黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

ブリューゲルの絵

2018年08月01日 16時34分52秒 | ファンタジー


 昨日の札幌の気温は34度。今季最高だった。やっと暑くなったので、涼しい美術館に行き、ブリューゲル展を見た。ブリューゲル一族の100点以上もの絵がひしめき合っていたのに、館内の入場者は少なく閑散としていた。美術館は空いているのがいい。椅子に座ってゆっくり閲覧し、眠くなったら横にもなれる。
 展示されているのは、形式ばらない宗教画から農民、花、昆虫、風景画に至るまで、幅広い題材を取り上げて、ち密にそして誠実に描かれた絵ばかり。技量の高さが際立つ。ダ・ビンチの失われた作品の模写もある。
 今回は出品されていないが、ピーテル・ブリューゲル2世の「雪中の狩人」は、近世ヨーロッパの絵画の中でも印象深い絵のひとつ。単なる風景画のように描かれているが、手前に配置されている黒々とした狩人と猟犬たちの背中が何か言いたげで妙に迫ってくる。
 今回展示の「鳥罠」は、描かれた場所や色調が「狩人」とは少し違うが、両方とも、スケート遊びの構図が遠景として描かれていることなど、ふたつの絵には響き合うところがある。「狩人」の解説文に、今にも氷が割れて冷たい水に飲み込まれそうな危うさを表していると記述されていた。私にはそんなふうに見えなかったが。鳥罠の図もほんとうに鳥を捕獲するつもりなのかといった雑な仕掛けだ。
 農民の屈託のない絵も大変いい。彼らのとぼけた顔つきの中に、時折、荒々しさや生々しい感情が浮かんでいるやに見えるのは私だけだろうか。一族が生きた難しい時代に、風刺的なのに何事にも深入りしないで描いているところがおもしろい。社会批評や人格攻撃する際のいいお手本になる。(2018.8.1)

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