湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

風の詩パート1

2018-07-30 18:38:29 | オリジナル
新しい共通テーマ「風」でAが書いた詩を投稿します。

無風の場所

おお 五年ぶりの
白い小さな顔が
予期せぬ時にやってきた
わたしが窮屈のあまり脱ぎ捨てた
制服みたいな安定の安定をまとって
質問に対するわたしの答えに驚いてみせ
問われて自分の生活を控えめに披露する
(おめでとう よかったね がんばって)
(おたがい どうでもいいね)

いい風が意思を奪い 
自由は心地悪い
だからといって

風を起こそうとしても、しても、
止・め・ら・れ・て・しまうあの場所に
ついには意志を失って
つまらない詩ばかり頭に浮かんだあの場所に

五年をかけてようやく
糜爛を鎮めることができたのだ
わたしは意地でも
意識の切れ端だって戻さない
近くにいるように見えるし
偶然顔を合わせたりするけれど
ここはパラレルワールドだ 

もう二度と会わなくてもいいという
乏しい笑顔を見せて
彼女は去って行った
平穏無事を保証する作業だか手続きだかが
無風の場所で待っているのだろう
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする