斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

人工合成ダイヤモンド

2014年05月15日 23時35分29秒 | 学校.学会訪問記
本日、一般社団法人ニューダイヤモンドフォーラムの総会があり、東京に出張しました。総会そのものは普通に過ごすようなもので、あまりお楽しみはないのですが、その後の特別講演会がすばらしかった。

宝飾用CVD合成ダイヤモンド ーその現状と宝石鑑別ー
中央宝石研究所 北脇裕士 様

CVDは化学気相析出(Chemical Vapor Deposition)の略で、例えばメタンガスなどの炭化水素ガスからダイヤモンドを作るときに利用される手法です。いつも水難の話ばかりで私の専門はなんだ??だと思われていますが、CVDは私の専門中の専門で私の研究室でもCVDでダイヤモンドを作っていました。今はダイヤモンド様炭素といってちょっと違う物質を作っています。

そのCVDを使って宝飾用のダイヤモンドを作って販売している業者が世界にいるということで、そこから話が始まりました。CVDダイヤモンド(人工合成ダイヤモンドの一種になります)とはいっても、ダイヤモンドですから天然ものとほとんど見分けがつきません。結晶構造がなんら変わらないからです。ところが、私の研究室にあるような最先端設備を使えば天然ものとCVDダイヤモンドは区別が付けられるということで、「なるほどな」と思いました。

最先端設備ですから、普通に使ったら鑑別に相当な費用がかかりますが、なんていってもお相手の値段もそれなりですから、費用的にはペイできてしまうようです。

ちなみにこんな装置を使います。
ラマン散乱分光装置
フォトルミネッセンス測定装置
カソードルミネッセンス測定装置
赤外吸収分光装置
エリプソメトリー

以上の装置は研究室に高グレードのものがあり、もしかしたら研究室でダイヤモンド鑑別業ができるかもしれない!?などと楽しく想いをはせました。

CVDダイヤモンドのレポートについては、こちらこちらをご覧ください。面白いです。

今朝の新潟日報より

2014年05月15日 06時11分16秒 | 水難・ういてまて
今朝の新潟日報社会面にて、上越水難をうけて関係者の集まった会議を行うとの記事が出ていました。

まず、確認していただきたいことは、水難は1秒(1分の単位ではない)を争う救助により、完全社会復帰も可能だということ。
いままでと同じ対策を確認するだけの会議であれば、県が主導して皆さんにお集まりいただいてもどうかと思います。

海浜における水難の初動体制として、警察、消防、海保の3機関の間の、緊急通報入電時のすばやい情報共有と、各機関の航空隊が水難通報とともに早期出動ができるようにシステムの確認を行ってほしいと思います。そして調整が必要な場合には県知事がイニシアチブを取っていただきたいと思います。この問題はそれくらい重く、深いということです。

どんなに皆さんが集まって頑張ったって、海岸の深さの調節、波や流れの調節などできません。その自然の中でレジャーを楽しんでいただくために「ライフジャケット」と叫んでも看板を立ててもダメです。人の命が助かるということは、救助される側の努力と救助する側の努力がかみ合ったということです。初動救助体制の内容によっては、県内、県外の皆さんの信頼が得られず、新潟には危険な海ありというレッテルが貼られる恐れすらあるのではないでしょうか。