黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

銃士たち

2016年03月29日 15時27分56秒 | ファンタジー

「マスケティアーズ パリの四銃士」(全二十回)という海外ドラマが、四月からNHKで放映されるらしい。この物語は、アトスに父親を殺されたと思い込んだダルタニアンが、アトスを襲撃する場面から始まるという。デュマの原作を子どものころから読んでいる者にとって、デュマから有名なタイトルをいただいて、別の物語にとってつけたような違和感を覚えるが、まだドラマを見る前なので、それはそれとしておこう。
 ところで、ダルタニアンもアトスも、フランス南西部のガスコーニュ地方の貴族の何番目かの子弟がモデルになっているらしい。彼らの先祖は、イベリア半島から北上して移り住んだ人々で、現在のバスク人と同系だと言われている。宗教的には、多数派のカトリック信仰に対抗し、新教のカルヴァン派を信奉した。しかし、十七世紀には、旧勢力との闘いに敗れたことにより地域が衰退し、ダルタニアンたち若者は立身出世を夢見て、パリへ出て行くようになった。
 このうち、ダルタニアンは王室を守る銃士隊に最後まで忠実に仕え、最後は元帥だったかの称号をもらうのだが、他の三人は様々な思惑に身を任せる。アトスはイギリス王室の復古に尽力したり、アラミスに至ってはルイ十四世を廃位の瀬戸際まで追いつめたり。
 彼らは相反する側に立つことがあっても、それぞれの勇猛果敢で機知あふれる行動力に敬意を払い合う。なかでもアトスとダルタニアンの純粋な友人関係はずっと続く。こんなデュマの原作をしのぐほどのドラマを期待するのはしょせん無理だろうと思うが、ドラマの始まる日が近づくにつれて、何だか気持ちが落ち着かなくて困っている。(2016.3.29)

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