004年には美浜原発三号機蒸気噴出事故が起こり、5人が死亡し6人が重傷を負った。当時同3号機の運転年数は30年に満たなかったが、点検リストから漏れて一度も確かめられなかった配管が経年劣化で薄くなって破れ、熱水と蒸気が噴出した。原発の部品数は約1000万点にのぼるとされ、見落としのリスクはつきまとい、老朽原発ほど配管などの劣化は激しい。

 また、東京電力柏崎刈羽原発では、福島事故後停止した7号機(運転開始から25年)のタービン建屋の配管が11年間点検されず、腐食で穴があいていたことが今年10月に明らかになった。

 このほかにも老朽化による問題は多発している。加圧水型原子炉では、格納容器を開口して蒸気発生器を丸ごととりかえる工事をよぎなくされる原発が続出した。沸騰水型では水流仕切り版(シュラウド)にひび割れが発生し、多くの原発でとり換えがおこなわれた。

 これらの補修工事はいずれも建設当初には想定されていなかった。しかも交換は非常に強い放射線のもとでおこなわれる作業で、労働者の被曝の危険性も高い。

 専門家は、原子炉の劣化状況を調べることは技術的に難しく、長期運転で劣化が進むと、点検漏れしたときのリスクが増し、重大な事故につながると指摘している。また、老朽原発の原子炉は技術的にも古く、耐震性の科学的評価も最新の知見にもとづくものではなく、事故のリスクが高いとしている。

 「あらゆる重大事故の多くは欠陥の見落としが原因だ。点検をしていても電気系統や制御装置はいつ劣化して故障するか予見できない。設計寿命はきわめて大事だ」と設計寿命をこえた運転の危険性を指摘する専門家もいる。

 原発の運転期間の延長は科学的な根拠にもとづくものではなく、廃炉には費用がかかるなど電力会社の利益追求の都合によるものであり、岸田政府が世界にも例のない70年もの運転を認める方針を出したことは福島事故をふたたび引き寄せかねないものだ


溜まる使用済み核燃料 10万年の保管可能か

 おもに70年代以降、54基の原発を建設・運転し続けてきた結果、日本列島には使用済み核燃料が溜まりに溜まっている。使用済み核燃料とはいっても高い放射線を放ち、保管・処理方法を間違えば重大事故を引き起こす。また、ウクライナの原発では使用済み核燃料の保管施設が砲撃されており、IAEAも使用済み核燃料の防護強化をうち出している。

 原発では、ウラン鉱石を原料にした燃料集合体を使用する。原子炉の中で4~5年使用したのち、新しい燃料集合体と交換する。使用後に残った「使用済み核燃料」は高い放射能をおび、人が近づけば数十秒で死亡するほど危険なものだ。使用済み核燃料の放射能が、もとのウラン鉱石と同じレベルに下がるまでにかかる時間は10万年で、その期間は安全に保管する必要がある。現在最適だとされている方法は「地層処分」で、地下数百㍍の穴を掘り保管する計画だ。

 スウェーデンでは今年1月、政府が使用済み核燃料の最終処分場建設計画を承認した。スウェーデンでも1970年代から使用済み核燃料の処分についての研究をおこなってきた。今回承認した計画は、地表から深さ500㍍のところに500本のトンネルを掘り、6000個の銅製保存容器で1万2000㌧の使用済み核燃料を、放射能が減衰する10万年後まで保管するというものだ。

 なお、建設に約10年かかり、最終処分場が完成して使用済み核燃料の貯蔵が始まるのは70年後だ。日本の場合、地震列島での「地層処分」の危険性も指摘されている。10万年ものあいだ安全に保管できるという保証はない。

 福島原発事故前の2010年段階での日本の使用済み核燃料の累計は1万6330㌧。これは世界第3位の累積量だ。ちなみに当時世界合計は約25万㌧。原発が動き続けていれば毎年1000~1200㌧の使用済み核燃料が発生する。

 使用済み核燃料は、崩壊熱を発生させるので水を循環させて冷やし続けなければならず、原子炉建屋内の貯蔵プールで数年間冷やすが、福島原発事故前の2010年段階ですでに各原発の貯蔵プールは満杯状態になっていた。たとえば東京電力の福島第一原発はあと2年で満杯、同第二原発はあと1・9年、柏崎刈羽原発はあと3年、関西電力の美浜原発はあと6・4年、大飯原発はあと6・1年、高浜原発はあと5・7年といった具合だった。

 福島原発事故の後、ほとんどの原発は停止したが、かりに通常運転が続いていれば、ほとんどの原発は現段階で使用済み核燃料プールは満杯になっていた

 国の計画では各原発敷地内での使用済み核燃料の保管は一時的なもので、ゆくゆくは青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場に運ぶというものだったが、再処理工場の完成が26回も延期され、完成のめどがたっていないため、原子炉建屋内の貯蔵プールに溜まり続けている。現在日本国内で貯蔵されている使用済み核燃料は1万8000㌧という。

 これは国内の貯蔵容量約2万4000㌧の75%をすでに占めており、満杯になるのは時間の問題になっている。

 大量の使用済み核燃料が日本中の原発敷地内に保管されているということの危険性は高い。

 ウクライナ危機において、使用済み核燃料の保管施設が砲撃の対象となったことで原発防護強化が喫緊の課題となっている。原子炉は鋼鉄製で、格納容器に守られ、意図的な航空機の激突にも耐えられるなど外部からの攻撃に一定の頑強さを有しているが、使用済み核燃料の保管施設は多重防護の仕組みになっていない場合が多い。IAEAが今年9月サポリージャ原発に調査団を派遣し、国連に提出した報告書のなかで、使用済み核燃料の保管施設に砲撃痕があったことをとりあげ、大規模な放射性物質の放出に至るおそれがあると警鐘を鳴らした。

 日本では、行き場を失った使用済み核燃料が、防護体制がほぼない各原発のプールに溜まり続けている。使用済み核燃料は膨大な熱を出し続けるため、冷却保管する必要があるが、原子炉と比較して保管施設、とくに冷却のためのプールは外部攻撃に脆弱だ。使用済み核燃料が大気にむき出しになれば、高濃度の放射能が広範囲に放出される使用済み核燃料プールが標的になった場合、大惨事になることは必至だ

 使用済み核燃料プールの破損によって甚大な被害を被ることは福島第一原発事故でも経験している。福島第一原発4号機は地震発生時、定期点検中であったため原子炉には核燃料はなかったにもかかわらず水素爆発を起こした。貯蔵プールの冷却水が循環できなくなり、冷やせなくなったために、水が高温になって蒸発し、燃料が露出して水素が発生して爆発したのだ。爆発によって施設が倒壊し、大量の鉄筋やコンクリート片がプールに落下し、使用済み核燃料の状況を確認できなくなった。

 ちなみにアメリカ政府は、この事態に対しプールに穴が開いて水が抜けたため、使用済み核燃料がむき出しになり、外気にさらされた可能性があると判断し、福島原発から半径50マイル(約80㌔㍍)に住む米国人に避難勧告を出した。日本政府の避難指示範囲は原発から半径30㌔㍍で、これを上回る異例の措置だった。後日、プールの水が保たれていることが確認され大惨事は回避されたが、アメリカ政府が使用済み核燃料プールの機能喪失の深刻さを認識していたことは明らかだ

 ウクライナでの使用済み核燃料保管施設の砲撃を受けて、国際機関は各原発に使用済み核燃料が溜まり続ける日本に対し、その防護を強化するための対策を強く求めている。

 原発の再稼働や新増設を進めた場合、運転すればかならず発生する使用済み核燃料の行き場をどうするのか、またその防護をどうするのかという新たな問題が出てくるが、そうした問題の解決策もないまま岸田政府は原発最大限活用に舵を切った

 老朽原発の運転延長や次世代原発の建設は、福島原発事故がもたらした大惨事の教訓を根底から覆し、またウクライナ戦争における原発がミサイル攻撃の標的になるという教訓も考慮せず福島事故を上回る大惨事を招きかねない無謀な政策転換だ


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●【適菜収 それでもバカとは戦え/戦後を代表する“ホラ吹き”安倍元首相の「思い出に残るデマと嘘」】…息吐く様にウソをつくアベ様

2022年09月06日 00時00分24秒 | Weblog

[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]


(20220827[])
息吐く様にウソをつく
 適菜収さんの《それでもバカとは戦え》シリーズコラム。今回は、《戦後を代表する“ホラ吹き”安倍元首相の「思い出に残るデマと嘘」》。

   『●息吐く様にウソをつく《稀代の“嘘つき総理”》による7年8カ月に
      及ぶ《憲政史上最悪と名高い安倍政権》…漸く「前夜祭」の真相が

 日刊ゲンダイのコラム【適菜収 それでもバカとは戦え/戦後を代表する“ホラ吹き”安倍元首相の「思い出にるデマと嘘」【第10位~第5位】】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310040)。《「安倍晋三が国会でついた嘘は118回」などとツイートしている人がいるが、ミスリードである。これは「桜を見る会」の前夜祭に関連して2019年11月~2020年3月についた嘘の数(衆院調査局調べ)にすぎない。要するに氷山の一角安倍の嘘は膨大にある。安倍の最大の特徴は、すぐにバレる嘘を平気な顔でつくところにある。その死から約1カ月、戦後を代表するホラ吹きの「思い出に残るデマと嘘」を振り返っておきたい》。
 TOP4。【適菜収 それでもバカとは戦え/安倍元首相の思い出に残るデマと嘘「私が嘘言うわけない」が嘘【第4位~第1位】】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310406)。《前回に続き戦後を代表するホラ吹き・安倍晋三の「思い出に残るデマと嘘」を振り返る》。

