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B種接地回路に付加抵抗挿入

2010年08月31日 | eつれづれ
☆変圧器のB種接地抵抗値を付加抵抗を入れて高くする記事の内容
(電力提示の抵抗値まで合わせUPする)
変圧器の2次側の片端はB種接地されるとともに、その出力側には各種負荷が接続されます。この負荷には低圧モータ、電灯等があり例えば、このモータのケースがベースに据え付けられているとします。モータのケース(フレーム)が金属製のときこのケースは通常D種接地工事が行われます。この状態で万が一、モータの巻線が漏電してフレームに地絡すると等価回路は(図1略)のようになりB種、D種接地を介して地絡電流Igが流れます。この時、D種接地抵抗Rdに比べてB種接地抵抗Rbが小さいとD種接地に結ばれたモータのフレームの電位が高くなってしまい好ましい状況になりません。感電した場合、接触電圧が高いので漏洩電流が大きく流れ災害発生となる可能性があります。かつ間接的に他の機器のフレーム等が鉄骨等で繋がっている場合は、すべての機器が高く電位上昇することになります。信号用制御線のシールド線がこのD種接地と共用になっている場合はシールドの電位も上昇し最悪信号線側にも静電誘導してノイズを発生する可能性もあります。(図2略)
またB種、D種接地抵抗が共に低すぎても地絡電流Igが大きくなり良い事づくめとは言い切れません。そこで図3に示すようにB種接地とシリーズに付加抵抗Rb2を挿入して電位分担を改善しD種接地側の電位上昇を適当に抑制したほうがベターな場合が想定できます。
このような目的で 「B種接地抵抗値が低すぎてしまった時シリーズに付加抵抗の追加」を提唱されている考え方は鋭い指摘だと思います。
(△◯電気保安協会△◯氏電気技術者’83 No.12記載の付加抵抗器の取り付け提案論文)
これ以外に当然直列抵抗を付加することによって故障(地絡)電流を限流する効果がでてくるので接地線の太さを低減できることが期待できます。こちらの方が効果大かもしれません。ただし直列抵抗の発熱量が大きいので(I2R)この発熱量を許容できるホーロー抵抗を選定する必要があります。(例えば100Ωの抵抗とすればこの発熱量は200V/100Ω=2Aの通過電流で2A×2A×100Ω=400Wの許容発熱量をもったホーロー抵抗を選定する必要があります。
(ニクロム線ヒータをシリーズ、パラレルに適当個数つないでも良い)
注:400Wの定格では場合によっては危険であるとの指摘を頂きましたのでそのメールをそのまま紹介します。
B種接地工事に挿入できる抵抗の範囲は実際に施工した接地抵抗値と電力会社の要求する接地抵抗値の、その差に相当する抵抗まで挿入できます。
抵抗の電力耐量は混触時を考慮した高圧の一線地絡電流への耐量と低圧側地絡時に対する耐量の大きい方で考える必要があります。高圧側の1地絡電流は通常3ないし6A(非接地配電系)となり、多分、低圧側の地絡電流より大きな値になる場合がありますので、それらを考慮する必要があります。
(仮に6Aとすると先の例では6A×6A×100Ω=3.6kWとなります。)
またB種接地極に抵抗を入れるべき理由としてA,B,C,D種の接地工事を共用化する構造体接地方式において、低圧側の些細な漏電(地絡)現象も構造体を利用した低インピーダンスを介して変圧器に電流が帰還するために短絡時と同様な現象が想定されます。そこで電流制限抵抗を設け発熱による断線他の影響を防ぐ対策をします。
補足:
以前、掲載された電気技術者「付加抵抗器の取り付け提案論文」だが、ここでは電力側提示のB種接地抵抗値の上限範囲まで抵抗を増加可能とある。
机上計算の上ではナルホドとなる様だが、そこまで理論的にヤルノカとの感じだ。
思うにB種接地の目的は低圧の感電保護などでは無く高低圧混触の対策と思うが...但し、低圧側を1線接地する事で漏電ブレーカが使える事になるメリットも、これは後から出てくる。(漏電した場合は十分な地絡電流がとれる)

エクセルはB種接地抵抗10Ωに付加抵抗65Ωを入れて75Ωにした場合。


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