湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

はやいの詩パート2

2017-06-20 00:59:53 | オリジナル
共通テーマ「はやい」でTが書いた詩を投稿します。

光が届けば

赤い海には深海魚がいる
赤が光を遮るので5メートルの海底は闇
触覚だけが進化した生命体が
ひそひそと動いている

私のなかにも赤い海がある
   嫌悪 侮蔑 嫉妬
ぬめりと棲息しているものたち
見つめ続けると巨大化し
私の全ては呑み込まれる

珊瑚礁の海に浮かぶと
たゆたう波が私を揺らし
コバルトブルーが私の中へ浸透し
突然
古い記憶の再生が早送りになる
  むさぼるように食べた木いちごの甘さ
  香りを頼りにスイカズラの花を探した午後
  海ほうずきを鳴らした唇の感触
  残照の紫に染まった雲
  裏山から聞こえていたコジュケイの鳴き声

赤い海と共に棲息していたものたちは消えていく
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田越川の鮎

2017-06-18 15:53:26 | 文学
今日はサードエイジ課外講座「初夏の田越川を歩こう」に参加。講師は田越川大好き人間・小林宏一郎さん。身近な田越川の知らなかったことをいろいろ解説しながら案内してくれました。
池子川との合流点では、さかな観察会が開催されていました。ここは、田越川でも最もたくさんの種類の生き物が見られる観察にうってつけの地点なのです。

ゴールは商工会館前。ここでは鮎たちと仲よく川床の苔を食べるカルガモが見られました。

この付近には鮎が群れをなしているんです。ボラの群れとの見分け方を教わってたくさん発見できたら、鮎の塩焼きが無性に食べたくなってしまいました。実際には獲って食べたりしてませんけど、食べた時のことを思い出して一句ひねってみました。
ほろほろと明るく香る鮎食らう
もう一句。
無邪気かな縄張りもたず群れる鮎
田越川の鮎は、縄張り意識がないのだそうです。

7月7日(金)から逗子市民交流センター1階で、市民俳句サークル湘南句会を始めます。
以降、毎月第1・3金曜日16時~開催。第1回句会の兼題は「七夕」「夏」です。ご自身の作品の他に好きな七夕の句・夏の句があったら持ってきてください。筆記用具と歳時記もご持参ください。事前予約不要です。
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岩煙草&湘南句会

2017-06-17 13:21:44 | 文学
昨日に続き、紫色の季節の花シリーズ?
大切岸の近くにイワタバコが花を咲かせていました。

岩たばこ岩の湿りを吸ひて咲く  高浜年尾

7月7日(金)から逗子市民交流センター1階で、市民俳句サークル湘南句会を始めます。
以降、毎月第1・3金曜日16時~開催。第1回句会の兼題は「七夕」「夏」です。ご自身の作品の他に好きな夏の句があったら持ってきてください。見学だけでもOKです。
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見事な着地

2017-06-16 09:17:38 | 
神奈川歯科大学のジャカランダが見頃と聞いて、行ってみました。ジャカランダは南アメリカ原産で、世界三大花木のひとつだそうです。

では、先日の合評会で下記の作品について話し合ったことを投稿します。作者は都合により欠席だったので参加者の意見をまとめました。

離れる

離れれば近づきたくなる
離れれば寄り添いたくなる

というのは嘘だ

離れていても気にはしない
離れていても気にならない

近くと遠いの選択は愚問

近いかもしれないし
遠いかもしれない

近いと遠いは同じことかもしれない

考えても意味のないこと
意味のないことを続ける意義

どうでもいい

水曜日の夕暮れに
置いていった一人静が
咲いたか気になる
二人静だっけ


観念的に書き進めていますが、最終連で具体的な描写になっていますね。
その着地の仕方が素晴らしいと思います。
一人静と二人静という二種類の花の名を象徴的にもってきたんですね。
そこに到達するまでの叙述が冷静過ぎる感じもしますが、ちゃんと論を進めています。
 互いに孤独でなければ寄り添えないという逆説的真実を、詩的なうえに納得できる形で表せたいい作品だと思います。
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雑司ヶ谷掃苔録(永井荷風)

2017-06-15 11:41:33 | 旅行
6月5日に泉鏡花墓所について投稿しましたが、雑司ヶ谷霊園には他にも逗子ゆかりの作家の墓があります。
 永井荷風の墓
永井家墓所にある3基の墓石の真ん中です。
荷風は若い頃、逗子にあった父の別荘で療養生活を送りました。

