小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

担任から依頼「うちのクラスを叱って」

2015-09-25 17:33:22 | 学級生活の攻略法
1時間目の時間、私は授業が入っていなかったので、職員室で仕事をしていると、突然
「先生、ちょっと来てもらっていいですか」
と。
だれかと思ったら、ある担任の先生でした。
私の立場上、突発的に助けを求められることは珍しくないことです。
「具合の悪い子どもがいるので…」
「子どもが窓ガラスを割ってしまったから…」
とか。
今回は何事かと思いましたが、その先生の様子を見てみると、ちょっといつもとは違うようでした。
先生は慌てているというわけではなく、神妙な、怒った顔つきをしていました。

そして廊下を一緒に歩きながら事情を聞きました。
「どうしても聞かない子がいるんです。私、もう頭に来て…」
どうやら、担任の先生の言うことを聞かず、ふざけた態度の子がいるので、私に叱ってほしいということでした。

「あらあら…」
私としてはこんな依頼は初めてだったし、引き受けてもうその教室に向かってはいましたが、正直、動揺しました。
(いきなり俺が行ってどうなるものかね…)
歩きながら、先生はその子が言ったことしたことを洗いざらい喋って、もう我慢ができないといった感じでした。
まさしく怒り心頭。
私に口を挟む余地もないまま、二人で教室に到着。

クラスの子たちはみんなきちんと席に座って待っていました。
よほど担任の先生が怒ったのでしょう。
もうクラス全体に嫌な空気がたちこめていました。

「さあ、Aくん、さっきあなたが先生に言ったことを、もう一度言ってみなさい。」
という言葉に始まり、しばらくその先生と子どものぐちぐちとしたやりとりが続きました。
私は教室の端からだまって見ていました。
腕組みをして。
そしていよいよ二人の対話が煮詰まったとき、私が声を出しました。
これ以上ないくらいの勢いで、その子を叱り飛ばしました。
突然の怒号に一層張りつめた空気になる教室。
涙がこぼれだすAくん。
私も冷静でいようとは思っていましたが、確かにふざけた態度のその子に腹が立ち、もう一端導火線に火がつくと激しく燃え続けるタイプです。
叩きのめすほどに、叱り続けました。
そして
「またいつでも来ます」
と伝えて、そのクラスを後にしました。

こんなことをしたのは初めての経験でしたが、とても具合の悪いものでした。

誰かの代わりに叱るという微妙な役目
見ていない事実を叱ることへの不安
担任の先生が叱って済めばそれが一番いいのに、それができていないことに対して処理をするという虚しさ
担任の先生がいる目の前でクラスを叱るその居心地の悪さ

いろんなものが混じって、非常に具合の悪いものでした。

この担任の先生はなかなか落ち着かないクラスに奮闘しており、特に今回の子に対しては頭を悩ませていることを、私も知っていました。
年配ながら、一生懸命の先生で、子どものためにいつも汗をかく先生でした。
私が怒鳴らずにはいられなかったのは、この先生の努力が報われないことにことに対する、その相手であるクラスの子たちに向けた怒りだったようにも思います。

しかし、私が叱ってその場では子どもがおとなしくなりましたが、それ以降どうだったのでしょうか。

私が叱って、なにかよくなることがあるのでしょうか。

私がこのクラスの「最後の手段」的な抑止力にはなるかもしれません。
それは表面上は効果が見えるものかもしれませんが、やはり本質をよくするものでないのは明らかでしょう。

このクラスの子どもたちにとっても。
この先生にとっても。

関わってしまった以上、一緒になってこれからがよくなるように考えていきたいと思います。