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斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

赤十字水上安全法講習会2日目

2014年05月11日 19時06分45秒 | 長岡技術科学大学の広報
本学の室内プールを利用して、赤十字水上安全法講習会2日目を行いました。

今日は素手による入水救助の基本を教えました。先日の上越の水難でも結局は入水救助が重要であることを再認識させられました。
入水の基本、順下です。足から順に入水するから順下です。


溺者を発見したら、指をさして「溺者発見!救助」と叫びます。


入水です。足から着水し、顔は水に沈めません。目標を見失わないためです。


顔あげクロールです。顔上げも目標を見失わないためです。しっかりと前を見据えて、顔は絶対にふりません。


赤十字の水上安全法では、想定は水面救助です。溺者は浮いているとします。こうやって顔を出していることはありえませんが。。。
浮いて待て-命を守る着衣泳-が普及していけば、背浮きで浮いている人が増えて、水面救助が大活躍するはずです。
その溺者に近づくときには防御の姿勢をとって溺者に注意しながら接近します。


最初は後ろから近づくやり方を教えます。


チンプルといわれる手法です。溺者の顎を確保します。
 

逆あおりで速度をつけたら、キャリー(搬送)に移ります。写真はリアキャリーです。


ここまでのことを泳ぎながら(浮きながら)やります。これが入水救助です。静水では簡単ですが、自然水域ではバランスと呼吸が狂います。

一通り終わりましたら、次はキャリーの練習です。先ほどのリアキャリー。脇の下から両手を入れて、肩で溺者を固定します。巻き足で泳ぎながら移動します。


ヘッドキャリー。両手で溺者の顎から耳にかけてしっかりと確保します。腕を伸ばして巻き足。昔はこれも「逆あおりで運べ!」と怒鳴ったものです。


ヘアキャリー。溺者の生え際あたりから髪の毛をつかみ運ぶ方法です。でも昔から練習の時には溺者役に手を組んでもらいそれをつかみます。本物の髪の毛を引っ張ったことのある人はいるのかな?これは逆あおりで運びます。


クロスチェストキャリー。もっとも難しいキャリーですが、私はもっとも得意です。片手をしっかり溺者に巻き付けて抱くようにして逆あおりで運びます。10m運べれば大したものですが、ベテランは25mをらくらく運びます。コツがあります。


さて、これらの基本練習と複合練習が終わったら、プールへの溺者の上げ方を訓練します。
キャリーで運んで来たら、まず溺者の両手をしっかり押さえながら救助者がプールサイドに上がります。
それから両手をしっかり握って1,2,3で引き揚げます。


溺者の腰まで上げたらプールサイドに寝かせます。


その後両足をプールサイドにあげます。
 

このあと、体位変換、意識の確認へと続きます。

正直な話、プール監視で絶対に日頃から訓練してほしい実技です。もちろん、バックボードを使ったり、数名であげたりする実技もあり、3日目に教えますが、やはり水難救助の基本は素手で、少人数で、確実に、自分の身を守りながらやれるように、体力と技を鍛え続けなければなりません。

こういう訓練をして、しっかり実技を叩き込み、体力とスキルを落とさないようにしていれば、素手による入水救助ができます。入水救助をよく知らない人が入水救助を語ってはいけないし、入水救助を知っているなら安易に一般の方にテレビなどで「浮くものをもって水に入って救助しましょう」などと言わないはずです。






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赤十字水上安全法講習会1日目

2014年05月10日 20時33分18秒 | 長岡技術科学大学の広報
本学で5月10日から4日間、水上安全法講習会が始まりました。
今年も水泳部にたくさんの部員が入ったというのですが、なぜか新入部員の参加がなく、これって???です。
プール監視を水泳部にお願いできなくなる日も近づいているか、と思うと今後のプールの存続も含めて心配になります。
部員がたくさん入ったというだけでは、ダメです。

それでも志ある水泳部の部員(大学院生)と一般の方の出席を得て1日目が始まりました。
今日は9時半から3時半までは基礎講習。AEDの使用を含めて一次救命処置について講習を行いました。
講義の様子です。