停車場前の休茶屋を始めその辺の人家は阜く寝静まっていて乗るへき人力車は一台もなかった。風のない夜を幸い、そのまま村の一筋道を歩いて行くと遠く彼方の眺望を遮って立つ丘陵の影と近くは道の行手を蔽う樹木の影の恐ろしい程暗いだけ、その上に広がる晴れた空は月の夜のように明るく鮮明な星の数は一つ残らず析から渡る田越川の水の面に浮んでいた。農家の犬の吠える声もない。松の梢も響を立てず芦の枯葉も囁きを止め海の彼方にも波の音は疲れたように寂然として聞えなかった。清はこの夜の静寂をば意味のない幾分かの恐怖をも交えて、何とも悲しいと感じた。暗さを恐れ明るきを求むる人間自然の情から都会の大通りを思い出した。砂路を踏む自分の足音のみ気味悪いほど鮮に響き渡るのを聞いて、行方知れず彷徨って行く寂しい旅人の心持をも想像した。
やがて海に近い二度目の橋手前から、樹木の間の小径を曲って山際の別荘に着く。

「冷笑」に登場する逗子の描写です。「海に近い二度目の橋」とあるのは、現在の富士見橋です。
この小説は夏目漱石の依頼で書かれ、東京朝日新聞に掲載されました。
漱石の墓も雑司ヶ谷霊園にあります。安楽椅子を模した大きな墓石が一際目立ってました。

荷風の話に戻りますが、彼は墓参を趣味とする掃苔家としても知られています。三ノ輪の浄閑寺にある遊女の墓をよく訪れては掃除していたそうです。
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謎の詩パート3

2017-06-14 07:44:03 | オリジナル
共通テーマ「謎」でEが書いた詩を投稿します。

ナゾ(二)

地上から去る と
みな ゼロになるのですか
それとも
空中から見下ろしたり
地中から見上げる"なにか"に変るのですか

残された者は
逝きし者がいたことなど
すぐ忘れてしまう
平然と意に反する
"なにか"はいかりに満たされる

かの者たちも いずれ
時至って去る
いかりも自ずと納まる
徐々に感じなくなる
どちらにしても果てはゼロ

みなうすうす承知している
さびしい顔をして耐えている
さびしさがあまると
人と争ったり
名誉を求めたり
冨に執着したりする
逆に居すくまる者もいる

あれこれあがいて
あげく最後の床につく
あわてて祈ろうとする
祈りのことば?
私 これまで習ったことがないのです
何を祈ればいいのですか
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はやいの詩パート1

2017-06-13 16:45:42 | オリジナル
共通テーマ「はやい」でEが書いた詩を投稿します。

早い(一)

くもの巣が風をはらむ
帆は出航しようと
ひそかに図っている

半日 ウイスキーをなめる
潮は未だ満ちてこない
「まだ早い」というのか
黄昏が近い
いまは もう漕ぎだそう
艤装はそれからだ
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謎の詩パート2

2017-06-12 16:37:17 | オリジナル
共通テーマ「謎」でEが書いた詩を投稿します。

ナゾ(一)

空が青いことは
ひとにとって
大きなぎょう倖です
かなしみを忘れたり
雲が白かったりできる

もし灰色だったら
いさかいがふえ
人類は死に絶えている

それとも
何億年か後に
異星人が飛来して
てきとうに やっているのだろうか
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環境フェスティバル

2017-06-10 16:56:00 | イベント
今日・明日は、逗子市交流センター・フェスティバルパークで環境フェスティバルが行われています。

今日のエコフリーマーケットに、湘南文芸も出店。ご来場・お買上げいただいた皆さん、ありがとうございました。
湘南文芸ブースの売上は活動資金にします。
次の湘南文芸フリマは7月2日(日)10時頃~ロードオアシス・ヤサイクル前(新宿5丁目)で開催する予定です。
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プレバト紫陽花句

2017-06-09 10:11:04 | 文学
昨日オンエアのプレバト俳句。お題は「鎌倉(長谷寺)の紫陽花」でしたが、秀句とされたのは長谷寺とか鎌倉には言及していない俳句でした。私たちの詩の合評会でも度々、テーマに囚われすぎないイメージの飛躍がある作品を書こうと話し合っています。

名人6段・現状維持だった梅沢富美男さんの句
 あるじ無き病室の窓四葩咲く
上五がちょっと抽象的で映像になっていないということで、夏井先生が添削した句
 名札外されし病室四葩咲く
花びらのように見える萼が四枚あることから、紫陽花を「四葩(よひら)」とも呼ぶんですね。
才能アリ1位の熊谷真実さんの句
 母逝きて喪屋の標べに色紫陽花
添削句
 母逝きて喪屋の標べの濃紫陽花
「濃紫陽花」は「こあじさい」と読むんだって。
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