   『●統一協会名称変更問題…《実体が変わらないのに、名称を変えることは
         できない》はずなのに、《あり得ない》ことがなぜ可能になったの?
   『●元文科相からして、統一協会とズブズブだったのではないのか? 反面
      教師として、文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』に載せては?
   『●伊達忠一前参議院議長が元総理に統一協会票を依頼したと驚きの証言…
     《今回…安倍さんは…。『井上(義行氏)をアレ(支援)するんだ』…》
   『●汚染責任者アベ様という壺の蓋が割れた瞬間に、自民党“統一協会汚染”
      物質が壺から噴出…衆参院議長、防衛相、文科相、国家公安委員長…
   『●《暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または
     個人》=統一協会…《自民党が大っぴらに反社とつながっていることに》
   『●茂木敏充幹事長、統一協会と「党としては一切関係がない」…《その
     爛れた関係が岸信夫防衛相や二之湯智国家公安委員長、末松信介文科相…》
   『●《法外な寄付を集め、家庭を崩壊させるような活動が問題に…次々と関与が
       判明する自民党こそ、教団との関係を国会の場で丁寧に説明すべき》
   『●《このように安倍氏の一存で統一教会の組織票の差配が決まっていたと
     すれば…》…もはや開いた口が塞がらないよ。どこまでズブズブだったの?
   『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、
      弱きをへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》
   『●統一協会汚染議員一掃…《支持者こそが提言しなければならない善後策
      …あれだけ奉り続けた…元首相が、彼らのせいで殺されたのだから》
   『●斎藤貴男さん《安倍政治の最大の罪は、民主主義を完全に形骸化し、
     日本社会を根底から腐らせたこと…》《ネポティズム》《冷笑主義の蔓延》
   『●《〈関連団体とは存じ上げませんでした〉…「統一教会の何が問題
     なのか正確に承知していません」…しらじらしいにも程がある》お維
   『●悍ましい構図…さらには、アベ様が票の差配までするほどズブズブ
       ヅボヅボだった訳ですが、そんな自民党に投票するとはねぇ…
   『●統一協会…《自民党の政策決定や政権運営にどのような影響があった
     のか、真相を解明して再発防止策を講じる》べきなのに、全くその気無し
   『●憲法53条…《本来国会は開かなければならないが、安倍内閣では
     その要求を無視し続けていたことがある。岸田政権も応じる気がない》
   『●《自民党右派…政界の右派のみならず、それを支える日本最大の右派
     改憲団体、日本会議など》も統一協会と《「蜜月」関係を築いてきた》??
   『●統一協会が《法令に反するなどの例》は山のようにある訳で、《実体が
       変わらないのに、名称を変えることはできない》ことに何の問題?
   『●第2次キシダメ改造内閣の悲惨な船出 ―――― 統一協会非汚染者
     による組閣や役員人事もままならない、ズブズブヅボヅボな自民党…
   『●《安倍元首相の側近で、安倍派内ではポスト安倍の一番手》だった
     萩生田光一政調会長は加計学園問題等だけでなく、やはりヅボヅボだった…
   『●《保守の安倍が反日カルトとつながった》? 《保守ではなく、反日の

     エセ保守…支持してきたのは新自由主義勢力と政商とカルトの複合体》

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310040

適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中


それでもバカとは戦え
戦後を代表する“ホラ吹き”安倍元首相の「思い出に残るデマと嘘」【第10位~第5位】
公開日:2022/08/20 06:00 更新日:2022/08/20 06:00

     (森友加計問題で厳しい質疑を受けるも、不遜な笑みを
      浮かべる安倍首相(2018年当時)/(C)日刊ゲンダイ)

 「安倍晋三が国会でついた嘘は118回」などとツイートしている人がいるが、ミスリードである。これは「桜を見る会」の前夜祭に関連して2019年11月~2020年3月についた嘘の数(衆院調査局調べ)にすぎない。要するに氷山の一角安倍の嘘は膨大にある。安倍の最大の特徴は、すぐにバレる嘘を平気な顔でつくところにある。その死から約1カ月、戦後を代表するホラ吹きの「思い出に残るデマと嘘」を振り返っておきたい。


【第10位】米軍機墜落

 沖縄県沖で米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が墜落。2018年6月25日、安倍は国会で「(政府が飛行)中止を申し出た」と述べたが、真っ赤な嘘だった。


【第9位】辺野古デマ

 2019年1月6日、NHKの「日曜討論」で安倍は名護市辺野古の埋め立てについて「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移している」「絶滅危惧種が砂浜に存在していたが、砂をさらって別の浜に移していくという環境の負担をなるべく抑える努力もしながら行っている」と発言したが、根も葉もない嘘だった。


【第8位】安倍昭恵関連

 2018年3月26日、安倍は国会で「また、妻(昭恵)が名誉校長を務めているところはあまたの数あるわけだが、それそのものが、今まで行政等に影響を及ぼしたことはない」と発言。これも嘘。結局、森友学園加計学園の2つしかなかった。


【第7位】教科書デマ

 2017年5月9日、安倍は国会で「採択されている多くの教科書で、自衛隊が違憲であるという記述がある」と発言したがデマだった。文科省教科書課は「違憲であると断定的に書いている教科書はない」と否定。


【第6位】立法府の長

 安倍は国会で「私は立法府の長」と発言。総理大臣は「行政府の長」である。これは単なる言い間違いではない。2007年5月、2016年4月、5月、2018年11月と少なくとも国会で4回発言している。立法府を掌握したつもりだったのかもしれない。


【第5位】昔から嘘つき

 野上忠興著「安倍晋三 沈黙の仮面」によると、安倍は子供の頃から嘘つきだったという。「宿題みんな済んだね?」と聞かれると、まったく手をつけていないにもかかわらず、「うん、済んだ」と答える。嘘がバレて、学校側から「あと1週間でノートを全部埋めてきなさい」と罰が出ても、乳母が代わりにやっていた。
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/310406

適菜収 作家
近著に「ニッポンを蝕む全体主義」「日本人は豚になる」「思想の免疫力」(評論家・中野剛志氏との対談)など、著書45冊以上。「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。本紙連載が書籍化「それでもバカとは戦え」好評発売中


それでもバカとは戦え
安倍元首相の思い出に残るデマと嘘「私が嘘言うわけない」が嘘【第4位~第1位】
公開日:2022/08/27 06:00 更新日:2022/08/27 06:00

     (「私が噓を言うわけがないじゃないですか」
      (安倍元首相=2019年2月、国会)/(C)日刊ゲンダイ)

 前回に続き戦後を代表するホラ吹き・安倍晋三の「思い出に残るデマと嘘」を振り返る。


【第4位】移民政策

 2014年10月1日、安倍は国会で「安倍政権は、いわゆる移民政策を取ることは考えていない」と明言。世界各国の指導者が移民政策の失敗を認め、見直しが進む中、特区を利用したり、「外国人労働者」と言葉をごまかしながら、全力で移民政策を推進。結果、すでに日本は世界第4位の移民国家になっている。


【第3位】コロナデマ

 2020年4月13日、安倍は自民党役員会で「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなくわが国の支援は世界で最も手厚い」と発言。欧米では早い段階から休業補償を実施している。要するに補償拡大により国民を救済するのを拒むために、根も葉もない嘘をついたわけだ。
 4月下旬の国会で、代表質問に対し「感染症指定医療機関の病床を最大限動員し、3万2000を超える病床を確保した」と答弁。しかし東京新聞が調べたところ、全都道府県が確保できたのは計約1万4000床に過ぎなかった。新型コロナ騒動は人災でもあった。


【第2位】原発デマ

 2006年12月13日、共産党の衆院議員だった吉井英勝は「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書」を政府に提出。原発が地震や津波で冷却機能を失う可能性があるといった指摘に対し、同年12月22日、安倍は答弁書で「我が国において運転中の五十五の原子炉施設のうち、非常用ディーゼル発電機を二台有するものは三十三であるが、我が国の原子炉施設においては、外部電源に接続される回線、非常用ディーゼル発電機及び蓄電池がそれぞれ複数設けられている。また、我が国の原子炉施設は、フォルスマルク発電所一号炉とは異なる設計となっていることなどから、同発電所一号炉の事案と同様の事態が発生するとは考えられない」と答えた。
 2011年3月11日、東日本大震災が発生。津波に襲われた東京電力福島第1原子力発電所で全電源喪失事態が発生炉心溶融(メルトダウン)により大量の放射性物質が漏洩した


【第1位】自己言及の嘘

 2019年2月13日、安倍は国会で「私が嘘を言うわけがないじゃないですか」と発言。その発言自体が嘘。
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●「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」ので国に責任なし ―――これはあまりに酷すぎないか、最「低」裁?

2022年06月19日 00時00分00秒 | Weblog

[※ ↑【連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟】 (東京新聞 2022年06月11日)]


(20220618[])
小沢慧一記者による、東京新聞の記事【原発事故、国の責任認めず 避難者訴訟、最高裁が統一判断「津波対策命じても防げなかった可能性高い」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/184060)。

 《東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが、国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は17日、「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」とし、国の賠償責任はないとする統一判断を示した。国の法的責任の有無について事実上決着がついた形。同種訴訟への影響は必至だ。(小沢慧一)》

   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(1/2)
   『●馬奈木厳太郎弁護士《現在、賠償金は東電しか払っていない。
       国が『加害者』となれば賠償の在り方が根元から変わり
                      …政策に大きな影響》(2/2)
   『●やはり最「低」裁(第2小法廷・菅野博之裁判長)でした、というオチ
     …《原発事故で国の責任認めない判決 避難者訴訟で最高裁が初判断》

 苦しむ市民を救わない司法、最「低」である
 「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」ので国に責任なし ―――これはあまりに酷すぎないか、最「低」裁(菅野博之裁判長)? 草野耕一氏、岡野和美氏も同意見なの? 正気なのかな? 《「大量の海水が敷地に浸入することを防ぐことはできなかった可能性が高い」と指摘。国が東電に対策を義務付けなかったことと、原発事故の発生に因果関係はないと結論づけた》?
 「安全な原発」という形容矛盾を表していて、「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」のならば、国は核発電所を稼働させてはいけなかったのだ。国に明確な責任がある。
 《「地震、津波は想定外だから仕方なかったと言っているに等しい》。






[※ ↑ 朝日新聞 (2022年06月18日[土])]

 「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも責任とってやめたか申し訳ないと謝罪したか」!
 誰も責任をとらない…。《誰も事故の責任を取らなければ企業に無責任体質がはびこり、また同じことが起きる》。いまの政治状況と全く同じ。アベ様らの《無責任体質》、腐敗が連鎖。最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。《火事場ドロボー》として戦争を煽っている。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?
 核発電「麻薬」中毒患者の皆さんのやることはデタラメばかり。最「低」裁を頂点とした裁判所も「司法判断」を放棄し、アベ様らに忖度した「政治判断」を繰り返してきた。
 「原発さえなければと思います」―――《原状回復》なき《原発回帰》は許されない。

 原子力郷土の発展豊かな未来」「原子力明るい未来のエネルギー」「原子力正しい理解で豊かな暮らし…もう11年半が経とうとしている。
 《あの未曾有の福島第一原発事故を招いた“最大の戦犯”が、他ならぬ…安倍晋三》様だ。リテラ《3.11に改めて問う安倍首相の罪! 第一次政権で福島第一原発の津波、冷却機能喪失対策を拒否した張本人だった》。

   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
       “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき


 最「低」裁による究極の《国の責任隠し》、なんのため? 何食わぬ顔で《最大の戦犯》なアベ様を守るため。これも、数多のアベ様案件の一つだ。最高裁の裁判官を、ひたすらアベ様派で固めていたとの噂だが、それが大きく実を結んだ。
 しかも、菅直人氏についてのデマメルマガ事件」の犯人もアベ様だ。今も何食わぬ顔で、原子力「寄生」委員会のデタラメな「お墨付き」の下、核発電所再稼働を強行し、司法も役立たず、核発電所まで輸出しようと暴走していた…大迷惑な核発電「麻薬」中毒者のトップがアベ様。《最大の戦犯》が犯罪を犯し続けており、それさへも《継承》する自公政権。いまだに《ベースロード電源》などと嘯く始末だ。

