BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

アグルーカ

2013年03月13日 | 新 刊
 1845年(ほぼ168年まえ)、北極探検へ向けて出発した英国のジョン・フラ
ンクリン隊長以下129人が、全員還らぬ人になった。それぞれの隊員が何処まで行
き、命を繋いでいたのか、その極限の軌跡を角幡さんは歩いて辿り、検証した。
 無事に帰ってきたからこそこの本を書いているという安心はあるももの、角幡さん
の旅はいつもぎりぎりで危ない。〔アグルーカ〕とは「大股で歩く男」を意味し、大
きく果断な精神力を持った人物を表す、と書いてあるが、読み終えると角幡さんこそ
がホンマもんの〔アグルーカ〕なのではとの感慨をもつ。
 以前の作品で受賞しまくったが、これぞ今ではベストワンだ。まったくもって面白
い書き手の誕生だ。北海道芦別市生れだし、それも嬉しい。

 「アグルーカの行方」 著者 角幡 唯介  集英社 定価1800円+税
  ( 2012年9月30日 第1刷発行 )