ウイルスが原因の肝臓がんについて
肝臓がんの原因の多くは、アルコールではなくウイルスです。B型とC型の肝炎ウイルスが
80%を占め、アルコールはたったの5%ほどにすぎません。
B型肝炎ウイルスは、輸血や予防接種などのほか、主に母親から感染します。
出産時、子宮内で出血した血液の中にウイルスがいると、その血液が赤ちゃんの胎盤から
体内に侵入します。また、産道にも母親の血液が付着するため、それも原因と考えられて
います。1986年から出産時に母親がウイルスに感染しているかどうか検査しています。
そのため、母子感染の可能性があるのは、29歳以上の人と考えられます。
C型肝炎ウイルスは、母親からの感染はほとんどなく、輸血や注射針の使い回しなどが
感染経路になります。
※ただし、現在では輸血や予防接種では、肝炎ウイルスに感染しないよう対策が取られて
います。
肝炎ウイルス検査の受け方について
肝炎ウイルス検査は、お近くの病院や保健所などで受けることができます。
ガッテンで、人口10万人以上の都市のうちおよそ300か所を調べたところ、9割の地域で
病院でも肝炎ウイルス検査を受けられることがわかりました。また、そのうちの7割が無料
でした。
地域によって、検査を受け付けている病院の数、検査の期間や対象年齢、無料で受けられる
人数などが異なるので、まずは役所か保健所などにお問い合わせください。
検査対象に含まれる場合、風邪で病院へ行った際、ついでに検査を受けられる場合もあります。
肝炎ウイルスの治療法について
B型肝炎ウイルスは、ウイルスの増殖を防ぐ核酸アナログという薬で治療します。
副作用が少なく、患者さんのウイルスを肝臓の奥に閉じ込め、活動させないようにする働きが
あります。
C型肝炎ウイルスは、免疫力を高めて肝臓内のウイルスを排除する「インターフェロン治療」
と「飲み薬」を一緒に使うことで、9割の患者さんのウイルスを完全に排除できるように
なりました。また、インターフェロンが効きにくい場合でも、2種類の飲み薬だけで85%の
患者さんのウイルスを排除することができます。
このように肝炎ウイルスの治療はかなり進歩しているため、以前、治療をやめてしまった人に
とっても、いまこそウイルスを排除するチャンスといえます。
ただし、薬ですので副作用もあります。薬の選択や経過観察などが重要ですので、できれば
肝臓の専門医にご相談ください。
(2014年11月12日 ためしてガッテン)