   『●「想定外」という言い訳は許されない
    《実は、東電の福島第一は津波に弱く、炉心溶融の危険性があることは、
     5年前から指摘されていた想定外などではない。福島第一で
     想定されている津波、チリ地震津波クラスに遭遇すると、大きな引き波に
     よって冷却用の海水を取水できなくなるといわれる。この引き波による
     取水停止が、炉心溶融に発展する可能性を、2006年に国会で共産党の
     吉井英勝議員が質問している。
       二階俊博経産相(当時)は善処を約したが、東電は具体的な改善を
     行なわなかった。東電には地元から改善の要望書も出されているので、
     津波による炉心溶融の「危険性の指摘」を知らなかったはずはない
     百も承知だったのに、素知らぬ顔ですべての原因が想定外の巨大地震に
     あるかのように振舞っているとしたら、なかなかの役者である》

   『●”原子力発電”という箱を開ける覚悟と、(とりようの無い)開けた責任
    《この日、これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員
     (共産)が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、
     電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」
     と発言していたが、この日は「当時の認識について甘さがあったことは
     深く反省をしている」と述べた。 
       これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹
     ・原子力安全委員長は「事故を深く反省し、二度とこのようなことが
     起こらないようにしたい」と答えた。 
       また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長
     (現・日本原子力研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も「国民の皆様に
     大変申し訳ないと思っている。痛恨の極み」。電源喪失の事態に備えて
     こなかったことは「正しくなかった」とした》

   『●SLAPPと原発、沖縄
    《[CML 019566] 甘利明の名誉棄損訴訟にSLAPP批判
       甘利明・自民党衆議院議員がテレビ東京を提訴した名誉棄損訴訟が
     恫喝訴訟SLAPPであると批判されている。甘利氏は安倍政権の
     経済産業大臣であった。テレビ東京『週刊ニュース新書』は2011年
     6月18日に甘利氏へのインタビューを放送した。
       インタビューで取材陣は福島原発事故を自公政権の安全対策の
     不備に起因するのではないかと追及した。甘利氏は「津波は想定外」と
     責任回避するが、取材陣は日本共産党の吉井英勝・衆議院議員の
     「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の
     安全を守ることに関する質問主意書」を提示した。そこでは津波被害など
     による電源喪失に起因する原発事故の危険が指摘されている。
       福島原発事故が想定外でないことを示す事実
であるが、この趣意書を
     突き付けた直後にインタビューは中断された。インタビュー中断の事実は
     番組で報道された。この番組放送に対して甘利氏は名誉毀損として
     1000万円もの損害賠償を求めてテレビ東京を提訴した》

   『●『DAYS JAPAN』
      (2013,SEP,Vol.10,No.9)の最新号についてのつぶやき
    「さらに、斎藤美奈子さんの二つの指摘。「第一次安倍内閣時代…
     吉井英勝…「巨大地震の発生…原発の危機から国民の安全を守る
     ことに関する質問主意書」…提言を無視した結果がご覧の通りの事故である」」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/184060

原発事故、国の責任認めず 避難者訴訟、最高裁が統一判断「津波対策命じても防げなかった可能性高い」
2022年6月18日 06時00分

 東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが、国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は17日、「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」とし、国の賠償責任はないとする統一判断を示した。国の法的責任の有無について事実上決着がついた形。同種訴訟への影響は必至だ。(小沢慧一

 裁判官4人中3人の多数意見で、三浦守裁判官(検察官出身)は「原子力安全・保安院(当時)と東電が法令に従って真摯(しんし)な検討を行っていれば事故を回避できた可能性が高い」として国の責任を認める反対意見を出した。

 主な争点は①原発事故の原因となった津波を予想できたかどうか②防潮堤の設置や原子炉建屋の浸水対策などの対策を講じていれば事故が防げたか—の2点。

 判決は、国の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測「長期評価」に基づき、津波が最大15メートルを超えると予測した08年の東電の試算には合理性があると判断。国が東電に対策を義務付けていれば、防潮堤が設置された可能性は高かったとした。

 しかし、実際に発生した地震はマグニチュード(M)9.1で、想定された8.2前後よりも規模が大きく、津波の到来方向も異なっていたことから、試算を基に防潮堤を設計していたとしても「大量の海水が敷地に浸入することを防ぐことはできなかった可能性が高い」と指摘。国が東電に対策を義務付けなかったことと、原発事故の発生に因果関係はないと結論づけた。

 原告側が主張した原子炉建屋の浸水対策については「事故以前は防潮堤設置が津波対策の基本だった」とし、浸水対策は当時は知見がなく一般的な対策ではなかったとして必要性を認めなかった津波が予測できたかどうかや長期評価の信頼性については、明確な判断を示さなかった

 4訴訟は福島、群馬、千葉、愛媛の各県で起こされ、原告総数は約3700人。2審では群馬以外の3件で国の責任が認められた。東電の賠償責任については今年3月に最高裁で確定し、賠償総額は4件で計約14億円となっている。国の責任はないとの判断が確定したため、東電が全額を支払う。

 原発事故による避難などを巡り、国と東電に賠償を求める同種訴訟は全国で約30件ある。


最高裁第2小法廷の裁判官4人は「国の責任」をどう判断したのか?
  名 前              前 職       判断
――――――――――――――――――――――
 菅野博之              大阪高裁長官            
 草野耕一              弁護士                       認めず
 岡野和美              消費者庁長官
――――――――――――――――――――――
 三浦守                  大阪高検検事長         
                                                                 認める
――――――――――――――――――――――


【関連記事】「被災者の苦しみ無視」 原発避難者訴訟で国の責任認めず 原告ら落胆「国に原発動かす資格ない」

     (東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが国に
      損害賠償を求めた集団訴訟で、最高裁前で判決文を手に
      結果を報告する原告団の馬奈木厳太郎弁護士=17日、
      東京都千代田で)


◆「加害者」あいまいなまま

 原発避難を巡る17日の最高裁判決は、国が東電に津波対策を指示していても事故は防げなかったとして、国の責任を認めなかった。地震、津波は想定外だから仕方なかったと言っているに等しい

 高裁段階で国の責任を認めた愛媛、千葉訴訟では、国は原発建屋などの浸水対策も取っていたら津波の影響が相当程度軽減され、事故は起きなかったと推認した。これに対して最高裁判決は、想定津波で設計した防潮堤では実際の津波は防げず、浸水対策は事故前には一般的な対策ではなかったため、事故は防げなかったとした。

 だが、防潮堤だけで津波を防げるという国側の発想にこそ問題があったのではないか。国の長期評価を基にした2008年の東電の試算でも、原発建設当初の想定の5倍超の津波が算出されている。それまでの安全性が根底から覆される事態であり、浸水を前提とした設計にかじを切るべきだった。

 実際には、国も東電も具体的な対策を「全く」しなかった。高度な専門性を有する原発で、事故から住民の命を守るには国の規制しかないが、国はその役割を放棄したといえる。事故の影響で現在も3万人以上が避難生活を送っている

 再発防止には、責任の所在の明確化が欠かせない。未曽有の被害を出した原発事故で「加害者」が曖昧なままでは、将来の世代に対し「2度と事故は起きない」とは到底言えない。(小沢慧一)


◆唯一反対意見の三浦裁判官、確実に防ぐ対策必要

 原発事故について国に責任があるとした三浦守裁判官の反対意見は、原発事故被害の深刻さを重く捉えた上で、想定を超える事態に備えて、確実に事故を防ぐための対策が必要だったと判示した。

 反対意見は、2002年公表の国の地震予測「長期評価」の信頼性を認めた上で、公表から1年たった03年ごろには、国は津波による被害を予見できた、とした。

 津波や地震は正確な予測が困難で、浸水すれば深刻な事態が生じることを踏まえ、長期評価に基づく試算では浸水が想定されなかった方向からの津波についても「想定することはむしろ当然」と指摘。多数意見が認めなかった浸水対策についても「想定を超える事態への多重的な防護の必要性を、東電も国も認識することが十分可能だった」とした。

 浸水対策が講じられ防潮堤が完成していれば、実際の事故より浸水は相当減り、事故を回避できる可能性は高かったと言及。長期評価は、実際に起きたような巨大地震は想定していなかったものの「『想定外』という言葉によって、すべての想定がなかったことになるものではない」と述べ、「地震や津波の規模などにとらわれて、問題を見失ってはならない」と厳しく断じた。(小嶋麻友美


【関連記事】原発事故の賠償責任「なし」でも…国には賠償基準を見直す責務ある 原発避難者訴訟
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●《それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の将来を決定づける超現実的な選択なのである》(コラム 狙撃兵)

2022年04月06日 00時00分37秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(2022年03月26日[土])
吉田充春記者による、長周新聞のコラム【「戦時下の原発」について/コラム狙撃兵】(https://www.chosyu-journal.jp/column/23039)。

 《地震列島火山列島である以上、それは逃れられない宿命ではあるが、今さらながら54基もつくったバカさ加減について考えない訳にはいかない。国土のあちこちにとんでもない起爆装置を抱えているのである。膨大な汚染水貯蔵タンクが並べられた福島第一原発界隈の光景はまさに「原発の墓場」である。これがミサイル攻撃ではなく、自然災害によってもたらされた悲劇であることは、昨今の世界情勢と重ねて考えさせられるものがある。自然災害ですらこのザマなのに、戦争になったらどうなるのか――と。》

 《今さらながら54基もつくったバカさ加減》…《火事場ドロボー》《好戦的にオラついているバカ》どもが蠢く哀しい国・ニッポン。壊憲して、戦争できる国にしたいそうだ。子や孫を戦場に行かせて、人殺しをさせたいらしい。一体どんな親? 一体どんな祖父母?

 虚しき11年、ニッポン。小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
 週刊朝日のコラム【室井佑月「愚かですね」】(https://dot.asahi.com/wa/2022032300010.html)によると、《東電の広報担当者いわく、「どうやって処分していくか、正直に言って具体策はない」のだそうだ。ま、汚染水というより、その数日前にAERA dot.に載っていた記事「福島第一原発『デブリ取り出しは不可能』と専門家 廃炉できないなら『石棺で封じ込めるしかない』」によれば、小出裕章・元京大原子炉実験所助教の言葉、「デブリの取り出しは100年たっても不可能です。東電は『国内外の技術や英知を活用すれば廃炉はロードマップ通りに達成できる』などと繰り返し言っているようです。本気で考えているとすれば、相当なバカだと思います」というのが真実なのだろう。本当は汚染水とおなじく廃炉も、「正直いって具体策はない」のだと思う。しかし、それをはっきりいうと原発再稼働が阻まれるからそういわない。11日の読売新聞には「原発再稼働 高まる声」という記事が載っていて、「ウクライナ情勢の悪化に伴うエネルギー価格高騰を受け、与野党から原子力発電所の再稼働を求める声が高まっている」と書かれていた。人はどうしてこうも愚かなんだろう》。
 ホントに愚かだ。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
      到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》
   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●東電核発電人災…《あまりに切ない一枚です。…犬。…鎖につながれた
     まま…取り残されたわが家で、何を思いながら力尽きたことでしょう》
   『●《けれども、安易な対応は、己の社会をも彼らのそれへと限りなく近づ
     けていく。冷静に、冷静に……。自壊ほどの愚の骨頂はないのである》
   『●斎藤貴男さん《ロシア軍のウクライナ侵攻をダシにした、帝国主義への
     妄執と言うべきか…日本の対米従属度が、いっそう高められるだろう》
   『●《火事場ドロボー》1号、2号、3号…を支持し、投票する人々に、
     壊憲して戦争する国になる自覚はあるのか? 予想されるその結果は?
   『●《政治家の仕事とは1日でも早く戦争を終わらせること…被爆国の
     我が国は猛然と抗議し、国際社会をリードすべきなのにもかかわらず…》
   『●アベ様は《火事場ドロボー》1号なり。その《バカ》を有難がって
     テレビに出す《バカ》…そんな《バカ達と…戦》はなければならない…
   『●核発電のリスク…《武力攻撃があることが、ウクライナの事態で明白に
         なった》というのに、《原状回復》どころか、《原発回帰》する国…

