童謡・唱歌: ♪大黒さま 歌:beni9jyaku(紅孔雀)
子供の頃、父と「蒲の穂」が茂る川べりの道を歩いたことがある。
父は少年のようにずんずん歩いている
父のズボンには容赦なく「蒲の穂綿」がつく
家の縁側で父のズボンの穂綿を摘み取りながら、私は父に訊ねた。
「蒲の穂綿って、からだの傷を治せるの?」
「傷は治せない。白い穂綿と白うさぎの体毛が似ているだけだ。」
「そうしたら、傷ついたからだに穂綿がついたら、ヒリヒリ痛いでしょ?」
「そうだなぁ~。」と父は答える。
聴きたいことは尽きないが、小さな私は黙り込んだ。
詩には嘘がある。嘘が歌い継がれていた。
美しいメロディーと嘘のお話。
不器用に言葉を歩かせて、ここまで詩を書いてきた。
歩き疲れてしまった。
今年も蒲の穂が飛んでいる
飛び立ってごらん。私のことば。