年齢を重ねると、呼吸の8割を担う筋肉「横隔膜」や、横隔膜を動かすおなかの筋肉が衰え、
呼吸が浅くなりがちです。そうすると、息切れしやすく、そして、酸素を十分に体内に
取り込めない疲れやすい体になってしまいます。
「究極のドローイン」とは、おなかを引っ込めるドローインで横隔膜をしっかりと動かし、
腹式呼吸で深い呼吸をするというものです。
◆入門編 寝ているだけで“横隔膜ストレッチ”
横隔膜の構造に詳しい文京学院大学・保健医療技術学部・教授 柿崎藤泰さんによると、
横隔膜は本来ドーム状にですが、年齢とともに平たくなり、動きが小さくなることが、
浅い呼吸の原因になっていると言います。
横になりながら、横隔膜を本来のドーム状に伸ばして、深い呼吸ができる方法
・用意するもの・・・バスタオル、イス
仰向けになって、ひざが90度になるようにイスに足をのせ、お尻の下にバスタオルを
置きます。高さは5~10センチが目安です。
お尻の位置を高くすることで体に傾斜ができ、内臓が重力によって頭側に移動します。
そのとき、内臓が横隔膜を押し上げるため、横隔膜がドーム状に伸びるのです。
柿崎さんによると、1日5分、この姿勢を保つと横隔膜がストレッチされ、深い呼吸が
しやすくなることが期待できるそうです。
※腰に問題がある人は医師にご相談ください。
◆初級編 横隔膜をフル活用した腹式呼吸
目標時間を決めて腹式呼吸をする
イスに座り、床に時計を置き、前屈みで時計を見る姿勢になります。
10秒吸って、10秒吐いて、10秒楽な呼吸で休む。それを3分間繰り返します。
●呼吸のポイント
1.口の形は、うどんを1本吸うような形にする。
→口を細くすぼめて、少しずつ息を吸うことで横隔膜に負荷をかけます。
2.息を入れる場所を意識する。
→おへそから3センチ下の辺りを中心に膨らませます。
このとき、ドローインをするときに活躍するおなかの筋肉、腹横筋で横隔膜を動かします。
おなか(腹横筋)を緩めると横隔膜が下がり、たっぷりと息を吸うことができます。
おなか(腹横筋)を引っ込めると横隔膜が上がり、息をしっかりと吐くことができます。
太もも上げで腹式呼吸をする
太ももを高く上げておなかを圧迫し、かつ、このとき、自然と腹横筋が縮まるため、
横隔膜が押し上げられ、息をしっかりと吐けるようになります。
太ももを上げるときに息を吐き、太ももを下ろすときに息を吸います。
歩くときにも太ももを高く上げると、同様の横隔膜のトレーニングになります。
※太ももを上げる腹式呼吸は、腹圧がかかるため、妊娠中の方は行わないでください。
管井秀憲さん(声楽家・ボイストレーナー)ワンポイントアドバイス
横隔膜を使って腹式呼吸ができているか、発声で確認するとき、口の形を「お」にする
ことがオススメです。
口と肺をつなぐ気道の形と「お」の形が似ているので、抵抗が少なく、吸い込んだ空気を
むだなく、楽に出すことができます。
(2014年11月18日 あさイチ)