民法に注意報発令

2012-06-18 20:14:42 | 司法試験関連
最近,民法に関する相談事が格段に増えたような気がする。民訴は前々からであるが,やはり民法の難易度がここ2,3年上がってきているのが何となく自覚され始めたのではないだろうか。

「小問3セット制」が固定化しつつあり(各設問間の独立性も高い),分量的にもきつくなった上に,旧司法試験的な論点的な部分と新司法試験的な部分が上手くミックスされているからであろう。他の科目に比べても,L2とL3が程よく融合してきているので,確実に難易度が上がっている。

また民事系は普段から判例の事実関係をあまり読んでいない受験生が多いと思われ(民法はケースブックも無い),その結果,問題文を一読して事実関係を把握するのが苦手な人が非常に多い。刑事系や公法系で事実関係を把握できない,問題文を読むのに時間がかかる,という悩み事は聞いた事が無いのと対照的である(なので民法の論文突破レジュメで判例を引用する場合,事実関係部分を長々と引用しているのである)。

行政法に続いて,民法と商法がさり気に難敵になりつつあるということである。
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短答合格しても受講検討中という傾向

2012-06-18 18:13:12 | 司法試験関連
今年は,短答をクリアーをしていても,論文突破の受講を考えているという人が多くて驚いた,という話を以前書いたと思うのですが,「何で今年だけ?」と疑問に思っていました。色々ヒアリング等をした結果,「嗚呼,なるほどなぁ」と思った事があります。

ご存知の通り,今年の論文問題は「くみし易い」問題でした。論ずべき論点も指示が明確でしたし,事案も例年に比べれば複雑なわけでもありません。その結果,受験生的には「あれは書くべきだった」「これでは間違いだ」というのが例年に比べ自覚しやすいそうなんです。

昨年までだと,あまりにも問題水準が「破壊的」なので,「・・・・まぁ,無理だよねぇ」となりやすいし,そもそも何をどう書くべきで,また書いてはいけないのか,が個別にイメージしにくかったわけです。

その点今年は,自己査定というか「試験の出来」の判断が具体的にしやすいみたいです。結果,「これは駄目だろうな」となりやすく,来季に向けて夏も勉強やらないと駄目だ,という思いに激しく駆られる,という因果関係が見えてきました。

確かに,今年は受験後の雰囲気が例年に比べても落ち着いていると言うか陰鬱(笑)というか,浮き足立っていません。試験終わったからとか,夏だから遊びたい,旅行行きたい,という雰囲気があまり感じられません。今年は別の意味で精神的にシンドイみたいです。
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合格水準を下げない

2012-06-18 13:31:42 | 司法試験関連
合格者再現答案が完全に間違った利用がされているような気がしてならない。実際には「この程度で受かる」と言う話と,最初から「その程度を目指した勉強」で足りる,というのは全然違う。最初から1500番前後の答案レベルを目指した勉強なんてしていたら,実際には2000番にも余裕で届かない。そもそも,「ちょいとしくじれば」あっという間に1000番くらい地滑りを起こすのが司法試験である。

そもそも縁起悪い話で恐縮だが,1000番以下答案,いわんや1500番答案を目指している人に確認したいのは,「合格者数が減ったらどうするの」という点についてである。あくまでも2000人合格を所与の前提として成り立つのが1500番レベルでOKという「戦法」である。正直,合格者数が減る可能性は十分ある。特に,今年の合格者数が2000を切った場合(1985人とかである),この数字が持つメッセージは明瞭である。既に短答合格者数が400名弱減っているのが個人的には気になって仕方が無い。何かの「サイン」なのかどうか,どうしてもうがった見方をしてしまう(職業病です)。

また,予備試験合格者を増やすべき,予備試験の難易度を下げるべき,一般教養科目は廃止すべき,という提言が続々となされている。この流れからは,予備枠が増えるのは間違いないと見て良い(その程度は不明だが)。

徐々に,試験本来の厳しさが戻りつつあるように感じる。受験生の方で勝手に「こんなの解けないし,誰も出来ないからできなくても良い=最初からやらなくて良いという「水準の引き下げ」をすべきではないと思う。ある程度は正論だとは思うが,どうしても「引き下げすぎる」のが受験生である。自分が引き下げすぎていないか,十分に注意して欲しい。当局が「譲れないライン」の要求水準を下げることは絶対無い。水は低きに流れるものなのである。
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