サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

忘れても・・・

2016年12月13日 22時21分43秒 | 介護日記
忘れても寄り添うこころが支えてる

今年度の「認知症の人と家族の会」の標語です。以前にも

忘れてもこころは生きてる認知症

というのがあった。私は、こちらの標語が大好きだ。

どちらの標語にも「忘れても」という言葉が含まれている。
忘れても・・・

認知症の人は、決してすべてを忘れてしまうわけではない。
初期の人はもちろん、重度になっても、全く記憶できないわけではないと思う。

感情はもちろん覚えているし、ひょっとするとサキさんは全てを理解しているんじゃないかなと感じることもある。

きっとすべての記憶が無くなるわけではないと思います。

私の顔がわからなくなっても、私の名前がわからなくなっても、きっとサキさんのこころの中には
若いころの私の顔や、イメージは残っているんじゃないのかなと思います。

だから、余計に目の前の、おじさんを自分の旦那と思えないのかな。

渦中にいると目の前の事しか見えない

2016年12月12日 21時12分56秒 | サキさんとの記憶
平成26年、今からまだ、たった2年前だ。

要介護3から5になったこの年。
2月に風邪をひき、症状も進んだ。
初めてのショートステイで荒れた
昼夜逆転ではないのだが、夜中に何度もトイレで起こされ、そのたびにサキさんの罵倒(説教)が始まる。
そして初めての入院。
退院し、そのまま老健へ。

この年をやり直したい、そう何度思ったことか

ショートステイで、荒れに荒れたサキさん。
初めて家の外で、私も子供たちもいないところで一人にされ、知らない人たちと夜を過ごす。
いつまでたっても、いつまで待っても、お父さんは迎えに来ない(それまで、デイサービスの帰りは、私が迎えに行っていました。)スタッフさんの話しでは一睡もしていなかったとのこと。

不安だったんだよね。寂しかったんだよね。だから少し荒れてしまったんだよね。

認知症の人の行動には必ずなにがしかの理由がある。そうなった原因がある。それは後になって、冷静になって考えてみるとたいていの場合、容易に想像がつく。でも

その渦中にある時には、目の前の事しか考えられない
目の前のサキさんを鎮めるので精いっぱい。

結果、サキさんを薬漬けにして、身体の自由すら奪ってしまった。
そして、在宅は無理と早々に白旗を上げ、病院、老健、そして現在の特養さんの世話になっている。

他に道はなかったのかな? いや、道なんてどうにでもなったはずだ。自分の気持ち一つだもんな。

もう、元には戻れないのだから、今できる精一杯のことをしていこう。
そして、今現在、渦中にいる人には、自分の経験を踏まえ、冷静な視点でアドバイスができるといいな。

久しぶりの生クリーム

2016年12月11日 18時20分53秒 | 今日のサキさん
朝、床屋さんで髪を切ってからサキさんの特養へ。

サキさんはベッドで寝ていました。

穏やかな寝顔です。起こすのはかわいそうだったので、そのまま寝顔を見ていました。ただただ寝顔を見つめるだけで何もしてあげられない自分です。そうこうしているうちにサキさんの目が開きました。



近くのコンビニで買った生クリームたっぷりのロールケーキとシュークリームです。少し眠そうなサキさんですが大きな口をあけて食べてくれます。久しぶりの甘~~いケーキ、満足してくれたかな。

変えた薬のせいかどうかはわかりませんが、とても穏やかで落ち着いた表情でした。食べ終えると、またまたトロ~~ンとまぶたが重くなるサキさん。今日は、そのままサキさんの特養を後にしました。

その後、若年性認知症のつどい「アルトひまわり会」へ。今日はこれまた久しぶりの料理教室?です。男性介護者が多いこともあり、ときどき料理実習を兼ねた食事会を開いてくれます。
今日は「お鍋」です。用意してくださった皆さん、ありがとうございました。お鍋を食べながらみんなでワイワイガヤガヤ。ここ最近は、いつもは機嫌の悪い本人さんも、今日は終始ニコニコ。心から楽しまれているようでした。

料理の時は、いつも準備に後片付けに、女性の皆さんに頼りっぱなしです。ありがとうございます。これからも時々よろしくお願いしますね。

まず私の笑顔をサキさんに届けよう

2016年12月10日 22時28分23秒 | 今日のサキさん
サキさんの薬が変わったそうだ。
抑肝散をやめて「チアプリド錠」になりました。
叫び、大声がなかなかおさまらないので、薬を変えたそうだ。

そんなにきつい薬ではなさそうだ。副作用も少ないみたい。攻撃性を抑える薬らしい。しばらく様子を見てみることにしましょう。


今日のサキさん、到着した時はやっぱり叫んでいました。
部屋に入るとベッドで何やら叫んでいます。
「サキさん、お父さん来たよ。」
いろいろと話しかけると少しずつ穏やかになっていくサキさん。


