落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

セックスワークってなんだ

2008年11月15日 | lecture
ピープルズプラン研究所で行われた一度に読み解くセックスワークと人身取引という講義の2回め(1回めの感想)。
本日のお題は「ケア労働・感情労働・性労働」。

まず「セックスワーク」という言葉について。
この言葉が使われ始めたきっかけは1987年にアメリカで出版されてベストセラーになった『Sex Work』という当事者の証言集。日本では93年に翻訳が刊行されている。
ちなみにぐりが「セックスワーク」という言葉を初めて耳にしたのは95年で、フリーランスでセックスワークをしている女性が自らそう表現していたのを耳にしたときだと記憶している。

「感情労働(Emotional Labour)」の社会学的定義は
・それを提供する相手との相互行為の中で
・顔や身体を使って
・外側から観察できる表現をつくりだすように
・自らの感覚をコントロールする
ことが要求される労働である(by Arlie R. Hochschild)。
例)フライトアテンダント・ホステス・介護師・主婦・カウンセラーなど

一方「ケア労働」とは人の世話をする、気を配る、面倒をみる労働。
具体的に保育・介護・介助・看護・清掃・クリーニング・ケータリングなどを指す。
これと育児・看病・掃除・炊事・洗濯との違いは何か。
・家事/仕事
・プライベート/パブリック
・対象が限られる/限られない
家事労働を社会学では「愛の労働(Labour of Love)」と表現する。

「性労働」とはセクシュアリティを媒介にし対価のある労働を指すが、現在では具体的に厳密な定義は困難とされている。
なぜなら、「性労働」には一種のコミュニケーションや幻想・感覚の共有などを伴うケースが多々あり、「感情労働」「ケア労働」との境界が非常に曖昧だからである。かといって「性が関わっている」以上同じに考えることもできない。
たとえば高齢の利用客が多いナイトクラブのホステス嬢には自らの業務を「子どもに戻りたがっている男性の相手をしてあげる保母さんのようなもの」と表現する人がいて、高齢者福祉施設の男性介護師には女性利用者の介助業務を「デリへル」と表現する人がいる。両者の労働の性格は非常に似ていてある面では同一視することも可能だが、完全に同一視することに疑問も残る。
性労働従事者には圧倒的に女性が多いが、感情労働やケア労働にしても比率的には女性の方が男性よりも多い職種が大半を占めている。

この後も「感情労働」「ケア労働」「性労働」の差異と同一性について突っ込んだ説明と議論があったのだが、かなり細かくて散漫で感覚的な内容になるので今日ははしょります(爆)。まとめられない〜。
ひとつひっかかったのは「性的な付加価値のない労働はない(足立真理子・お茶の水女子大学教授)」という言葉。そりゃまーそーだわねー。究極的にはねー。
前回と出席者が結構カブッてたんだけど、フェミニズム活動家の方々の中には男性優位社会のすべてを断定的に否定的にとらえる人もいて、そーゆーのは議論の場といえどもリアリティないなーなんて思ってみちゃったりもしました。


フォーとベトナムコーヒー。
フォー大好き。