「うまくいきすぎている…」
新年度が始まって,新しいクラスづくり。
そんな感覚を覚えることは,とても稀なことだと思います。
が,たまにあるんです。
新しいクラスは,新しいシステムをたくさんつくります。
一人一役の仕方,
掃除の仕方,
朝の会,帰りの会,
使用する学習道具。
新しいクラスは,新しい人間関係をつくります。
友だちどうしの関係,
先生と子どもたちの関係,
これらが良い形でスムーズに進むように,先生はあの手この手と指導を工夫するわけです。
そして,多くの場合はうまくいかないこともあって,先生は苦労しながら指導を進めていくことになります。
そして,時間をかけて,少しずつよくなっていくものです。
それが,学級づくりの基本的なパターンです。
しかし,時折ですが,スタートからほとんどがうまくいくことがあります。
先生が指導したことが,子どもたちに求めることが,すんなりとクラスに浸透していくのです。
それも,まったくの始めから。
ここで
「わぁ~ 今年のクラスはいい~ かなりいい子たちだ。」
「おぉ 今年は我ながら指導の仕方がよかったかな。」
なんて思いがちですが,ここで一度ストップ。
スタートからあまりにうまくいきすぎるときは,慎重になるべき!
だとも思います。
慎重になるとは,裏がないかを十分に探ってみるということです。
・器用に担任の先生にいい顔だけを見せて,裏では違う顔を見せている子がいるんじゃないか
・新クラスで不安や悩みを抱えているにも関わらず,がんばってそれを隠している子がいるんじゃないか
もしくは
・クラスづくりの指導が甘すぎて,子どもたちに響いていないのではないか
・ワンマンな先生に圧倒されて,ただ子どもたちが言いなりになっているだけではないか
といったことに,敏感になる必要があると思います。
もしそうなら,早急に対処が必要です。
普通,物事はスタートからはうまく転がらないものです。
うまく転がらないものをなんとかして転がしてこそ,軌道にのって,それ以降は自分でうまく転がれるようになるものです。
そんなはずなのに,最初から自分たちでうまく転がる場合は,ちょっと異様な感じを覚えます。
そんな感覚も,この時期には大事にしたいですね。
「始めよくて,あとから崩れるクラス」よりも
「始め悪くて,あとから良くなるクラス」の方が自然だし,ドラマがあるし,子どもの成長にも合っていますから。
もちろん,子どもたちのできが素晴らしくて,先生の指導が素晴らしくて,本当に最初からうまくいっていることもあると思います。
でも,そうだとしても,先生がそういう慎重さをもっておくことは余計なことではないでしょう。