黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

いやだニャー

2014年06月12日 11時54分24秒 | ファンタジー

 <いやだニャー! シャンとしてるとき撮ってよシャシン、父しゃん>

 テレビ番組のせいで、「じぇじぇじぇっ」「パミュパミュ」などの擬声(音)語、擬態語風の言葉が大流行だ。厳密に言うと「じぇじぇ」は「えっ!」「うそー!」などの感嘆符と同じものだろう。「パミュ」は擬態語のような気がするが固有名詞。擬声(音)語とは、自然界の音や声をヒトの表現に置き換えたもの。つまり、はながニャーと鳴くのは、ヒトがギャーと叫ぶのと同様、感情の表現なのだが、父さんがはなに向かってニャーと言うと、それは擬声語に分類される。でも、はなのニャーが話し言葉なのだとしたら、ネコ族に対し酷い無礼を働いていることになる。
 たいがいのヒトは、ネコのニャーの微妙な変化を聞き取っている。イヌ族やヒト族の尻尾ふりふりワンとかハイとか、従属の意志を示すサインと違うことも知っている。そうなのだ。はなは、ニャーと鳴いて父さんや母さんのリアクションをうかがった上で、また違うニャーを発する。これはヒトとヒトとの間の会話にきわめて似た反応なのだ。
 いくつか例を挙げてみよう。はなは、朝起きたら、父さんにはニャーだけだが、母さんにはニャーニャーと二回言う。これは母さんにだけ丁寧に挨拶しているのでなく、一回目は「お早う」二回目は「ご飯まだ?」という意味の語りかけ。
 父さんが朝寝坊しているとき、母さんがはなに向かって「父しゃん、起こしてきて」と言うと、機嫌のいいときのはなは、二階のベッドに寝ている父さんの枕元に来て、明らかに「ニャーシャン」と大きな声で叫ぶ。
 ところで、この国のヒトは、言葉の省略形、つまり短いセンテンスの言葉を好む。擬声語や感嘆符、意味不明の重ね言葉などの造語が乱発されるのも、長い言葉を組み合わせて論理的に話すのが不得意なことが大きな理由だと思われる。「しゅしゅしゅーだんてぇき……」「じぇじぇじぇーけん……」なんて、そもそも言葉の体をなしていない発言を繰り返していると、ネコ族から笑われそうだ。あぁ、情けない。(2014.6.12)

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