もう30年余りジャズレコードをコレクトしていますと,入手にいちいち難儀な思いをしたレコードが結構あることに気付きます。私的入手困難盤というヤツです。まずなかなか出会えないアルバム,会っても入手寸前で手許からすり抜け続けたアルバムなどいろいろあります。また、劣悪な再発盤(結構所有していたりするんですが・・・)が出されて何度も妥協して購入しようかと思ったアルバムなど、エピソードには事欠きません。レーベル単位で行くと,個人的にはエピック盤に多いように思います。自分の記憶ではジャズ道に入った時に既に2300円盤がCBSソニーから発売されていました。一部は1500円の廉価盤で中古屋にあったものもいくつかあったと思います。とにかく,自分がジャズ道に手を染めて一回も国内盤が出なかったのがエピック盤なのです。オリジナルは無茶苦茶高価ですし,一度だけ劣悪カバーで輸入再発盤が出た記憶がありますが,どうも触手が伸びなかった記憶があります。
カーティス・フラー盤、フィル・ウッズ盤などは国内盤とは言えベラボーな値段で取引されていた記憶があります。本日アップのハーマン・フォスターのトリオも長く待った一枚です。一度,劣悪再発輸入盤で発売されましたが見送っていました。今回,米国EUCLID RECORDSで遂に発見,円高差益もあって入手することができました。ハーマンについてはルー・ドナルドソンバンドでのBNの録音が有名なのでしょうがこのエピックに2枚,アーゴに1枚のピアノトリオ盤は個人的にどうしても揃えたいアルバムでした。メンバーはEarl May(b), Frank Dunlop(ds)のトリオです。A-1の"Herman's Blues"はジャジーなブルースでいいぞ!なんて思ってました。以後もルーのバンドに登用されていたので無茶苦茶ソウルフルなピアノを聴かすと思ったら,これが端正なアッサリ奇麗系、ラプソディックのピアノトリオに仕上がっているのに面食らった感じです。このフィーリングを自分に抱かせたのがA-2の"Volare"です。こんな曲を題材にするあたりがフォスターの粋なフィーリングを感じないではいられませんね。A-3の”Lover Man"、B-1の"When I Fall In Love", B-3の"Angel Eyes"などの独自のスタンダード解釈が聴かれますし,ブルース,バラードと手堅いサポートを行うメイのベースにも脱帽です。実に渋い!
というわけで所有盤はエピックのステレオオリジナル盤(だと信じたい!)です。完全な自己満足ですが黄色に黒のファンを伴い“STEREORAMA"の輝かしいラベルが誇らしいですよね。