あびこ雅浩の日記

仙台市議会議員あびこ雅浩の活動日記。

地方議院内閣制に関するシンポジウムに出席

2010-10-02 | 国際・政治

地方議員内閣制を考えるシンポジウム  平成22年10月2日  パシフィコ横浜

Cimg0397                                                                         司会 作山友祐神奈川県議会議員

片山総務大臣へのビデオインタビューから始まる。
$名古屋市議会の 首長と議会との関係をどうみるか? 現行の二元代表制について

・対する議員代表制があるが、必ずしも二元制になっていない現状が問題。議会内の与党野党の位置づけは二元制にはないもの。常に、首長対議会であって議会の立場は是々非々であるべきもの。その対極に「議会不要論」まで出てきてしまっている。
・税率の議論が地方議会にあるべきだが税制が先決処分になっていることが問題であり、地方で税率議論をするところから二元代表制が活性化する道である。

$議会への予算編成権の付与はどうか?
・首長のみの予算編成権とはいうが、最終の決定権は議会の議決権にあるのでないか。また予算修正権もあるし、立法権(条例)によって、執行部に求める方法もある。予算編成権論議以前に、現状の議会活動の内容を先ずは精査してみてはどうか。

$地方議員内閣制という考え方はどうか
・直接選挙の首長と議会の両者であり、議会は議事機関である。その権限の拡張はどこまで許されるか。議事機関としての議会はどのような制約の中にあるのかどうかを精査してはどうか。

$世界には多様な自治形態があるが、わが国としての自治体議会のあり方は
・ 憲法上の中にあることを前提に、ただし現在の枠組みの中でも多様な選択は可能でないか。自治体の多様性にそった地方議会のあり方があってもいいのでないかと思うが、アクションとして自治基本条例をつくってみてはどうか。

$菅政権では地域主権は一丁目一番地とされているがそのポイントは
・菅内閣の最重要課題とされている。団体自治の強化。国からの自立と独立。 地方議会が住民の全幅の信頼を先ず得られているかどうかであり、今後は議会の改革が必要になるのでないか。

$NPO法の成立により、議会が問われている時代に入ったとも見られているが
・議会の役目は決して議員自らのためではない。地方議員としてのミッションを改めて顧みる時代になっている。

Cimg0403 基調講演 大塚耕平 前内閣府副大臣(参議院議員)

議員仲間のひとりとして。
選択性のチャレンジがあってもいいと思う。地方政府基本法構想は原口大臣の下にあった。政策/制度はあくまで手段にすぎないもの。自ら持つ、学生への公共政策の講義では、目的と手段の関係における合理性があるかどうかであり、また問題の発生に係わる結果と原因の関係をみる。
地方議会が、現行の枠組みの上で、有効に機能しているか否かの検証から始まるもの。議員内閣制導入の目的の定義が明確であるかどうかを。

現行制度の中で議会として果たしえることを果たしているかどうかが先ずあり、現状の中で工夫すべきこと、果たすべき義務を為しえているかどうかも今問われていると思う。

石田芳弘衆議院議員より(元愛知県犬山市長/元愛知県議3期) 

最も過激に地方議会制度改革やりたい国会議員のひとりと自負。地方議員としての限界を知り悔しくて、首長を目指した経歴。
本日は、名古屋市議も参加している。名古屋市では住民リコール署名が36万人の定足数に対して42万人分集まった。リコールが成立するようになるとは誰も想定していなかったのではないか。名古屋では今回を機に市民の市議会への不信感が一気に高まることになってしまった。
地方議員の仕事の内容が見えない問題あり。議会は、われらのまちの取り締まり役会になるべし。マネージメントとガバナンスが必要。株主総会で文句を言う立場程度の議会となっていないかを考える。英国では議会の下に議会事務局がある。

パネルディスカッションに移る コーディネーター菅原直敏神奈川県議会議員(元横浜市議)
Cimg0406 パネラー四名 石田芳弘衆議院議員、後房雄名古屋大教授 萩原隆宏横浜市議、大塚耕平参議院議員

憲法にまで踏み込まずに地方議員内閣制の導入は可能。また現行の二元制を活性化させることによる議会機能の向上もすべき。内閣制を模索しながら並行して議員の自発的な意志による制度改革が進むことにも期待したい。

市議になる以前から議員内閣制の必要性を訴えていた。368万人3兆円の予算を執行権者一人で決めていいのかが、そもそものはじまりとして今日がある。
200%行政主導の地方自治体ではないか。中には、当局側に議長の人選を聞いてくる自治体もなきにしもあらず。議員の心の半分は名誉職でないか。県議会では選挙なしの改選が増えているのは何か。

地方議会の問題点のひとつとして、議員同士の議論がなく、委員会などでも議員から当局への質疑のみでないか。議員同士の論議がないのはおかしい。現状では地方自治体は完全に国の関与のもとにあり、国に縛られている現状からの打破としての制度改革がある。
ほとんどの市民は地方議会に議員はいらないと思っているのでないか。戦後60年の中で今日の地方議員の立場が固まってしまっている。だから制度を大きく変えないかぎり、地方議会の信頼は得られないのでないか。予算提案権を議会がもつことが、一気に戦後60年続いてきたあり方を脱する。
大阪の橋下知事は、議会内閣制を提唱しているが、議院内閣制との違いは、首長側か議会側のどちらが主体であるか。国会と同じ制度を地方議会でも実現することが必要。イギリスの地方議会を調査した事例の紹介あり。
自分たちのまちを自分たちで決めていくことを目指すための、議会の選択性が必要と考えている。

アメリカは二大政党制だが、党議拘束がないという特異な制度である。政党政治と二元代表制を考えてみたい。比例代表制では多数派が決まらないという課題があり、選挙結果その公約が比例代表制では実は実現できなくなる矛盾を孕む。一方、小選挙区制は政権選択制度である。

地方議員はその意識改革とともに、常に選挙をしている(国政選挙の集票要員)地方議員の立場もそもそも問題でないか。政策論議に集中できる地方議員の環境づくりも必要。
議員自らの活動実態を振り返りつつ、自治体の運営の最高責任を持つという意識改革をさせるのは制度改革あればと思う。議会が統治権をもつようにすることが、議員の意識改革をさせることである。改革が必要とする意識を持っている議員は決して少なくないはず。
これ以上、議会が軽くあしらわれる地方議会を後世に残してはいけない、今変えていかなければならないと荻原横浜市議は強調する。

地域主権/地方主権の時代に地方議会のあり方も、これまで通りのあり方の是非が問われていくのであり、その議論の中のひとつに、本会が問う「地方議員内閣制」もあるのだと思う。しかし先ず、我われ地方議会は、現行の制度の中で為すべき為しえるべき、義務を果たし得ているかどうかを顧みることが始まりであろうと、今回の研修を通して考えた。また、本日の司会、コーディネーター、そして荻原横浜市議のように、神奈川県と横浜市は従来の議員のイメージを大きく変える若手が溌剌と活躍している姿に接して、刺激となりました。

世話人のひとりとして仙台市議会の横田匡人議員もお疲れ様でした。