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今、出発の刻(たびだちのとき)

車中泊によるきままな旅
<名所旧跡を訪ねる>

刀田山 鶴林寺(兵庫県加古川市加古川町北在家)

2013年07月22日 | 神社・仏閣
3年前フェリーの大部屋で一緒になった全国の山を登り歩いているという関西のご夫婦から加古川の鶴林寺の話を聞いた。
お寺さんをまわっていて鶴林寺に行ってないのは「オカシイヤロ」「アホヤ」といった内容の言葉が耳に残り「ホナ、イッタロヤナイカイ」というリズムで進路を加古川にした。


鶴林寺の歴史
高麗(こま)の僧、恵便法師は、物部氏ら排仏派の迫害を逃れて、この地に身をかくした。聖徳太子は恵便法師を慕い、その教えをうけるため、この地に来た。
のち、秦川勝に命じて三間四面の精舎を建立し、刀田山四天王寺聖霊院と名付け、崇峻天皇2年(589)が鶴林寺のはじまりと伝えられる。
その後、養老2年(718)、武蔵の大目「身人部春則」が太子の遺徳を顕彰するため、七堂伽藍を建立し、さらに9世紀の初め慈覚大師円仁が入唐の際に立ち寄り、薬師如来を刻して国家の安泰を祈願した。
天永3年(1112年)に鳥羽天皇から勅額を下賜され、以来「鶴林寺」と寺号を改め、勅願所に定められた。
天台宗鶴林寺は、加古川市街・尾上街道と鶴林新道に囲まれた一角にある。「刀田の太子さん」と親しまれている。
『刀田』は山号、「太子さん」とは鶴林寺を創建した聖徳太子のこと。「播磨の法隆寺」とも言われている。


仁王門(兵庫県指定文化財)
仁王門は、3間1戸の楼門形式で、大伽藍の正門として位置する。屋根は入母屋造、本瓦葺である。
全体を遠くから見れば、屋根と縁張り出しが良く、下層は高く、上層は低く、均衡が取れて美しい。










三重塔(兵庫県指定文化財)
室町時代の創建だが、江戸時代に大修理が行われている。
近年放火で一部損傷したが1980年の解体復元修理でよみがえった。
尾上街道や鶴林新道から朱塗りの塔が松林の中に見え加古川のシンボルにもなっている。







新薬師堂



薬師三尊蔵(重要文化財)



十二神将(一体だけウインクしている)






ウインクしている仏像と言うことで週刊誌に記事が掲載された。







経堂



常行堂(重要文化財)




本堂(国宝)
鶴林寺最大の建物で内陣厨子の棟札に応永4年(1397)の銘がある。
入母屋造り、本瓦葺。日本の仏寺建築は、和様の時代から鎌倉の初期には大仏様・禅宗様が輸入され、和様との折衷様式が流行し始める。
鶴林寺本堂は大阪府河内長野市の観心寺本堂と並ぶ、折衷様式の代表例とされる。











太子堂(国宝)
方三間、一重、宝形造りの建物の前に一間の縋破風をかけ、奥行き一間の礼堂をつけたもので四方を縁ではりめぐらしている。
全体として藤原建築の美点を遺憾なく発揮しバランスの富んだ建物。赤外線で発見することができた太子堂壁画もこの建物に納められていた。







鐘楼(重要文化財)
入母屋造り、本瓦葺き。本堂より10年遅れて、1407年(応永14)に建立された。
朝鮮・高麗時代に鋳造された梵鐘も重要文化財で澄んだ高い音色は黄鐘調(おうしきちょう)といわれる。




護摩堂(重要文化財)
三間四方の入母屋造り、本瓦の均整のとれた小堂。1563年(永禄6)建立。柱上の斗組を省略した簡素な造りである。
外部が和様、内部が禅宗様の折衷様式護摩堂は火炉で護摩木を焚くところで知恵の火で煩悩・罪障を焼き尽くす行方が行われる場所。










護摩堂の近くに宝物館があり、展示物の中でもとりわけ美しい仏像に目がいく。

聖観音立蔵(重要文化財)
像高83センチ。すらっとした気高い立ち姿。流れるような天衣。
腰を少し左にひねった軽やかなポーズ、しかも静中動の気風を漂わすこの像は、まことに美しく親しみやすい‘ほとけさま‘である。
その昔、盗人がこの観音像を盗み出し、溶かしてひと儲けをしようとたくらんだが、「あいたた」という観音様のお声に驚き、像を返して改心した、という言い伝えがあり 「あいたた観音」とも呼ばれいる。
第二次世界大戦が始まる少し前、ドイツで日本古典美術展が開催された時も、また戦後アメリカで同種の催しがあった時も日本の仏像を代表して出展されたのがこの像。

作家の五木寛之氏も印象に残る仏像と言うことで雑誌等で話していると係の女性が話してくれた。
この女性は大変親切な方で普段は館内を暗くしているのだが、明るくするのでゆっくり見てくださと私の好みの明るさまで調節してくれた。
私が境内で熱心に写真を撮っている姿を見ていたようでそのことも話してくれた。
いかに多くの人との出会いがあるかが、旅行の楽しさの大切な要素だと思うが、今日はよい思い出を持ってこの地を去ることができた。


撮影 平成25年5月23日
コメント
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