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https://www.chosyu-journal.jp/column/23039

「戦時下の原発」について
コラム 狙撃兵 2022年3月22日

 東日本大震災から丸11年を迎えた数日後の3月16日深夜、立て続けに震度5~6もの地震が同じく福島県沖で発生し、東日本一帯が大きく揺れた。遠く離れた西日本で暮らしている者として、ただただ福島、宮城、岩手をはじめとした三陸地方の被災地の人々(震災後の取材ではたくさんの人々にお世話になりました)がどうしているだろうか…と安否を気にしつつ、ニュースやSNSから流れる各地の情報に目をこらしていた。崩れた瓦、割れて飛び散ったガラス、脱線した新幹線、揺れを映したスマホの動画等等が流れるなかで、地震列島の恐怖を改めて感じたのだった。

 そして、あの震災の時と同じように福島第一原発は大丈夫か? が真っ先に脳裏をよぎった。一時的に電源喪失に陥った(その後、回復した)との情報には、それが一時的なもので幸いだったものの鳥肌が立ったのだった。メルトダウンした原発からの使用済み核燃料の取り出しもまだ終わったわけではなく、一部取り出しに成功したといっても厳重に冷却し続けなければならない。さらに、炉心溶融によって発生したデブリの回収にいたってはメドもないというなかで、今後とも果てしもない年月をかけて向き合わなければならないのが廃炉作業であり、過程で地震・津波といった自然災害にも見舞われかねないのが現実である。その度に、福島第一原発は大丈夫か? 女川原発は大丈夫か? を心配し、全国津々浦々にある原発についても同様に大丈夫か? を私たちは心配しなければならないのだ。地震列島火山列島である以上、それは逃れられない宿命ではあるが、今さらながら54基もつくったバカさ加減について考えない訳にはいかない。国土のあちこちにとんでもない起爆装置を抱えているのである

 膨大な汚染水貯蔵タンクが並べられた福島第一原発界隈の光景はまさに「原発の墓場」である。これがミサイル攻撃ではなく、自然災害によってもたらされた悲劇であることは、昨今の世界情勢と重ねて考えさせられるものがある。自然災害ですらこのザマなのに、戦争になったらどうなるのか――と。。

 国内に一五基の原発を抱えていたウクライナを見ればわかるように、原発は軍事戦略上も真っ先に統制下に置くべき施設として世界的には認識されている。いざメルトダウンなり爆発ともなれば、広島、長崎の原爆どころでない壊滅的被害を及ぼすことは、だれの目にも明らかだからである。従って、武力でオラオラやりあうきな臭い時代に突入している折、「戦時下の原発」についてより具体的に想像を働かせ、どう国内の原発と向き合っていくかも真顔で考えなければならないことを突きつけている。これまで日本政府は戦争で原発が狙われることを何ら想定していなかったし、今もって想定していないのである。

 駆け出しの記者だったかれこれ20年近く前、それは世界が9・11からアフガン侵攻、イラク戦争へと突っ込んでいた時期に、上関原発建設計画について「ミサイル攻撃の標的になる原発」と記事にしたことがあった。反響は様々だったが、その際に自民党山口県連の人々曰く、「いくら原発に反対だからといって、大袈裟でいたずらに恐怖を煽る記事」「日本の原発がミサイルで攻撃されるわけがない。非現実的」「脳味噌が妄想にとりつかれているというか、バカなのではないか?と随分笑われたことがあった。なんなら反原発を標榜する人々のなかですら、「なに極論を唱えておるのか(笑)」といった空気が支配的で、鼻で笑う向きすらあった

 ところが世の中も二周回った今日、ウクライナ情勢を経て「戦時下の原発への危機対応は現実的な課題として俎上にのぼっている。事ここまできて、鼻で笑える人がどれだけいるというのだろうか。これはなにも「非現実的な妄想にとりつかれたバカ」扱いされたことを根に持っている訳ではない。原発を54基も腹に巻きつけながら隣国にミサイル(南西諸島に配備)を向け、ウクライナ情勢を機に核の共同運用まで叫び始め、好戦的にオラついているバカがいるものだから、まことに物騒で仕方がないと思うし、真顔で心配になるのである。

 第二次大戦では全国の都市という都市が米軍の空襲によって焼き払われ、それだけでなく2発の原爆まで投げつけられたが、あの当時はまだ原発などなかった。仮に今日の不安定な世界情勢のもとで第三次世界大戦に発展し、どちらかに与して巻き込まれた場合、原発を抱えた日本列島は壊滅的である。54基も原発を腹に巻きつけて拳を振り上げている様は滑稽でもあり、それで「オレたちには米国がついてるんだぞ!」などとイキっているのだとしたら、平和ボケのお花畑も大概にせい! と思うのである。

 国防を真剣に考えるなら、戦争ができる国や国土ではないことを自覚したうえですべての選択をしなければならない。ミサイルを向け合い、胸ぐらをつかみ合うような乱暴な関係ではなく、体制の違いや見解の相違をこえて、すべての国と平和的な関係を築いていくほかないのが現実だろう。それは「お花畑」などといって茶化される話ではなく、日本社会の将来を決定づける超現実的な選択なのである

吉田充春
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●核発電のリスク…《武力攻撃があることが、ウクライナの事態で明白になった》というのに、《原状回復》どころか、《原発回帰》する国…

2022年04月02日 00時00分15秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220321[])
添田孝史記者による、AERAの記事【ウクライナ侵攻で判明した武力攻撃による原発リスク 2万人弱が急性死亡という被害予測も】(https://dot.asahi.com/aera/2022031400045.html)。
日刊ゲンダイの記事【日本の「原子力ムラ」がもくろむ原発再稼働 ウクライナ危機に便乗する“火事場ドロボー”】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302514

 《ウクライナに侵攻したロシア軍の原発への攻撃は、世界を驚愕させた。日本にも原発や再処理施設があるが、地震や津波だけではなく武力攻撃が大きなリスクとなることが明白になった》。
 《千載一遇のチャンス──とでも考えているのか。ウクライナ危機に乗じて自民党が“原発再稼働”に蠢きはじめている。自民党の「電力安定供給推進議連」は10日、原発の早期稼働を求める決議を全会一致で採択。政府に提言を提出する予定だ。「原発ムラ」は、原発再稼働に自信を強めているという。電気料金の上昇が確実視されているからだ。…原発ムラは、自民党だけでなく野党の「日本維新の会」と「国民民主」が再稼働を推進していることにも意を強くしているという》。

 核兵器による攻撃が不要に。通常兵器で核発電所の格納容器や原子炉を破壊すればよいだけだ。とっくの昔に、《緊急避難しなければ最大1万8000人が急性被ばくで死亡し、住めなくなる地域は最大で87キロ圏内と予測》(リテラ) されていた。格好の《標的》だ。しかも攻撃しなくとも、地震列島・地震大国ニッポンでは、3.11のように〝核爆弾〟が再び自壊するリスクはとてつもなく高い。《原状回復》どころか、《原発回帰》する国だもの。
 《最大の戦犯》《火事場ドボロー》達の狂気…《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書にまとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》(リテラ)。そんな自公お維コミに、来る参議院選でも、支持し、投票するんですよね…。理解に苦しみます。自公お維コミ支持者は《福島原発事故をどう考えているのか》?

 《急性被ばくで一万八千人が亡くなり、原発の約八十六キロ圏が居住不能になる》…《火事場ドロボー》1号、2号、3号…どもに騙され、乗せられればそうなります。
 再度引用します。日刊ゲンダイの記事【原発への武力攻撃で「急性死1.8万人」の衝撃試算! 3.11から11年、日本は再稼働へ前のめり】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302460)によると、《外務省から委託された日本国際問題研究所が1984年2月に「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」と題した報告書をまとめている。報告書にはこうある。〈主要電源施設を攻撃し破壊することは、その国の総合戦力を低下せしめる観点から十分予想される〉〈単に発電能力阻止が目的ではなく、炉内の大量の放射性物質の放散による効果を狙ったもの〉 被害の試算は衝撃的だ。原発への軍事攻撃により、シナリオⅠ「補助電源喪失」、Ⅱ「格納容器破壊」、Ⅲ「原子炉の直接破壊」を想定。最も大きな被害が生じるのはⅢだが、分析が困難なため、Ⅱの場合の被害を推定している。緊急避難しなければ、被曝後2カ月以内の急性死亡は最大18000人、急性障害は最大41000人に上る農作物などの土地利用や居住が長期間禁止されるのは最大54マイル(約87キロ)に及ぶ。元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏(工学博士)はこう言う。「核兵器による攻撃よりも相手国の原発に対して通常兵器で攻撃する方が、ケタ違いのダメージを与えられます。恐ろしいことに、ロシア軍はそれを実践しているのです。また、原発事故と武力攻撃は質が違います。事故の場合は、内部からジワジワと壊れていきますが、武力攻撃では格納容器や原子炉をピンポイントで狙えるいきなり、放射性物質が拡散する危険があるのです」 報告書でも〈軍事攻撃の場合には攻撃する側に知識があれば、相当の確からしさで苛酷な事態を引き起こしうると警鐘を鳴らしている脱原発は自明の理だ》。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)
   『●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の
      到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》
   『●《武藤類子さん…が講演し、今も続く過酷な被害を訴えた。ロシアに
     よるウクライナの原発攻撃にも触れ「胸がふさがれる思い」と語った》
   『●《ひとたび制御を失った原発が、後世にどれだけの重荷を残すのか。
     …廃炉作業が遅々として進まぬ現実が、原発の巨大なリスク》を顕在化
   『●東電核発電人災…《あまりに切ない一枚です。…犬。…鎖につながれた
      まま…取り残されたわが家で、何を思いながら力尽きたことでしょう》
   『●《けれども、安易な対応は、己の社会をも彼らのそれへと限りなく近づ
     けていく。冷静に、冷静に……。自壊ほどの愚の骨頂はないのである》
   『●斎藤貴男さん《ロシア軍のウクライナ侵攻をダシにした、帝国主義への
     妄執と言うべきか…日本の対米従属度が、いっそう高められるだろう》
   『●《火事場ドロボー》1号、2号、3号…を支持し、投票する人々に、
     壊憲して戦争する国になる自覚はあるのか? 予想されるその結果は?
   『●《政治家の仕事とは1日でも早く戦争を終わらせること…被爆国の
     我が国は猛然と抗議し、国際社会をリードすべきなのにもかかわらず…》
   『●アベ様は《火事場ドロボー》1号なり。その《バカ》を有難がって
     テレビに出す《バカ》…そんな《バカ達と…戦》はなければならない…