今日のサキさんは、私がいた間はとても穏やかでした。顔をくしゃくしゃにして笑ってもくれました。
「サキさん、お父さんが来てるからおとなしいね」ってスタッフさんにも言われていたサキさん。

今日、サキさんが穏やかなのは、きっと私の心が穏やかだったからなのかな。サキさんの傍に居たいと思って食事介助に来たからかな。(たまにめんどくさいと思いながらの時もある)私の心が穏やかだったのは、11時30分からの「八重子のハミング」のメイキングのドキュメントを見たからかな。

トイレの介助のシーンを見ただけで泣きそうになってしまいました。
そして原作者の陽(みなみ)さんのコメント「死ぬと分かっている病気だから、少しでも一緒に居たいと思っただけだ」
私とサキさんの時間があとどのくらい残っているのかわからない。でもず~~っとという訳には行かない。いつか別れる日がくる。だから、サキさんの傍に居られる時間は大切にしよう。そして心から、心でサキさんに接していこう。

やはり伝わるんだな。
サキさんの笑顔が見たかったら、まず私の思いっきりの笑顔をサキさんに届けよう

異性の介助

2016年12月09日 21時39分37秒 | サキさんとの記憶
この前の日曜日、サキさんの事を話す機会があった。
そこで、久々にサキさんの介護保険を利用してからの施設での様子を振り返ってみました。

最初の施設でのサキさん。
お風呂には一回も入らなかったな。それどころか
「~~さん、今日もお風呂に入らされとったよ
よっぽど嫌だったのか、その方がとても嫌がって拒んでいたんだろう。

そして、その施設であった、男性スタッフによるトイレ介助
初めての異性によるトイレ介助だった。その夜、布団の中で急に泣き出したサキさん。
「何で、あんな事されなあかんの」
興奮は、しばらく覚めませんでした。
このように記憶もはっきりしていたサキさん。どんな思いだったでしょう。どんなに悲しくむなしかったでしょう。

それから次の施設へ。
今も若年性認知症のつどいでお世話になっている「アルト」さんへ。
ここのスタッフさんは全員が女性。それによる安心感があったのか、サキさんすすんでお風呂に入ってくれました。

お風呂が嫌だったわけではなかったんですね。
安心感が必要だったんでしょうね。

それから、入院。
この時はさらに病気の進んでいたサキさんだったが、それでも
男性の看護師さんによる入浴介助。どんな気分だったのかな。ゴメンね。


サキさんに限らず、初めて施設を利用された皆さんが、必ず感じるであろう介助される屈辱感(ちょっと違うかもしれないけど)、情けなさ。年齢に関係なく、異性に介助される恥ずかしさ

できることなら、女性の皆さんによる介護がいいですね。男性の利用者さんの場合はよく分からないですが。

自分でできることがどんどん少なくなり、やがてすべての人の手に頼らざるを得なくなったサキさん。
辛かっただろうね、悲しかっただろうね。

笑顔なんてそんなに簡単にはでてこないよね

でも、でも、やっぱりサキさんの笑顔が見たいな。

映画『八重子のハミング』の監督から

2016年12月08日 20時00分35秒 | 私の日記
先日、「八重子のハミング」の事をブログに書いた。

そしたら、今日、左の最新コメント欄に、八重子のハミングの記事についてのコメントが寄せられていました。

コメントを頂いたのは、何とこの映画の監督 佐々部清さんからでした。

そのコメントの内容は

「八重子のハミング」
山口県限定でOAされたドキュメンタリーが全国ネットでOAされることになりました。
12/10(土)午前11:30~ NHK総合
『その先に愛を描く』
よろしかったら観て下さい。

というものでした。

今度の土曜日、絶対見るぞ

そして映画も、絶対見るぞ
早く公開してくれないかな。


映画『八重子のハミング』予告編


映画『八重子のハミング』特報


映画監督 佐々部清|オフィシャルサイト

障害者手帳の更新

2016年12月07日 21時43分07秒 | 今日のサキさん
今日もサキさんの食事介助に行ってきました。

障害者手帳の更新時期になっているので、写真が必要とのことです。

サキさんは障害者1級です。(精神の障害:この言葉の響きもイヤですね)
2年前の更新の時は、老健さんで写真を撮りました。

痩せてきてはいたのですが、顔だけがパンパンに腫れていました。(薬の影響なのかな)

食事前の少し興奮気味のサキさんをなだめながら、手帳用の写真を撮りました。

この写真でいこうと思います。

障害者手帳、頑張ってもらったけど、何一つ活用してないな。

所得税は、主たる納税者ではないので関係無し。
NHKの受信料も同様。
自動車税も、サキさんが運転する車ならいいんだけど。
バスはとうに乗り降りできなくなっている。
金華山のロープウェイが割引になるらしいが、車いすでは・・。

