『あん』
<iframe src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B01A6L160K&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
小さなどら焼き屋「どら春」の店長・千太郎(永瀬正敏)は、春のある日「雇ってほしい」と店を尋ねてきた老女・徳江(樹木希林)から渡されたあんこを食べて驚愕。高齢からとても雇えないといったん断った彼女の申し出をうけて、毎日あんをつくってもらうことにしたところたちまちその味が大評判になり、店頭には行列ができるほどになるのだが・・・。
ドリアン助川による同名小説を河瀬直美が映画化、カンヌ国際映画祭ほか世界各国の映画祭で高評価を得た。
実はあんこが苦手で。
あんこというか和菓子全般があまり好きではない。煎餅やあられなどのしょっぱいお菓子は好きなのだが、和菓子の砂糖の甘さがどうしてもちょっと苦手である。チョコレートなどの洋菓子はもともと好きなのだが砂糖を減らす生活をしているので、それもここしばらくほとんど口にしていない。日々の生活に必要な甘味はすべて、干し芋やみかんや黒糖の菓子でまかなっている。
それはそれで不自由なくても、映画を観ていてじぶんがあんこ好きでないことが心底悔やまれた。きっとあんこが好きな人、どら焼きが好きな人なら、よだれがでるくらいおいしそうに見えるんだろうなと。
なにしろそれほどうまそうなのだ。
焼きたてのほかほかの生地に挟まれた、しっとりと滑らかな徳江さんのあんこ。酒飲みの千太郎がおいしいというくらいだから、きっとさっぱりと甘すぎずそれでいてこくがあって、豆の香り豊かな、上品な味がするのだろう。
徳江は小豆にやさしく話しかけ、鍋のなかにのめりこむようにして小豆の「声」に耳を傾けながらあんこを炊く。
おもてなしだから、せっかくここまで来てくれたんだからと、自然の恵みを最大限にリスペクトする。時間はかかるが丁寧な彼女の仕事を、あんこも決して裏切らない。
最終的に、元ハンセン病患者だという噂が広まり彼女は店を去ってしまうのだが、いわれのない差別や偏見から彼女をまもれなかったと自分を責める千太郎に、彼女は自身のプライドを示してみせる。
50年間療養所の製菓部で和菓子をつくりつづけてきた彼女にも、ごく当然ながら彼女なりの人生があった。ただ差別され世間だけでなく家族からさえ疎まれ無視され、あるいは憐れみを買い同情されるばかりの人生ではない。確かにそういう面もあったけれど、そして彼女が憧れた自由にはほど遠かったけれど、それでも彼女は彼女なりの幸せをみつけ、誇り高く生きたのだ。
最後の最後に、彼女は千太郎に、彼にも彼なりのプライドを見出してこその幸せを、生きる価値をもつことの意味と豊かさを教える。甘党でもないのに悲しくつらそうな暗い顔をしてどら焼きを焼くよりも、自分なりに自分の仕事を尊い、いとしいと思える生き方の方がいい。
簡単にいってしまえば陳腐かもしれないけど、人を傷つけ自分をも傷つけて縮こまっていた千太郎にとって、徳江の思いは天啓のように響いたのではないだろうか。
永瀬正敏は一瞬誰かわからないくらいのなりきりようで、こんなにすばらしい演技をする人だということを失礼ながら改めて知った。他の作品だとなんか無駄に永瀬正敏臭さばっかり鼻についちゃってたんだよね。この作品では臑に傷もつ卑屈で無口な中年男を、微妙に色っぽく、どこかかわいらしく演じていて、千太郎というキャラクターを素直に好きになりました。
樹木希林は相変わらずものすごいです。完全無欠。画面にでてくるだけで拝みたくなるぐらい完璧。そしてやっぱりどっかかわいい。風に揺れる桜の梢に「手をふってる」といって不自由な両手をふりかえす笑顔が、ぎゅっと抱きしめたいような愛らしさに溢れている。
孫の内田伽羅が千太郎の店の常連客役で出演しているのだが、黙ってそこに座ってても常人でない存在感があるのに驚き。昨今流行りのいわゆる美少女といったタイプではないけど、さきざき楽しみですね。
ハンセン病については詳しくなかったのだが、上映後に元患者の森元美代治さんのトークセッションがあり、映画にも登場した全生園が一般に見学できることを初めて知ったので、是非行ってみたいと思う。
春の暖かくなった季節なんかどうかなあ。
原作も機会があったら読んでみたいです。
<iframe src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4591144895&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<iframe src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B01A6L160K&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