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https://dot.asahi.com/aera/2022031400045.html

ウクライナ侵攻で判明した武力攻撃による原発リスク 2万人弱が急性死亡という被害予測も
2022/03/15 08:00
添田孝史

(ウクライナ南東部にある欧州最大級のザポリージャ原発はロシア軍の攻撃で火災が発生した。鎮火され、周囲の放射線量に目立った変化はなかった(photo:Zaporizhzhia Nuclear Power Plant/Anadolu Agency via Getty Images))

 ウクライナに侵攻したロシア軍の原発への攻撃は、世界を驚愕させた。日本にも原発や再処理施設があるが、地震や津波だけではなく武力攻撃が大きなリスクとなることが明白になった。AERA2022年3月21日号の記事から。

     (【図表】世界の原発の状況は…各国の原発の数はこちら)

*  *  *

 ロシア軍がウクライナ侵攻の過程で、核関連施設を次々標的としている。2月24日にチェルノブイリ原子力発電所を占拠。3月4日には欧州最大の規模を持つザポリージャ原発を攻撃し周辺施設から出火させた。6日にはウクライナ北東部ハリコフで、核物質を扱う研究施設にロケット弾を打ち込んだ。

 運転前の原発への爆撃や、運転中の施設への小規模なテロはこれまでもあった。しかし運転中の原発を軍隊が攻撃したのは初めてだ。ロシア軍は9日、チェルノブイリ原発への電力供給を切断。また国際原子力機関は同日、核物質を遠隔で監視するデータが同原発とザポリージャ原発から、送信されなくなっていると明らかにした。大量の放射性物質の放出は確認されていないが、極度の緊張状態が続いている。

 戦時に適用される国際人道法ジュネーブ条約」は、住民の保護のため、原発をダムや堤防などと同様に戦時下でも保護するよう定めている。ロシア軍は、原発の破壊が目的ではなく、支配するのがねらいだったかもしれない。しかし誤爆や誤射があれば被害は甚大なものになる。原発のリスク要因として、地震や津波だけではなく武力攻撃があることが、ウクライナの事態で明白になった


■400基以上の原子炉

 原子力規制委員会更田豊志委員長は2日の会見で、「規制委は武力攻撃があった時のその強度、どれぐらいの脅威がもたらされるかといった情報に触れる立場にない。従って、武力攻撃の時の想定や評価を行う立場にはない」「立法府などの議論に委ねられる」と述べた。

 欧州、米国東部、東アジアを中心に世界には400基以上の原子炉がある。

 外務省が1984年に、大型の原発が攻撃を受けた場合の被害予測をまとめている。周辺の人口密度が米国の大都市近くの原発と同程度と仮定すると、周囲25キロまでの住民が5時間以内にうまく避難できないと、最大1万8千人が急性死亡、さらに2万4千人がその後がんで死ぬと予測している。

 報告書は三つの攻撃シナリオを想定。1番目は、電源破壊だ。原子炉は制御棒を挿入して緊急停止させても、数分で水1トンを蒸発させるほどの余熱を発生し続ける。冷やすには一般家庭約1万世帯分の電力が必要で、送電線で別の発電所から受電したり、非常用の発電機やバッテリーを用いたりする。

 送電線や非常用電源が破壊されると原子炉は炉心溶融や水素爆発を起こし、東京電力が津波で電源を喪失させた時と同じ結果になる。福島第一の電源喪失では最悪の場合、半径250キロが住むのに適さなくなるほど汚染されると政府は計算した


■賠償を受けられない

 2番目は、格納容器が爆撃ないし砲撃されるケース。報告書は、鉄筋コンクリート壁の厚さと破壊に必要な爆薬の量を調べ、「今日のミサイルの命中精度は極めて高いので、攻撃がいったん実行されれば、その器壁が破壊される危険性は高い」と結論づけている。

 3番目は、ミサイル数発を用いて、格納容器だけでなく、中心部の原子炉圧力容器まで破壊するもの。「(2番目より)さらに苛酷な事態になる恐れは大きい」としている。

 国内で原発事故が起きれば、原子力損害賠償法で、たとえ過失がなくても電力会社が住民に賠償すると定められている。しかし「社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない」という条項があるため、軍事攻撃やテロの場合は賠償を受けられそうにない

 国内では現在10基の原発が再稼働している。うち半分を動かす関西電力は「軍事攻撃のリスクは国の外交上・防衛上の観点から対処されること」と断った上で、「規制で、意図的な航空機衝突などで大規模損壊した時の対応も要求されており、多様な事故対処設備や手順を整備している。これらの備えにより、大規模な放射性物質の放出につながる事態を最大限回避できる」(広報室)とコメントした。(ジャーナリスト・添田孝史)

※AERA 2022年3月21日号より抜粋
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302514

日本の「原子力ムラ」がもくろむ原発再稼働 ウクライナ危機に便乗する“火事場ドロボー”
公開日:2022/03/15 06:00 更新日:2022/03/15 06:00

     (廃炉作業が続く東京電力福島第1原発(3月11日、
      小型無人機から)/(C)共同通信社)

 千載一遇のチャンス──とでも考えているのか。ウクライナ危機に乗じて自民党が“原発再稼働”に蠢きはじめている。

 自民党の「電力安定供給推進議連」は10日、原発の早期稼働を求める決議を全会一致で採択。政府に提言を提出する予定だ。「原発ムラ」は、原発再稼働に自信を強めているという。電気料金の上昇が確実視されているからだ。

 いまでも電気料金は、かなり高くなっている。大手10社の4月の電気料金は、過去5年間で最も高い。たとえば、東京電力の1月の電気料金は平均的な世帯で7631円だったが、2月は7961円、3月は8244円、4月は8359円と毎月上昇している。

 理由は、火力発電の燃料であるLNG(液化天然ガス)の輸入価格が値上がりしているためだ。ロシアのLNG輸出量は世界1位だけに、ロシアからの輸出がストップしたら、さらに電気料金が上がるのは間違いない。

「電気料金には急激な家計負担増を防ぐために上限値が定められ、すでに関西電力など5社は上限に達しています。上限を超えた分は電力会社の負担になる。これ以上、LNGの価格が上昇したら、電力会社は新たな電気料金を申請しなおすことになるはずです。当然、電気料金は上がる。その時、『これ以上の電気料金の値上げには耐えられない』『原発を再稼働すべきだ』という国民世論が強まると原発ムラは計算しています」(霞が関関係者)

 原発ムラは、自民党だけでなく野党の「日本維新の会」と「国民民主」が再稼働を推進していることにも意を強くしているという。


■「計画停電」もあるのか

     (スペイン・ビルバオ港に停泊するロシア船籍LNG
      タンカー「ニコライ・ウルバンツェフ」号(C)ロイター)

 原発再稼働は「計画停電」で決定的になるとも囁かれている。いまでも夏と冬になると電力危機が叫ばれている。ロシアからLNGが入ってこない今年の夏は、電力が逼迫する恐れがある。実際に「計画停電」が実施されなくても、計画停電が取り沙汰されるだけで「原発再稼働」を求めるムードが高まる可能性がある。

 しかし、ウクライナ危機に便乗するのは、火事場ドロボーもいいところだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。

「ロシア軍による原発攻撃を見て、原発を保有するリスクがいかに高いか分かったはずです。原発はコストも高い。日本は大急ぎで“自然エネルギー”の拡大に力を入れるべきです。自然エネルギーはコストも低く、地産地消だからエネルギーを他国に頼る必要もない。脱炭素にもなります」

 「原発ムラは、福島原発事故をどう考えているのか
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●《政府機関の地震予測「長期評価」に基づく試算から原発への大津波の到来は予見できた…対策の先送りを許した国…国に重大な法的責任》

2022年03月18日 00時00分19秒 | Weblog

[※ ↑号外【国の責任認める/東京高裁 千葉地裁判決覆す/原発避難集団訴訟 東電にも賠償命令】 (福島民報 2021年02月19日)]


(20220313[])
沖縄タイムスの【社説[原発避難] 東電賠償確定 国も救済責任免れない】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/921080)。

 《裁判において東電は、中間指針に基づく賠償額で十分だと主張していた。しかし最高裁は、避難継続による精神的損害のほか、生活基盤の喪失や変容に伴う慰謝料を認め、指針を上回る額の賠償を命じた二審の判断をそれぞれ是認した》

 当然、国にも重大な責任あり。《福島と千葉の二審判決は、政府機関の地震予測長期評価」に基づく試算から原発への大津波の到来は予見できたと指摘し、対策の先送りを許した国を批判した。規制当局として国に重大な法的責任があるのは明らかだ》。それに、津波だけでなく、そもそも、地震そのもによって核発電所は破壊、管は破断していた可能性は否定できないのではないですか。まさに《人災》。ましてや、ミサイルでも撃ち込まれようものなら…。
 仙台高裁・上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた東京高裁・白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決 ――― この判決の意義とは? 白井幸夫裁判長は、《防潮堤の設置などの措置を講じていれば「津波の影響は相当程度軽減され、全電源喪失の事態には至らなかった」と認定。国が規制しなかったことと事故との間に「責任を認めるに足りる因果関係がある」として「規制権限を行使しなかったことは国家賠償法上、違法だ」とした》そうだ。真っ当な司法判断。
 そして、高松高裁も同様だった。さらに、最高裁も《二審の判断をそれぞれ是認》した。

   『●「想定外」という言い訳は許されない
    《実は、東電の福島第一は津波に弱く、炉心溶融の危険性があることは、
     5年前から指摘されていた想定外などではない。福島第一で
     想定されている津波、チリ地震津波クラスに遭遇すると、大きな引き波に
     よって冷却用の海水を取水できなくなるといわれる。この引き波による
     取水停止が、炉心溶融に発展する可能性を、2006年に国会で共産党の
     吉井英勝議員が質問している。
       二階俊博経産相(当時)は善処を約したが、東電は具体的な改善を
     行なわなかった。東電には地元から改善の要望書も出されているので、
     津波による炉心溶融の「危険性の指摘」を知らなかったはずはない
     百も承知だったのに、素知らぬ顔ですべての原因が想定外の巨大地震に
     あるかのように振舞っているとしたら、なかなかの役者である》

   『●”原子力発電”という箱を開ける覚悟と、(とりようの無い)開けた責任
    《この日、これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員
     (共産)が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、
     電源喪失は「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」
     と発言していたが、この日は「当時の認識について甘さがあったことは
     深く反省をしている」と述べた。 
       これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹
     ・原子力安全委員長は「事故を深く反省し、二度とこのようなことが
     起こらないようにしたい」と答えた。 
       また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長
     (現・日本原子力研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も「国民の皆様に
     大変申し訳ないと思っている。痛恨の極み」。電源喪失の事態に備えて
     こなかったことは「正しくなかった」とした》

   『●SLAPPと原発、沖縄
    《[CML 019566] 甘利明の名誉棄損訴訟にSLAPP批判
       甘利明・自民党衆議院議員がテレビ東京を提訴した名誉棄損訴訟が
     恫喝訴訟SLAPPであると批判されている。甘利氏は安倍政権の
     経済産業大臣であった。テレビ東京『週刊ニュース新書』は2011年
     6月18日に甘利氏へのインタビューを放送した。
       インタビューで取材陣は福島原発事故を自公政権の安全対策の
     不備に起因するのではないかと追及した。甘利氏は「津波は想定外」と
     責任回避するが、取材陣は日本共産党の吉井英勝・衆議院議員の
     「巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の
     安全を守ることに関する質問主意書」を提示した。そこでは津波被害など
     による電源喪失に起因する原発事故の危険が指摘されている。
       福島原発事故が想定外でないことを示す事実であるが、この趣意書を
     突き付けた直後にインタビューは中断された。インタビュー中断の事実は
     番組で報道された。この番組放送に対して甘利氏は名誉毀損として
     1000万円もの損害賠償を求めてテレビ東京を提訴した》

   『●新高速炉「アベシンゾウ」…愚かな核発電「麻薬」中毒患者・
             核燃サイクル教信者の罪を後世に残すために
   『●(リテラ)「あの未曾有の福島第一原発事故を招いた
      “最大の戦犯”が、他ならぬ現内閣総理大臣・安倍晋三」
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
       事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●高松高裁原発避難者訴訟…《「長期評価」を真摯に受け止めていたら、
       遅くとも東日本大震災の前までに、さまざまな津波対策は取れた》

 そして、最大の戦犯は未だにのうのうと政治家で居続けている。最大の戦犯・アベ様が、核発電所を新規に作りたいそうです…正気じゃない。「アベシンゾウ」とでも名付けては如何か?

