『ソウルボート航海記』 by 遊田玉彦(ゆうでん・たまひこ)

私たちは、どこから来てどこへゆくのか?    ゆうでん流ブログ・マガジン(エッセイ・旅行記・小説etc)

大歳神その2

2009年06月06日 01時29分18秒 | 未知への扉
今から12年前、私と宮古島へ取材同行した、カメラマンのA君は、その後、2年くらいして島に移住した。その一番の理由は、カンカカリャNさんとの出会いと、その時の強烈な神秘体験が元となっている。彼は、それ以前はとくに神仏に興味がなかった。シャーマンのことも何も知らなかった。それが、一度の体験で、身体で解ったと語った。「御嶽(うたき)で、あんな強烈な神霊が身体の中に入って、死ぬかと思ったんですから」と。御嶽とは、沖縄独特の聖地(神域)だ。本島では、世界遺産となった、「せいふぁー御嶽」が有名である。

さて、そのA君が、宮古島に住んで数年した頃、私になぜか必用に言い始めたことがある。「よくは解らないんですけど、なんかニギハヤヒって神さまが大事みたいですよ」と。彼は、カンカカリャから、「あんたの先祖は、ヤマタノオロチかもよ」と言われ、出雲の神々に関心をもっていた。だから、あなたも関係あると。ニギハヤヒと聞いても、私にはどんな神なのかさえ、当時は解らなかった。「そうか、大事な神さんねえ」といった程度だった。それですっかり忘れていた。

1年ほど経って、ニギハヤヒについて書かれた本を手に取り、じっくり読んで、ハッと思った。A君が無意識に伝えていたのは、これか!と。日本史の黎明期に重要な存在だったのではないか。それが隠されている。いつか、奈良・大和地方へ行って調べてみたい・・・その頃から、段々、気になる神として脳裏の片隅に留めるようになっていた。それが7年ほど前だが、以来、徐々に、その謎の神さまに引き寄せられていくこととなったのだ。
(つづく)