小さなどら焼き屋「どら春」の店長・千太郎(永瀬正敏)は、春のある日「雇ってほしい」と店を尋ねてきた老女・徳江(樹木希林)から渡されたあんこを食べて驚愕。高齢からとても雇えないといったん断った彼女の申し出をうけて、毎日あんをつくってもらうことにしたところたちまちその味が大評判になり、店頭には行列ができるほどになるのだが・・・。
ドリアン助川による同名小説を河瀬直美が映画化、カンヌ国際映画祭ほか世界各国の映画祭で高評価を得た。
実はあんこが苦手で。
あんこというか和菓子全般があまり好きではない。煎餅やあられなどのしょっぱいお菓子は好きなのだが、和菓子の砂糖の甘さがどうしてもちょっと苦手である。チョコレートなどの洋菓子はもともと好きなのだが砂糖を減らす生活をしているので、それもここしばらくほとんど口にしていない。日々の生活に必要な甘味はすべて、干し芋やみかんや黒糖の菓子でまかなっている。
それはそれで不自由なくても、映画を観ていてじぶんがあんこ好きでないことが心底悔やまれた。きっとあんこが好きな人、どら焼きが好きな人なら、よだれがでるくらいおいしそうに見えるんだろうなと。
なにしろそれほどうまそうなのだ。
焼きたてのほかほかの生地に挟まれた、しっとりと滑らかな徳江さんのあんこ。酒飲みの千太郎がおいしいというくらいだから、きっとさっぱりと甘すぎずそれでいてこくがあって、豆の香り豊かな、上品な味がするのだろう。
徳江は小豆にやさしく話しかけ、鍋のなかにのめりこむようにして小豆の「声」に耳を傾けながらあんこを炊く。
おもてなしだから、せっかくここまで来てくれたんだからと、自然の恵みを最大限にリスペクトする。時間はかかるが丁寧な彼女の仕事を、あんこも決して裏切らない。
最終的に、元ハンセン病患者だという噂が広まり彼女は店を去ってしまうのだが、いわれのない差別や偏見から彼女をまもれなかったと自分を責める千太郎に、彼女は自身のプライドを示してみせる。
50年間療養所の製菓部で和菓子をつくりつづけてきた彼女にも、ごく当然ながら彼女なりの人生があった。ただ差別され世間だけでなく家族からさえ疎まれ無視され、あるいは憐れみを買い同情されるばかりの人生ではない。確かにそういう面もあったけれど、そして彼女が憧れた自由にはほど遠かったけれど、それでも彼女は彼女なりの幸せをみつけ、誇り高く生きたのだ。
最後の最後に、彼女は千太郎に、彼にも彼なりのプライドを見出してこその幸せを、生きる価値をもつことの意味と豊かさを教える。甘党でもないのに悲しくつらそうな暗い顔をしてどら焼きを焼くよりも、自分なりに自分の仕事を尊い、いとしいと思える生き方の方がいい。
簡単にいってしまえば陳腐かもしれないけど、人を傷つけ自分をも傷つけて縮こまっていた千太郎にとって、徳江の思いは天啓のように響いたのではないだろうか。
永瀬正敏は一瞬誰かわからないくらいのなりきりようで、こんなにすばらしい演技をする人だということを失礼ながら改めて知った。他の作品だとなんか無駄に永瀬正敏臭さばっかり鼻についちゃってたんだよね。この作品では臑に傷もつ卑屈で無口な中年男を、微妙に色っぽく、どこかかわいらしく演じていて、千太郎というキャラクターを素直に好きになりました。
樹木希林は相変わらずものすごいです。完全無欠。画面にでてくるだけで拝みたくなるぐらい完璧。そしてやっぱりどっかかわいい。風に揺れる桜の梢に「手をふってる」といって不自由な両手をふりかえす笑顔が、ぎゅっと抱きしめたいような愛らしさに溢れている。
孫の内田伽羅が千太郎の店の常連客役で出演しているのだが、黙ってそこに座ってても常人でない存在感があるのに驚き。昨今流行りのいわゆる美少女といったタイプではないけど、さきざき楽しみですね。
ハンセン病については詳しくなかったのだが、上映後に元患者の森元美代治さんのトークセッションがあり、映画にも登場した全生園が一般に見学できることを初めて知ったので、是非行ってみたいと思う。
春の暖かくなった季節なんかどうかなあ。
原作も機会があったら読んでみたいです。
<iframe src="https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?t=htsmknm-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4591144895&ref=qf_sp_asin_til&fc1=000000&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>