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、だれか1人でも
          責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
    《馬奈木厳太郎弁護士…樽川さんのお怒りは、まっとうなものなんです。
     今回の福島の被害の象徴と言ってもいいかもしれない。
     彼が求めていることは責任をとってくれです。
     「あれだけの事故を起こして被害を出してだれか1人でも責任とって
     やめたか申し訳ないと謝罪したか」と。そう思っているのは、
     樽川さんだけではない。国と東京電力を相手に、事故から2年後の
     2013年3月11日に福島地裁に起こした
     「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟
     には約4千人の原告がいて、樽川さんもそのお一人です》

   『●「生業を返せ、地域を返せ!」…原告団馬奈木厳太郎弁護士
      「国の対応、東電の責任を厳しく断罪する判決となっている。一審よりも…」
   『●「原子力災害伝承館」《批判…口封じ》…《安倍政権では「被災地
      切り捨て」政策がつづけられてきたが、それを菅政権も「継承」》
   『●東電核発電人災での国の責任も放棄…《あの未曾有の福島第一原発
        事故を招いた“最大の戦犯”》アベ様の責任は追及され続けるべき

   『●《避難者の生業はいまだ戻らないままである》…責任をもって東電や
      国が「原状回復」してくれれば《生業》を、《地域》を取り返せる

 東電や自公政府、《火事場ドロボー》の皆さんは、さっさと「原状回復」して見せてくれよ。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》
   『●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…
     つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない
   『●《政府は過去に原発が武力攻撃を受けた際の被害予測を報告書に
     まとめていたからだ。しかも、その被害予測は凄まじい内容だった…》
   『●《【原発耕論…】福島事故で被ばくしたこどもたちに、不安なく過ごせる
         未来を!(311子ども甲状腺がん裁判)》(デモクラシータイムス)

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/921080

社説[原発避難] 東電賠償確定 国も救済責任免れない
2022年3月6日 08:40

 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされた住民らが、国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟のうち福島、群馬、千葉の3件で、最高裁は東電の上告を退ける決定をした。

 二審判決のうち、約3600人に総額約13億9千万円の支払いを命じた部分が確定した。国が定めた基準「中間指針」を上回る賠償義務が認められたのである。

 同様の集団訴訟は全国で約30件ある。東電の賠償責任が確定するのは初めてだ。

 裁判において東電は、中間指針に基づく賠償額で十分だと主張していた。

 しかし最高裁は、避難継続による精神的損害のほか、生活基盤の喪失や変容に伴う慰謝料を認め、指針を上回る額の賠償を命じた二審の判断をそれぞれ是認した。

 そもそも中間指針は被害の重大性に見合わないと指摘されてきた。第1原発周辺の自治体なども増額を含めた見直しを求めている。当然の判断である

 東電は最高裁の決定を受け「判決に従い対応していく」とコメントした。未曽有の事故を起こした企業としての責任を誠実に果たしてもらいたい。

 ただ、それでも十分な賠償とは言えない。

 自主避難者への賠償額の少なさにも疑問の声が上がっている。原告の中には、今回の決定が他の同種訴訟に波及することへの懸念もある。

 国は最高裁の決定を重く受け止めた上で中間指針を見直し、被害者への救済を手厚くすべきだ。

■    ■

 3件の訴訟は、国の責任については二審で判断が割れていた。福島と千葉の二審判決が国に賠償を命じた一方、群馬訴訟では請求が棄却された。

 最高裁は来月、国と住民側双方の意見を聞く上告審弁論をそれぞれ開く。夏にも判決で統一判断を示す見通しだ。

 上告審では、巨大津波を予見し、対策を講じていれば事故を回避できたかどうかが争われるとみられる。

 原子力事業は国の政策として進められてきたものである。さらに国には原発が安全に運転・管理されているかを監視する役割がある。

 その責務が果たされたかどうか厳しく問われなければならない。

 福島と千葉の二審判決は、政府機関の地震予測長期評価」に基づく試算から原発への大津波の到来は予見できたと指摘し、対策の先送りを許した国を批判した。規制当局として国に重大な法的責任があるのは明らかだ

■    ■

 原発事故からやがて11年を迎える。被ばくへの不安や仕事の事情で今なお古里を離れて暮らす人は大勢いる地元に戻っても平穏な生活を取り戻せないままの人もいる

 地域や家族のつながりを壊された上、これだけの年月がたってなお、賠償や責任問題が解決されないことに憤りを覚える

 国会の事故調査委員会は、国と東電の「なれ合い」があり「明らかに人災」だと指摘した。国には自らの責任を直視してもらいたい。
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●小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能》、石棺しかない

2022年03月13日 00時00分40秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


(20220311[])
AERAの二つの記事  (野村昌二記者)【福島第一原発「廃炉」の現場ルポ デブリ取り出し、容器の劣化…廃炉を阻む難題】(https://dot.asahi.com/aera/2022030400021.html)と、
【福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」】(https://dot.asahi.com/aera/2022030400025.html)。 

 《未曽有の原発事故から11年。廃炉に向けた作業は続くが、見えてくるのは、 過酷な現実だ。そもそも廃炉は可能なのか。福島第一原発でみた実情は。》
 《東京電力福島第一原発事故からまもなく11年。国と東電は30~40年後の廃炉完了を目指すロードマップに基づき、作業を進めている。だが、相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は、小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた》。

 《火事場ドロボー》1号=アベ様、《火事場ドロボー》2号=松井一郎元大阪「ト」知事、《火事場ドロボー》3号=橋下徹元・初代大阪「ト」知事…。ウクライナ侵略を利用・便乗して、壊憲して戦争できる国へ、敵基地攻撃へ、核保有へ。そういうのを《火事場ドロボー》と言います。

   『●台湾有事を煽り《ロシアのウクライナ侵攻のような軍事衝突にまで
     エスカレートさせてはならない…外交による対話を強めなければならない》
   『●誰が壊憲を望んでいる? COVID19禍のドサクサ、ロシア侵略の
     火事場ドロボー1号、2号、3号…らによる壊憲など許されるはずもない
   『●《思考力あるならば殺し合わずに済む方法…、政治力を持って開戦に
     至らない道を見つける事だ。ところがその政治家本人が核武装を…
   『●《当事者でない他の国が声をあげ、国際世論をつくり出すことが、理不尽
       な状況の抑止につながるというのは、国際社会の常識ではないか》!

 《火事場ドロボー》達は、プーチン氏がウクライナの核発電所を〝人質〟にし、〝盾〟にしようがお構いなし。チェルノブイリの石棺までも…。核兵器の使用をちらつかせようがお構いなし。それでもなんでも核発電を続けたいという愚かな《火事場ドロボー》連中。コミに至っては、ドサクサ紛れに、核発電所再稼働を政府に進言している。ならば、《原発回帰》の前に、福島を、さっさと「原状回復」して見せてくれよ。ロシアのウクライナへの侵略の教訓は、核抑止が幻想で、通常兵器による攻撃でニッポンの核発電所自体が潜在的な核兵器自爆を意味することじゃないのかね。ニッポンは非核三原則堅持へと向かうべきなのに、《火事場ドロボー》の連中ときたら、一体どっちが核抑止幻想の「お花畑」なんだよ。

   『●《廃炉の時代》、そして、核燃料サイクルという閉じない「環」
              …未来無き核発電に邁進するアベ様独裁政権
   『●東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も
      3基で計約880トン》…1個のデブリを僅かに持ち上げた?
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》

 東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》。さっさとデブリを元通りに原子炉の中に戻して見せてよ、核抑止幻想の「お花畑」《火事場ドロボー》の皆さん、核発電「麻薬」中毒の皆さん。
 小川慎一記者による、1年前の東京新聞の記事【廃炉の道は長く、険しく 写真で振り返る福島第一原発事故10年】によると、《東京電力福島第一原発事故では、世界最悪レベルとなった事故の収束作業は依然終わりが見えない。メルトダウン(炉心溶融)した1~3号機の原子炉に残る溶け落ちた核燃料(デブリ)を、技術的に取り切れるのかすら不明だ。汚染水対策も解決に至らず、政府と東電は「廃炉」を目指すも、その姿を示せないでいる。東電が公開している事故現場の写真から、10年を振り返る…この10年、廃炉工程が計画通りに進んできたことはほとんどない》。それから1年、状況は全く変化なし。

   『●「復興五輪」!? 原状回復してから言ってくれ…片山夏子記者【「原発
     事故前の故郷に戻して」 浪江町・津島訴訟の原告団長が語った決意】
   『●《原発再稼働や増設を唱える連中の頭の中を掻っ捌いて、中身を
     見てみたい》(鈴木耕さん)――― なぜ今直ぐ「原状回復」しないの?
   『●富岡町の「白地地区」に自宅がある避難民の方「…国も東電も避難者を
      
ばかにし、うんと軽く見ている」…さっさと《原状回復》してみせよ
   『●《弁護団長の井戸謙一弁護士は「6人のように被ばくが原因とみられる

       甲状腺がんで苦しむ人たちの希望となる裁判にしたい」と述べた》
   『●経済産業省資源エネルギー庁「復興のあと押しはまず知ることから」?
       「復興のあと押しはまず〝原状回復してみせる〟ことから」です
   『●東電核発電人災から11年: 《原発事故は終わっていません。
      政府が復興の名のもとに困難に陥った人たちをさらに追い詰める…》
   『●《やっぱりここさ帰りたい。親が開拓して受け継いだ土地。次の世代に
      残してやりたい。汚したら、きれいにして返すのが当然じゃないか》

