『THE有頂天ホテル』

三谷幸喜監督第3作。

新年まであと2時間の大晦日のホテルを舞台にしたドタバダ劇。とにかくキャストが豪華。三谷ファミリー総出演！これだけでも見る価値はアリ。声だけで清水ミチコや山寺宏一が出てたり、チョイ役で八木亜希子、高島彩とか出てるから見逃さないで。

さすが三谷幸喜だけあって、ストーリーの縦糸と横糸が編み込まれている上に、キャラクターを横断する環が出来上がってる。お見事。それだけじゃなくて、細かなくすぐりも効いていて、爆笑シーンに上手いトスを上げてるし。撮り方も、『ER』や『ザ・ホワイトハウス』と似た、カメラが人物に付いていくような撮影法で、ワンショットが長く、とても演劇的な、役者同士の真剣勝負！って感じがしてとても好感が持てた。

伊東四朗と西田敏行の大御所二人は、卑怯すぎるぐらい、はっちゃけてます。ホントに。主役であろうと思われる役所広司も、プライドと現実の間で揺れる滑稽な副支配人を味のある演技している。女性陣も面白かったのだけれど、篠原涼子のコールガールも含めると3人も「愛人」が出てくるのはちょっとねぇ。多くない？あと、戸田恵子。この人はフロア係なんだけど、機転の利いた行動で役所広司をアシストするいい役だったんだけど、彼女自身のストーリーが無くて少し残念。彼女にはポスト宮本信子として『マルサの女』シリーズを続けていってもらい、男社会に立ち向かう痛快な女性を演じてほしいなぁ。

佐藤浩市の議員と秘書との会話に「バリトンホテル」の名が出てくるんだけど、これって古畑FINALでイチローが泊まってたホテル。そういうネタ探しに於いても気の抜けない映画だった。