ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

そして、メディアは日本を戦争に導いた

2017-04-18 00:36:57 | Book


半藤一利(1930年生れ)と、保坂正康(1939年生れ)の御二人の対談である。

つまり、軍部が戦争を始める。天皇はその上に居た。国民に「この戦争は正しい。」と思わせるために、メディアは軍部の宣伝係となったわけですね。「戦争は商売になる。」ことも知ったわけですね。そうしてメディアは思想統制で潰されることなく生き延びる道を選んだ。軍部に抵抗すれば、ひどい弾圧を受けるわけで。

それでもまだ、密かに「この戦争は間違っている。」と考えていた識者は当然いましたが、検挙されて全滅しました。

さて、敗戦と共に突然メディアは自由になったのか?70余年とりあえず戦争のない時代ではあったが、平和とも言えない。メディアはまだまだ弱い。

その1つの大きな例が「松本サリン事件」だと、御二人のご意見です。警視庁とメディアが一緒になって、無罪の方を長きに渡り苦しめたという、とんでもない事件です。冤罪事件も後を絶たない。戦時期の軍部からの思想統制はなくとも、今日のメディアは冷静に、公正に、お願いします。おのぼり総理のおつむの中には、恐ろしく狡猾な悪魔がいますから……。

以下、引用です。
『国家は「社会的に筋の通った論」には、異常なほど脅える。』保坂正康氏
『ジャーナリズムの健全さ、自由闊達さこそが政権のあり方を監視し、国家を支えるための根幹である。』半藤一利氏

さて、一冊読みますと、必ず次に読むべき本が出てきます。弱いおつむで追いかけるのは、大変だなぁ。「桐生悠々」と「石橋湛山」ですって……。

 (2013年10月24日 東洋経済新報社刊)