胸骨圧迫の実技の様子です。
 

このあと、AEDの練習と検定を行いました。

引き続き、プールにうつり、1時間半ほど実技講習を行いました。
まずは軽くアップして500 m泳検定と20 m潜水の検定を行いました。泳力は十分でした。


泳ぎの基本ということで、入水方法、伏し浮き、背浮き、立ち方などの確認を行いました。皆さん当たり前のようにやってきたのですが、改めて理論とともに勉強すると、「なるほど」と明確になっていきます。


逆あおりの練習です。逆あおりは、溺者を水面で搬送する方法で、浮いて救助を待つ人を岸まで移動させるときに使う泳法です。まず、ここで競泳で鍛えた人たちの息が悶え始めます。
足の練習。今まで動かしたことのない動きを強要します。
  

引き続き、腕の動きを組み合わせます。まだ溺者を運んでいないから移動できますが、これから溺者を運ぶとはじめは溺者とともに水没します。競泳で鍛えた人たちでもそうなります。


溺者搬送は明日のお楽しみにして、最後に立泳ぎです。搬送する前に水面の溺者を確保したり、水中から引き上げるのにこの泳ぎができなければ自分も溺れます。
通常は巻き足という種類の立泳ぎで浮きます。検定は5分で、最終日にチェックします。

最後の30秒は万歳します。でも、まだ肘から上が上がってないですよ。これでは失格。肘も水面上に出しましょう。


これだけのことができても自分の身をまだ守れないし、素手で人を救助するなどまだまだです。
明日は2日目、もっともきつい日です。 

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金曜日の大学院講義

2014年05月10日 15時46分14秒 | 講義記録
講義中の問題ですが、2回軸のない2次元格子を出してしまいました。迷った人はごめんなさい。
回答は図の通りです。


鏡映線と映進線が交互に横に伸びています。
縦にはありません。これに一致する面群はcmです。
cmの国際図表を示します。

せっかくサイト記号の読み方を習ったので、応用してみましょう。上のリンク先にサイト記号が記載されています。
サイトは2aか4bになります。2a だと座標軸は0,yです。y=0とおいて、しかも○●を1組に数えれば、すべての○●が0,0にくることがわかります。面心位置も0,0になるのはいうまでもありません。

それでは、次の講義である月曜日にお会いしましょう。国際図表の読み方と2次元格子の解析方法を教授します。

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救助の現場を知らない俄か解説者

2014年05月09日 23時21分35秒 | 水難・ういてまて
この数日の新聞に、肩書きからすると水難救助を知っているようなカタカナ団体名の方が「救助で水に入るときにはクーラーボックスなど浮くものをもって」と解説している記事を見ました。複数出ています。

救助の現場を知らない俄か解説者が次の犠牲者を出すかと思うと「いい加減にしてほしい」と解説者ばかりでなく、メディアにも怒りを感じてきます。
水難現場では要救助者は浮いているか沈んでいるかのどちらかです。
�浮いている場合、直ちに119番通報して専門的な救助隊を呼びます。
�沈んでいる場合、同上です。

着衣泳の技術で浮いて待っていればそれが最も安定した状態ですから、救助隊を待ちます。通報もしないで救助に入った人が亡くなり、浮いて救助を待っていて生還した例が数多くあります。残念です。もしうつぶせになって浮いている場合(呼吸していない)、溺水の原因がそこにあるわけですから、救助技術のない人が入れば同じ道をたどります。一方、沈んでいる場合(これがほとんど)、浮き具をもって救助に入っても、潜水することができませんので、救助不可能です。だから、入水による救助は浮き具なしで入る技術がなければ、スクーバによる潜水救助を待つしか方法がありません。

要救助者が沈んでいることが多い現実では、クーラーボックスをもって入水救助に入っても、浮き具を持ったまま潜水することは不可能ですから、救助が成り立ちません。

現時点での本当の現場は、浮き具なしの入水救助でなければ助けられないのです。だから、「浮いて待て」と背浮きで浮く技術を社会に広めています。俄か解説者は金輪際黙ってほしいと思います。

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本日、大学院講義あります

2014年05月09日 08時27分21秒 | 長岡技術科学大学の広報
今日は月曜日授業の日ですから、3限に私の大学院講義をおこないます。忘れずに出席してください。
小テストを行う予定です。

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