 東京電力核発電人災、膨大な《デブリの総量も3基で計約880トン》…廃炉の定義も無く、デブリの持って行き場所も?
 東京新聞の【<社説>3・11から11年 廃炉への道のり はるか】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/164984?rct=editorial)によると、《東京電力による福島第一原発廃炉への「中長期ロードマップ(工程表)」では、当時の政府が事故の「収束」を宣言した二〇一一年十二月から遅くとも四十年で、すべての工程を終えることになっています。事故発生から十一年、東電が廃炉作業の最難関と位置付ける燃料デブリの試験的な取り出しを、ようやく年内に、2号機から始めることになりました。デブリとは、溶け落ちた核燃料が炉内のがれきと混ざり合い、冷えて固まったもののこと。濃度の高い放射性物質の塊です》。

 (東京新聞社説)《2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか。》《原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します》。
 小出裕章さん《国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです。…つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です。…国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけませんそのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです》。

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https://dot.asahi.com/aera/2022030400021.html

福島第一原発「廃炉」の現場ルポ デブリ取り出し、容器の劣化…廃炉を阻む難題
2022/03/06 08:00
野村昌二

     (東京電力福島第一原発の敷地内には処理水をためる
      タンクがひしめき、その向こうに左から1~4号機が
      見える(photo 代表撮影))

 未曽有の原発事故から11年。廃炉に向けた作業は続くが、見えてくるのは、 過酷な現実だ。そもそも廃炉は可能なのか。福島第一原発でみた実情は。AERA 2022年3月7日号から。

     (【写真】高線量の汚泥を入れる容器「HIC」はこちら)

*  *  *

 ひしゃげたままの鉄骨が、すさまじい爆発の威力を物語る。

 東京電力福島第一原発。今年1月下旬、記者が敷地内の高台に立つと、100メートル先に、事故を起こした1~4号機の原子炉建屋が見えた。

「昨年2月末に3号機の使用済み燃料の取り出しを終えることができました」

 東京電力ホールディングスの松尾桂介・廃炉コミュニケーションセンター副所長がこう答えた。この1年で最も進展した廃炉作業が、それだという。

 世界を震撼(しんかん)させた事故から間もなく11年。1~3号機は炉心溶融(メルトダウン)を起こし、1、3、4号機の原子炉建屋は水素爆発で壊れ、大量の放射性物質が大気中に放出された

 国と東電は「30~40年後の廃炉完了」とするロードマップ(工程表)に基づき、作業を進めている。事故直後は「野戦病院のようだった」(東電幹部)という現場も、その面影は薄れた。かつては全域で防護服と顔全体を覆う全面マスクを必要としたが、除染が進み、今は96%のエリアでマスクも要らない。作業は一応の進展は見せているが、底知れぬ難題がいくつも待ち受けている


■現場はトラブルだらけ

 最大の難題は、東電が「廃炉の本丸」と位置づける1~3号機で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し。総量は推計880トン。高い放射線量に阻まれて人は立ち入ることができない。これまでわかっているのは一部は動かせる程度だ

 今年1月中旬、デブリの取り出しでトラブルが発生した。この日、新開発した調査用の水中ロボットを1号機の原子炉格納容器内に投入する予定だった。だが、放射線量のデータが正確に表示されないなどトラブルが発生し、作業が中断したのだ。

 初日からトラブルに見舞われたことについて、松尾副所長は、こう語るしかなかった。

「原因を究明しています」

 作業は2月上旬、約1カ月遅れで開始された。原因は、現場で使っている装置の電源から発生するノイズだったという。

 トラブルはデブリの取り出しだけではない。

 福島第一原発では今も1日約140トンの汚染水が発生している。これを大半の放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS(アルプス)」に通すが、副産物として「スラリー」と呼ばれる高線量の汚泥が出る。それを「HICヒック)」というポリエチレン製の高性能容器に入れて敷地内の一時保管施設に保管しているが、昨年、スラリーからの放射線の影響で寿命を迎えているHICがあることがわかったのだ。

     (高線量の汚泥(スラリー)を入れる容器「HIC」。
      直径約1.5メートル、高さ約1.8メートル(photo 代表撮影))


■想定外に劣化が進む

 東電はHICの寿命は2025年7月以降になると見ていた。だが原子力規制委員会は昨年6月、HICの底にたまった汚泥の放射線量が高いため劣化が速く進み、すでに31基が寿命に達し、2年以内にさらに56基が寿命を迎えると試算した。

 これを受けて東電は、昨年8月から新しい容器への移し替えを始めた。しかし設備トラブルも重なり、1基の詰め替えに1カ月以上かかった。

 HICの数は3379基(21年12月9日時点)にものぼる。仮に詰め替えができたとしても、スラリーを最終的にどこで、どのような方法で処分するかは白紙の状態だ。その間にも、容器は次々と寿命を迎えていく。

 松尾副所長は、

「今後どういうチェックが必要かとか、どういう手順がいるかということをしっかりまとめて展開していくという流れになってくるかと思います」

 と述べるにとどまった。

 処理水の海洋放出に向けた準備も進んでいない。

 敷地内をバスで移動すると、無数のタンク群が現れる。処理水を入れた貯蔵タンクだ。1061基(計約137万トン)あり、すでに95%が埋まっている(今年2月10日時点)。これが23年春ごろには満杯となる。増設したくても「もう土地がない」(東電)のが実情だ。


■海洋放出の行方も不明

 そうした状況のなか、昨年4月に菅義偉政権(当時)が、漁業者の反対を押し切る形で処理水を23年春ごろに海洋放出する方針を決めた。今後掘削する予定の海底トンネルを通して、沖合約1キロで放出するという。

 それも、設備工事の手続きが遅れている。

 本来なら昨夏に予定していた規制委への申請は、風評被害を心配する地元との調整が難航。計画書を提出できたのが昨年暮れになった。そこから書類審査に6カ月、トンネル工事に10カ月近くかかるとされる。審査に通っても、地元の理解を得るのは難しい

 理解が得られなかった場合の対応について、東電は明言を避ける。この日、松尾副所長は言った。「スケジュール通りにやっていきたい」

 東電は、いまだに計画通り廃炉が完了すると考えているのだろうか。楽観的と言わざるを得ない目標の前に、廃炉の姿が霞(かす)んで見えた。(編集部・野村昌二

※AERA 2022年3月7日号
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https://dot.asahi.com/aera/2022030400025.html

福島第一原発「デブリ取り出しは不可能」と専門家 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」
2022/03/07 10:00

     (こいで・ひろあき/1949年生まれ。原発の危険性を
      世に問い続け、2015年に定年退職。著書に
      『原発事故は終わっていない』(毎日新聞出版)など
      (photo 高橋勝視))

 東京電力福島第一原発事故からまもなく11年。国と東電は30~40年後の廃炉完了を目指すロードマップに基づき、作業を進めている。だが、相次ぐトラブルから廃炉作業の計画は大幅に遅れている。廃炉は本当に可能なのか。AERA 2022年3月7日号は、小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた。

     (【ロードマップ】使用済燃料の取り出し開始~廃止措置
      終了までの道のりはこちら)

*  *  *

 国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。

 国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです

 当初、国と東電は、デブリは圧力容器直下の「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の台座に、饅頭(まんじゅう)のような塊になって堆積(たいせき)していると期待していました。そうすれば、格納容器と圧力容器のふたを開け、上方向からつかみ出すことができます。

 しかし、デブリはペデスタルの外部に流れ出て飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。

 そこで国と東電はロードマップを書き換え、格納容器の土手っぱらに穴を開け横方向に取り出すと言い出しました。しかしそんなことをすれば遮蔽(しゃへい)のための水も使えず、作業員の被曝(ひばく)が膨大になってしまいます。それどころか、穴を開けた方向にあるデブリは取り出せたとしても、格納容器の反対側にあるデブリはペデスタルの壁が邪魔になり、見ることも取り出すこともできません。

 つまり、デブリの取り出しは100年たっても不可能です

 東電は「国内外の技術や英知を活用すれば廃炉はロードマップ通りに達成できる」などと繰り返し言っているようです。本気で考えているとすれば、相当なバカだと思います。ロードマップは彼らの願望の上に書かれたもので、その願望はすでに崩れています

 廃炉できなければどうすればいいか。できうることは、1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように、原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺で封じ込めるしかありません

 人間に対して脅威となる放射性物質のセシウム137とストロンチウム90の半減期は、それぞれ30年と28年です。100年待てば放射能は10分の1に、200年待てば100分の1に減ってくれます。

 100年か200年か経てば、その間に、ロボット技術や放射線の遮蔽技術の開発も進むはずです。そして、いつかの時点でデブリを取り出すこと以外ないと思います。

 国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけません

 そのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです。悲しいことですが、事実を直視しなければ前に進めません。

※AERA 2022年3月7日号
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/164984?rct=editorial

<社説>3・11から11年 廃炉への道のり はるか
2022年3月11日 07時43分

 東京電力による福島第一原発廃炉への「中長期ロードマップ(工程表)」では、当時の政府が事故の「収束」を宣言した二〇一一年十二月から遅くとも四十年で、すべての工程を終えることになっています。

 事故発生から十一年、東電が廃炉作業の最難関と位置付ける燃料デブリの試験的な取り出しを、ようやく年内に、2号機から始めることになりました。

 デブリとは、溶け落ちた核燃料が炉内のがれきと混ざり合い、冷えて固まったもののこと濃度の高い放射性物質の塊です

 メルトダウン(炉心溶融)が起きた三基=写真=のうち、水素爆発を免れ、これまでの調査で炉内の状況が比較的明らかになっているのが2号機です。

 とはいえ、人が近づけば一時間で死に至るという強い放射線が飛び交う中、遠隔操作のロボットに頼るしかない“手探り”の作業であることに変わりはありません。


◆デブリは除去できるか

 複数の事故原発の廃炉、解体は史上例がなく、必要な機材も破壊の状況に合わせてゼロから設計、製作しなければなりません。

 爆発で建屋が崩れ落ちた1号機、建屋は健全な2号機、上部が吹き飛んだ3号機、状態はそれぞれに異なります。

 2号機の試験作業には、全長二十二メートル、重さ四・六トンという英国製のロボットアームを用います。

 本来、昨年中に始める予定だったのですが、コロナ禍で製造や輸送がままならず、一年遅れになりました。今は国内の施設で性能試験および操作の訓練中。原子炉側面に開けた穴に“腕”を差し入れ、わずか数グラムの粉末真空容器に採取して、その性状を確かめます。

 2号機内のデブリは推定約二百トン三基で計八百八十トンと推計されています。今後約三十年、一日あたり八十キロずつ取り出さなければなりません実現可能な数字でしょうか

 このようにデブリの取り出し一つとっても、気の遠くなるような険しい道のりです。たとえ工程表通りに廃炉を完了することができたとしても、莫大(ばくだい)な費用がかかります。

 ロシアによるウクライナの原発に対する攻撃が世界を震撼(しんかん)させる中、とてつもなく危険で、お金がかかる原発という施設のやっかいさ、原発を持つことの恐ろしさについて、あらためて考えずにはいられません。

 原発事故の収束費用は約二十二兆円、このうち東電負担の廃炉費用は八兆円と見積もられてはいるものの、取り出したデブリや解体で生じる廃棄物の処分費用などは、含まれません

