谷川俊太郎 作
松本太洋 絵
久し振りに谷川俊太郎さんの童話を読みました。やはり魅力的だ。
小学4年生で亡くなった「かないくん」は、
60年後「金井君」として、絵本作家のおじいちゃんの記憶のなかに生きていて、
今だ描き終わらないお話だった。
死をどのように描き終えればいいのか?と、孫娘に語るのだった。
死を目前にしたおじいちゃんのなかでは今だに未解決だった。
「死んだら終わりまで描ける」とも言った。
そして、「かないくん」の友人のおじいちゃんは亡くなってしまった。
物語は孫娘に引き継がれた。
そこから、さらに物語は始まりを迎えるのだろうか。
「生」と「死」とはメービウスの帯、クラインの壺。
1人の死を生きている者が描き尽くせぬまま、死者は死者を迎え入れるのだろう。
(2014年2月 株式会社東京糸井重里事務所刊行 第2刷)