帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの土佐日記 (大湊に停泊)正月二日・三日

2013-01-21 00:09:33 | 古典

    



                                         帯とけの土佐日記



 土佐日記(大湊に停泊)正月二日・三日

 
二日。なおも、大湊に泊っている。講師、もの(食物…物)、酒、おこせたり(寄こした…寄こしてそのままある)。


 三日。同じ所である。
 もしや風波が、しばしと(しばらくの間・留まっていよと)、をしむこゝろやあらむこゝろもとなし(別れを惜しむ心でもあるのかな、落ち着かず不安だ)。


 言の戯れと言の心

 「もの…食物…酒の肴…物体」「おこせたり…寄こした(この度は自らはいらっしらない、物だけがそこにある)…寄こした物がそのままある」「たり…完了した意を表す…完了したことが存続している意を表す」。

 「をしむ心やあらむ…惜しむ心なんてあるのだろうか…惜しむ心あるのかあるわけないだろう」「をしむ…惜しむ…愛着する…手放したくないと執着する」「や…疑問の意を表す…反語の意を表す」「心もとなし…気がかりだ…安心できない」。


 伝授 清原のおうな
 
聞書 かき人知らず(2015・11月、改定しました)

 
原文は青谿書屋本を底本とする新日本古典文学体系土佐日記による。