湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

今月のオリジナル作品最終回

2014-09-21 01:44:24 | オリジナル
今月のTAKオリジナル作品のテーマは「秋」でした。まあ、途中からそう決めたんですけどね 来月もお題を決めて競作したいな。
Aは普段季節を意識して詩を書かないので、秋の詩を書いたのは多分生まれて初めてです。でも秋は自分が生れたこともあっていちばん好きな季節。
それにしては真ん中辺が全部ネガティブで情緒的ではありませんけど。センチメンタルなのが苦手なもので
写真は、Yの字に枝を広げた樹木が並ぶ丘の上の景色。長柄桜山古墳群があるあたりです。海と空が一望できる気持ちのいい古墳なのです。

再び両手を差し伸べる季節

丸く柔らかく生まれてきた身に光だけ浴びて
明るく澄んだ空へ瑞々しく伸びていけたなら
神様もいらない地球の一部

しかし全てがいびつなこの世界では
そんな伸びやかな人生は許されない
風雨に倒され地面に体を擦りつけ汚れて傷だらけ
堅い頭蓋でも守ることができなかった脳味噌は騒音でいっぱい
疑念を吸い込んだ暗くて重たいスポンジだ
今や私は呼吸する傷口
この世界についた傷そのもの
他人の自惚れを許さない狭量な人類に包囲され
屈辱的な物事が日々塩のようになすりつけられる
休みなくひりつく生きた傷
生まれた時に付けられた名前には意味が見えない

でも地に根を張って左右にぐいと枝を伸ばす一本の木のような
名前の頭文字を見ていてふと思い当たった
寒風熱風になぶられうんざりしているが
まだ私は空に両手を伸ばそうとしている
無理に着こなすしかなかったお仕着せを脱ぎ捨てよう
空に向かって両手を挙げた形の私の頭文字に
頭から被せてすぽんと心地いい衣を着せてやろう
そして丘に登るのだ
そこには私が生まれた季節の
暑くも寒くもない風が吹いている
頂上で眼下を見下ろしたいんじゃない
両手を天へと広げ、上を仰ぎ見たいのだ
秋色のワンピースを着て
コメント
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