「人間のからだは急激にやせると、元の状態に戻そうとするメカニズムが働きます。
その結果、リバウンドしてダイエット前より太ってしまう人もいます。ダイエットは
体重を落とすより、キープする方が難しいんです。“本当にやせた”といえるのは、
体重をキープできるかどうかです」
新山手病院生活習慣病センター長 宮崎さんによると、急に体重が減ると
脂肪組織が“生命の危機”を感じ、脳に食欲を刺激するシグナルを送るのだそう
です。このシグナルはレプチンというホルモンが出しています。
レプチンは脂肪組織から分泌され、脂肪が足りなくなると、「脂肪が減りましたよ、
至急補充してください」と脳に伝えるそうです。
人間のからだは、こうした生きていく上で重要な機能を維持する働きがあり、
この危機管理システムをホメオスタシス(恒常性)といいます。からだがバランスを
失いかけると、この危機管理システムが作動するわけです。そして、本能の訴えに
逆らえず、ドカ食いに走ることも少なくありません。
どんなにがんばってやせても、危険回避の本能がある限り、リバウンドは避けられ
ないのでしょうか?
「脳が危険を感じないように、ゆっくりやせればいいんです。ダイエットは“食べない”
ことではないんです。摂取カロリーを減らすために、食べないでいると、必ず
リバウンドします。朝ごはんを抜くとか、夕飯を食べないとか、食事自体を制限する
のはやめた方がいいですね。1日2食の方が、3食より太るんですよ」
1日2食の方が太る!
「1日2食にすると、一見、消費カロリーは減るように思えます。確かに最初のうちは
減りますが、1回に食べる量が徐々に増えていき、結局2食で3食分のカロリーを
摂取するようになります。1日の総摂取カロリーを3回に分けて摂取し、その都度
消費した方が効率もいいし、小分けにして食べた方がインスリンの分泌が抑えら
れて、食べたカロリーが脂肪になりにくい。2食でたくさん食べ過ぎたら、余分な
カロリーが消費されれずに、結局、太ってしまうんですよ」
食事の回数を減らすより、1回に食べる量・質を調節する方が、効果があります。
例えば、昼食の天ぷらそばを、かけそばや山菜そばに替えれば、マイナス200
キロカロリー。夕飯のビールを1杯控えれば、さらにマイナス150キロカロリー。
毎日食べていたおやつを1日おきにするだけでも、積み重ねれば大きなカロリー
ダウンになります。自分の食生活を見直して、削りやすいものから減らしていくと、
無理のないダイエットができます。少しのがまんで効果を感じれば、モチベー
ションもあがります。極端な減食より、毎日少しずつのがまんから始めては
どうでしょう。
(2013年9月20日 読売新聞)