 実際いくらかかるのか。東電に尋ねると、「何をもって『廃炉』とするのか、その最終形が決まっておらず、明確にお答えするのは難しい」との回答でした。

 通常は、運転を終了した原発を解体、撤去し、廃棄物を処理して更地にするまでが廃炉です。

 ところが東電の工程表をよく見ると、「使用済み燃料の取り出し開始まで」を第一期、「デブリの取り出し開始まで」を第二期としてはいるものの、それ以降、「廃止措置(廃炉)完了まで」の第三期に関しては、作業開始から「三十〜四十年後」と期限が切られているだけで、具体的に何をするかが書かれていない十一年たってなお、何をすべきか、いくらかかるか、決められずにいるのです

 福島と同じ「レベル7」の爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発について、ウクライナ議会は事故発生から十二年後の一九九八年に「チェルノブイリ廃炉法」を制定し、「デブリを取り出して敷地を環境上安全な状態にする」と廃炉のゴールを定めた上で、工期を約百年としています


◆40年は無理、100年スパン

 東電の工程表を現在の技術レベルに照らして見る限り、今後三十年足らずのうちに、跡地や地域を「安全な状態」にできるとは思えません。

 原子力資料情報室伴英幸共同代表は「四十年廃炉は無理百年、二百年という長いスパンで考えるべきだと思う例えば『石棺方式』といいますか、建屋を丸ごとコンクリートで封じ込め、冷却し、放射線が減衰するのを待ちながら技術開発を進めていくという道筋も考えられる」と、別の選択肢を示します。

 地域、ひいては、この国の未来にかかわる問題です。いずれにしても、工程表を書き換えなければならなくなるのは確かでしょう。
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●シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

2021年11月15日 00時00分29秒 | Weblog

[※ ↑「原発さえなければと思います」(週刊金曜日、2021年03月12日、1320号)]


 (2021年09月23日[木])
小川慎一小野沢健太の両記者による、東京新聞の記事【東電の社内改革遠く 柏崎刈羽原発テロ対策で内外の指摘軽視…調査で浮かぶ組織のずさんさ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/132503)。

 《東京電力が福島第一原発事故後の経営再建の柱として再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)と本社の原子力部門は、経営見直しを進める中で危機意識が薄れ、自浄能力を失った。東電が22日公表したテロ対策不備の原因を分析した報告書からは、内外の指摘を軽視し、トップに情報が伝わらない組織のずさんさが浮かぶ。(小川慎一小野沢健太)》

   『●東京電力に資格無し…さらには《なめている》そういったデタラメな
     東電を〝育てた〟のは更田氏ら原子力「寄生」委員会や国、自公である

 シレ~ッと批判しているが、そんな《ずさん》な東電を〝育てた〟のは国や自公であり、更田豊志氏委員長ら原子力「寄生」委員会でしょ?

 金(カネ)色の五つの輪等に絡めて、アベ様らはさんざん《テロ対策》云々と言っておきながら、ナニコレ?
 《東電のずさんな態勢》《問題が次々と発覚》―――万事この有様。3.11人災に対する責任の自覚も無く、10年前の人災から何の教訓も得ていない。東電に核発電所の運転や再稼働の資格なし。さらには、《なめている…》《ずさん》、そういったデタラメな東電を〝育てた〟のは更田豊志委員長ら原子力「寄生」委員会や国、(デタラメな関西電力九州電力も含めて)自公お維なのではないか。その〝育成〟は、東京電力核発電人災前だけではなく、人災後も同様に継続されてきた。皆、核発電「麻薬」中毒者。
 本年3月、《更田豊志委員長は、追加検査に1年以上かかる見通しを示し、検査が終わるまでは「運転に向けた次のステップはない」と明言。柏崎刈羽の早期再稼働は不可能となった》…《早期》じゃないでしょ? 永遠に再稼働など許されない。その後も、まだ、不祥事が続いていた訳です。東電には、核発電所を運転する資格など無い。そもそも、ニッポンには核発電所を運転できる場所も無いし、人災で世界に迷惑をおかけした訳であり、誰にもその資格も無い。同時に、《更田委員長は「…委員会がつかみたいのはまさにそこです。今後の検査で時間がかかると思うが確かめる」》など時間の無駄だった。そのように〝育てた〟更田委員長自身の責任が問われるべき。自称・詐称《「世界一厳しい」とされる規制基準》に《これほどの不正や不備を抱えた原発が、3・11の教訓を踏まえたはずの新規制基準「適合」すると判断したのは、当の規制委だ》。
 《東電は今後、原子力部門の本社機能を東京から新潟に移し、他社からの人材登用も検討する。人や金の投入を惜しまないという》…《人や金の投入を惜しまない》先は新潟ではないと思いますよ。柏崎刈羽核発電所の再稼働などせず、福島の「原状回復」に《人や金の投入を惜しまない》べきです。

   『●「あれだけの事故を起こして被害を出して、
      だれか1人でも責任とってやめたか。申し訳ないと謝罪したか」
   『●柏崎刈羽原発再稼働を画策するような東電は 
                 十分に責任を果たしたのか?
   『●「新潟の野党勢力は今こそ、踏ん張り時」! 東京電力に
         柏崎刈羽核発電所を再稼働させるなんて狂気な凶器
   『●核発電人災のアノ東電の柏崎刈羽核発電所に、
     「寄生」委がお墨付き!? 凄いよなぁ、ニッポン…愚かだ
   『●「原子力ムラの言いなり」原子力「寄生」委員会の
      救い様の無さと、アベ様の「危険な丸投げ・無責任体制」
    《原子力規制委員会は二十七日午前の定例会合で、東京電力
     柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が原発の新規制基準に
     「適合」しているとした審査書案を正式決定した》
    《柏崎刈羽原発は、福島第一と同じで東電が所有する沸騰水型だ。
     福島原発事故は、津波が原因とされるが、地震や津波の襲来から
     メルトダウン(炉心溶融)、水素爆発へと至る経緯は、
     現場で十分な調査ができず、不明な点が多い。
     原因究明が終わっていないのに住民の安全が保証できるのか。
     東電に任せられるのか。規制委は、もっと慎重でもよかった》

   『●東京電力に核発電所を再稼働させる資格はあるのか?
          無条件で即時に全ての廃炉作業に入るべき
   『●阿部岳さん【「東電無罪」の論理】《「…運転はおよそ
     不可能になる」…判決は意図せず原子力制御の限界を認めている》
   『●東電核発電人災から10年: あの人災から何の教訓を得ることもなく、
      何も変わらないニッポン…核発電〝麻薬中毒〟から抜け出せないまま
   『●東電や自公政権の無責任ぶりが改めて露見 ――― 《福島沖地震で
     東電と菅首相が福島原発の異変を隠蔽!…「すべて正常」》(リテラ)
   『●東電核発電人災、仙台高裁上田哲裁判長に続き、国の責任も認めた
     東京高裁白井幸夫裁判長による逆転勝訴判決―――この判決の意義とは?
   『●《「廃炉終了の定義」を明確にしないまま「廃炉」を進める》―――
      《ある程度のデブリを取り出すだけでも、100年以上はかかりそう》
    「伊勢崎馨氏による、リテラの記事【東電に原発事故の反省なし!
     柏崎原発でID不正使用による中央制御室進入事件が発生も4カ月間隠蔽
      原子力規制庁も共犯か】」
    《11日に10年という節目を迎えるが、このタイミングで、あらためて
     原発の危険性を痛感させられる事故や事件が立てつづけに発生している。
     …だが、東電の無反省ぶりがはっきり浮き彫りになった件がもうひとつ
     ある。それは、新潟県の柏崎刈羽原発で起こった
     「ID不正使用問題だろう》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/132503

東電の社内改革遠く 柏崎刈羽原発テロ対策で内外の指摘軽視…調査で浮かぶ組織のずさんさ
2021年9月23日 06時00分

     (柏崎刈羽原発)

 東京電力が福島第一原発事故後の経営再建の柱として再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)と本社の原子力部門は、経営見直しを進める中で危機意識が薄れ、自浄能力を失った。東電が22日公表したテロ対策不備の原因を分析した報告書からは、内外の指摘を軽視し、トップに情報が伝わらない組織のずさんさが浮かぶ。(小川慎一小野沢健太

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◆原子力部門の膿、想像以上

 「他(福島第一、第二原発)でできたことが、なぜ柏崎刈羽でできなかったのか。組織の風通しの悪さは気になるところです」

 東電の小林喜光会長=前三菱ケミカルホールディングス会長=は22日の記者会見で、厳しい表情を見せた。テロ対策不備の調査まっただ中の今年6月に就任して改革の必要性を強調してきたが、原子力部門の膿は想像以上だった。

 発端は、2011年3月の福島原発事故だった。全原発の運転ができず、事故収束費用と被災者への賠償が重くのし掛かり、経営が悪化。その一方で柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた事故対策工事に前のめりとなったことで、テロ対策への金と人の投入がおろそかになっていく。


◆経営再建の名でおろそかになったもの

 報告書によると、福島事故直後、東電はテロ対策設備の保守管理を委託していた日本原子力防護システム(東京)との契約見直しを進めた。事故前は、外部からの侵入検知装置を新しくする費用も含めた契約だったが、これを止めたことで装置の老朽化が進んだ。

 装置のリース契約も解除し、16年以降は東電自らによる装置の設置や保守管理に切り替えた。15年度に約13億円だったリース料は、20年度に約1.3億円と十分の一に減った

 費用削減のあおり装置の故障が増えていく。福島第一、第二原発よりも5~8年古いためだ。東電側は「故障しても(カメラなどによる)代替措置を取っていれば問題ない」と考え、19年度からは原発内に常駐する委託会社の社員も6人から3人に半減した。

 「保守管理がうまくいかなくなる」と委託会社は繰り返し懸念を示したが、東電は応じなかったという。その後、20年3月~21年2月に装置が16カ所で故障うち10カ所は代わりの措置も不十分だったと原子力規制委員会に指摘される事態となり、一部は復旧に300日以上かかった。


◆実態、幹部に共有されず

 「契約変更の実態が発電所幹部に共有されなかった。さまざまな指摘があったのにもかかわらず、生かせなかったことに驚いた」と、小林会長はうつむいた。

 原子力部門には、内外の指摘を軽視する姿勢があった。17、18年度の内部監査では、故障した検知装置の復旧に長時間かかっていることが指摘されたが、是正につながらなかった

 規制委事務局の原子力規制庁や他の電力会社との定期的な意見交換では、テロ対策設備の保守管理について経営層が注意を払うように指摘が続いたが、発電所長や本社の原子力部門トップに報告されなかった

 「社員は内部脅威になり得ない」―。社員らがそう思い込んでいたことが危機管理のずさんさにつながった、と報告書は強調する。


◆「資格ないとの烙印押される」

 東電は今後、原子力部門の本社機能を東京から新潟に移し、他社からの人材登用も検討する。人や金の投入を惜しまないという。

 「是正措置をやり遂げなければ、原子力事業をやる資格がないとの烙印を押されるととらえ、最後の機会を与えられたものとして取り組む」。小林会長は決意を語ったが、いばらの道が続く。

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