結局、何の役に立ったんだろう。
仕事休んで、病院に診断書もらいに行って、しかも診断書書いてもらうだけで数千円も支払って。

今回の更新は全て施設でやってもらうようにお願いしてきました。
もっともっとサキさんが自由に動ける時なら、もう少し活用できたかも知れないけど。


今日も食事は完食です。食後の歯磨きも協力的でした。
「食べることは生きること」
ちゃんと食べて、もう少し一緒に頑張ろうね、サキさん

髪の毛切ってサッパリ・サキさん

2016年12月03日 22時33分15秒 | 今日のサキさん
今日はサキさんの施設の家族会。

朝10時半からは、餅つき大会でした。
施設に到着すると、サキさんは玄関先にいました。移動美容室が来ていて順番を待っているところでした。最近、寝癖がひどいから短くしてもらえばいいか・・と送り出したサキさん。結果は、サキさん史上最も短髪に仕上がっていました。

せっかくの美容室だったのですが、白髪は予約が必要だったので染めてもらえませんでした。次回の美容室の時にはぜひ髪の毛も染めてもらおうと思います。(サキさん、じっとしてられるかな。無理かも知れないな)

餅つき大会だったので、その後の昼食は当然、もちでした。(しまった、もち、嫌いだった)

サキさんの食事介助をしながら、同じメニューの昼食を頂きました。自分も食べながらのサキさんへの介助、ずいぶん久しぶりです。昼食なので量が少なかったこともあり、なんだか食べた気がしませんでした。食べ終えるとすぐに、おやつにしてしまいました。「たけのこの里」で、やっとお腹が落ち着きました。

家族会の後、いったん家に戻り、洗濯物を取り込みました。少し休んでから、またサキさんの施設へ。今日は土曜日なので夕食介助があります。少しだけ、「めんどくさいな」と心で思ってしまいました。ゴメンね、サキさん。

一日を通じて比較的穏やかだったサキさん。夕食の肉じゃがの「イモ」という言葉にもすごく反応してくれたサキさん。反応が良いということは、感情も高ぶっているということで、その後、例の叫び、歯ぎしりも始まりました。
最後は、叫ぶサキさんに後ろ髪をひかれながら、施設を後にすることになりました。



最後の写真は、泣いていたり、叫んだあとではありません。笑っている写真です。
叫ぶ時も、笑う時も、歯ぎしりの時も、サキさんは一生懸命に自分の思いを伝えようとしています。その思いにしっかり答えていきたいと思っています。

サキさんの思いに近付きたい

2016年12月02日 21時19分25秒 | 私の日記
明日は、サキさんの施設で、餅つき大会と家族会が行われる。

本当なら仕事で行けないのですが、休んで出かけることにしました。
たまには仕事をさぼり、サキさんとゆっくりするのもいいかな、と思っています。

サキさんは、認知症になって、病気もすすんで、ほとんどベッドでの生活になってしまいましたが、それでも
叫んだり、睨んだり、「イタイ」と言葉を発したり、
まだまだ自分の感情がしっかり残っています

サキさんは、まだまだ生きています

決して死んだわけではありません。

ありったけの力を込めて、思いっきり叫んでいます。
自分を精一杯の形で表現しています。

後は、私がサキさんの気持ちをどれだけ理解してあげられるかです。

サキさんがよく言う「バカ」も、きっと
「バカ(なことばっかり言っとたらあかんよ)」
という「バカ」なのかも

解釈の幅を広げ、想像力を思いっきり発揮して
サキさんの思いに少しでも近づいていきたいと思っています。

本人の思いを素直に聞けない

2016年12月01日 22時28分40秒 | 介護の後悔
最近は、認知症本人の方がご自身の思いを伝える機会が増えてきた
講演会などで、思いを伝えられる方もいる。

でも、私はそういう話を聞きたいと思ったことがない。
聞いて「良かったよ」という感想を聞いても、私も聞きたいとは思わない。思えない

ご自身で語られる人は、若年性の認知症の方がほとんどだ。だから余計に
聞きたいとは思わない。

どうしても、サキさんと比べてしまう
認知症の当事者は、遠くにではなく、すぐ隣にいる

すぐ隣にいる人の思いさえ、きちんと聞いてやれなかった人間が、他人の話を・・・。

元気(?)に自分の思いを語られる方を、サキさんとつい比べて、うらやましく思ってしまう。
時には、妬みに近い感情も芽生えてしまう。

サキさんはあっという間に車いす、ベッドの生活になってしまったのに、彼(彼女)らは、いつまでも自分の思いを語っていられるのか。文章を書くことが出来るのか?

きっと、周りの温かい、手厚いサポートがあるからだろうか。
それに引き換え、サキさんは。

鬼のような形相の夫に世話され、あっという間に介護度がすすんでしまった。
そして、自分のふがいなさを今さらながら責めている。

介護職の皆さん、専門職の皆さんは、ぜひ当事者、ご本人の発言をよく聞いて、本人の思いを分かってください、感じてください。

でも、介護家族、特に若年性認知症の介護家族にとっては、自分を悔やむ場にしかならない。

だから、私は、認知症本人の講演会があるとしても、きっと行かないだろう。そんな時間があるなら、サキさんの施設に面会に行って、サキさんの思いに寄り添いたいと思います。